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哲学の先生と人生の話をしよう の商品レビュー

4.3

35件のお客様レビュー

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2021/07/08

こういうコラムみたいな本を読んだことがなかったので、これはこれで面白い。 お酒を飲んだときに1つずつ読む時間が好きです。なんだか微睡の中ラジオを聴いているようで。

Posted byブクログ

2021/05/29

相談者の言葉からその真意を分析していく過程に学ぶ。時々読み返しては自分を見つめ直す。その時々で道標になってくれる大事な本。

Posted byブクログ

2021/05/22

哲学的な視点から人生相談に乗る國分さんの本。まずすごいと思った点が、投稿者の背景や状況を細かく分析して、真の問題点をつきとめている点。投稿者の悩みは一見よくあるものだなあと思っていると、思いがけないところで本当の悩みや実態が隠されていることに気づく。文章を正確に読まなければ、多分...

哲学的な視点から人生相談に乗る國分さんの本。まずすごいと思った点が、投稿者の背景や状況を細かく分析して、真の問題点をつきとめている点。投稿者の悩みは一見よくあるものだなあと思っていると、思いがけないところで本当の悩みや実態が隠されていることに気づく。文章を正確に読まなければ、多分気づかない。 そして浮き彫りとなった悩みへのアプローチも独特。よくある人生相談として、相談役が「俺/私はこう思う。だからお前もこうするべきなんじゃないか?」といった「俺/私流の考え」を押し付けであったり、「人生色々あるから前を向くしかない」といった抽象的な精神論で終わって、実質何も解決されないのを見かける(鼓舞される分には問題ないが、解決には至っていない) 一方本書は、序盤で問題点が整理されているので、客観的に実態を把握することができる。さらに明確な答えがない時もあるが、それは解説にもあった通り、自立を目的として、あえて自分で考える余地を残しているのではないかと思った。哲学書などを引用しているのはそういことなんだと思う。「考える」って大事だなあ。

Posted byブクログ

2021/03/25

哲学はほとんど全ての学問の元となる学問だと聞いたことがあります。哲学のようで心理学のようである、精神科医のように相談を紐解き導く國分功一郎の分析力は読んでいて非常に心地良い。相談内容をまるで哲学の本を読むようにして“書かれていないこと”も読み解いたとありましたが、その姿勢を文章か...

哲学はほとんど全ての学問の元となる学問だと聞いたことがあります。哲学のようで心理学のようである、精神科医のように相談を紐解き導く國分功一郎の分析力は読んでいて非常に心地良い。相談内容をまるで哲学の本を読むようにして“書かれていないこと”も読み解いたとありましたが、その姿勢を文章から感じ取ることができました。難解なイメージを持たれている哲学を分かりやすく書いているので、ここから哲学に興味がわく人もいるのではないでしょうか。ただ一点不安だなと思ったのは、國分功一郎の真似のように相談をバッサリ切ることが正だと考える人がいやしないかなということです。哲学の土壌があってこそ成せる技だと思うので、この領域に辿り着くことは簡単ではないと思います。

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2022/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

義両親の「ゴネ得」のQ&Aは圧巻。 以下引用 「ガリ勉は勉強ばっかりしているから問題なのではなく(中略)勉強しておけば大丈夫なんだという“信仰”をもっている点がまずいのです。(略)知識と考える力を身につけたいと思ったなら、ただそれをやればいい。しかし、それらを身につけたら自分の人生は大丈夫だと思っては大変な誤りを犯すことなります。(略)やりたいと思っていることをやればいいし、これじゃダメかなと思ったら立ち止まって考えればいい。ただ、「こういうことをやっていた人間はこうなれる」などとは思わないことです。」 「特にいまの若者は、無気力・無感動・無関心などと言われる。けれども、そんなことはない。一人ひとりはいろいろなことを考えている。でも、それを外に向かって発信するためのきっかけがない。どうすればいいのかも分からない」 「(グリューンの「自分自身に対する裏切り」)欠けるところのない無条件の愛情をずっと注いでもらって生きてきたひとなどいないからです。どんな親の愛だって、やはり多少は条件がついているのです。だから誰しもが心に多少傷を負っています。友人との関係、恋人との関係、社会や世界との関わりのなかで、傷を少しずつ回復しながら人間は生きていきます」 「「~が勉強したいんです」と言って大学に来るけど、入ってみたら本当にこれでよかったのか分からないってのがよくありますよね。あれも自分が勉強したいって言っているものが何なのかよく分かっていないから起こるのです。また、実際にいま自分が勉強していることが何なのかまだ十分に分かっていないのに、分かった気になってそれは面白くないとか判断を下していることもあります」 「人間の心はただ単に、これまで収集した情報が入っているだけです。別に無限の泉でも何でもないんです」

Posted byブクログ

2020/12/23

 フィンガレットによれば、帰路に立った人間が自由意志で選択するのが決断であるという考えは、西洋思想が作り出したステレオタイプに過ぎません。私たちは時折、重大な選択を迫られます。それらは徐々に行われることもあれば、突然に行われることもありますが、いずれにせよ、常に意図せざる仕方で行...

 フィンガレットによれば、帰路に立った人間が自由意志で選択するのが決断であるという考えは、西洋思想が作り出したステレオタイプに過ぎません。私たちは時折、重大な選択を迫られます。それらは徐々に行われることもあれば、突然に行われることもありますが、いずれにせよ、常に意図せざる仕方で行われるとフィガレットは言います。というのも、決断はあれこれと計算した結果としてなされるものではないからです。意図せずに行われていた逡巡と熟考の末に、「ああ、これがさすべきことだった」という仕方で、すでに決心がている自分に気づくのです。フィンガレットは、決断と受動的なものだとも言っています。安富歩の巧みな説明を用いて言い換えれば、人間は「こうしよう!」という形で決断するのではなく、「そうなってしまう……」という形で決断するのです。これは人間の意思が全く無力だということではありません。人間は意識と無意識の双方で様々に判断や処理を行っています。それらの相互作用の結果、何らかの意味を持ったパターンが立ち現れ、それが決断をもたらすということなのです。 安富歩「生きるための経済学—〈選択の自由〉からの返却」

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2020/11/14

メモ ◼️誰にも相談したことがないのでできない 観念の物質化と考える 人に話すと楽になる理由 ◼️悲観的な夫に腹が立ってしまいます 「プラス志向の人は、そもそもたくさんの事柄を考えないで済ましており、また、たくさんの事柄を考えないで済ますために多大なエネルギーを必要としているか...

メモ ◼️誰にも相談したことがないのでできない 観念の物質化と考える 人に話すと楽になる理由 ◼️悲観的な夫に腹が立ってしまいます 「プラス志向の人は、そもそもたくさんの事柄を考えないで済ましており、また、たくさんの事柄を考えないで済ますために多大なエネルギーを必要としているから、考える事柄が限定されている。ということは、プラス志向の人はあまりものを考えていないということになる。…そうやって無理をしていると、無理していることがつらいものですから、頑張らない人間がいることに苛立ちを覚えます。『なぜお前は弱音を吐くのか。俺なんてこんなにまで無理して頑張っている。プラス志向を維持している』という気持ちになるのです。」

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2020/11/03

カウンセラーか、精神分析家か、と思いつつ、哲学の先生の人生相談を読む。 時に厳しく、時にめちゃくちゃ優しい。 バッサリ切るからこそ、なんだかこの人信じられるなって気持ちになる。 そうか、哲学とは、人生論だよな。と改めて。 本の紹介本としても、大変面白い。 そして何より、千葉雅...

カウンセラーか、精神分析家か、と思いつつ、哲学の先生の人生相談を読む。 時に厳しく、時にめちゃくちゃ優しい。 バッサリ切るからこそ、なんだかこの人信じられるなって気持ちになる。 そうか、哲学とは、人生論だよな。と改めて。 本の紹介本としても、大変面白い。 そして何より、千葉雅也の解説が、なかなかなんとも良い。是非解説も。

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2020/10/11

届いた相談文に対して國分さんが回答するというどっかの人生相談コーナーが書籍化した本。 相談文に書かれていることから書かれていない背景を類推し、鋭い指摘をする様は読んでてあっぱれという気持ちにさせられた。音楽に詳しい人と素人では同じ曲を聴いても前者の方がより豊かな体験ができるように...

届いた相談文に対して國分さんが回答するというどっかの人生相談コーナーが書籍化した本。 相談文に書かれていることから書かれていない背景を類推し、鋭い指摘をする様は読んでてあっぱれという気持ちにさせられた。音楽に詳しい人と素人では同じ曲を聴いても前者の方がより豊かな体験ができるように、知見がある人と素人の間には同じものに触れていても受け取る情報量にかなりの差がある。世界とより豊かに接するためにも色々と勉強をしないとな、と改めて感じた。

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2020/08/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新進気鋭の哲学者、國分功一郎が全身全霊で人生相談を行う。内容は恋愛、親子関係、仕事と多岐に渡る。著者が相談者の文章を哲学のテキストを読み解くように精読し、精緻な分析を行っていくところに新鮮さを覚えた。哲学の古典のような精緻な論理展開など一般の相談者の文章には望めないが、それでもそこから立ち現れてくる何らかのまとまりがあるという。 「人間が考えていること、感じることは、それほどたやすく体系性を免れはしない」 そして、目から鱗だったのは、大事なのは、書かれていることではなく、書かれていないことだということ。それを正確に掴まえることが肝要。ひょっとしたら相談をしている本人にもわかっていないことを探偵のように解き明かしていく。なるほど、そういうふうにも読めるのかと、感心する箇所がいくつもあった。その体験を通して、いかに普通の文章を精読していないかを思い知らされた。普通の文章を読むときにでも文学作品に対するようなテキスト解析を行うことで見えてくることがあるのだということを学んだ。 もう1つの魅力は、それぞれの相談に対してお勧めの哲学書や書籍を推薦するところ。登場した安富歩の『生きるための経済学』、関口存男の著作は読んでみようと思う。 途中で読みかけになっている『中動態の世界』をもう1回読み直そう。小林秀雄賞の受賞スピーチで國分氏がエピソードとして挙げたデリダの印象的な一節を紹介する。何故死というものを哲学の観点から捉えるのかという学生の少し尖った質問に、哲学界の巨匠デリダはこう答える。”Parce que J’aime la philosophie!” (だって私は哲学が好きなんだ!)この気持ちを國分氏も共有するという。一度講義を拝聴したい学者である。

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