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水を縫う の商品レビュー

4.3

358件のお客様レビュー

  1. 5つ

    139

  2. 4つ

    144

  3. 3つ

    47

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2024/09/15

失敗する権利、雨に濡れる自由。祖母の言葉が良かった。好きなものを好きと言えるキヨは強い。普通って難しい。

Posted byブクログ

2024/09/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

たまたま見つけた寺地はるなさんのXで、とある人から登場人物の清澄を「裁縫男子」と言われたことが残念ですと書かれた記事を読んだ。「普通」とは何か。好きなものを好きだと言ってはいけないのか。男の性のからだで生まれたから、女の性のからだでうまれたから、という目に見えない差別に、いったいいつまで縛られないといけないのか……。もちろん、社会がうんだが故に浸透していない、性別により与えられた役割がまだ根強いのは否めないのだが……。有名なデザイナーや服をつくる人で私も知っている人のなかには男性だっているのに。 この小説のなかでは、マイノリティの人がどれだけ生きづらさを感じているか、理解してもらえない苦しさにもスポットライトを当てているように思う。少人数なだけで、あなたのそばにだって、いるんだよっていうことを知ってほしい。 第六章の「流れる水は沈まない」では、自分のことを理解しなくていいから、ただ見てほしいと清澄は願う。元々理解してほしいとは思っていない。認めてほしいのだ。自分はただ刺繍することや縫い物が好きなのだ、好きだからやっているのだということを。 そこでいうと、父親の全もただ自分がしたいことを貫きたくて続けているように思う。 オブラートに包んで言えば“ナチュラルな服”であった黒田さんからすれば“つまらない服”は水青のために作り続けていたものだったのだろう。あの日、自分が作ったフリルやリボンがついたワンピースを水青に拒絶された全。あれから、水青にまた着てもらう日を夢見て作り続けた服たち。あれらはちゃんと着てもらいたいと願うモデルがいたのだ。 そこからの、水青のウエディングドレスを作る流れには「服を作り続けたかいがあった…!」と思わずにはいられない。娘のためにウエディングドレスを作るなんて…胸が熱くなってしかたない。 そして刺繍は清澄の手で…水青と自分の名前の由来を元に。 「水を縫う」の意味に、最後まで読んでようやくたどり着けた。

Posted byブクログ

2024/09/12

「失敗する権利」 失敗ってなんだろう、基準は人それぞれで、押し付けずにうまく推し量る必要がある。 好きなことが仕事やお金に結び付かなくても、好きは好きで持っておきたい。それは人生の失敗でもなんでもない。 性別や環境など関係なく、好きなものを好きと言える世界で生きていきたいし、そ...

「失敗する権利」 失敗ってなんだろう、基準は人それぞれで、押し付けずにうまく推し量る必要がある。 好きなことが仕事やお金に結び付かなくても、好きは好きで持っておきたい。それは人生の失敗でもなんでもない。 性別や環境など関係なく、好きなものを好きと言える世界で生きていきたいし、そういう人でありたいと思った。 読み終わったとき、こころがぐるっと洗われて、すっきりした気持ちになれた作品だった。

Posted byブクログ

2024/09/11

「失敗する権利がある」 考えさせられる言葉である。 母は子にあれこれつい先回りをして口うるさく言ってしまう。 子を思うがゆえのことであり、もちろんそれがよくないのも承知しているが。 でも、言わないのも言わないで関心がないと思われる。この塩梅が難しくてわからない。 家族それぞれ...

「失敗する権利がある」 考えさせられる言葉である。 母は子にあれこれつい先回りをして口うるさく言ってしまう。 子を思うがゆえのことであり、もちろんそれがよくないのも承知しているが。 でも、言わないのも言わないで関心がないと思われる。この塩梅が難しくてわからない。 家族それぞれの葛藤もよくわかる。 好きなものを好きと言えないことも、「かわいい」の呪縛にとらわれることも、「女はこうあるべき」「母なら子どもに手をかけるべき」という誰かの理想を押し付けられることも。 なんだか心にじわっとくる一冊だったな。

Posted byブクログ

2024/09/04

葛藤を抱えながら進む家族の話。社会の圧力や柵や普通、といった覚えのある生きづらさに共感する。母の気持ちも分からんでもないが、姉や弟の気持ちに共感を覚える。いやもうめちゃくちゃ分かる。普通なんてものはない、と流水のように感じたい。失敗する権利、の言葉が印象的

Posted byブクログ

2024/08/24

人間の いいところや悪いところを線で繋ぐと 平均的な⚪ではなくて ギザギザな感じのグラフになってしまう それぞれが、違う特技があって物の見方があっていいのだけれど 自分と違うからといって否定するのは間違っている 間違えていることもふくめて受け止められることが大切で その人そのもの...

人間の いいところや悪いところを線で繋ぐと 平均的な⚪ではなくて ギザギザな感じのグラフになってしまう それぞれが、違う特技があって物の見方があっていいのだけれど 自分と違うからといって否定するのは間違っている 間違えていることもふくめて受け止められることが大切で その人そのものをきちんとみてあげれたらいい たとえ受け入れられなくても

Posted byブクログ

2024/08/18

この本大好きです!家族それぞれの目線で書かれている6遍で構成されていて、私は自分もバツイチなのでお母さんの気持ちがよくわかるし、おばあちゃんが解放されていく姿も清々しい。そしてお父さんの章がとても素敵です。エンディングに向かっての私はずっとワクワクしてました。どんなドレスが出来た...

この本大好きです!家族それぞれの目線で書かれている6遍で構成されていて、私は自分もバツイチなのでお母さんの気持ちがよくわかるし、おばあちゃんが解放されていく姿も清々しい。そしてお父さんの章がとても素敵です。エンディングに向かっての私はずっとワクワクしてました。どんなドレスが出来たんだろう。

Posted byブクログ

2024/08/12

水青ちゃんのドレス見てみたいなーが1番の感想。 連作短編6つからなるお話。登場人物達それぞれの立場で物語が進むのだけど、父(全)の目線での物語はなかった‼️ちょっと気になる~ おばあちゃんと黒田さんと清澄が好き。 もっともっと頭が柔らかい学生時代にこう言うお話読んどけば、普通に...

水青ちゃんのドレス見てみたいなーが1番の感想。 連作短編6つからなるお話。登場人物達それぞれの立場で物語が進むのだけど、父(全)の目線での物語はなかった‼️ちょっと気になる~ おばあちゃんと黒田さんと清澄が好き。 もっともっと頭が柔らかい学生時代にこう言うお話読んどけば、普通に縛られたり縛ったりしなくて良かったのかな。でも、学生時代は学生時代で周りの目が気になっちゃうのかも。 この家族の今後が気になります。

Posted byブクログ

2024/08/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりに清々しい気持ちになった。 男だから、女だから、世間体とか、周りの物差しに囚われがちな世の中で、自分のしたい事を突き詰めて、不器用に生きて行く家族の物語。 主人公の高校生の男の子は、小さい時から刺繍が好きだが、それは男の子っぽくないから、と周りには内緒にしていた。離婚して、家を出た父親は、服飾デザイナーで、その血を受け継いでいるかも、と思ったが、その事を嫌悪している母には言えず、優しい祖母だけには打ち明けていた。 姉の結婚を機に、彼女のためにウエディングドレスを作りたい、と言い出し、何とかやろうとするが上手くいかず、渋々父親に相談。父親と、その親友であり、家族のように見守ってくれた黒田さんと共に、そのドレスを姉のリクエストどうりに仕上げて行く。 相手を思いやる故に一度は離れてしまった 家族を、自分の好きな刺繍という形で繋ぎ合わせていく。 家族の形はみんな違ってみんな良い。 周りの価値観に囚われず、ただ、大切にしたいと思うものを大切にする。 単純だけど、難しい。でも、それを追い求めれは、自ずと幸せが付いてくる。 そんな事を感じた、心温まる小説でした。

Posted byブクログ

2024/08/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

寺地はるなさんの綴る文章がやっぱり好きだなと実感する作品。一人ひとりがそれぞれの自由を求めて、社会と向き合う。社会と向き合うと言っても決して大それたことではなく、目の前の生活と向き合い、自分の気持ちと向き合い、言葉にしたり行動したりする。そういうひとつひとつが生きることなんだと感じた。 また、水青と清澄の名前の由来が美しくて特に好きだった。『水を縫う』、どういう意味だろうとぼんやり疑問に思っていたが、最後の最後に明らかになって気持ちがいい。

Posted byブクログ