ママナラナイ の商品レビュー

井上荒野(著者)

2020/12/05

“ままならない”状況に陥った人の姿を描いた短編集。10編の短編が収録されているが、年齢・性別・職業と何一つ共通点がない。それだけ人には“ままならない”ことが多いのだろうか。井上さんの短編は初めて読んだが、さすがの一言。50も半ばを過ぎて、頭も体もままならなくなってきたぼくには痛い話が多かった。

2020/11/28

10代から70代まで幅広い男女を主人公に、ままならない身体と心をテーマに描く10篇の短編。

短編なのになかなか深くて、ちょっとした表現や言葉に荒野さんらしい味がある。どこか不穏な空気が漂う物語を書かせたら最高に面白い荒野さんだけど、「約束」はちょっと異色の爽やかさで、話を膨らませて映画になったところを見てみたいような気にさせてくれて、個人的には好きな作品。

荒野さんの作品は癖のあるものが多いけど、この作品はわりと誰にでも楽しめるもののような気がします。

2020/11/20

どの短編も面白くて、なかなかホイホイ読み進めることができなかった。短いのにあとにひく。次の話読もうと思えず余韻に浸る。全部、なかなかいやな感じなんだよね、気味がわるいんだけど、すき。

2020/11/14

ままならない心と身体を持て余す短編集。どれも荒野さんらしい筆致で追い詰められていく人の心の動きをサラッと描いている。「檻」と「顔」が好き。