哲学の先生と人生の話をしよう の商品レビュー
もともとメルマガでの人生相談を書籍にまとめたもの。投稿された悩み自体は特に取り上げるものではないが、著者の考察と回答はとても興味深い。本書で痛感するのは、観察眼や洞察力である。相談者の文章をそのまま受け取るのではなく、その背景を読み取っていて、それから答えている。このことを著者自...
もともとメルマガでの人生相談を書籍にまとめたもの。投稿された悩み自体は特に取り上げるものではないが、著者の考察と回答はとても興味深い。本書で痛感するのは、観察眼や洞察力である。相談者の文章をそのまま受け取るのではなく、その背景を読み取っていて、それから答えている。このことを著者自身は次のように述べている。 「書かれていることだけを読んでいてはダメである。人生相談においてはとりわけ、言われていないことこそが重要である。人は本当に大切なことを言わないのであり、それを探り当てなければならない」 この探り当て方が本書のおもしろいところで、悩み相談とは関係なく、日常生活で大いに転用できる考え方である。例えば、何かを宣伝するときに大義を掲げていても、報酬に関する記述が多ければ、ユーザーを釣り上げようという意識が強いことがわかる。また手段・手法の記述が多ければ、大義よりも自身のやり方をアピールしたいことが伺える。 一見、主張が一貫していないように見えても、視点を変えると一貫する。それがその人が本当に言いたいことであり大事にしていることである。自分がやっていることをどう見せるかは、自分が何を大事にしているのかを伝えるのと同じであるし、自分が大事にしていることは無意識のうちに多くの言葉を使い、具体的に説明してしまうのである。 人とのコミュニケーションのなかで、特に文章やドキュメント上で、相手の本心を汲み取ろうとするならば、本書を一読しておくとその探り当て方のコツを掴むことができるだろう。
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<何について書かれた本か?> 哲学の先生がメルマガ読者の人生相談に哲学目線で回答する本。共感できない質問者も少なくないが、回答には学ぶところが多い。 <どんな人に向けて書かれた本か?> 日常的な悩みに対して哲学的な観点の回答を聞きたい人。 <アンダーライン> ・「モテる」とは...
<何について書かれた本か?> 哲学の先生がメルマガ読者の人生相談に哲学目線で回答する本。共感できない質問者も少なくないが、回答には学ぶところが多い。 <どんな人に向けて書かれた本か?> 日常的な悩みに対して哲学的な観点の回答を聞きたい人。 <アンダーライン> ・「モテる」とは「敷居が低い」こと ・「未練」とは自分が支払いを受けていない感覚 ・感情は情動の結果 ・感情は情動を裏切ることができる ・人間性は変わらないけど、成長はする
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書かれている内容を丹念読み解いて、書かれていない内容をあぶり出して回答するスタイル。そういう視点もあるのかとひざを打つような内容のものもあれば、最後の方になればなるほど、手法にからめとられて、ちょっと強引すぎるんじゃないかと思われるような回答が多くなったり。特に男前の相談に対して...
書かれている内容を丹念読み解いて、書かれていない内容をあぶり出して回答するスタイル。そういう視点もあるのかとひざを打つような内容のものもあれば、最後の方になればなるほど、手法にからめとられて、ちょっと強引すぎるんじゃないかと思われるような回答が多くなったり。特に男前の相談に対してイデアを持ち出したあたりはなんじゃそりゃと思った。ただ総じて書かれていることと書かれていないことに誠実に向き合っていて、得るものが多い本だった。こういった感想文も、自意識がどうのとか分析されてしまうんだろうかなんて書きながら思った。
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人生相談の文章からいかに相手のことを細部までイメージし、回答を導くか、著者の想像力と細部までの観察眼を感じさせられた。 人生相談に対応するためには、これだけ想像力が必要なんだということを思い知らされた本。
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人生相談においては、とりわけ言われていないことこそが重要である。人は本当に大切なことを言わないのであり、それを探り当てなければならない。 うーん、どっかて聞いたようなセリフ。シャーロックホームズか?
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