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童の神 の商品レビュー

4.4

40件のお客様レビュー

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    19

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2023/11/22

悲しい物語でした。 今で言うなら、人権問題に立ち向かった主人公。 どこに住もうが、家系がどうであろうが、人は皆同じであると言う信念のもと戦います。 戦などしたくはないけど、命令に従うしかない都の人々。 いつの世も戦は悲しみしか生みませんね。

Posted byブクログ

2023/10/14

大江山の鬼退治という童話のような伝説ともなっている話を、リアルでありながらファンタジックに、生き生きと描いた小説。 平安時代。 中央集権が進み、宮中文化が栄えた平安時代は、平和でも安心できる世でもなかった‥? 安和の変が起きた962年に物語は始まります。 京の都にも、ほど近い地...

大江山の鬼退治という童話のような伝説ともなっている話を、リアルでありながらファンタジックに、生き生きと描いた小説。 平安時代。 中央集権が進み、宮中文化が栄えた平安時代は、平和でも安心できる世でもなかった‥? 安和の変が起きた962年に物語は始まります。 京の都にも、ほど近い地域にも、「童」と呼ばれる、朝廷にまつろわぬ者たちがいた。「童」というのは、子供という意味ではなく、鬼、土蜘蛛、夷、滝夜叉、山姥などをまとめて蔑んで呼ぶ言葉。 一方的に蔑む権力者に対抗して、乱が起きたのだが、あえなく鎮圧される。 安倍晴明は、皆既日食を凶事と断じ、ゆえに恩赦が出るように事を運ぶ。じつは童と通じていて、囚われた彼らを救ったのだ。 この年この日、越後で桜暁丸(おうぎまる)が生まれた。父は郡司で、流れ着いた異国の女性との間に子をなしたのだ。夷を差別しない人柄だったが、京に目をつけられてしまう。 桜暁丸は父と故郷を喪い、「花天狗」という盗賊となった。のちの「酒呑童子」この童子という名が子供という意味ではなかったわけです。 跋扈する盗賊や、表には出ずに山で暮らす人々との出会い。 それぞれの強さと意気地、はかなさとしぶとさ。 影に日に活躍する女性たちも魅力的です。 実在する人物も、伝承を思わせる内容も出て来て、その描き方がスピーディで熱っぽく、きらきらと輝くよう。 引き込まれて一気読み。 史実でこれほど大規模な闘いがあったのかどうか。 平安時代については、数字的なことがよくわからないのだが。 赤い血の流れる同じ人間でありながら、秩序になじまないという理由で、否定する。 元はそれぞれ離れた土地で、その土地なりに暮らしていただけなのに。 世の制度が整っていくときに起きる残酷さ。 時代の流れとはまた別な、異なるものを排除する心理。 現代でも、根深く、あちこちで起きている現象のようにも思います。 せめて、極端な差別や争いを起こさない方向へ、進んでいけたらと願うばかり。 2019年初読。2023年、文庫で再読。

Posted byブクログ

2023/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

塞翁の盾の前に読むつもりやったけど、予約期限の関係で後回しにした本作を読んで納得。今村翔吾は外したらアカン、フォロー必須の小説家。 日本史の悪役として虐げられてきた化外の人々。ちょっと目線を変えたら彼らこそ被害者、力を持つものに敵視され捕らえられ奴隷とされて忌み嫌われ差別されてきた人々。 「人を分けるな」「人を諦めない」…生まれた場所、地位、性別、趣向、何がどうであっても人は人なのであり、等しく同じく赤い血が流れている。桜暁丸の目指した世の中は千年たった今も達成されてはいないが、それでも俺たちはまだまだ目指していけるはずである。 民俗学や伝承を重層的に構築しなおした設定に難しいテーマを載せている小説だが、痛快でさわやかで少し切ない水滸伝にも通じる名作、個人的には生活圏の山々が舞台となっているのも良かった。 究極の個人主義は無差別社会に通じると思う。俺は俺、お前はお前、必要に応じて連携もするが、基本的にはそれぞれで頑張れ、各々で楽しめ…それでいいじゃないか。

Posted byブクログ

2023/08/03

酒呑童子の話を酒呑童子の側から見たお話。 歴史は勝者が語るものなので、こういうことがあってもおかしくはないなと思うものがあります。 登場人物たちが敵味方含めて魅力的な描き方をされているので(一部そうでない人物もいますが…)ぐいぐい惹きつけられるのですが結末が分かっているだけに読み...

酒呑童子の話を酒呑童子の側から見たお話。 歴史は勝者が語るものなので、こういうことがあってもおかしくはないなと思うものがあります。 登場人物たちが敵味方含めて魅力的な描き方をされているので(一部そうでない人物もいますが…)ぐいぐい惹きつけられるのですが結末が分かっているだけに読み進めるのが辛かったです。 あとがきを見ると三部作になるらしいので、また出たらきっと読みます!

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2023/07/01

泣かされた〜! 歴史において退治される側である桜暁丸が主人公に据えられている時点で結末は分かってはいる。 だけどそれでも読む手が止まらないくらい惹き込まれた。 蔑まれた彼らの生い立ちは誰もが皆辛いものだけど、それぞれの立場故に敵対し苦悩もする。 幸せになってほしいのに、そうさせて...

泣かされた〜! 歴史において退治される側である桜暁丸が主人公に据えられている時点で結末は分かってはいる。 だけどそれでも読む手が止まらないくらい惹き込まれた。 蔑まれた彼らの生い立ちは誰もが皆辛いものだけど、それぞれの立場故に敵対し苦悩もする。 幸せになってほしいのに、そうさせてくれない史実が悲しい…

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2023/06/09

平安時代、朝廷は体制を維持するためのスケープゴートとして、京人に従わない土着の集団を人間以下の存在と蔑称で呼び、数の力を持って征服していた。同じ人間のはずなのに、この理不尽に憤り、抵抗する人たちの物語。 場所は違えど高橋克彦氏の東北シリーズと類似のテーマです。人間性や武力など個人...

平安時代、朝廷は体制を維持するためのスケープゴートとして、京人に従わない土着の集団を人間以下の存在と蔑称で呼び、数の力を持って征服していた。同じ人間のはずなのに、この理不尽に憤り、抵抗する人たちの物語。 場所は違えど高橋克彦氏の東北シリーズと類似のテーマです。人間性や武力など個人の能力は優れているのに、最後は朝廷側の姑息さと数によって無念の死を遂げてしまうところも歴史である以上は残念ながら変えられませんが、風の陣を呼んだ時の感動が蘇る素晴らしい作品でした。三部作の構想があるとのことなので、続篇も大いに期待します。

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2023/05/20

インパクト!冒頭のたった一人の登場人物により、興味津々!10P進まないうちにくぎ付けになっていた。晴明に始まり、当時の藤原家の全盛期の時代背景の中で源頼光、渡辺綱、坂田金時と役者たちが次々と登場してくる。そうなれば主人公は酒呑童子? 「童の神」 晴明と結ばれ、子を授かった女人は平...

インパクト!冒頭のたった一人の登場人物により、興味津々!10P進まないうちにくぎ付けになっていた。晴明に始まり、当時の藤原家の全盛期の時代背景の中で源頼光、渡辺綱、坂田金時と役者たちが次々と登場してくる。そうなれば主人公は酒呑童子? 「童の神」 晴明と結ばれ、子を授かった女人は平将門の遺児。しかし主人公は桜暁丸。癖のある面々を脇に従え、調停を相手に彼の奮闘劇が始まる。これは三日に1Pの割合で進んでいたのだが、4日目にはすべて読み終えてしまった。ついつい読みいってしまう題材でした

Posted byブクログ

2023/01/10

平安時代の日本には差別や搾取、不公正が渦巻いている。その象徴が貴族の飽食である。「貴族の食事には飯の他に十ほどの副菜がつく。まず一碗に沢山盛りつければ盛りつけるほど美しいとされている。白米に至っては碗に抑え込んで、一尺(三十センチ)ほどの高さに盛り上げるのだ。全て食うならまだ良い...

平安時代の日本には差別や搾取、不公正が渦巻いている。その象徴が貴族の飽食である。「貴族の食事には飯の他に十ほどの副菜がつく。まず一碗に沢山盛りつければ盛りつけるほど美しいとされている。白米に至っては碗に抑え込んで、一尺(三十センチ)ほどの高さに盛り上げるのだ。全て食うならまだ良いが、どの碗も皿も一口、二口箸をつけてその大半を残す」。これは「意地汚い」と批判される。 安和の変は清和源氏二代目の源満仲が源高明を密告し、満仲の弟の満季が検非違使として藤原千晴を逮捕した。満仲は高明側の人間で、裏切って密告したとの説が有力である。 満仲と満季の各々の子が頼光と致公である。二人は鬼賊の討伐で活躍する。頼光の酒呑童子退治は有名であるが、毒酒を飲ませて弱らせて殺すという、だまし討ちであり、武門の棟梁として称賛されるものではなかった。これらの伝承をベースに物語を仕立てている。因みに致公の子孫から播磨国揖保郡を本拠地とする林田氏が生まれた。 満仲は藤原兼家、頼光は藤原道長に仕えた。平安時代は貴族の時代であり、武士で政治の中心にいなかったが、権力者の近くに存在した。貴族の時代に武士の時代が準備されていた。

Posted byブクログ

2022/12/18

当初、あまり気が乗らず放置する事半年。 再度読み始めたらエンジンが掛かり一気に読了。 今村翔吾氏 は火事場や戦場など人の躍動を描いたら天下一品だ。 かつて蝦夷と呼ばれた我が北国にも阿弖流為(アテルイ)という英雄がいた。その姿を重ねて読んだ。彼も坂上田村麻呂に討伐されたが、田村麿も...

当初、あまり気が乗らず放置する事半年。 再度読み始めたらエンジンが掛かり一気に読了。 今村翔吾氏 は火事場や戦場など人の躍動を描いたら天下一品だ。 かつて蝦夷と呼ばれた我が北国にも阿弖流為(アテルイ)という英雄がいた。その姿を重ねて読んだ。彼も坂上田村麻呂に討伐されたが、田村麿も渡辺綱と同じような感情を持ったのではないか。そう、切望する。

Posted byブクログ

2022/11/25

ぼろ鳶から思っていたけれど、この方の戦闘描写があまり好みでは無いので、戦闘が多い本作は合わなかった。設定は面白いが展開もそこまで面白くは…。 期待しすぎた。

Posted byブクログ