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民主主義とは何か の商品レビュー

4.2

76件のお客様レビュー

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2021/11/04

タイトルの通り、民主主義とはなんなのか、その概説を記したものとして傑作です。間違いなくマスターピースの一つでしょう。学生から大人まで、初学者にお薦めです。

Posted byブクログ

2021/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

民主主義という政治制度ないし概念が古代ギリシャのポリスに由来することはよく知られている。しかし、現代において我々が民主主義の在り方として当然の如く捉えている代議制民主主義について、それが果たして「民主主義」と呼べるのか、という問題提起は印象的であった。そもそも選挙や議会制というものは、必ずしも民主主義とは一体ではなかったことが、本書を通じて示される。「序」で興味深い問いかけをしたのちに、「結び」で本書全体の議論をまとめながら、その問いに答えるという、読者の知的好奇心を掻き立てる構成になっている。

Posted byブクログ

2021/10/09

民主主義について、古代ギリシアから現代までに至る変遷を、丁寧にまとめた本。その時代毎の人々の言説をもとに分析しているので、変遷がよく分かる。 この本の「民主主義」を、橋場弦氏の「参加と責任のシステム」として捉えている。この考え方は明快で、普段からも意識したいものだと思った。 ...

民主主義について、古代ギリシアから現代までに至る変遷を、丁寧にまとめた本。その時代毎の人々の言説をもとに分析しているので、変遷がよく分かる。 この本の「民主主義」を、橋場弦氏の「参加と責任のシステム」として捉えている。この考え方は明快で、普段からも意識したいものだと思った。 難しかったが、もう一度読むべきだと思えるくらい、内容の濃い本だった。

Posted byブクログ

2021/09/26

とりあえず、受験生は読んでおこう。公民はもちろん、世界史や日本史、現代文や小論文、面接対策にも有効。 民主主義を「参加と責任のシステム」と捉えて、その難しさと可能性を歴史的変遷を踏まえて明快に伝えてくれる。 考えさせられるのは、どのようにすれば民主主義を信じられるようになるのか...

とりあえず、受験生は読んでおこう。公民はもちろん、世界史や日本史、現代文や小論文、面接対策にも有効。 民主主義を「参加と責任のシステム」と捉えて、その難しさと可能性を歴史的変遷を踏まえて明快に伝えてくれる。 考えさせられるのは、どのようにすれば民主主義を信じられるようになるのか、ということ。一言で言って、民主主義は面倒くさい。自分たちのことを自分たちで決めて、その結果にも責任を取る、ということを日常的にやれ、と言われたら本当に大変。そもそも「自分たち」という枠のサイズ決めからメンバー選定までやらなきゃならないわけだから、手続きに次ぐ手続きでヘトヘトになる。ちょっと前なら「地区」とか「民区」とか「子ども会」みたいな「あらかじめのフレーム」が充満してたから、枠作りはスキップできたのが、今、住民の流動性がめちゃくちゃ高くなっちゃったから、そこも一から、っていう場合が少なくない。思考停止してよい範囲が狭くなってる、当たり前の領域が狭い、と言ってもいいかもしれない。 どうしたもんかなぁ。 ひとつのアイディアとしては、学校教育かなぁ。少なくとも訓練による癖づけはできるわけだから。 地元のある中学校では、そこの自治体の議会の議題を中学生に出させているらしい。けっこう効果はあるみたい。うちの娘の幼稚園では、発表会の内容や運動会で披露するダンスの振り付け、お芝居の配役は子どもたちが決めている。合い言葉は「自分たちがやりたいから自分たちで決める」らしい。もちろん、こういう個別の取り組みが次の学校での取り組みに有機的に繋がっているわけではないし、先生方個々の指導能力にも左右されてしまって形骸化する可能性も小さくないけど、そこをこそ変えていけないものかと。ブレイディみかこさんの著書を読んでいて思ったことを、今回も思った。

Posted byブクログ

2021/09/05

著者あとがきにあるように、制度であり理念でもある「民主主義」を歴史から現在進行形の諸課題まで基本を丁寧に押さえながらまとめられている。 殆どの国民は数年に一度の選挙以外は全く蚊帳の外、それどころかその選挙さえ半分の有権者が参加していない日本の現状は代表制が究極まで形骸化しつつある...

著者あとがきにあるように、制度であり理念でもある「民主主義」を歴史から現在進行形の諸課題まで基本を丁寧に押さえながらまとめられている。 殆どの国民は数年に一度の選挙以外は全く蚊帳の外、それどころかその選挙さえ半分の有権者が参加していない日本の現状は代表制が究極まで形骸化しつつあると感じる。本書をたとえば中学の教科書にして、選挙さえやっていれば民主主義国とでもいうような安直な理解が少しずつでも正されてほしい、そんな気持ちになった。

Posted byブクログ

2021/09/05

古代から現在に至る民主主義に関する議論を解説。民主主義は長らく警戒感を持って見られ、ポジティブな意味を持ち、議論が発展したのは産業革命と2つの総力戦を経たここ200年程度のこととわかりやすく説明する。現在の政治情勢を嘆きつつも民主主義の進歩に希望を託している。

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2021/08/30

・民主主義が直面しているさまざまな危機 ー欧米の先進諸国ー 『ポピュリズムの台頭』 イギリスのEU離脱、トランプ大統領の当選はいずれも選挙で決着されている。 格差の拡大は国民の一体性の感覚を損ない、世論の分断化を招くが、民主主義はそのような分断を乗り越えられるだろうか? ー中国を...

・民主主義が直面しているさまざまな危機 ー欧米の先進諸国ー 『ポピュリズムの台頭』 イギリスのEU離脱、トランプ大統領の当選はいずれも選挙で決着されている。 格差の拡大は国民の一体性の感覚を損ない、世論の分断化を招くが、民主主義はそのような分断を乗り越えられるだろうか? ー中国をはじめ、アジア、アフリカー 『独裁的指導者の増加』  ロシア、中国、北朝鮮、フィリピン、トルコなど独裁的とされる指導者。経済成長にとって、自由民主主義は本当に不可欠なのか?独裁体制の方が望ましいのではないか?経済成長と民主主義、あるいは市場経済と民主主義の関係が問い直されている。 ー全世界ー 『第四次産業革命の影響』 AIやIOT、ロボットなどの第四次産業が雇用を奪う。搾取していた人間がAIやロボットに支配されるのでは? 『コロナ危機と民主主義』 民主主義において緊急事態時には法やルール、制度が障害になる場合がある。反面、独裁的な指導者の方がよりスピーディーに判断を下せる。 現実には感染拡大の防止に有効な手を打てない独裁的指導者も多いが、緊急事態が民主主義への疑問をもたらしたことは深刻。 ・民主主義について疑問 Q『多数決』 1 民主主義とは多数決    or 2 少数派の意見を尊重しなければならない Q『選挙』 1 選挙を通じて国民の代表者を選ぶのが民主主義    or 2 選挙だけが民主主義ではない Q『制度が理念か』 1 民主主義とは国の制度    or 2 民主主義とは理念 ・民主主義に絶対的に必要なもの 『公開による透明性』がある 政治 『参加を通じての当事者意識』を持つ 『判断に伴う責任』を果たす 民主主義の歴史を古代ギリシアから現代に至るまで分析。 民主主義を巡る諸問題とその解決の方向性を示す。 『民主主義とは何なのか、本当は誰も正確にはわかっていない。だから同時に問い続けなければならない』ー帯よりー

Posted byブクログ

2021/08/30

ギリシャ、ローマから現在までの民主主義の歴史についての教科書。 とってもわかりやすい説明。また、深く知りたい場合の文献の手懸かりも随所に。とてもおすすめ

Posted byブクログ

2021/08/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

粛々と民主主義の歴史を振り返り、その時々の識者がどのような見解を持っていたかを書き連ねていくような本です。現代の民主主義の危機に触れたあと、古代ギリシャで民主主義が「誕生」し、ヨーロッパへ「継承」され、自由主義との「結合」を経て、民主主義が「実現」するまでという流れ、そして日本の民主主義についても簡単に触れています。「」がついているのは本当にそのような言葉で括れるかどうかは曖昧だからという理由です。結びはほぼ要約のような内容になっているので、そこだけ読めば言いたいことがだいたいわかります。コロナ危機のことについても少し触れてあります。こうした危機的状況ではトップダウンの独裁的なシステムの方が良いとされがちですが、長い目で見ればそうではないということが書かれてあります。 この本では、民主主義を「参加と責任のシステム」として捉えています。広く市民に開かれ議論をつくし、政府の責任を追及するシステムとして重要であるということです。一方、民主主義は時代ごとに結構批判されてきたというところがあることも丁寧に書かれています。例えば、ギリシアのプラトンやアリストテレスは多数決に否定的ですし、自由主義と民主主義は本来相性が悪い部分もあったりします(民意によって個人の自由が制限されるため)。戦後はナチスへの反動がありました。しかし、それでも民主主義は生き残ってきたわけは、その時代にあわせて適切な民主主義のあり方が検討され批判にさらされ変化してきたということではないか。こうした批判を乗り越えて民主主義とは何かを常に問い続けてきたことが、生き残りにつながっているのではないか。 中央集権的、トップダウン的なあり方を多くの人が求めてしまうところを、どう打ち破っていくか。それこそ、参加の機会を作るということが重要だと感じました。

Posted byブクログ

2021/12/05

 古代ギリシアから民主主義の歴史を辿る。古代ギリシア時代に理想を見るのでなく、今もまだ民主主義は進歩の過程にある。ただ、今知られている中では、たぶん民主主義が最も優れた制度、あるいは精神であって、従って我々は民主主義を鍛えていくしかない。 「第一に「公開による透明性」です。古代...

 古代ギリシアから民主主義の歴史を辿る。古代ギリシア時代に理想を見るのでなく、今もまだ民主主義は進歩の過程にある。ただ、今知られている中では、たぶん民主主義が最も優れた制度、あるいは精神であって、従って我々は民主主義を鍛えていくしかない。 「第一に「公開による透明性」です。古代ギリシアで成立した「政治」とは、公共の議論を通じて意思決定を行うことへのしんねんでした。力による強制でもなければ、利益による誘導でもなく、あくまで言葉を通じて説得し、納得した上で決定に従いたい。これこそが、自由な人間にとって何よりも大切であるという理念を、現代に生きる私たちもまた共にしています。そのためにも、情報の公開やオープンデータはもちろん、政策決定過程をより透明度の高いものにしていく必要があります。」 こんなことを書く学者だから、日本学術会議への任命を拒否されるのでしょうか?

Posted byブクログ