1,800円以上の注文で送料無料

メソポタミヤの殺人 新訳版 の商品レビュー

3.9

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    10

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2021/06/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今回は(今回も?)愛憎渦巻くストーリーで、それぞれの人間関係が複雑でした。 異国の雰囲気や情景も綺麗で、旅情をかきたてます。 この作品では、遺跡調査団のリーダーである考古学者の妻・ルイーズの世話をするため雇われたレザランという女性が、ポアロの助手役として登場しました。 ルイーズは人々の中心に自分がいなければ、注目を浴びていなければ気が済まないような美女で、"エッジウェア卿の死"のジェーンや、"ナイルに死す"のリネットにも通じるところがあります。 女性の個性を捉えて、魅力的に描き切るのが本当に得意な作家だと改めて思いました。 マーカドが麻薬を常習していることを裏付けるために、ポアロがこっそり彼の腕に針を刺す場面は、なかなか衝撃でした…。 事実確認のために手段を選ばないポアロの過激な一面が見られて面白かったです。 シリーズを読んできてこのパターンにも驚かなくなってきましたが、真相に辿り着くまでの展開が二転三転するのは毎回ながら流石でしたし、設定がとても好みでした。

Posted byブクログ

2021/05/01

看護婦エイミー・レザランの手記により殺人事件が語られるというのは新鮮だ。愛が強すぎる故の殺人ではあるが、犯行に強引さを感じる。エルキュール・ポアロ長編作品としては、ポアロの印象が薄い気もする。

Posted byブクログ

2021/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新訳版ではじめて読んだけれど、言葉遣いが旧訳版のが格調が高くて好き。今まで読んだアガザの本の中で、一番犯人に納得がいかない。色々無理だ!

Posted byブクログ

2021/03/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

イラク~バクダッドという中近東を舞台に、『アクロイド殺し』で読者を驚嘆させた「信頼できない語り手」の概念をいかんなく発揮した今作。冒頭は、看護師のエイミー・レザランが考古学者のライドナー博士から、妻ルイーズの付き添いを依頼される場面で始まります。エイミー・レザランは護衛相手のルイーズから、スパイとして処刑されたはずの元夫から何か月にも渡って脅迫状が送られているという話を聞かされます。元夫が生き返って自分を殺しにくるのだと不安に駆られているルイーズですが、気のせいだと言う夫を始め、死んだはずの人間から手紙が届くはずなどないと、彼女の心配を妄想だとまともに取り合おうとする人はいません。ところが、寝室でルイーズの死体が発見されたことで、事件は一気に急展開しはじめます。 最初の被害者であるルイーズの付き添いとして発掘現場に連れてこられた看護師エイミー・レザランの視点で語られる本作。それではポアロは今回はどこに?・・・というと、彼はちょうどオリエント急行の殺人事件を解決し凱旋する帰途にいました。ここでポアロがシリアからバグダッドを経由することを知ったメイトランド捜査の依頼で、ポワロは捜査に加わることになります。 このように、今回のポワロは鳴り物入りで捜査に加わることになったため、彼の傍らにはいつものヘイスティングスの姿はありません。その代わりを務めるのが、考古学者のライドナー博士から妻ルイーズの付き添いを依頼された看護師のエイミー・レザランその人です。事実、彼女は非常に優れた観察力を見せつけ、ポアロはレザランを腹心の友とし、彼女を「ヘイスティングス」と称するのです。 さて、彼女エイミー・レザランの視点による捜査記録として書かれた本作ですが、ここでのポアロの活躍は一見するとエイミー・レザランの優れた観察眼に隠れがちです。しかし今作のポアロは、人々に「ゴシップ」を奨励したり、容疑者のリストを巧みに絞り込むなど、技巧面で相変わらずいい仕事をしています。また、本作では中近東の遺跡発掘現場の様相を微に入り細を穿つ描写で、クリスティが考古学的発掘の生活についての深い理解を堪能できるのも一興でしょう。さらに、メインの殺人ミステリー以外にもいくつかのサイドストーリーが展開されるなど、本作は本筋以外に多数の見どころを備えた1冊とも言えそうです。

Posted byブクログ

2021/03/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

原題 “Murder in Mesopotamia” ポアロ・シリーズ。 凄いトリックがあるわけでもないけど、普通に面白かった。 舞台はメソポタミアのテル・ヤリミア。遺跡調査団長レイドナー博士の妻ルイーズは死んだはずの先夫からの脅迫状を受け取っていて、そして、調査団の宿舎で殺害されてしまう。 語り手が事件関係者で、ルイーズのために呼ばれた看護婦レザランであるのが、新鮮。 ラヴィニー神父、とても胡散臭いと思っていたけど、ルイーズ殺害の犯人ではなかった。もっとも、ある犯罪に関わっていたが…。 レザランがルイーズのために呼ばれたのは、単に心のケアをする目的だと思っていたけれど、さらに看護婦としてのある種の技能を利用するために呼ばれていたとは! この作品、映像化して欲しいなぁ。

Posted byブクログ

2021/01/18

安定のクリスティー的なお話。安定的な面白さ。登場人物の1人から見た文章の形が面白かった。 ‪人物像を被害者の読んでいた本の内容から推理するっていうのがあっ、なるほど。でした。‬あ、あかん…死亡フラグ立った。あっ死んだ…( ´△`)…あとはサラッとした終わり方が新鮮でした。

Posted byブクログ

2020/12/24

久しぶりの読書で久しぶりのポアロ。 「最後に意外な人物が犯人だと判明すること」が楽しみでぐんぐん読み進めた。ポアロが登場してからが楽しすぎる。 メソポタミヤの殺人というタイトルではあるけど欧米人の間で起こった事件だし、主な舞台が建物内なので、異国情緒があふれる…という感じでは...

久しぶりの読書で久しぶりのポアロ。 「最後に意外な人物が犯人だと判明すること」が楽しみでぐんぐん読み進めた。ポアロが登場してからが楽しすぎる。 メソポタミヤの殺人というタイトルではあるけど欧米人の間で起こった事件だし、主な舞台が建物内なので、異国情緒があふれる…という感じではない。

Posted byブクログ

2020/10/28

バグダッドを旅していた看護婦レザランは、イラクの遺跡発掘現場を指揮する考古学者レイドナー博士のたっての希望により、死んだ前夫からの殺害予告に怯える魅惑的な夫人ルイーズ・レイドナーの世話を引き受けます。他人行儀すぎる雰囲気と奇妙な緊張感の漂う遺跡調査隊のメンバーたち。そして調査隊メ...

バグダッドを旅していた看護婦レザランは、イラクの遺跡発掘現場を指揮する考古学者レイドナー博士のたっての希望により、死んだ前夫からの殺害予告に怯える魅惑的な夫人ルイーズ・レイドナーの世話を引き受けます。他人行儀すぎる雰囲気と奇妙な緊張感の漂う遺跡調査隊のメンバーたち。そして調査隊メンバー以外は加害者となりえない調査団宿舎内という限定された空間において、ついに殺人事件が発生します。解決に向けて召喚されたのは、偶然付近を旅していた名探偵ポワロ。今回はミス・レザランをワトスン役に迎えて事件に挑みます。 ところで本作は英国による間接統治下の1930年代のイラクを舞台にしているものの、政治や歴史にまつわる描写はなく、地域性もほぼ感じさせません。基本的に遺跡調査により財宝発掘が可能な場として背景に選ばれているに過ぎず、仮にアフリカやインドを舞台にしていたところで物語としては支障なく成立するでしょう。そのためタイトルから紀行文的な異国情緒も味わえるのではないかと期待したのであれば、その点が満たされる作品ではないことは挙げておきます。 また、通読したうえでルイーズと、ある人物との関係性に無理を感じる部分もあるのですが、いずれにせよ本作が安心して楽しめるクリスティのミステリ作品のひとつであることには変わりありません。 作品の本筋とは全く関わりがありませんが、レザランが最後まで独身であることに何か意味があるのか、少し気にかかりました。

Posted byブクログ