スター の商品レビュー
映画やYouTubeで映像を表現する世界に生きる二人。いろんな表現方法があるなかで、自分のいる世界がいいのか、葛藤する姿がとてもよかった。そして映画だけでなく、料理やほかの世界でも同じような悩みが生まれてくるのかとても共感できました。
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作品の評価ではなく、自分に刺さらなかったということで、★2つです。気持ちだけは若くいようと思っていたのに、やっぱり歳を取ってしまったようです。しかし、「神は細部に宿る。」いい言葉ですね。
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かつて一緒に映画づくりをしていた2人。憧れの映画監督の弟子になり、質の高い映画づくりを目指す尚吾とYouTubeの道に進んだ綋。 それぞれが抱える葛藤と葛藤に対しての答えを見つけていく過程が面白かった。 生きていると、人と自分を比較して落ち込んだり優越感を感じたりしてしまうこともある。 自分にとっての質と価値は何か、その自分への問いかけを深めていくと、もっとシンプルに豊かな人生を過ごしていけるのではないかと、この本から教えてもらった。 **** 生きている限り、何かを選び取ることからは逃げられない。だけど、無理やり同じ土俵に並べてこっちのほうが劣っているからとか、そんなふうに考えたわけじゃない。それくらいの曖昧さがないと、どんどん許せないものばっかり増えていっちゃいそうで、怖いの。 天秤に載せられがちな、だけど本当は比べられるはずのない、どちらも切り捨ててはいけないもの。 尚吾が、ずっと苦しそうに見えたから。目につくもの全部、無理やり同じ土俵に並べてどっちが劣っているか議論してるように見えたから。その作業はもう、やめにしてもいいのかも。 星っていえばあの形って感じだけどさ、 あのマークの形をした星なんて、空のどこにもないのね。 自分が見えた星の形を描いて、これが星ですって言っていく時代になったんだよね。昔からあるあの星形を、これが星なんだと言い聞かせなくてもよくなった。
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すごい勢いで時代が変わりつつあるんだなって思う本でした。 どっちが正しいとかない 『生きてる限り、何かを選び取る事からは逃げられない。だけど、無理やり同じ土俵に並べてこっちの方が劣ってるいるからとか、そんな風に考えたわけじゃない。それくらいの曖昧さがないとどんどん許せない物ばかりが増えていきそうで怖い』『ずっと苦しそうに見えたから。目につくもの全部、無理矢理同じ土俵に並べてどっちが劣っているか持論しているように見えたから』 比べるものじゃない。どっちもいいものを持っていてそれぞれが良くて、自分の土俵も自己満足で、自分自身にいうわけしている。 きっと自分もそんなところがあるはず。 自分の幸せは自分しかわからない。誰とも違う。だから、比べても仕方ない。 考えさせられる本だった。 もう一つ、『どんな世界にいたって、悪い遺伝子に巻き込まれないことが大切。1番怖いのは、知らないうちに悪い遺伝子に触れる事で、自分も生まれ変わってしまう事』 めっちゃ大切のことを伝えてもらった。 ありがとう。
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多様性、変わり続ける価値観。伝統も時代の変化に伴って柔軟な適応が求められる。皆が、試行錯誤して本気の人達だった。
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映像の世界で生きる二人の若者。一人は名監督へ弟子入り、一人はYouTubeへ。それぞれの映像や作品の質へのこだわり。自分の答えが正解だと突き進む中で、昔とは変わっていく社会。映像に境界線が無くなってきていて、取り残されていく焦りと現実。青臭いかもしれないけれど一つ一つを糧にしてい...
映像の世界で生きる二人の若者。一人は名監督へ弟子入り、一人はYouTubeへ。それぞれの映像や作品の質へのこだわり。自分の答えが正解だと突き進む中で、昔とは変わっていく社会。映像に境界線が無くなってきていて、取り残されていく焦りと現実。青臭いかもしれないけれど一つ一つを糧にしていく若者たちの憂いがあったように思います。
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大学で映画を制作するサークルに所属していた3年生の立原尚吾と大土井紘が、それぞれの得意を生かし共同監督として撮影した作品『身体』。その作品が、映画のフェスティバルでグランプリを受賞した。その受賞に関わるインタビューシーンから物語は始まる。冒頭から、私の身近にはない世界に引き込まれ...
大学で映画を制作するサークルに所属していた3年生の立原尚吾と大土井紘が、それぞれの得意を生かし共同監督として撮影した作品『身体』。その作品が、映画のフェスティバルでグランプリを受賞した。その受賞に関わるインタビューシーンから物語は始まる。冒頭から、私の身近にはない世界に引き込まれ、わくわくしながら読み進めていった。 そのインタビューの場面で、尚吾と紘がインタビュアーに答えていた言葉の中に、本物やかっこいいものを作りたい撮りたいという言葉があった。本物やかっこいいものとは、どのようなものを指すのだろうかな。映画のような制作物であれば、人によって判断のもととなるものがあり、それぞれの感性があり、好みは違っていくだろう。尚吾と紘には、それぞれの感性があり得意分野があった。それを互いに認め合えたからこそ、共同監督として成り立っていた。 そんな2人が卒業前、映画館『中央シネマタウン』で映画を観る。それは、日本映画界のスターと日本映画界の巨匠と言われた名監督がタッグを組んだ最高峰の作品であった。鑑賞の場所となった映画館自体も、この作品の重要な場所として、作品のイメージの世界を広げるものとなっていた。この映画館は、今となっては少なくなった、個人所有の支配人がいる映画館。上映される映画は、デジタル化されていないかつての名作。そこには、2人がめざす映画の実像があった。めざしたい具体的なものを共有できるって、頼もしく嬉しい関係だろうな。この後の展開がさらに楽しみになった。 大学卒業後にそれぞれの道を歩んでいくことになった尚吾と紘。尚吾は、目標としている映画監督、鐘ヶ江誠人が所属する映像制作会社に進んだ。そして監督補助という立場で、尚吾にとってのスターである監督に接することができるような状況になった。めざす映画制作を求めて、あらゆることを吸収しやすい状況であった。また、尚吾には同棲している千紗という女性が身近にいた。千紗も、尚吾と同様に自分のめざす料理人である玉木曜一シェフのレストランタマキに就職できた。道は違っても質の高いものから学び、その道の腕を磨きたいという志の重なりが、2人のつながりの強さを感じた。 一方で紘は、卒業後に実家に戻り、仕事に就かなかった。このような中、尚吾と共同で監督を務めた映画『身体』に出演したボクサー長谷部要からの依頼で状況は一変する。依頼内容は、所属するジムが公式YouTube チャンネルを確立していくというものだった。そして、その登録者数を増やすというジムの目的をきく。紘は要の肉体の動きに感動し、その肉体の表情を瞬間的に撮ることができる技術と感性をもっていた。その後、紆余曲折がありながらも、紘が撮った動画は視聴者数を増やし続け、多くの人の目に触れ、その名前も知られるようになっていく。しかし、その視聴者数は、紘の目標にはなっていなかった。 それぞれが制作している映像の評価や価値は何なのだろう。自己と他者の評価や価値に差は生じるものだろう。一般に評価されること、それは生業として続けていくために大切な視点だろう。一方で、自分が大切にしたい視点もある。そこで、心が揺り動かされる背景には、他者の評価や価値を気にせずに、自分の好きという気持ちだけでは、生業にはならないと認知しているからだろうな。そんなことを考えつつ、紘と尚吾のもやもやした思いを想像し読み進めた。私にとって、身近にない世界の話ではあったけれど、作品の世界に入り込み、尚吾と紘と一緒に悩みながらも前に進む、そんな気持ちになっていた。2人の言葉や心の声が響き、胸をうつ。 生業における憧れのスターは、人それぞれ。それは当然だけれど、一般化されている人に傾いてしまうこともあるかな。それに感化され過ぎずに、自分の心に正直に純粋に向き合い、自分がめざすものやことを追求することができればいいのかな。登場人物の心情描写が繊細で、胸にくる。自分だったらと、その度に問答していた。私の心の中に、生業への純粋な思いをもつこと、志をもって行うことへの憧れがあるのだろうな。尚吾も紘も千紗も、私にとっては眩しい存在として、想像の世界の中にいた。 朝井リョウさんの作品は、『正欲』以来であった。朝井さんの作品を暫くぶりに読了した。私にとって特別な世界に導かれる朝井さんの作品。次に手にとる作品も楽しみとなった。
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あまり読んだことがないようなテーマで新鮮だった。 現代を生きる人々が、多様化され細分化された社会の中に、どう自分の立ち位置を見つけ働きかけていくか、というようなこと。映画とYouTubeを分かりやすい比較対象としながら、オンラインサロンの存在も出てきて、今どきっぽい感じ。 読みな...
あまり読んだことがないようなテーマで新鮮だった。 現代を生きる人々が、多様化され細分化された社会の中に、どう自分の立ち位置を見つけ働きかけていくか、というようなこと。映画とYouTubeを分かりやすい比較対象としながら、オンラインサロンの存在も出てきて、今どきっぽい感じ。 読みながら、この主人公2人が抱える生き辛い感じ、周りを見渡して自分と比較して息が詰まる感じ、覚えがあるな、となんとなくずっと思っていた。 「今、誰でも何でも発信できるようになって、ちょっと調べればどんな欲求にも対応してくれるものがあって……世界はこれからどんどん細分化されて、それこそオンラインサロンの集合体みたいになっていくんだろうなって思う。欲求に大小や上下があるんじゃなくて、ぜーんぶ小分けされて横並びになるっていうか」 「だから、自分がいない空間に対して『それは違う』、『それはおかしい』って指摘する資格は誰にもないんだよね。何か言いたくなる気持ちはすっごくすっごくわかるんだけどさ、全部、自分がいる空間とは違うルールで成立してるんだもん。たとえ自分はそのジャンルの頂点を知っているんだからって思っても、それが本当に頂点だとしても、頂点の場所にある一つの点だけを知ってるに過ぎない」 「そうは言っても、こんなのおかしいって叫びたくなるものに出会う時はこれからも来ると思うのね。そのときのために、私は、誰かがしてることの悪いところよりも、自分がしてることの良いところを言えるように知っておこうかなって、思う」 「でももう、自分が見えた星の形を描いて、これが星ですって言っていく時代になったんだよね。昔からあるあの星形を、これが星なんだって言い聞かせなくても良くなった。星はそんな形じゃないって批判されまくったとしても、私の見えている星もそれですっていう人と出会えれば、そこが小さな空間になる。世界がまた一つ、小分けされる。でも、あの星形を綺麗に描くことを頑張ってきた時間も、絶対に無駄じゃないの。技術があるからってどんな星も描けるわけじゃないけど、あの星形を練習しながら身につけた技術は何を描くときでも役に立つはず」
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新聞の連載小説だった作品であり、まさにこの著者ならではの作品でした。 大学3年の時に合作した映画で権威ある賞のグランプリを獲得した立原尚吾と大土井絋。 将来を嘱望された2人だが、それぞれの立ち位置は対極的で、理性的な尚吾と感性的な絋は歩む道も選択肢も異なって行く。 旧き王道に拘る...
新聞の連載小説だった作品であり、まさにこの著者ならではの作品でした。 大学3年の時に合作した映画で権威ある賞のグランプリを獲得した立原尚吾と大土井絋。 将来を嘱望された2人だが、それぞれの立ち位置は対極的で、理性的な尚吾と感性的な絋は歩む道も選択肢も異なって行く。 旧き王道に拘る尚吾は信じる道を進むけれどYouTubeの世界で頭角を現す絋に反発を覚えつつも焦りも感じる。 そんな2人の辿る道程が詳細に描かれていて各々が興味深い内容と波乱を提起している。 衰退する映画界と隆盛するS N S世界を巧みに対比しながらも双方の利点と危うさを解り易く表していて参考になる。何の何処に同調するか反発するかはさまざまだが、ますます多様化する時代において自分を見失わないで居ることは自覚しておきたいもの。 惜しむらくは終盤にきて消化不良の感を免れない展開になってしまったことでしょうか。
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真逆の道を進んだ二人が悩み模索した結果、同じ場所にたどり着いた。自分の信念や理想も時代の流れに合わせて成長し進化することが必要なのかなと思った。物事を否定的にとらえず前向きに、時には時代の流れにのってしなやかに生きていると自ずと道は開けるのかも。それがなかなか難しいねんっちゅう感...
真逆の道を進んだ二人が悩み模索した結果、同じ場所にたどり着いた。自分の信念や理想も時代の流れに合わせて成長し進化することが必要なのかなと思った。物事を否定的にとらえず前向きに、時には時代の流れにのってしなやかに生きていると自ずと道は開けるのかも。それがなかなか難しいねんっちゅう感じですが
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