夜がどれほど暗くても の商品レビュー
現在の社会を象徴しているような小説。 情報化社会の便利さに隠れた負の部分を、とても表現していたと思う。前日まで、自分の正義を、振りかざしていた普通の人たちが、何か一つでも踏み外すと、瞬く間に糾弾される立場になるということ。一瞬に情報は広がり、もちろん殺人など重罪は論外だけど、会っ...
現在の社会を象徴しているような小説。 情報化社会の便利さに隠れた負の部分を、とても表現していたと思う。前日まで、自分の正義を、振りかざしていた普通の人たちが、何か一つでも踏み外すと、瞬く間に糾弾される立場になるということ。一瞬に情報は広がり、もちろん殺人など重罪は論外だけど、会ったこともない顔も知らない数えきれない人たちからの非難で、命の危険さえも感じられる状況、本当に怖い。 ある日突然、大学生の息子が、ストーカー殺人を犯して自らも自殺した疑いがあると、警察が家へ訪ねて来た。そしてその直後から加害者家族という立場になり、出版社の週刊誌の副編集長であった志賀倫成は、逆に取材される立場となり、生活が一変した。加害者家族であるとはいえ、息子を失なってしまった悲しみに浸ること、反論さえも許されない、不特定多数の人たちから糾弾される立場になってしまったのだ。もちろん被害者家族に至っての苦しみはそれ以上の想像できないほどのものだろうが。 最初こそ、色々な周囲の人からの感情に飲み込まれ、自分を見失いかけていた志賀は、やがてその状況に甘んじるだけでなく、あまり面と向かってこなかった息子が本当に殺人を犯したのか、息子の本当の姿を知りたいと 独自に行動していく。 途中までの内容はとても辛かったけれど、結末まで読んで、良かったとホッとした。これは小説だしと言ってしまえば、それまでだけど、やはり、生身の人間どうし、ぶつかり合うことはしんどいけれども、血の通った付き合い方が大事なのだと思う。
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ひたすらしんどい展開が、物語の3分の2程度まで続くので結構辛かった。 息子がストーカー殺人を犯し自殺したことで加害者遺族となった志賀。 彼を襲う第三者からの誹謗中傷や被害者遺族である奈々美に降り掛かる悪意には辟易した。 100%フィクションじゃないから余計に嫌になるよね。 ホント...
ひたすらしんどい展開が、物語の3分の2程度まで続くので結構辛かった。 息子がストーカー殺人を犯し自殺したことで加害者遺族となった志賀。 彼を襲う第三者からの誹謗中傷や被害者遺族である奈々美に降り掛かる悪意には辟易した。 100%フィクションじゃないから余計に嫌になるよね。 ホントこれどうやって終結させるんだろう…と悶々しながら読んでいた。 まあ、タイトル的に何か希望があるに違いないとは思っていたけれども。 それでも苦しい話だったな。
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この作品はシリーズ化はされていないけど、ドラマ化はされてるみたいですね〜帯に、上川隆也さんが主演だとあって…上川さん、結構好きな俳優さんなんです♪ このお話の主人公は大手出版社春潮社で、取材対象のスキャンダルを暴くことをモットーに「週刊春潮」の副編集長まで上り詰めた志賀倫成...
この作品はシリーズ化はされていないけど、ドラマ化はされてるみたいですね〜帯に、上川隆也さんが主演だとあって…上川さん、結構好きな俳優さんなんです♪ このお話の主人公は大手出版社春潮社で、取材対象のスキャンダルを暴くことをモットーに「週刊春潮」の副編集長まで上り詰めた志賀倫成。元編集者で妻の鞠子と、親元を離れ大学生活を送る健輔との家庭も何ら不満もなかった。そんな中、健輔がストーカー殺人を犯した上で自殺したという容疑をかけられ、健輔の犯行が明らかであると判明する…。仕事は左遷され、鞠子とも衝突が絶えず、また加害者の親として自らが取材対象となったことで追い詰められる志賀倫成だったが、被害者遺族である中学生の奈々美のおかれている現状を知ることになり…。 一気読みしました!でもでも、少々こんなに上手くいくものなのか??とも思ったりもしました(性格歪んでますよね^^;)。もしも…息子が健輔のような犯罪を犯したなら、今の仕事は続けられないだろうし、被害者遺族のことまで考えられるかなぁ…とか思うと…う〜ん…となりますし、こんなに中学生は残酷なのか??とも感じたりしました。色々と考えなければ、その後の展開が気になって夢中になって読めたし、まぁ、ヨシ!!かな!ということで、評価は優しくつけて☆4としました。あと、宮藤刑事と葛城刑事が登場したのがよかったです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とても良かった… 出版社で働く主人公が 普段、特ダネを求めて走り回る人が 息子の事件をきっかけにまさか、追われる側に なろうとは…なかなか考えつかない設定で 面白いのに、さらに被害者 被疑者の会で 息子が殺した犯人の娘と鉢合わせ。 展開的には、これ以上の不幸がありますか? ってくらい志賀さんの元に次から次に… 刑事さん達も、味方かな?敵かな?と 思わせておいて最後に、お前たち…最高。と 思ってしまう展開。そして本当の犯人が まさか…私は意外すぎて真面目な学生だと 思っていた私の心を切り裂いた。笑 なにより、私はこの物語終わり方が ハッピーエンドで好き。 志賀さんと息子さんの話に加えて 菜々美ちゃんと志賀さんの気持ちの変化 新たな親子愛が見れて満足でした。
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ミステリーに最近ハマってしまった。 主人公は大手出版社の副編集長だったが、息子がストーカー殺人容疑、そして自殺したと疑いがかかり人生が一変する。スキャンダルを追う立場から追われる立場になる。その中で仕事、生活を見つめ直す姿は「炎上ではない俺」の主人公でも見た。自分の正義は他人にと...
ミステリーに最近ハマってしまった。 主人公は大手出版社の副編集長だったが、息子がストーカー殺人容疑、そして自殺したと疑いがかかり人生が一変する。スキャンダルを追う立場から追われる立場になる。その中で仕事、生活を見つめ直す姿は「炎上ではない俺」の主人公でも見た。自分の正義は他人にとっては正義ではないことを感じさせれてくれる。 加害者の親と被害者の娘が次第に距離を縮めていく展開は綺麗事な展開か?とも思ったが、両者の心の有り様を細かく描写されていて圧巻。 回収が怒涛で、めちゃくちゃすっきりというわけではないが、息子が亡くなったことには変わりはない。悲しいが、家出した妻ともやり直せるだろうし、諦めない姿勢がかっこいい。
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さすがに中山作品だけあって、読者をひっぱる力、ページを閉じさせない力は強い。主人公(加害者の父)と被害者遺族の関係については、物語だから当然かもしれないが、ちょっと出来過ぎの感もある。犯罪の関係者は被害者加害者問わず中傷して良いという社会現象は本当に醜い。この描写もある程度事実ら...
さすがに中山作品だけあって、読者をひっぱる力、ページを閉じさせない力は強い。主人公(加害者の父)と被害者遺族の関係については、物語だから当然かもしれないが、ちょっと出来過ぎの感もある。犯罪の関係者は被害者加害者問わず中傷して良いという社会現象は本当に醜い。この描写もある程度事実らしいので恐怖だ。下世話な仕事をしていると自覚のある主人公のヒーローっぷりもおもしろくて、共感できる人もいるだろう。主人公と少女の関係性がこの物語の主軸なので、ラストのどたばた種明かしは読みなれてるし、まあ納得。
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春潮社の花形雑誌の副編集長の志賀は 家庭をかえりみず、仕事第一、他人にもそれを押し付けがちな高圧的な仕事人間。そんな志賀の息子が 自分の通う大学講師をストーカーし、その夫婦を殺害、自殺するという事件を起こす。仕事は左遷、ネットにさらされ、妻は家を出、会社にも抗議電話が鳴り響き、体...
春潮社の花形雑誌の副編集長の志賀は 家庭をかえりみず、仕事第一、他人にもそれを押し付けがちな高圧的な仕事人間。そんな志賀の息子が 自分の通う大学講師をストーカーし、その夫婦を殺害、自殺するという事件を起こす。仕事は左遷、ネットにさらされ、妻は家を出、会社にも抗議電話が鳴り響き、体も心もズタズタにされていく。そのなか、被害者家族である中学生の奈々美に出会い、被害者家族であるにもかかわらず、いじめや誹謗中傷にひとりさらされている事実を知り、体をはって護ろうと動き出す。その後、ストーカー殺人事件は、思わぬ展開を見せ、真犯人が現れて…と続く。志賀や奈々美の加害者、被害者家族の葛藤や気持ちの変化、社会の冷たさはよくわかるが、犯人逮捕があまりに急で「あらっ?」という思いも。3人を殺した理由も「あらっ?」それですか?火事場から奈々美を救出するくだりなど、なかなか はらはらしたのにね。
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大手出版社の春潮社「週刊春潮」 副編集長の志賀 ある日、彼の大学生の息子が大学の講師と夫を 殺害後に自殺する 講師夫妻には中学生の1人娘の奈々美と志賀は出会う 悪を叩き、暴き、世間に問う側から 叩かれる側になり 職場、家族、世間から居場所をなくしていく志賀が痛々しい 加害者家族...
大手出版社の春潮社「週刊春潮」 副編集長の志賀 ある日、彼の大学生の息子が大学の講師と夫を 殺害後に自殺する 講師夫妻には中学生の1人娘の奈々美と志賀は出会う 悪を叩き、暴き、世間に問う側から 叩かれる側になり 職場、家族、世間から居場所をなくしていく志賀が痛々しい 加害者家族と被害者遺族が分かりあうことは 現実ではとても考えられない 非現実的ではあるけれど引き込まれる小説 面白かった
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七里先生の作品好きなんですが、解説にもあるように閉店が速すぎて(あえて早ではなく速)ものたりないときがある これもその一つ
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有名な出版社で記者として奮闘していた志賀。 突如息子が殺人事件の容疑者として死亡。 加害者の親となった志賀の生活は一変し、妻との別居、被害者の娘との出会い等数々の困難が降りかかる。 読み物としても面白く、志賀のキャラクターも憎めない。読み応えある一冊。
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