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日没 の商品レビュー

3.8

180件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2026/03/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

図書館にて。 怖すぎる。 今の日本の現実から先に透けて見えるようだ。 桐野夏生をして「書かなくてはならない仕事」と言わしめる小説。 小説家が軟禁され自由を奪われ酷い目に遭い、身体や命の危機に晒されるだけでも十分怖い。 それより一番怖かったのは、正当に評価されての蹂躙じゃない(変な日本語だが)、ただただ理不尽に痛めつけられるために幽閉されていること。 国としての事業のようだが軟禁している側に知性は感じられず、思惑通りのものを書かせたい目的があるはずなのにその文章を見極める目を持つ人が読んでいるとは思えない。 小説家という有名人を支配下に置き、理不尽な命令をして肉体的にも精神的にも痛めつけ、屈服させるのが目的になっているようで、まさに地獄であった。 これが言論の自由を奪われた先の未来に、それに抗った人に起きることなのだろうか? 近い未来にありそうで怖い。 人間は簡単に残酷になれる生き物だということは残念ながらわかっているので… ラストのあれはどういうこと? 助けるふりして飛び降りさせたということ? 自殺をさせたいというくたりがあったけれど、監禁していたのを救い出して一度希望を見せておいて、結局は崖に向かわせる意味がちょっとよくわからなかった。 誰か教えて欲しい。

Posted byブクログ

2026/03/10

表現の自由を制限され、更生施設に収容された作家を描いたディストピア小説。 誰も信用できない、人権もない、ルールすら相手次第で曲げられる状況に追い込まれていくマッツが、最後にどんな決断を下すのか気になってページをめくる手が止まらなかった。 「性差別、人種差別を規制する」と言うと...

表現の自由を制限され、更生施設に収容された作家を描いたディストピア小説。 誰も信用できない、人権もない、ルールすら相手次第で曲げられる状況に追い込まれていくマッツが、最後にどんな決断を下すのか気になってページをめくる手が止まらなかった。 「性差別、人種差別を規制する」と言うと聞こえはいいけれど、世の中に確かに存在しているものを表現する自由が奪われることが正しいとは私には思えない。 時代や場所によって異なっていても世の中には「正しい価値観」というものが確かに存在している。 その価値観から大きく逸脱してしまった場合、更生施設に軟禁されたマッツのように息苦しく、「死んだほうがマシだ」と思うような状況になるのだろうか。 この作品はフィクションだけれど、”世の中のため”であったり”正義”という大義を名目として人権が侵害される状況は現実にも起こっている。 良い意味で重い、後味が悪すぎる作品だった。

Posted byブクログ

2026/02/17

危険思想を持つと提訴され出頭したマッツさんが療養所と称した監獄めいた施設に収容されてしまう、お話。 国による思想統制、ヘイトスピーチや反社、何をもって良い思想か悪い思想かを判別するのか、後半更に厳しい収監状態へと進み、最終的な結末を迎える。 凄まじ。 一癖も二癖もある登場人...

危険思想を持つと提訴され出頭したマッツさんが療養所と称した監獄めいた施設に収容されてしまう、お話。 国による思想統制、ヘイトスピーチや反社、何をもって良い思想か悪い思想かを判別するのか、後半更に厳しい収監状態へと進み、最終的な結末を迎える。 凄まじ。 一癖も二癖もある登場人物、療養所内での攻防、誰が味方で誰が敵であるかの疑心暗鬼、収容されるにはそれなりの理由があったりして、結末が気になって、一気読みしてしまった。

Posted byブクログ

2026/01/28

かなり序盤でオチが見えるため、作者の伝えたいメッセージをどれだけ受け取るか次第な作品。自分とは合わなかった。

Posted byブクログ

2026/01/18

どんどん読み進めてしまい、引き込まれたが、もう桐野夏生さんの本は読まないと思う。 どこかにハッピーエンドを望んでしまう自分がいるので…

Posted byブクログ

2025/10/11

重たいし暗い。 ブンリンという組織に療養という名目で収容監禁されてしまう過激なポルノ作家たち。 舐め腐って態度が大きい最初、劣悪な環境に滅入って職員に阿る中期、遺書や噂で本当に怯える後期。 救いを求めて疑心暗鬼になったり、少しで味方ヅラされたら全面の信頼を寄せたり、暗い終盤では気...

重たいし暗い。 ブンリンという組織に療養という名目で収容監禁されてしまう過激なポルノ作家たち。 舐め腐って態度が大きい最初、劣悪な環境に滅入って職員に阿る中期、遺書や噂で本当に怯える後期。 救いを求めて疑心暗鬼になったり、少しで味方ヅラされたら全面の信頼を寄せたり、暗い終盤では気が滅入った。

Posted byブクログ

2025/10/11

『日没』 桐野夏生さん  「読みたい本を読める「自由」は当たり前なのか?」 ―――――――― 【はじめに】私がこの小説を選んだ理由 時折、シリアスな小説に出会いたくなります。それは、自身の思考の幅や視野を、普段とは別の方向へ広げたいと願うからです。 私にとって小説は疑似体験の世界...

『日没』 桐野夏生さん  「読みたい本を読める「自由」は当たり前なのか?」 ―――――――― 【はじめに】私がこの小説を選んだ理由 時折、シリアスな小説に出会いたくなります。それは、自身の思考の幅や視野を、普段とは別の方向へ広げたいと願うからです。 私にとって小説は疑似体験の世界であり、ゆえにその世界は広い方が良いと考えます。現実世界から少し離れた、ヒリヒリとした緊張感のある物語に身を投じることで、日常の中に埋もれがちな大切なテーマについて深く考えたい。そう思い、本書を手に取りました。 ―――――――― 【作品の概要】命令と拘束:小説家を襲う「看過できない」宣言 主人公は、女性同士、あるいは男女間の性描写をテーマとすることが多い小説家です。もちろん、性描写は手段であり、その一つ一つの作品に確固たるテーマが存在します。 物語は、一匹の飼い猫が帰ってこない寂しい日から始まります。その日、彼女の郵便受けには「国の団体」からの封書が届き、日時を指定された特定の場所への「出頭」を命じられます。 向かった先は、裁判所のような威厳のある場所ではなく、静かで、どこか非日常的に管理された雰囲気の施設でした。 そこで待っていたのは、「あなたの小説は公序良俗に反し、国として看過できない」という一方的な宣告。彼女は、表現の自由を侵され、外部との接触を禁じられた監察下に置かれます。これは、刑務所のような隔離ではなく、自身の作品と向き合い、「小説家としての正しさ」を再教育されるような、静かな心理的拘束の始まりです。 ―――――――― 【作品のテーマ】「私は書きたいことを書く」 この『日没』が描く世界は、ヘイトスピーチを取り締まる法律の施行を機に、書籍に対する検閲が始まった架空の設定です。主人公が監察下で過ごす数週間と、そこで出会う人々との交流こそが、この物語の根底にあるテーマ、「言論の自由」へと読者を導きます。 作品の根底には、主人公の強い作家としての意志があります。彼女は作中で、こう言い放ちます。 「私は書きたいことを書く」 誰にも媚を売らず、迎合もしない。その潔癖なまでの姿勢が、私たち読者に、表現者とは何か、そして表現を守ることの重さを問いかけてくるのです。 ―――――――― 【感想と警鐘】「言論の自由」を享受する私たちへ 小説、ひいては作品は、作家一人一人の思想や思考を表層化したものだと私は信じています。この『日没』で重要なのは、作家である桐野さんが、この切実な思考を作品として、私たちに警鐘を鳴らしたことに他なりません。 この作品を単なるミステリーというよりも、現代の社会問題を取り上げた、極めて現実的なフィクションとして強く捉えています。 冒頭に書いたように、決して心が安らぐ物語ではありません。 しかし、私たちがこの「言論の自由」を享受していることを当たり前と慢心するのは、決してよろしくないのではないか、と強く感じました。 読書好きの皆さんへ。 この物語を読むことは、私たちが持つべき「自由」への意識を研ぎ澄ます、重要な体験になるはずです。 この作品を手に取り、私たちが享受する「自由」について、考えてみるのもよろしいかもしれません。

Posted byブクログ

2025/06/09

こわい〜 怖すぎて 一気読み 考え方が そもそも ちがうと 話にならない 通じない 抗っても抗っても国の圧力に敵わない 世の中が きな臭くなると こーゆーことも あるんだろうな、と

Posted byブクログ

2025/05/07

 怖い怖い怖い。なんて怖い物語なんだろう。  小説家、マッツ夢井が『文化文芸倫理向上委員会』なる政府組織から召喚状が届き、出頭先に向かうと、そこは断崖絶壁に建つ電波も届かない療養所だった。  灰色の服に着替えさせられ、満足な食事にもありつけない彼女が課された課題は社会に適応し...

 怖い怖い怖い。なんて怖い物語なんだろう。  小説家、マッツ夢井が『文化文芸倫理向上委員会』なる政府組織から召喚状が届き、出頭先に向かうと、そこは断崖絶壁に建つ電波も届かない療養所だった。  灰色の服に着替えさせられ、満足な食事にもありつけない彼女が課された課題は社会に適応した小説を書くこと。  その療養所には20人ほどの人間が収容されていて、口を聞くことすら罰の対象となる。減点1は収容生活が1週間延びること。反抗的な態度をとるマッツはいきなり減点7に。  本当にここはきちんとした政府が営む収容施設なのか。当たり前の生活を手放すことになり、怪しいスタッフたちに尊厳を奪われて最低限の生活を強いられる日々。  この生活に終わりはあるのか。一体どこに向かっていくのかと、ページを捲る手が抑えられなかった。  自分に置き換えたら、と思うときっと気が狂ってしまうんだろうなぁ。表現の自由を声高らかに叫びたい。

Posted byブクログ

2025/04/18

施設の様子や主人公の心理が詳細なので、ありえないと思いつつも、絶対無いとは言い切れないようなリアリティがある。作者の想像力に脱帽。

Posted byブクログ