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愛されなくても別に の商品レビュー

4.1

122件のお客様レビュー

  1. 5つ

    36

  2. 4つ

    55

  3. 3つ

    21

  4. 2つ

    3

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2023/02/16

「無償の愛」なんて言葉がある。 親子間で頻繁に使われる見返りを求めない愛情の事だ。 本作にはそれと対極にある毒親を持った三人の女性が登場する。 『愛されなくても別に』と強がりの仮面をかぶった彼女達の言動からふいに漏れる孤独と絶望感、その感情に触れるたびに、彼女達の名ばかりの「...

「無償の愛」なんて言葉がある。 親子間で頻繁に使われる見返りを求めない愛情の事だ。 本作にはそれと対極にある毒親を持った三人の女性が登場する。 『愛されなくても別に』と強がりの仮面をかぶった彼女達の言動からふいに漏れる孤独と絶望感、その感情に触れるたびに、彼女達の名ばかりの「親」に対し怒りが沸き起こる。 口先だけの「愛してる」で子供の心を揺さぶる母親。 そんな物いらない。 搾取するだけの親ならば家族なんて止めて良い。 『私は私の人生を生きたい』彼女の決断に胸が一杯になる。 読後、改めて見たタイトルは力強さにチェンジする。

Posted byブクログ

2023/01/23
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友達に借りた本。 読み終わってからタイトルを見ると、愛するとか愛されるってどういう事だろう…ってなる。親の過保護は愛なのか、そもそも家族であれば愛し愛されることが当たり前なのか、とか。 宮田のひねくれ具合が凄くて、江永と出会って前向きに変わっていく!ではないんだけど、江永と向き合って自分とも向き合っていく姿に見入って中盤から一気に読み進めた。宮田と江永の会話では自分がとても救われる言葉も多かった。 たまたまなのか、最近読んでる本は家庭環境に問題抱えている女性の話がかなり多い。江永の、家族なんてファンタジーなものってセリフもかなり辛かった。大学生たちの話だけど、全世代が読むべき内容だと思った。

Posted byブクログ

2023/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いわゆる「毒親」を持った3人の女子大生物語。 終わり方は好感が持てた。 3人中2人は助かったようだ。友情も結ばれて今後も互いに助け合う未来が予見できそうだ。 だが、私はひねくれているので助からなかった1人の方を向いてしまう。 彼女はどうしただろう。どうなるだろう。 そのストーリーはない。 2人とは違い、友情にも恵まれなかった彼女は自分で自分をなんとかするしかないのだろう。 ネグレクトは罪。 しかし、その逆の「過保護」もまた辛いのではないだろうか? ベクトルが逆なだけで。 経済DVを受けている身からしたら過保護は甘いと写るかもしれない。そのとおりだろう。 しかし、しかし、はっきりとSOSが出しづらく理解も共感もしてもらえない過保護の毒は相当辛い気がした。 きっと彼女は今も生暖かく柔らかな檻に囚われているのだろうな。

Posted byブクログ

2024/10/12

毒親、親ガチャという言葉が流行ってしまう昨今の時代感や、人間心理を見事に切り取り描ききり、さらに転換させた素晴らしい出来の作品だったと思います。 主人公となる宮田は女子大生。シングルマザーの母のため家事をこなしつつ、講義に支障が出るほどバイトをして、その給料を家計に入れています...

毒親、親ガチャという言葉が流行ってしまう昨今の時代感や、人間心理を見事に切り取り描ききり、さらに転換させた素晴らしい出来の作品だったと思います。 主人公となる宮田は女子大生。シングルマザーの母のため家事をこなしつつ、講義に支障が出るほどバイトをして、その給料を家計に入れています。 しかしその母は、働いてこそいるものの、浪費癖がひどく生活費や日常の家事も娘をかなりあてにしていて…… 序盤から描かれる宮田母子のいびつな親子関係が、読んでいてなかなかにしんどかった。 親であるが上に、娘に甘え半ば支配する母。娘は母に不満こそあるものの、育ててもらった恩や、肉親に対しての絆や愛ゆえ、母の支配を諦めて受け入れ、世間や社会に対しても絶望する。 外からみてわかりやすい虐待や貧困、ネグレクトがあるわけでないのが辛いところ。当人にしか分からない家庭状況ゆえに宮田は支援が受けられるわけでもなく、孤立を深めギリギリの生活を強いられます。 その状況ゆえ、彼女は恵まれていると思えるバイトの同僚や、同期の学生をどこか見下し、すべてを諦め、冷笑的にただ暗い日々を過ごしていく。 読んでいて宮田の絶望や諦観は、今の自分たちにも共通するものだと思いました。 戦争、コロナ、物価高や、将来への悲観……。閉塞感に満ちた終わりない日常というものは、現実でもずっと続いている。 宮田とは性別や年齢は違えど、それでも彼女の心理描写や日常描写が痛切に迫るのは、そうした時代感と作品がマッチしてしまっているからだと思います。 そんな宮田に訪れる出会い。一つが同じコンビニバイトで大学も同じの江永。彼女は父親が人殺しと噂され、友人からも孤立しています。 そんな彼女に宮田は興味を持ち、二人は徐々に関係性を深めていく。 そしてもう一つの出会いが木村。彼女も二人と同じ大学に通っているものも、境遇は二人とは正反対。下宿生の彼女は親から十分すぎるほどの仕送りをもらい、きれいな部屋に住んでいます。 しかしお金に余裕のあるはずの彼女が、なぜか宮田にコンビニバイトの紹介を頼んだことから、彼女の抱える闇も見えてくる。 三者三様、それぞれが『親ガチャ』の結果、他人からは簡単にうかがい知れない苦悩や葛藤を抱え、親や家庭から逃れようとして傷を負い、居場所を求め続ける。 読んでいて心が苦しくなる場面がとにかく多く、彼女たちの行く末に少しでも希望があることを祈っていました。 それでも希望が見えてこないことに暗い気持ちになりながら、読んでいました。 暗い展開でも読ませるのは文章、キャラの心理や状況の描き方が抜群に上手いがゆえだと思います。 そしてラストに至るとき、タイトルの『愛されなくても別に』が大きな意味を伴って読者の心に残る。 現代社会の様々なひずみ、そして閉塞感を映しつつも、それだけで終わらないストーリーの素晴らしさ。 武田綾乃さんは青春小説の書き手というイメージが強かったけど、そのイメージが大きく更新された一作でした。 第42回吉川英治文学新人賞

Posted byブクログ

2023/01/02

共感はできないことが多いけどできるとこもあって、 ネガティブだらけな表現から気づいたらだんだんポジティブになってて、 新しい価値観に気づいた感じ

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2023/01/01

会話や展開がわざとらしくなく、とにかくリアルで、心に覚えておきたい言葉がたくさん出てくる本でした。うん、それでいい。それでいいんだよ、大丈夫。と言ってあげたくなる最後でした。愛なのか、裏切りなのか。救いなのか、まやかしなのか。祈りなのか、エゴなのか。各章のタイトルも正に!と言った...

会話や展開がわざとらしくなく、とにかくリアルで、心に覚えておきたい言葉がたくさん出てくる本でした。うん、それでいい。それでいいんだよ、大丈夫。と言ってあげたくなる最後でした。愛なのか、裏切りなのか。救いなのか、まやかしなのか。祈りなのか、エゴなのか。各章のタイトルも正に!と言った感じでスゴイです。貧困、虐待、過保護、不幸の基準、カルト宗教、アイデンティティ、政治、ジェンダー。様々な切り口で考えさせられるので、また必ず再読します! カルピス飲むシーンがお気に入り。 最終的に堀口まで愛おしく思える不思議。

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2022/12/23

毒親、親ガチャと言う言葉が流行るのがわかるほど、酷い親がいるもんだなと思いました。タイトルの愛されなくても別にとは裏腹に親の愛に飢えている大学生たち。無償の愛とは親から子に与えるものではなく、子から親へと注がれるものなのだと強く感じました。親のことがおかしいとは思いつつ愛されてい...

毒親、親ガチャと言う言葉が流行るのがわかるほど、酷い親がいるもんだなと思いました。タイトルの愛されなくても別にとは裏腹に親の愛に飢えている大学生たち。無償の愛とは親から子に与えるものではなく、子から親へと注がれるものなのだと強く感じました。親のことがおかしいとは思いつつ愛されていると思い込みたい気持ち。登場人物一人一人を抱きしめてあげたい気持ちになりました。子供からの愛に怠けず、子供から愛されるのに相応しい親でありたいものです。決して子供は自分の所有物ではなく自立した1人の人間です。子供の意思を尊重し、愛していることを伝えていきたいと感じました。

Posted byブクログ

2022/12/23

いわゆる毒親のもとに生まれた3人の女子大生の話 かなり重たい設定ではあるものの、暗くなりすぎない塩梅が絶妙 斜に構えているように見えるタイトルだけど、読後はその言葉にエネルギッシュさと生きる活力を感じられるようになる良い本だった それにしても、今となってはオリンピックが当たり前...

いわゆる毒親のもとに生まれた3人の女子大生の話 かなり重たい設定ではあるものの、暗くなりすぎない塩梅が絶妙 斜に構えているように見えるタイトルだけど、読後はその言葉にエネルギッシュさと生きる活力を感じられるようになる良い本だった それにしても、今となってはオリンピックが当たり前のように開催されると思われてる世界線に色々と感じてしまうな 彼ら彼女らはコロナ禍に何を感じ、どう過ごしたのか気になってしまいます

Posted byブクログ

2022/12/14

一人で過ごすことに慣れていて、バイトと大学の往復で日々を消化してる宮田みたいな子、私も含めきっと沢山いると思う。『明るい大学生』に『普通』になり切れない人に、ぜひ届いて欲しい。

Posted byブクログ

2022/12/08

コンビニでアルバイトをする大学生、宮田と江永。 宮田は、毎月8万円を家に入れることを条件に大学へ進学。浪費家の母は、宮田の奨学金と父からの養育費を消費した上、宮田に家の家事全般を任せている。 江永は、父から犯され、母から売春を強要され、親から逃げた後も、生きるために売春をして生計...

コンビニでアルバイトをする大学生、宮田と江永。 宮田は、毎月8万円を家に入れることを条件に大学へ進学。浪費家の母は、宮田の奨学金と父からの養育費を消費した上、宮田に家の家事全般を任せている。 江永は、父から犯され、母から売春を強要され、親から逃げた後も、生きるために売春をして生計をたてているが、あることがきっかけで売春をやめてコンビニバイトをはじめた。 自分で要約してみて、とんでもない渦中にいる二人だ。 後半で明かされる江永の秘密(父親の現在、売春をやめた理由)も、とんでもない。 私の想像の範囲をこえていて、「とんでもない」という言葉しか出てこないのがはがゆいです。 江永のいう「不幸中毒」という言葉が刺さった。 「不幸自慢」という言葉が出てきた漫画は、ハチクロだったか、3月のライオンだったか。それとちょっと似たニュアンスの言葉だ。 自分が一番不幸じゃないと気がすまないようになってしまうという状況のことらしい。胸が痛い。私も10代後半~20代、そう思っているときがあったよ。 「私の気持ちがわからないのは、あなたが不幸を経験していないからでしょ」という、他者への見下しと羨望がミックスされたような感情。 私のその感情が発動するのも、多くの場合、親絡みだった。 初対面の人から親への感謝を強要されたり、親のあとを継ぐよう安直に言われたりすると、発作的に湧き上がる感情だった。 この本の二人は大変な状況にあるけど、この本は優しい本だと、私は思った。 というのも、この本からは、よそから見たらとんでもない渦中にいる二人が身を寄せ合って普通に生活を送ったりする中で、「自分がつらかったら逃げて良い」「自分がつらいと思ったら、つらいんだ」というメッセージを感じられたからだ。 私は「あなたよりもっと大変な人はたくさんいる。それくらいみんな我慢している」という言葉が嫌いだ。 大人になってからも、妊娠、出産、子育てについて多用されるこの言葉。 確かに、そうなんだろうけど。でも、その人が、私が、つらいと思うなら、それは「つらい」と思わせてくれて良いじゃない。もっと大変な状況にいる人(たとえば、障害がある女性が騙されて妊娠して、誰にも相談できずに孤立出産して、それでも頑張って子育てしている、とか)がいたら、それより恵まれている人はつらく思ってはいけないのか?そんなことないだろう。 大学生の中にも、宮田や江永ほど壮絶でなくとも、家族との関係でつらさを抱えている若者はたくさんいるだろう。 この本からは、そういう人たちに対しての「宮田や江永の親ほどひどくないでしょ、学費は親が出してくれてるんでしょ、だったら親と仲良くして親を大事にしなさいよ」というメッセージはまったくない。むしろ、その逆だ。 つらかったら逃げていいし、こういう生き方だってできる、宮田と江永は「大学に通って、バイトして、家でダラダラしたり、たまに水族館に出かけたり」という普通っぽい生活をしている(親元逃げ出したらトーヨコキッズになるしかない、みたいな極論じゃない)、それのことはきっと家族とのことに悩む若者の救いになる。 私自身が10代~20代のときにこの本読んでも、そこまで救いに思わなかったかもしれないし、そもそも、この本を心穏やかに読むことはできなかったかもしれない。 私が40近くて、若いときのつらさと距離を置けるようになったから、この本を読めたのかもしれない。 でも、このレビュー書いてても、やっぱりうまく言葉にはできない。この本から私が感じた救いを、私から第三者に伝えることはむずかしい。 だから、家族とのことでつらい思いをしている若者には、この本を読んでみてほしい、と思った。

Posted byブクログ