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サガレン の商品レビュー

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31件のお客様レビュー

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2020/06/08

樺太、サハリンの旧名サガレン。現在はロシア領。林芙美子や宮沢賢治が旅した地。多くの日本人に忘れられた土地を探訪した旅。 梯久美子さんの新作ということで強く期待して手に取ってみました。 第一部「寝台急行、北へ」は急行サハリン号による鉄道紀行。旅先で林芙美子の「下駄で歩いた巴里」...

樺太、サハリンの旧名サガレン。現在はロシア領。林芙美子や宮沢賢治が旅した地。多くの日本人に忘れられた土地を探訪した旅。 梯久美子さんの新作ということで強く期待して手に取ってみました。 第一部「寝台急行、北へ」は急行サハリン号による鉄道紀行。旅先で林芙美子の「下駄で歩いた巴里」片手に、作家の見たであろう風景と同じ景色に思いを馳せる。こちらは憧れの急行に乗った筆者のハイテンションが目立つ。 第二部は「『賢治の樺太』をゆく」。最愛の妹を病で失い傷心の宮沢賢治が故郷花巻から樺太への旅。実際の旅での詩作を読み解きながら宮沢賢治の魂の変遷を想像する評伝的な内容。 前半と後半で大きく異なる内容。第二部は他の梯作品に匹敵する素晴らしい評伝。第一部の中途半端な記述との落差が大きい。第一部も林芙美子の評伝的な内容に絞っていた方が良かったように思う。国境の島、重い歴史の記載の中に中に筆者のハイテンションが不純物として入り込んでいるように残念ながら感じた。 本書は「本の旅人」「小説野性時代」に分けて連載されたもの。そもそもの成り立ちが異なっていたのかもしれない。 素材は素晴らしいだけになんとも惜しい一冊でした。

Posted byブクログ