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推し、燃ゆ の商品レビュー

3.3

1908件のお客様レビュー

  1. 5つ

    220

  2. 4つ

    554

  3. 3つ

    692

  4. 2つ

    249

  5. 1つ

    71

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2021/01/31

何かを通してでしか自分を肯定できない、 他者と関わることができない。 推しを通して、自分という存在と向き合うことを遠ざけているようで、向き合いざるを得ない。 主人公とまでと言わずとも、誰しもが自分の憧れや好きなものを通して他者と関わったり、それを好きな自分を演じているのではない...

何かを通してでしか自分を肯定できない、 他者と関わることができない。 推しを通して、自分という存在と向き合うことを遠ざけているようで、向き合いざるを得ない。 主人公とまでと言わずとも、誰しもが自分の憧れや好きなものを通して他者と関わったり、それを好きな自分を演じているのではないか。 うまく言葉にできない読後感。 個人的にはすごく好きな作品です。

Posted byブクログ

2021/01/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

登場人物たちの心情が表現力豊かに描写されていて、その場の空気感や匂いが鼻先まで迫ってくるような感覚があった。 あかりちゃんは生きづらさを抱えた現代の女の子としてとてもリアルに描かれていて「普通」に生きることの難しさや重怠い感覚、周囲に理解されにくいことへの孤独感などについて途中で手を止めて何度か考えさせられた。 個人的には家族や先生があかりちゃんの病気についてもう少し理解して寄り添ってくれたらまた状況が違ってきたのではないかと感じた。性格の問題だけでなく、診断名が2つ付いているという病気の影響も大きいことを理解し「就活しなさい」と言葉で伝えるだけでなく具体的な方法について提案したり、必要なところまでは手助けするような関わりがあったらあかりちゃんももう少し視野を広げられたのではないかと思った。 しかし母親には母親のたくさんの悩みや苦労があり、家族には家族にしか知りえない複雑な部分もあるからそういうのを思うとなんとも歯切れの悪いことしか言えないけれど。 あかりちゃんは推しと自分の間には、世間に対する感情の暗く深い部分で似たようなものを持っていると感じていたからこれほどにも推しに強く惹かれていたのではないかと思った。 推し中心の生活を送り、推しの存在がアイデンティティーの大きな部分を占めているようであったから、もしもこの先あかりちゃんの中で推しが「過去」として整理されたとしたら、その後どうなっていくのかとても気になる。 他の人の感想も聞いてみたいなと思った。

Posted byブクログ

2021/01/31

うーん、ちょっと一回では理解しきれなかった、、 芥川賞受賞作品はやっぱり合わない笑 なんだろう、表現力がずば抜けてるからこそ、ありきたりな世界しか持ってない私には難しかったかな でも主人公の推しへの熱量にのっかって伝わる宇佐見さんのパワーを感じられた気がする 好みではないけど読ん...

うーん、ちょっと一回では理解しきれなかった、、 芥川賞受賞作品はやっぱり合わない笑 なんだろう、表現力がずば抜けてるからこそ、ありきたりな世界しか持ってない私には難しかったかな でも主人公の推しへの熱量にのっかって伝わる宇佐見さんのパワーを感じられた気がする 好みではないけど読んでよかった

Posted byブクログ

2021/01/31

エグい。 こんなに濃くてドロドロ這うような視点や表現をされたら、私の感想なんて甘っちょろくて言葉にならない。 作者の長編を読みたい。感動した。 すごいブラックホールを開けたのに光が見えた気がした。最後、もっと汚れた光でも良かったと思う。

Posted byブクログ

2021/01/31

推しはできてもライトに愛でるタイプの自分には、推しと同化するほど思いを傾ける主人公の気持ちが理解しにくかった。 そういうこともあり、主人公も生きにくさは感じつつ、振り回される家族の方に感情移入し同情してしまった。 10代の頃に読んだら刺さったかなと思う。

Posted byブクログ

2021/02/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一読では内容が掴めない。ネガティブな状況が正直に書かれている。僕は追っかけている対象がいるが何か危うさを覚えている。再読の必要ありです。

Posted byブクログ

2021/01/31

芥川賞受賞と言う事で 読んで見た 推しがいるって事は 年齢に関係なく 通づる思考があるんだと思った 推しに対する期待や思い 向き合い方も人それぞれだと思う 推しを思う事 推しがいる事は少しも悪くない ただ自分の軸となる志しや 生き方とをしっかりと持った上で 推しを思う 推しに振...

芥川賞受賞と言う事で 読んで見た 推しがいるって事は 年齢に関係なく 通づる思考があるんだと思った 推しに対する期待や思い 向き合い方も人それぞれだと思う 推しを思う事 推しがいる事は少しも悪くない ただ自分の軸となる志しや 生き方とをしっかりと持った上で 推しを思う 推しに振り回されない事は 大事ではないだろうか? 推し活をされている方は 是非読んで見たら 自分を振り返ってみる 良いきっかけになるのでは

Posted byブクログ

2021/01/31

アイドルを推すことが生きるために必要な人(収入の大半をつぎ込んでしまうような、同じCDを何枚も買うような人)の気持ちというのが、わからなかったのだが、これを読んで、自分と大した違いがあるわけではないのだなと感じた。 外から見れば何の問題もない家庭にも様々な歪みがあり、家族一人一人...

アイドルを推すことが生きるために必要な人(収入の大半をつぎ込んでしまうような、同じCDを何枚も買うような人)の気持ちというのが、わからなかったのだが、これを読んで、自分と大した違いがあるわけではないのだなと感じた。 外から見れば何の問題もない家庭にも様々な歪みがあり、家族一人一人が違った苦しみを抱えていることも描かれている。 大人はアイドルを推してる若い人に、勉強とかスポーツとかもっと他の事に目を向けろとか、将来を考えろとか言うけど、こうすることでしか生きられない苦しさはかなりギリギリのもので、他にどうしようもないからやってるわけで、大人だってそういうことあるし、生きてるだけでとりあえず今はいい、ってこともあると思う。特に若い人は。 アイドルが好きでも適度にできて、他のこと(大人が喜ぶような勉強や学校の活動等)もちゃんとやれる子は、そもそもここまで追い詰められてないんだよ。 こういうことを書いて純文学(って最近は言わないのかな)になるというのが新しい。何だって文学になるんだけど、今までアイドル推しをメインに据えた人はいなかったと思う。 内容は幅広いターゲット(日頃純文学を全く読まない層)に訴えるものだが、文章は正統派の純文学らしくかなり練られた表現もあり(「一点の痛覚からぱっと放散するように肉体が感覚を取り戻してゆき、粗い映像に色と光がほとばしって世界が鮮明になる。」P11など)、そのギャップがまた魅力となっている。 こういうの『コンビニ人間』以来かも。 こういう作家は、昔おじさんばかりが力を持っていた所謂「文壇」からは決してでてこなかったろう。成人男性が少女に夢中になるようなのはあったけど、アイドル推しはアイドルと知り合いになりたい、出来れば付き合いたいというものではないので、おじさんが美少女に性的魅力を感じるのとは全く違う。 作者にはこれからも期待したい。 しかし、この薄さで1400円とは河出も売れると踏んでのことで、それは成功したけど、高くないか?とは思った。 が、河出はあまり売れそうにない良い翻訳小説をたくさん出してるから、そこで儲からない分の穴埋めをこういう作品でやって、良い翻訳小説は出し続けてください。よろしくお願いします。

Posted byブクログ

2021/01/31

私の妻はオタクである。 何オタかというと、声優オタである。 最近は舞台とかもやる声優さんが多いから、推しのために公演全日程チケットを取って毎日通い、推しを追いかけて1人GOTOキャンペーンで京都まで行く始末。 もう全然理解できないし、しようとも思わないけど、それが生きる活力になっ...

私の妻はオタクである。 何オタかというと、声優オタである。 最近は舞台とかもやる声優さんが多いから、推しのために公演全日程チケットを取って毎日通い、推しを追いかけて1人GOTOキャンペーンで京都まで行く始末。 もう全然理解できないし、しようとも思わないけど、それが生きる活力になってるなら、まあいいんじゃないの、と思っている。 「推しは命にかかわるから」 妻を見ているとこれは真実のようだ。 理解してほしくもないし、 理解してもらおうとも思いません。 愛されようとも思いません。 推しを推してこそ人生。 生身の感情を剥き出しにされて、理解しがたい巨大なエネルギーに圧倒されると同時に、悲痛なくらいの切迫感、消えてしまいそうな危うさを感じる。 “背骨”を抜かれて、それでも立っていられるか。 否、それは“背骨”なんかじゃないと気づかされて、それでも立っていられるか。 世界観も文致も切れ味も、物凄いニュータイプが現れたぞ。 令和の時代の文学は、宇佐見りんがセンターだ。

Posted byブクログ

2021/01/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

わたしにも推しがいる。 推しが活動を一旦休止して自由に生きますと言って頭を下げてたのを思い出した。初めてそれが知らされた時にわたしはからからになるまで泣いたけど、年が明ける前の最後の姿を見た時もやっぱり泣いた。 読んでいる間じゅうずっと、漠然と身体中に広がるつらさと、分かるなあみたいな気持ちと、でもやっぱりつらさが心に滲んでいた。 アカリへの共感や同情や、それでも会いに行ってしまう傲慢さが、わたしに向けられているようにも思えた。わたしはそんなことしない、と思いながら、同じマンションに住む芸能人の話題で地元のコンビニの店長さんと盛り上がったことがある。そういう小さくて大きいことが、自由に生きてほしいと思いながらいつかSNSに登場しないかな、なんて思っているわたしのあさましい本心が、真幸くんが向ける世界への敵意みたいな視線の元凶なのだと思った。 本の帯に豊﨑由美さんの言葉があって、「すべての推す人たちにとっての救いの書であると同時に、絶望の書でもある」と書かれてた。そのとおりだな、と思った。推しが生きる意味として、自分の中心を背骨みたいに通っているわたしたちみたいな人間を世間一般のものとして描きながら、それでもやっぱりアイドルの命は長くはない。「推しのいない人生は余生だった。」その言葉は本物だった。本物だっただけに、やっぱりこれは絶望の書でもあるんだな、とふと顔を上げたときに見えたポスターの中の推しを見ながら思った。 病気についての描写のこと。当たり前みたいにぽんぽんと描かれるから、水をたくさん飲んだ時の薬みたいに簡単に受け入れられてしまって、それが少し怖かった。こういう怖さといつも戦っているひとがいるのだろう。洗濯物と、雨のことが結びつかないことだったり、居酒屋での全てが言語化されて集中できない脳内だったり、そういう些細なところがわたしたちの「当たり前」を当たり前でなくした。気持ちがわかった。その気持ちからくる体の動きがわかった。でも、それがわたしの当たり前でないということも確かに事実だった。 静かに静かに、当たり前の日常のなかに描かれた病気のことも、推しの話と同じくらいにわたしの心に何かを残している。 自分語りばかりしてしまったけれど、この本はそういう、どこかにいる誰かの話であり、わたしの話だった。推しを持つ全ての人の話だったのだと思う。

Posted byブクログ