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銀色の国 の商品レビュー

3.6

29件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

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2021/04/17

深く共感できる物語だった。 設定や事の経緯に無理がある部分も多く、こちらの想いがあまりにも都合良く相手に伝わる甘さはあるものの、起承転結を踏まえた小説としての構成はとてもうまいと思うし、自殺という暗い主題に救いを提示するテーマの有り様には素直に敬意を表したい。噛み砕いて言ってしま...

深く共感できる物語だった。 設定や事の経緯に無理がある部分も多く、こちらの想いがあまりにも都合良く相手に伝わる甘さはあるものの、起承転結を踏まえた小説としての構成はとてもうまいと思うし、自殺という暗い主題に救いを提示するテーマの有り様には素直に敬意を表したい。噛み砕いて言ってしまえば「銀の国」とはハイスペックな「動物の森」であり、捉え方は人それぞれなのだろうが、そこが日常に居場所の無い人たちの逃げ場所として機能する側面があるのは実感として理解できる。僕が体験しているのは昔々の文字チャットレベルだけれど、それでも確かにそこは自由な別世界であったから。「銀の国」は自殺ゲームとして規定、設定されているが、それはそのまま反自殺ゲームにもなるのではないかな?毎日美しい月が上る世界をそのまま続けることはできなかったのだろうか?過度な没入は物理的に間違いなく危険だけれど、バーチャルリアリティの大きな可能性のひとつを示したという意味でもこれはかなりの秀作だと思いました。

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2021/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自殺したい人、止めたい人、バーチャル世界と現実世界、それぞれの感情がとてもリアルに感じられた。自殺をテーマにしたものだと、こちらまで気持ちが引きずられたりするのではと、不安もあったが、そういったことはなくて安心した。 自殺をしたい人の気持ちがよく分かる。現実の世界から逃げたくて、バーチャル世界では幸せに穏やかに過ごせるなら、そちらの世界にずっといたいのも分かる。すごく共感した。逃げ癖がつくと、このまま現実に戻れない恐怖、どこまでだったらまだ間に合うのか、そういった危うい感じもよくわかる。 それでも、自殺を止めたい人は一生懸命話を聞こうとする。人の話を聞くのってとてもとても大切なことなんだなって改めて思う。

Posted byブクログ

2021/01/28

自殺を扱った作品だけど、救済度が高い。 自殺に導くvrゲーム。あったら本当怖い。 今の時代、あながち夢物語ともいいきれない。 西野トム。ここにも登場!いいキャラだ。

Posted byブクログ

2020/10/07

10月-6。3.5点。 自殺防止NPOの主人公、ゲーム開発者の親友。協力しながら、自殺を誘うゲームの謎に挑む。 余り期待していなかったが(すいません)、一気読みした。スピード感あり、場面転換も上手くてのめり込んだ。結構面白い。

Posted byブクログ

2020/08/28

詩織とくるみの境遇に重なるところがあり、銀色の国の世界観に引きこまれました。 ゲームやネットにのめりこんで人間関係が希薄になるという説もあるけれど、のめりこませ続けるには結局人間関係が必要なんだなと思いました。面白かったです。

Posted byブクログ

2020/08/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

暗い内容だけど最後まで読める。点と点が繋がって気持ちいい終わり。 絶望より希望があるほうがいい。 「自分を友達のように大切に扱えば、色々と上手くいく」

Posted byブクログ

2020/08/15

自殺対策NPOとして、人々を救おうとする晃佑。ネット上の自助グループ「銀色の国」に招かれ、徐々にのめりこんでいくくるみ。謎の男に拉致され「仕事」をさせられる詩織。それぞれのパートが徐々に繋がり、やがて明らかになる恐ろしい計画。目的もさながら、その手段にも戦慄を禁じ得ないミステリ。...

自殺対策NPOとして、人々を救おうとする晃佑。ネット上の自助グループ「銀色の国」に招かれ、徐々にのめりこんでいくくるみ。謎の男に拉致され「仕事」をさせられる詩織。それぞれのパートが徐々に繋がり、やがて明らかになる恐ろしい計画。目的もさながら、その手段にも戦慄を禁じ得ないミステリ。 誰にだって悩みはないはずがないし、その悩みの大小だけで不幸かどうかが決まるわけじゃない。だからくるみのような「些細な」悩みの数々で自殺を考えてしまうのが甘ったれている、とは言えないと思うのですが。自身で悩みの大きさを測ってしまったがゆえに居場所がないと感じてしまう苦しさが痛烈でした。こういうのって、他人に理解してもらうのは難しいような気がします。そして、彼女がのめりこんでいった美しい「銀色の国」。これは心のよりどころになりそうだけれど……ダメだわ、これはあまりに怖い! さほど切羽詰まった理由でもないのに希死念慮を持つ人に関しては、理解できないわけじゃありません。だけれどそれを後押しすることが救いになるとはどうしても思えませんでした。だけれど、そう思っちゃう人もいるのだろうな、と。それが一番恐ろしいのかも。

Posted byブクログ

2020/06/07

「自殺」をテーマにしたミステリーだが、逸木さんの作品らしく最新のテクノロジーを絡めた作品になっている。本書は人生に絶望した一人の「死にたい」少女に迫る闇を巡る物語で、数年後の未来(現在でもやろうと思えば実行できそう)に起こりそうなテクノロジーを悪用した犯罪を見事に描き切っている。...

「自殺」をテーマにしたミステリーだが、逸木さんの作品らしく最新のテクノロジーを絡めた作品になっている。本書は人生に絶望した一人の「死にたい」少女に迫る闇を巡る物語で、数年後の未来(現在でもやろうと思えば実行できそう)に起こりそうなテクノロジーを悪用した犯罪を見事に描き切っている。作中、仮想空間と現実とで物語が交差するが、将来的にこのへんがシームレスになることの危険性も警鐘しているのかな。長編だが、展開が早くラストまで飽きさせない内容で、エピローグまで楽しめたし読後感もよい。

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2020/05/29

怖い。何とも言えない薄ら怖さにのどが締め付けられるようだ。苦しい。息ができないほど、怖い。 毎日、毎時間、毎分、零れ落ち続ける「死にたい」という思い。 ネット上でその希死念慮を挟んで存在する、自殺対策のNPO法人代表の田宮と、VRゲームの中の王アルテミス。救い上げようとする田宮...

怖い。何とも言えない薄ら怖さにのどが締め付けられるようだ。苦しい。息ができないほど、怖い。 毎日、毎時間、毎分、零れ落ち続ける「死にたい」という思い。 ネット上でその希死念慮を挟んで存在する、自殺対策のNPO法人代表の田宮と、VRゲームの中の王アルテミス。救い上げようとする田宮と、突き落とそうとする王。「死」という観念を挟んで分かれるそのボーダーはなにか。 仮想空間という楽園の怖さ。死へのハードルを少しずつ下げていく過程が、怖い。自分も誘われているような錯覚。読み終わって眠りに落ちる瞬間に浮かぶ銀色の国。 これは、作り物の社会を描いた作り物の世界だ、そう言い聞かせる。 でも、作り物?本当か?これは物語なのか?一晩経っても心のどこかで銀色の国が呼んでいる気がする。

Posted byブクログ