愛されなくても別に の商品レビュー

武田綾乃(著者)

2024/10/15

感想
筆者の作品として響けユーフォニアムしか読んだことがなかったので、こういうシリアス系の作品もあるんだとびっくり。

ネグレクト、過干渉、親にも色々ある。人生過ごすだけでしんどい人もいる。

あらすじ
宮田は大学生。友達もおらずほとんどの時間をコンビニのバイトで過ごしている。

同じコンビニのバイトで江永に出会う。彼女は親が殺人犯という噂で中学の頃から母親に体を売れと言われていた。

江永の親が自分より毒親であり、そのことを話すうちに仲良くなる。江永から奨学金振り込みを確認した方が良いと言われる。また、久しぶりに父親に会い、滞っていたと思われる養育費が払われていたことに驚き、やるせなくなり、衝動的に家を出る。

そこから宮田は江永の家に転がりこみ一緒に暮らす。同じ大学の木村がバイトをしたいと言い出す。お金持ちなのにバイトをする理由を尋ねると宇宙様という占い師にお布施しているということで、宮田と江永は宇宙様に会いに行く。

木村は過干渉の親から逃げたいために宗教に入ったが、宮田と江永が母親に連絡し、連れ戻される。

その後、二人での生活に安らぎを感じ、宮田は母親に見つけられるも、家族を辞めると宣言して逃げ帰る。江永と一緒に暮らしていくことにしたのだった。

2024/08/31

宮田と江永。2人が母親から受けた事に、悲しくなりました。
子どもに苛立ちを感じる事はあるけど、お金を使い込んだり、体を売らせて食べさせてもらったり。
どうしてなんだろうと思いました。
そして、それに従う娘達にも。

見捨てられたくない思いが、あったと思うけど。

2人は母からの愛はもらえなかったけど、宮田と江永が出会え、一緒にいることができて良かったと思います。

二人の母親は娘達の人生を縛っていたけど、私にも、息子達の人生を縛ってしまう行動をとっているかもしれないなと反省する気持ちが生まれました。
気をつけなくては…

2024/08/25

2024.8.25 読了
あぁ…。エグい。家族の事って、多かれ少なかれ人にはそれぞれ問題あるよね。。決して比べる事ではないのだけど、やっぱり自分が1番不幸だとおもってしまう。
でもね、陽彩も雅も、お互い出会えて良かったよね。ホントよかった。何か辛いことがあったときに、カルピスを出すくだりが良いのよ。私もカルピス大好きで、なぜかすごく落ち着く。私もカルピスを飲もう。

2024/05/27

親の呪縛から逃れ友達と同居する女性2人の物語。家族という単位は安心できたり居場所になる一方で閉塞感や抑圧の場ともなる。生活の中で連帯を強める2人の人生をただ観察し寄り添う著者の描き方に強く惹きつけられていく。
居場所をどこに求めるのか、家族以外にも職場だったり学校だったり宗教だったりもする。それは決して他人の価値観では収める事ができない領域だなと思いました。

2024/04/12

毒親　自分は不幸だと思っている同じ大学の4人

母親のため家にお金を入れ家事をしてバイトする宮田

父親が殺人犯で周りから避けられているが明るく自分の過去を話し生きている江永

宮田と同じ時間でバイトが被るおしゃべりな深口

過干渉な母親から離れたくて地元から離れて宗教にハマった木村

いろんな親がいて不幸だと思っていても親を切り捨ててもいいし親の責任を背負わなくても許さなくてもいい

どう思われようが自分の思いは自分の好きにして思っていい

2024/04/08

ヒドい母親と暮らす主人公。家事を全くせず、大学生の娘に八万も入れさせて、それでも主人公は母親を愛していると考えて。そこにしか自分の居場所がないから、受け入れるしかなかったんだろう。結局騙されてて、奨学金も使い込まれていて、家を出だけど、同じ境遇の女性に居候し、親から与えすぎられている友達や、独特の親子感を持つバイト仲間との関わりを通して、自分の居場所が出来た彼女はようやく母親と関係を断ち切ることが出来た。親が親らしくなくなった現代を描いていると思った。

2024/03/08

いわゆる毒親に育てられた主人公達が、自分達の人生を歩き始める話。
人と比べてどっちの方が不幸か勝負をしても意味なんて無いのに、相手よりも不幸であることが心の支えになってしまう描写が痛々しかった。

誰からどれくらい愛されれば正解、なんて事は無いんだろう。
誰かを愛しても良いし、誰も愛さなくても良いし、愛されなくても良い。

とりあえず最近シスターフッドというか、ただの友達じゃない、でも恋人でもない、みたいな女同士の関係が好き過ぎるんよな。

2024/02/06

予想に反して途中サクサク進めなかったけど読了後はスッキリした気持ちに。

いわゆる毒親、家庭環境に負けないで強く前を向いて生きていく主人公たちに共感できる所が多々あった。
子は親を選べない。家族だからって家族というものに縛られる必要はない。
どんな親の元に生まれてきたとしても自分を見失わず強くあってほしい。
そんな思いを巡らせる作品。

2024/01/24

どうしようもない母親を持つ大学生の宮田陽彩。彼女と同じバイト先の江水。彼女もまたどうしようもない親を持っていた。
救いの無さそうな人生を歩む二人。子供を我が物顔にして犠牲にしていく大人は、実はかなりたくさんいるという現実に気付かされる。
愛されなくても別に。かなりきつい言葉だ。

2023/10/27

色々な毒親が出てきた。どの親も自分が毒親だという自覚はない。
そこに違和感を持って逃げだすことは容易ではないだろう。
だってそこには「愛情」という見えない鎖があるから。

読み始めからずっと不穏な感じが漂っていて、読み進めるのが怖かった。
母親に連れ戻されるのでは。江永が裏切るのでは。宗教にハマってしまうのでは。
危なっかしい陽彩は見ててハラハラする。
けれど心の奥底にずっとブレないものがあって、かっけーな！と思うところもしばしば。
木村は結局どうなったんだろう。
母好みの家具を変えることが出来なかった彼女は、きっと誰にも理解されない苦しみと共に生きていくんだろうな。
「したくない」ではなく「するしかない」状況にいる陽彩からしたら、「したくない」と言える人間は甘えだと感じたのかもしれない。けど現実はそんな人ばかりだと思う。

陽彩と江永がずっと苗字呼びなのも、仲良しぶってないのも良かった。
相手に良く見られようとか、優しくしようとか思ってなくても、二人の優しい部分が垣間見れてとても可愛かった。
出会えてよかったね。
バイト先の堀口も、あんたの事なんてなんとも思ってないよ～風で、実は見守ってくれてていいキャラだった笑