やわらかい砂のうえ の商品レビュー
臆病で、傷つきたくなくて、真面目で、でも心の中では周りの人のことは軽蔑したり嫌悪したりしている。 心が綺麗なわけではない自覚はある。 そんな彼女が、歳の離れた友達と、高校時代のクラスメイトと、初めてできた恋人と、関わり方を考えて悩んで少しだけ傷ついたりして、大人になる。 「わた...
臆病で、傷つきたくなくて、真面目で、でも心の中では周りの人のことは軽蔑したり嫌悪したりしている。 心が綺麗なわけではない自覚はある。 そんな彼女が、歳の離れた友達と、高校時代のクラスメイトと、初めてできた恋人と、関わり方を考えて悩んで少しだけ傷ついたりして、大人になる。 「わたしは、わたしのことを好きになりたい」 その言葉が胸に響いた。
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大人の成長記。お父さんが素敵。 「あつまり」の構図は、むかしのドラマ「きらきらひかる」とうっすら被った。
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キチンと人を理解するって難しい。 自分に素直に生きる事も難しい。 でも でも、上手に生きなくてもちゃんと見ていてくれる人がいるんだね。
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自分のことは色々自信が持てない万智子。 自分の価値観を人に押し付けてしまうようなところもある万智子。 きっと生きづらいだろう。 しかしあることをきっかけに世代の違う女性達と知り合い少しずつ変わっていく。 「自分に自信を持つ」ということは「私は美しく」と思えるという意味だと気づく。...
自分のことは色々自信が持てない万智子。 自分の価値観を人に押し付けてしまうようなところもある万智子。 きっと生きづらいだろう。 しかしあることをきっかけに世代の違う女性達と知り合い少しずつ変わっていく。 「自分に自信を持つ」ということは「私は美しく」と思えるという意味だと気づく。 私もそう思う。 自信過剰はいただけないけど、何かを成し遂げ、確固たる自信を持つことは人を美しくすると思う。 万智子のお父さん、いいね。本多先生も。この世代では生きづらそうだけど。 『「美しくなる」ということは、他の誰かのようになることを目指すのではなく、自分が自分のまま世界と向き合う力をえることなのだ。』という著者の最後の言葉にも納得。 今からでも遅くないかな、私も。 余談だが寺地さんの作品にはちょくちょく彼女の他の作品の話が出てくる。それも楽しみだ。
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「美しくなる」ということは、他の誰かのようになることを目指すのではなく、自分が自分のまま世界と向き合う力を得ることなのだ まちこが、昔の自分をみているみたいでヒリヒリした。でも、カッコいい方達に出会い成長していく姿が良かったなぁ。 あと、天瀬ワイナリー!!
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相手を傷つけないよう、正しくあろう…と先回りしすぎてうまくコミュニケーションがとれない主人公。私はあまり共感できない部分もあるので、その視点がちょっともどかしいけど面白い。ちゃんとそのもどかしい部分をストレートに指摘する登場人物もいて、そういう考えに触れながら一歩一歩進んでいく感...
相手を傷つけないよう、正しくあろう…と先回りしすぎてうまくコミュニケーションがとれない主人公。私はあまり共感できない部分もあるので、その視点がちょっともどかしいけど面白い。ちゃんとそのもどかしい部分をストレートに指摘する登場人物もいて、そういう考えに触れながら一歩一歩進んでいく感じが良い。 タイトルにもなっているやわらかい砂の上を歩くイメージと、終盤で示される靴の比喩が素敵だった。
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真面目だけれど不器用な女性、万智子の精神的な成長と自立を描くヒューマンドラマ。 * * * * * 主人公の万智子は、物事について感じたことをじっくり考えてからしか言葉にできないという、内省的なところのある女性です。また、女性であることを前面に出す生き方に否定...
真面目だけれど不器用な女性、万智子の精神的な成長と自立を描くヒューマンドラマ。 * * * * * 主人公の万智子は、物事について感じたことをじっくり考えてからしか言葉にできないという、内省的なところのある女性です。また、女性であることを前面に出す生き方に否定的な点で『水を縫う』の水青にも通ずるところのある女性でもあります。 そして、自分というものに誠実に向き合って生きてきただけにこだわりが強く、いわゆる「面倒くさい」ところもあります。 その万智子が、3人の高齢女性と出会うことによって少しずつ柔軟性を身につけ、自身のスタンスを確立していく過程が描かれます。 どちらかと言えば頑固なところがある万智子が、「女性であることをきちんと認識して生きること」と、「女性であることを利用して世渡りする生き方」は違うということに気づいていくさまが作者らしい丁寧な筆致で描かれていて、共感できる筋立てでした。 自立する主人公の姿が魅力的であり、良作だと思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
P.209「友だちに力を貸すのに、理由なんかいらないだろう」 P.217「誰かに『だいじょうぶだよ』って言ってほしかったんだ、ずっと」 P.223「弱さもやさしさもずるさも、ぜんぶまとめて、好きだった」 P.225「人はひとりでは生きていけない、なんて言うけど、誰かと手を繋いでいたら転んでしまう時だってあるんだということを知った。 ためらいなく繋いだ手を離せるように、隣を歩いている人を信じる。自分の足でしっかり立つ。」
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「相手についてよく知っている」ことは、わたしにとっては友だちの絶対条件ではないから。 知らないことがたくさんあるのは、これからいろんなことを知る機会があるってことやろ? 役に立つとか、立たないとか、人間は道具ではありませんからね。 不愉快だと思ったことは不愉快やって言うたら...
「相手についてよく知っている」ことは、わたしにとっては友だちの絶対条件ではないから。 知らないことがたくさんあるのは、これからいろんなことを知る機会があるってことやろ? 役に立つとか、立たないとか、人間は道具ではありませんからね。 不愉快だと思ったことは不愉快やって言うたらええねん。 失礼なこと言われたらちゃんと怒りなさい。 万智子は万智子のために怒る義務があるんやで。 どんなに気が合うといっても他人は他人。 自分のすべてを理解してもらいたいとは思わないし、いかに愛する相手でもすべてを話してほしいとは思わないのだそうだ。 真実でも、正論でも、相手の状況とか状態いかんによっては、受け入れてもらえんこともあるしな。 ぜんぶ話せるのがいい関係やとは、私は思ってない。 同じ重さの荷物を持つことが平等なわけじゃない。 あんたが思う『正しい生きかた』を実践するのは勝手やけどな。 それを盾に他人を裁くのはどうなん。 ちょっと傲慢なんとちゃう? あなたは思っていることを言って、それを聞いた美華さんが怒った。 ただそれだけ。 それとも誰かに怒られたら主張を曲げるの? 自分の意見を言う時は殴られる覚悟が必要よ。 その人の好きな部分だけじゃなく、嫌いな部分もすべて受け入れて許さないと、友だちにはなられへんのやろうか。 友だちに力を貸すのに、理由なんかいらないだろう。 なにかを手に入れるのに、べつのなにかを諦める必要なんてないのよ、ほんとうは。
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やわらかい砂のうえを一緒に歩ける人に出会いたい。そんな読後感。 途中、万智子の潔癖なところとか、女とかってところがちょっと引っかかったけど、それに負けない結末でよかった。
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