家族じまい の商品レビュー
家族って何だろうとよく考える昨今でしたが、この本を読むとどこで家族が始まっても、起点となったものは衰退して新たな家族に飲み込まれて消えていくんだなあと思いました。主人公がどんどん入れ替わっていく物語のようですね人生って。
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認知症になった妻と介護する夫、その子供と配偶者を中心に、老々介護や跡継ぎ問題、夫婦の思いのズレ、血縁ならではの人間関係のもつれあい…等々が、様々な(しかし絶妙に重なり合う)立場の5人の女性の視点から、終始淡々と描かれている。 切ない。なんとも切ない。 人は結局「ひとり」なんだろ...
認知症になった妻と介護する夫、その子供と配偶者を中心に、老々介護や跡継ぎ問題、夫婦の思いのズレ、血縁ならではの人間関係のもつれあい…等々が、様々な(しかし絶妙に重なり合う)立場の5人の女性の視点から、終始淡々と描かれている。 切ない。なんとも切ない。 人は結局「ひとり」なんだろうか。 でも、そう言い切れない余韻もほのかに残る。 40~50代には特に応えるのではないだろうか。
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読んでて胸が苦しかった。人間誰しも歳をとるから、身体も頭も元気なうちにたくさん家族や友達に恩返ししたい。自分が歳をとることもまだ受け入れられていないからこそ読んでいてしんどくなった。
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5人の女性の視点の連作短編。主に80歳を越えたサトミ夫妻の問題。認知症になったサトミ、老老介護の夫猛夫、娘の智代と乃理の家族としてのあり方など浮き彫りにされる。元々他人同士の男女が夫婦になり子を授かり、やがて子は成人して離れ、夫婦は老いる。このサイクルは永遠に繰り返され、自分は年...
5人の女性の視点の連作短編。主に80歳を越えたサトミ夫妻の問題。認知症になったサトミ、老老介護の夫猛夫、娘の智代と乃理の家族としてのあり方など浮き彫りにされる。元々他人同士の男女が夫婦になり子を授かり、やがて子は成人して離れ、夫婦は老いる。このサイクルは永遠に繰り返され、自分は年代とともにどこかに当てはまり、時には円満な家族となり得るが、この小説のようにそれぞれがバラバラの状態になり、家族じまいにもなる。核家族、高齢化、少子化の進む現代において一抹の寂しさが重くのし掛かってきた。
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第15回(2020)中央公論文芸賞 店じまい、という言葉がありますが、家族もしまいにすることができるのでしょうか?できないからこそ、家族って、しこりや憂鬱や傷つきがあるんでしょうね。このお話は、智代、陽紅(ようこ)、乃理、紀和(きわ)、登美子、の五人の女性を軸にそれぞれの親子、...
第15回(2020)中央公論文芸賞 店じまい、という言葉がありますが、家族もしまいにすることができるのでしょうか?できないからこそ、家族って、しこりや憂鬱や傷つきがあるんでしょうね。このお話は、智代、陽紅(ようこ)、乃理、紀和(きわ)、登美子、の五人の女性を軸にそれぞれの親子、夫婦、姉妹の、心の襞(ひだ)と変遷を、丁寧に写し取っていきます。 読み進めていくうちに読者はきっと、その登場人物のつぶやきの中に、今の自分や、これからの自分を見ることができると思います。 多かれ少なかれ 私たちは確実に老いていきます。 その過程で、このお話にあるように、親の介護の問題、セックスレスの夫婦の問題、 兄弟姉妹間のわだかまり、住む家のこと、 仕事のこと、経済的なこと、健康のこと、など大小の差こそあれ、悩みの種となるものがひとつは身に降りかかってきます。普段は蓋をしていた あれこれが身に降りかかってきた時にどういう心情になるか…作者が丁寧に紡いでいきます。 五人の女性たちのどのお話にも“起伏”を用意してくれた作者の構成の旨さに、さすがだなと思いました。ひねりをいくつも効かせた文章表現に、時々「ん?」となることもありますが、 それが 桜木紫乃さんの個性だと、今では思うことができます。 エンタメ小説というより、純文学の雰囲気がある小説です。
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8/24 家族をしまっていくこと、誰も老いからは逃れられない 当事者になった時どうなるんだろうか 認知症になった母の娘がアル中になってしまう話、結構ささった 子どもができたらママ、パパに呼び方が変わっていくのも日本の夫婦の典型って感じ 姥捨を思わせる
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親の介護が目前に迫っている。そんな娘2人と、認知症になった妻の介護をしている父親、妻の姉が各章の主人公。 家族の介護は未経験だが、その大変さは想像するだけで辛い。 家族としての情があるだけに、忘れられることへの悲しさと、自分の身にも起こるのではないかという恐怖がある。 でも、私...
親の介護が目前に迫っている。そんな娘2人と、認知症になった妻の介護をしている父親、妻の姉が各章の主人公。 家族の介護は未経験だが、その大変さは想像するだけで辛い。 家族としての情があるだけに、忘れられることへの悲しさと、自分の身にも起こるのではないかという恐怖がある。 でも、私はこの大変な現実を、夫婦で乗り越えていこうとする智代夫婦の関係が素敵だ。 子育てもひと段落して、夫婦だけの時間が増えた二人。 「この先なにがしたい?」と問う妻に、「わかんない。だから困ってんじゃないかな」と答える夫。 その後、「じゃあ、一緒に探そうか」「そうだなあ」と言う会話が良い。 この本には、色んな夫婦の形が描かれているが、智代夫妻のような関係になりたいと思った。
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誰だって歳をとる。親が歳を取ったらどうなるのか、どうするべきなのか、をとてもとても考えさせられました。 紀和が父の結婚を機に元家族という関係を終わるのでなく終えるのだと、終いでなく仕舞いなんだと言ってて、そうかーなるほどーと。 もちろん親に手助けがいるようになれば、そうも言...
誰だって歳をとる。親が歳を取ったらどうなるのか、どうするべきなのか、をとてもとても考えさせられました。 紀和が父の結婚を機に元家族という関係を終わるのでなく終えるのだと、終いでなく仕舞いなんだと言ってて、そうかーなるほどーと。 もちろん親に手助けがいるようになれば、そうも言ってられなくなるのですが。
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各章のそれぞれ登場人物がかぶっていくパターン どのお話も切ない。実に切ない。 さしたる盛り上がりがあるわけでもないどちらかというと淡々としたストーリーなのだけど、どこか、余韻が残る。 わたし、今日で母さんを捨てることにしたから、よろしく 最終「登美子」章でその娘が放つ強烈な...
各章のそれぞれ登場人物がかぶっていくパターン どのお話も切ない。実に切ない。 さしたる盛り上がりがあるわけでもないどちらかというと淡々としたストーリーなのだけど、どこか、余韻が残る。 わたし、今日で母さんを捨てることにしたから、よろしく 最終「登美子」章でその娘が放つ強烈なひとこと。 ああ、私も何年、何十年かしたら娘にこんな救いがたい一言を放たれるのかも そう思うと、親子って家族ってなんだ。 人間ひとりで生まれてきてほんの「つかのま」一緒に過ごす器なのか 死ぬときもひとりだしね 言われる前に卒親しておこう 学んだこと。登美子さんの80を超えても膝が痛くならない、背筋のすっと伸びた歩き方を想像して、「間接に逆らわずすいすいと歩く」ことを意識する。 特に感動もないが、落胆もしないストーリーだったけど、どこかふわりと印象に残る、それは作者の繊細な人の心のひだの掬い方と描写のせいだろうと。 ホテルローヤル、おもしろかったもんな。 あと、この本のタイトルがどうも覚えられず、「家族・・・」なんだっけ、と思うたびに浮かぶのが、「・・くずし」で、そりゃ、積み木だよな、と、 何度頭を振ったことか。 家族じまい。タイトルが、いい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
期待通りの小説だった。 北海道の広さが救いになる事もあれば苦しみに転じる事もある。 逃げねばならない時。 通わねばならない時。 場面場面でその距離感がまた一つの意味を持つ。 都会の北海道、田舎の北海道と色々な景色が広がるが、やはり跡取りに執拗に執着している老夫婦の田舎風景が一番ホラー掛かっていて怖い。その異常さに誰も疑問を持たないところも。陽紅はこの後どうなるのか。ハッピーエンドを願うが果たしてハッピーエンドとはどの様な形になればハッピーエンドと言えるのか。歪み過ぎていて想像がつかない。 登場人物の中でこの「うた子」が一番腹がたったし、私が嫁なら話の通じなさに絶望するだろう。陽紅の如才なさは大したもんだと思った。田舎暮らしはこういう術が必要よね。
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