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ママナラナイ の商品レビュー

3.3

24件のお客様レビュー

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2023/12/03

さまざまな年代の、老若男女の身体に訪れる変化とそれに伴う精神的なゆらぎをテーマにした短編集。女性であるわたしには経験し得ない男性的経験の章も、自分ごとのように感じられるくらい繊細な表現には感服。しかし、特に得られるものはなし。

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2023/10/30

井上荒野2冊目。思い通りにならないママ(母)達の短編集かと勝手に思い込み、読み始めたが全然違った。それでも、どれもドラマ化されそうなお話ばかりだった。

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2023/09/06

私の母親は私以上に読書の虫で、昔は小説家になることが夢だったらしい。でもある時期に井上荒野さんの作品をいくつか読んで圧倒されて何かを悟り、その夢を手放したらしい。 初潮を迎えた小学生、突然EDになったサラリーマン、更年期障害を甘くみていた主婦、加齢による肌に揺らぎを指摘された女...

私の母親は私以上に読書の虫で、昔は小説家になることが夢だったらしい。でもある時期に井上荒野さんの作品をいくつか読んで圧倒されて何かを悟り、その夢を手放したらしい。 初潮を迎えた小学生、突然EDになったサラリーマン、更年期障害を甘くみていた主婦、加齢による肌に揺らぎを指摘された女性会社員。自分の身体に起こる防ぎようのない変化とそこからくる動揺、不安、そして受容をテーマに据えた短編集。 本を読むことの大きな目的の一つは、心を揺さぶられる体験をすること。読み終わったとき、その揺れた心の赴くまま自由に思考を巡らせ、記憶を呼び起こし、実体験を重ね合わせ、さらに深い思考の渦に沈んでいく。渦を満喫して這い上がってきたとき、自分を取り囲んでいた景色ががらっと変わったような気持ちがしたり、直前まで思い悩んでいたことがものすごく些細で取るに足らないことだったと感じられるようになったり、すぐまた新しい本を借りに行きたい気分を覚えたりしたら、私にとってその読書体験が大成功を収めたいうことになる。 今までの経験上、短編集でその体験をすることは難しい。登場人物の性格を熟知して感情移入したり、物語が書かれるに至った大元のテーマを推測したりといった、一つ一つのストーリーへ没頭するのに不可欠なプロセスを経る前に、たいていの物語は終わってしまう。短い移動時間や病院の待ち時間にパッと読めてよかった、くらいの感想で終わってしまう場合もよくある。 井上荒野さんの短編は、しかし、一つ一つの物語の完成度が圧倒的。こんな短い分量なのに、登場人物たちの性格は際立ち、彼らの逡巡と決断は読者の共感をさらい、切り抜かれた「現在」以外の彼らの人生に読者はひっそりと思いを馳せる。自分にもそんなことあったなぁ。きっと明日は我が身だなぁ。アホだなぁ、でもわかるなぁ。老若男女、多種多様な人々の生活を絶妙なタイミングと枠組みで切り取って、根気強くフォーカスして、腰を据えて細部まで丁寧に掬いあげて、起承転結をしっかりつけて、一つの物語に仕上げる。自分にはできない。だから井上荒野さんの短編には心が動く。

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2023/02/16

「ダイヤモンドウォーター」「檻」「静かな場所」「毛布」「ママナラナイ」 「十七年」「あの娘の名前」「顔」「約束」「おめでとう」 10話収録の短編集。 老若男女のままならない事象を切り取った本作は終始不穏な空気が満ちている。 普段、心の奥深くに隠している様々な感情が、ふとした瞬...

「ダイヤモンドウォーター」「檻」「静かな場所」「毛布」「ママナラナイ」 「十七年」「あの娘の名前」「顔」「約束」「おめでとう」 10話収録の短編集。 老若男女のままならない事象を切り取った本作は終始不穏な空気が満ちている。 普段、心の奥深くに隠している様々な感情が、ふとした瞬間に出現した瞬間のリアリティを感じる。 10話は其々が独立した短編で何の関連性もないが、全体から立ち上る性の匂いが生々しさを伴い、それが人間くささを醸し出している。 奇妙で不気味で爽快で、やっぱり不穏。 歪でザラリとしたママナラナイ物語を堪能した。

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2022/06/30

読んでいてどんよりしてくる話ばかり。救われる話はない。 きっちりした終わりになっていない話が多い印象の短編集。

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2022/06/05

なんてことない、どこにでもありそうな日常を切りとった短編集。 思春期の身体の成長に戸惑う少女の話、年をとり肺の具合が気になる男の話、アパレルショップで働く女の常連客がどうやら彼氏の浮気相手だという話、過去に公園でスケッチした少年が事件にまきこまれ、そのスケッチをどうしようか悩む...

なんてことない、どこにでもありそうな日常を切りとった短編集。 思春期の身体の成長に戸惑う少女の話、年をとり肺の具合が気になる男の話、アパレルショップで働く女の常連客がどうやら彼氏の浮気相手だという話、過去に公園でスケッチした少年が事件にまきこまれ、そのスケッチをどうしようか悩む元美術教師の老女の話、地上げに苦戦する不動産会社勤務の男の話、愛猫を亡くしたことをきっかけに認知症を発症した妻に戸惑う男の話、大学入学を機に東京へ出ていく息子の成長を見守る母親の話、今まで気にもしていなかった自分の顔の老化が気になって仕方ない売れない作家の女の話、不良中学生が一念発起し生徒会長に立候補する話、初めての我が子の誕生を目前に人を殺そうと目論む男の話の10話。 どれも「大きな事件!」というより、どこにでも転がっていそうな日常の話。こういうの、私は好き。

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2022/02/27

短編の中に男性が主人公のものがいくつかあって、その部分がちょっといただけない気がした。まあ、そうなんだろうけど、わざわざそんな奴のことなんか書かなくてもいい気がする。出版社側の意向なのかな?

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2022/01/25
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※このレビューにはネタバレを含みます

10のママナラナイ短編。 初潮が来たというのに母は父に依存してお酒に逃げているし、嘘ばかりついているから友達にも相手にされないひとりぼっちの気持ち。 妻子を捨てて一緒になった妻との生活に垣間見た数分程度の逃亡。 秘密の社内恋愛で知ることになった自身の猫アレルギーと、彼が自分の顧客に手を出していたことを知り、決めた別れ。 公園で子供たちのスケッチをして過ごしていたマリエおばあさんが知った事件で犠牲になった少年のことを思う日々と、知らず知らず遠くなっていた耳。 立退に応じてくれない家の夫婦に苦戦する不動産屋。 立退に協力的に見えた妻の方だったが、実は話をこじらせていたのは彼女だったという事実と残した言葉。 愛猫が亡くなってから様子がおかしくなっていく妻の言動。 上京する息子を車で送ることになった更年期に悩む母と、息子の彼女のあの娘のこと。 編集者に相手にされない小説を書く日々と、厚化粧と自分の年齢の現実と同居する男にも他の相手がいる事実を知って。 不良であることに周囲の態度に諦めと怒りを感じていた男子中学生が、生徒会長に立候補し、最初はよこしまな理由だったのが学校や教師の不正を正すために胸を熱くしたこと。 出会い系で知り合った若い娘を殺すつもりで会っていたのに、妻の産気の連絡でその娘と見知らぬ母親に祝福される瞬間。 ママナラナイ、立ち退きこじらせてた妻、薄気味悪いなあ。

Posted byブクログ

2021/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

*「ママナラナイわね、お互いに」斉藤尚弥は不動産会社に勤務する三十六歳。近頃、何もかもうまくいかない。男性器も心も折れてしまい、おまけに仕事も絶不調―通称“川の家”と呼ばれる高台にある家に住む、夫婦への立ち退き交渉が難航していたのだ。交渉を続けるうちに、やがて思いもよらない事実が判明し―(表題作)。この世に生を享け、大人になり、やがて老いるまで―ままならぬ心と体を描いた美しくも不穏な、極上の10の物語* 自分の中に在る、どろりとした何か。 まるで無かったかのように、気が付かないふりをして、慎重に過ごしていたはずなのに。 たった一滴の雨粒で溢れ出し、決壊する世界。 そんな危うい、不穏さに満ち満ちた短編集です。 とは言え、そこは井上作品、滑稽で哀しくて出口も見えないのに、どことなく品良くスマートな佇まい。 所詮、最後は己でしか解決できないってことなんだな・・・と達観させられる読後感も良し。そう、世界は、ママナ・ラナイものなのです。

Posted byブクログ

2021/08/29

まず自分がママナラナイ 自分は何をしたいのか 自分の本音は何か 今までの自分を否定すれば進めるのか 肯定すれば許されるのか ひそかに誰にも知られずもがく 苦しくて苦い短編集

Posted byブクログ