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イノセンス の商品レビュー

3.7

33件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2021/02/07

いつ犯罪に巻き込まれるか、平和な日常が一瞬にして奪われる危険と隣り合わせの中で生きています。小説の中の話と笑えない恐さがあります。

Posted byブクログ

2021/01/18

自分にとって、大切な人がトラブルに巻き込まれ、理不尽な形で亡くなってしまったとき、きっと、多くの人がその命を奪った相手に対して"憎しみ"を抱くと思う。 だが、もし、憎みに憎んできた相手が、自分と同じくらい"苦しみ"を背負って生きているとし...

自分にとって、大切な人がトラブルに巻き込まれ、理不尽な形で亡くなってしまったとき、きっと、多くの人がその命を奪った相手に対して"憎しみ"を抱くと思う。 だが、もし、憎みに憎んできた相手が、自分と同じくらい"苦しみ"を背負って生きているとしたら、果たして、それまで抱え込んできた"憎しみ"はどうなるのだろう・・・。 誰かを殺すということは、相手の命を奪うだけではなく、その人を大切に想っている、周りの人の心を殺してしまうことでもあるのかもしれない。 そして、心を殺されてしまった人は、強い。守りたいと思う者がいなくなって、空っぽになってしまった人は、だからこそ、強い。 憎しみの連鎖がどんな風に始まるのか、憎しみは、人をどんな風に突き動かすのか、考えさせられた。 誰かを憎んだり、誰かに憎まれたり、そんな悲しい連鎖が、今もどこかで起きているんだろうなと思うと、なんだか、やるせなくて、とても切なくなった。

Posted byブクログ

2021/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

確かに主人公は罪を犯していない。自分の弱さから2人を見殺しにしたという罪悪感。しかし彼は生きている間、常にそれと対峙しないといけない。その苦悩を鮮明に綴った作品だった。主人公はそれにどう対峙すればよいのか?一方、故人の家族や恋人は主人公を恨み続けている。それを知ってしまったら、自分は幸せにならなければ良いのか?自死すればいいのか?故人のために祈り続ければよいのか?答えは「ない」あるいは「自分では決められない」ということなのか。主人公が最後に描いた表紙絵、彼の苦悩と赦してほしいという意思が見えた気がした。

Posted byブクログ

2020/12/12

少年が14歳の時にカツアゲにあい危ない目にあった その時助けてくれた青年は残念ながら死亡した。 そのことにより少年の運命も他の人の運命も狂っていく 一体何がよかったのだろうか

Posted byブクログ

2020/12/07

読んでいる間中もやもやした気分で、読後はなんとも言えない気持ち悪さが残った。もやもやは主人公の少年(青年)の行動や考え方に対して、気持ち悪さは後半の種明かしに対して。ミスリードされているのはわかっていたが、予想のさらに上をいっていてこの展開は読めなかった。登場人物の誰もが心に傷を...

読んでいる間中もやもやした気分で、読後はなんとも言えない気持ち悪さが残った。もやもやは主人公の少年(青年)の行動や考え方に対して、気持ち悪さは後半の種明かしに対して。ミスリードされているのはわかっていたが、予想のさらに上をいっていてこの展開は読めなかった。登場人物の誰もが心に傷を負っていて、人の痛みがわかるはずなのにやさしさが足りない、悲しい小説だった。

Posted byブクログ

2020/12/05

デビュー作『ジャッジメント』で度肝を抜かれた小林由香氏の最新作『イノセンス』。 本作も非常に考えさせられるものがあった。 あらすじであるが、 不良3人からカツアゲされていた中学生がある若者に助けられた。しかし、その若者は不良にナイフで刺されてしまった。その場でその中学生が助...

デビュー作『ジャッジメント』で度肝を抜かれた小林由香氏の最新作『イノセンス』。 本作も非常に考えさせられるものがあった。 あらすじであるが、 不良3人からカツアゲされていた中学生がある若者に助けられた。しかし、その若者は不良にナイフで刺されてしまった。その場でその中学生が助けを呼べばその若者の命は助かった可能性が高かったが、中学生は何もせずにその場から逃げ出してしまう。このことが後で世間から問題となった。この逃げた中学生は、犯人以上に社会からバッシングを受け、住所、名前を特定され、ネットで炎上した。この中学生は社会から逃げるように日々を生き、現在身をひそめるようにこっそりと大学生となって暮らしている。そこへまたある出来事が降りかかってくる。 という感じである。 デビュー作の『ジャッジメント』でもそうであるが、小林由香先生のテーマは『罪と罰』であろうと思う。言い換えるなら『憎悪と赦し』であるだろうか。 どんな人間でも『過ち』を犯す。それを『赦す』ことができるのもまた人間だけであろう。 外国の文学であれば、ここに『神の赦し』というテーマが入ってくるのであろうが、日本では『神の赦し』をテーマにするとちょっとおかしな方向に行ってしまう可能性もあるのであえてそこには触れていない。 やはりこの部分が日本と西洋の大きな違いなのだろな。ドストエフスキーの『罪と罰』を引き合いを出すまでもなく、人間を赦せるのは西洋では『神』であり、日本では『人』ということなのだろう。 このテーマを論じ始めるとレビューが終わらなくなるので、このあたりでやめたいが、非常に興味深いテーマであることは間違いない 本書も、人のあるべき姿を映した良作である。 おすすめである。

Posted byブクログ

2020/11/02

本作は主人公の言葉に共感するものが多かった。 「夢は、普通に生活して、普通に会社員になって、生きて・・・普通に死にたい」 「愚かで、卑屈で、自分本位で、自己愛が強くて、自意識過剰で、それなのにとても弱くて・・・生きているのがとても苦しそうで・・・」 「人生がうまく回り始めると心...

本作は主人公の言葉に共感するものが多かった。 「夢は、普通に生活して、普通に会社員になって、生きて・・・普通に死にたい」 「愚かで、卑屈で、自分本位で、自己愛が強くて、自意識過剰で、それなのにとても弱くて・・・生きているのがとても苦しそうで・・・」 「人生がうまく回り始めると心は強い不安に駆られる。」

Posted byブクログ

2020/10/31

14歳の時3人の男に恐喝され、助けようとして刺された青年を見捨てて逃げた星吾。過去の罪に怯え、SNSでの誹謗中傷に耐えながら孤独に生き、大学生となった星吾の人生に絡み合う人々。誰も皆、幸せになってほしい。

Posted byブクログ

2020/10/28

大学生の星吾は、中学生時代に不良に絡まれ、自分を助けようとして身代わりに刺された青年を見捨てて逃げたという過去を持つ。少年は死亡し、彼は誹謗中傷を浴びながら後悔の日々を過ごす。私達がこの物語を読んで考えることができるのは、自分がその中にいないからだ。関係者の立場だったとき、冷静に...

大学生の星吾は、中学生時代に不良に絡まれ、自分を助けようとして身代わりに刺された青年を見捨てて逃げたという過去を持つ。少年は死亡し、彼は誹謗中傷を浴びながら後悔の日々を過ごす。私達がこの物語を読んで考えることができるのは、自分がその中にいないからだ。関係者の立場だったとき、冷静に考えられる人などいないだろう。ただ普通に生きることすら難しくなるのは当たり前だ。この世に罪のない人間なんていない。どうやって人はそれに折り合いをつけていけばいいのだろう…。答えは簡単には出ない。物語の後味の良いことが救いだった。

Posted byブクログ

2020/10/27

登場人物が皆、やるせないほど痛々しい。だがグイグイ読んでしまう。星吾が14歳の時に、カツアゲから守ってくれた大学生が目の前で刺殺された。すぐに救急車を呼べば助かったのに星吾は逃げた。そのことが報道され、嫌がらせや誹謗中傷を受け人間不信になってしまう。大学生になり友人や好きな人がで...

登場人物が皆、やるせないほど痛々しい。だがグイグイ読んでしまう。星吾が14歳の時に、カツアゲから守ってくれた大学生が目の前で刺殺された。すぐに救急車を呼べば助かったのに星吾は逃げた。そのことが報道され、嫌がらせや誹謗中傷を受け人間不信になってしまう。大学生になり友人や好きな人ができても心は翳る。薄い本だが結構考えさせられた。生きていれば皆心に何かしらの罪悪感や傷を抱えているもの。どう反省しどう折り合いをつけていくか。物語としては後半残り僅かのページから怒涛の畳み掛け。目まぐるしかったが面白かった。

Posted byブクログ