民主主義とは何か の商品レビュー
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読了。学術会議任命拒否の話題でさらに有名になっった感のある著者。 これを読むと、なるほど政権側からすると任命拒否したくなるかもしれないなと(良い意味で)思わせてくれる。とはいえ、民主主義は現代のように希望を持って語られるだけではなく、忌避されたり嘲笑の対象にもなっていた。そのあたりの経過は、そうした経緯を知らない人にとっては目から鱗の面白い話だと思う。 トクヴィルやらシュミットやら丸山眞男やらロザンヴァロンやら、とにかくいろんな人がいろんな民主主義を語っている。統一された定義や理解なんて存在しない。それでも民主主義という言葉に希望を持って、それを実現しようとしてこれまで無数の議論が交わされてきた。その一端を知ることができる一冊。入門書としても、より理解を深めるための一冊としても◎。 そして、著者がなぜ学術会議の件で任命拒否されたのか、そんなことを考えながら読むと一層勉強になる一冊であることは間違いなし。 「個人が経済的・政治的に隷属した状態では、どれだけ公共的議論による政治が存在しても不十分です。人々が実質的に議論に参加できる状態をつくり出す必要があるからです。人々の経済的・社会的解放なくして民主主義はありえないのです」(位置No.577)
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私は頭が悪いもので、言い回しが回りくどく感じてよくわからなかったです。 民主主義の成り立ちを説明なさってるのはわかるんですが… 民主主義とは「制度」か「理念」なのかそれとも国民による「選挙」そのものか、ということは考えさせられます。
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そもそも政治にあまり興味がなかったが、あんまり政治に興味がなくてもいけないだろうと思ってこの本を読んでみた。民主主義とは何か、というタイトルから、民主主義というものについてざっくり何かが掴めるかと思ったが、この本を読んでわかったことは「難しい」ということであって、前以上に掴めなく...
そもそも政治にあまり興味がなかったが、あんまり政治に興味がなくてもいけないだろうと思ってこの本を読んでみた。民主主義とは何か、というタイトルから、民主主義というものについてざっくり何かが掴めるかと思ったが、この本を読んでわかったことは「難しい」ということであって、前以上に掴めなくなった。この本によってある意味自分が、ただのイメージだけで民主主義というものに満足し、あまり言葉について具体を考えなかったことを理解させられたところがある。 この本は、民主主義というものの在り方―そもそもそれが何を指しているのかについて、時代と、国、人に照らし合わせながら追っていくものである。同時に、哲学書でもある。各時代の哲学者等を取り上げて、主張した考えをざっくり知ることができる。自分は最初「時代と変遷を追う」というイメージばかりで本を読んだので、哲学の話(大抵今の流れをぶんぶん振ってしまう)のところでちょっと引っかかりうまく前に進めない&流れをつかめない、という気持ちがあったが、哲学書であると思うとストンと落ちて読めるようになった。単に流れを、特に主流を追うものというよりは、様々な考えに触れながら民主主義を考えていくものだと捉えたほうが読みやすいかと思う。
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前半のギリシアから西洋までの接続は面白く読めた。後半は少し駆け足な感じがして,記述も不十分に感じた。新書なので仕方ない気もするが
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「民主主義について過不足ない本を書いてみたい」という著者の思いが見事に実現した良書です。既に、2021年度の石橋湛山賞を受賞し、書評等でも高評価になっていますが首肯できる内容です(この一冊で、大学のテキストにもなるくらいコンパクトかつ親切なつくり)。政治思想史とも言え、古代ギリ...
「民主主義について過不足ない本を書いてみたい」という著者の思いが見事に実現した良書です。既に、2021年度の石橋湛山賞を受賞し、書評等でも高評価になっていますが首肯できる内容です(この一冊で、大学のテキストにもなるくらいコンパクトかつ親切なつくり)。政治思想史とも言え、古代ギリシャから現代までの考えを紹介の上、日本の民主主義について考察します。「結び」の20ページほどで著者の考えを述べていますが、相対する考え方を両論併記しつつも中庸の考えを展開しており、著者のバランス感覚が垣間見れます。 民主主義とか日々の生活からは縁遠い印象を受けますが、この本が多くの人に読まれ、その上で政治論議が活発になることを期待したくなる1冊です。
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政治体制を知り尽くしている宇野先生が、これまで人類が採ってきた民主主義を平易に、すべからく解説した本です。 圧倒的な情報量なので全てを消化できた訳じゃないけれど、読みやすかったです。
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民主主義に疑問を感じ、そして学校現場でもっと民主主義を教えないとと思って読み始めた。古代から民主主義というのはあるけれど、その本質が理解されないまま今日まで様々形を変えて続いているのかもと思った。ただ、まだまだ理解しきれていない部分が多々あるので、もう一度しっかり読みたいと思う。
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この本では、民主主義を古代ギリシアから紐解いて考えることができる。民主主義とはなにかを改めて考えさせられる本である。
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民主主義とは参加と責任によるシステム。 審査や会計報告、弾劾などの要素が欠かせない。 そこに併せて、「納得」すること/させることが重要。 本来、政党とは政治的意見を同じくする政治家が政権獲得を目指して結集したものであり、社会に存在する多様な意見や利害を議会で代表させる重要な媒介であった。 民主主義の中核は、国民主権であるなら議会であるはず。 しかし、今日では民主主義の大統領化と言われるように、行政国家の下、行政の部分が力を持つ。 自由主義者は自由を何よりも優先されるべき価値観とするため、時に民主主義の抑制もありうる点で、民主主義と自由主義は連なるものではなく、時に矛盾し、少なくとも一定の緊張関係にある。 J・S・ミルが説く言論の自由が擁護されるべき理由は、権力によって抑圧される意見こそ心理である可能性を捨てきれず、批判されないということは意見の硬直化を生むから。 民主主義は欠点も批判もあるが、やはり現状のベターである。 そこに多くの人が参加し、当事者意識を持たせることが重要だ。
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子どもの頃、東西冷戦の時代背景もあったからか、「民主主義」=自由主義=資本主義が正しいとすりこまれたような気がする。大人になってからなんか違うと思っていた。本書を読んで、やっぱり何か違っていたと感じた。 次は、ハンナ・アレントあたりをかじってみようかな。
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