ヤクザときどきピアノ の商品レビュー
筆者の鈴木氏は20年以上ヤクザを取材してきたライターさん。 それだけで充分なパンチ力。 そんな鈴木氏が、長期にわたる書籍を校了して解放され たまたま観た映画『マンマ・ミーア』の曲に心を奪われます。 そして、心に決めたこと。 ピアノでABBAの『ダンシング・クイーン』を弾くんだ! ...
筆者の鈴木氏は20年以上ヤクザを取材してきたライターさん。 それだけで充分なパンチ力。 そんな鈴木氏が、長期にわたる書籍を校了して解放され たまたま観た映画『マンマ・ミーア』の曲に心を奪われます。 そして、心に決めたこと。 ピアノでABBAの『ダンシング・クイーン』を弾くんだ! 52歳で、譜面が読めない、ゼロからのスタートです。 ピアノ講師のレイコ先生の言葉が素敵です。 「練習すれば、弾けない曲などありません。 練習をすれば上手くなる。しなければ上達しない。 練習をしない言い訳にはなんの意味もない」 「一年間、毎日3時間練習するとしましょう。 朝から晩まで9時間鍵盤をたたけば四か月で終わる。 でも、一年間毎日続けた人の方が上達するの。 身体に動作を叩きこむのに点滴の針を太くしても意味がないのよ」 また、ピアノの歴史についても触れられています。 ピアノが生まれた時には「決闘」に使われたのだとか。 ヨーロッパの王族や貴族が宮廷音楽科に演奏させて 共演という名目で「鍵盤試合」を開催していたと。 さらに、ピアノ制作が花開いたのはドイツで ヤクザでいえば初代組長にあたるのがベートーヴェン。 なかなか、ユニークな発想です。 それにしても、たった一年で念願の曲で舞台に上がった鈴木氏。 その集中力と情熱には、どれだけ拍手しても足りない気がします。 心から強く望むこと、そして諦めないこと。 たくさん勇気をいただきました。 私事ですが、父がピアノを習い始めたのは78くらい。 発表会で舞台に上がったのが80歳。 『ダンシング・クイーン』には遠く及ばない曲でしたが、 首をかしげながら二曲を弾き終え 頭を掻きながら舞台袖へと戻って行った姿が忘れられません。
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50過ぎのおっさんが、Dancing Queenを弾きたいとピアノ教室へ。自分も小さい時、ピアノを齧り、あの時辞めずに続けていれば良かったと思ってしまった。レイコ先生の愛情たっぷりの熱血指導、心に残る言葉。その合間の、何かオモロいフレーズのヤクザ著者の文章がクスッとさせる。
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以前、稲垣えみ子さんの『老後とピアノ』の感想をあげたとき、夜型さんがこちらの本を薦めてくださった。 『老後とピアノ』の内容がすこしでも残っているうちにと、慌てて読んだら驚いた。おふたりが仰ることに相似があるのだ。 私の言葉でまとめると、「良い先生との出会い」「反復練習を死ぬほど...
以前、稲垣えみ子さんの『老後とピアノ』の感想をあげたとき、夜型さんがこちらの本を薦めてくださった。 『老後とピアノ』の内容がすこしでも残っているうちにと、慌てて読んだら驚いた。おふたりが仰ることに相似があるのだ。 私の言葉でまとめると、「良い先生との出会い」「反復練習を死ぬほどせよ」「中年には中年の気づきがある」「自ら弾いてみるとピアノの世界が、音楽の世界が広がる」など、書いてらっしゃることに共通点があった。 あまりの物覚えの悪さに辟易して『マトリックス』みたいに、うなじにある穴にプラグを差し込んでインストールすると、労せずしてカラテの達人になれる、みたいな機械早くできないかなー、なんてダメダメな考えが頭によぎる自分は、おふたりが口を揃えて言う「人は裏切るけれど、練習は裏切らない」という言葉を、肝に銘じておきたいと思う。 「ダンシングクイーンが弾きたいんです」と、ピアノ教室に来たコワモテの中年男性に対峙して、一歩も引けを取らないどころか、上達するように、上手く誘導してゆくレイコ先生はカッコイイ。 文章はハードボイルド。←よく知らないが。 けれどたまにもしかしたらツッコミ待ち?と、こちらが訝るような表現や、美しい比喩表現が飛び出す。待ってなかったらごめんなさい。 巻末に著者が発表会で『ダンシングクイーン』を弾く姿が見られるQRコードつき。 私はといえば、ネットショッピングでロールピアノをうっとり眺めたり、リサイクルショップの楽器コーナーを冷やかしたり、ピアノ曲を聞いてみたり、影響を受けている。 本は世界を広げる、とつくづく思う。 「レッスンは冒険であり、レジスタンスだ。 ピアノは人生に抗うための武器になる。 俺は反逆する。 残酷で理不尽な世の中を、楽しんで死ぬ。」まえがきより
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最高です。動画は期限切れでしたがYouTubeで聴きました。思わず一緒に歌ってしまいました。発表会の緊張は解ります。私の場合は年齢40代でのフルートの発表会。出だしの全音符、音が全く出ませんでした。ピアノも憧れです。レイコ先生にピアノを教えてもいたい ♪♪
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題名のアンバランスさに惹かれて読んでみた。 初めてピアノ教室の門をたたく意気込み、練習の厳しさ、発表会のドキドキ感。思った以上に親近感が湧き、どんどん読み進めてしまった。紹介してある本も読んでみたい。
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「他人の技量に恐喝される必要はまったくない。 他人がどれだけ上手に弾いても、引け目を感じる必要はない。」とは、ピアノ発表会に臨む作者の述懐だが、スポーツにも通ずるし、人の生き方そのものでもあるかもしれない。
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ピアノを始めてひと月。 ピアノって楽しい! だけど、本当に上達するのかな? と不安もありました。 そんな私にとってピッタリの本。 普段はヤクザ達の中で潜入ルポライターをやっている筆者が、五年にわたる仕事をやり終えた解放感で聴いたABBAの「ダンシングクイーン」に号泣し、諦めて...
ピアノを始めてひと月。 ピアノって楽しい! だけど、本当に上達するのかな? と不安もありました。 そんな私にとってピッタリの本。 普段はヤクザ達の中で潜入ルポライターをやっている筆者が、五年にわたる仕事をやり終えた解放感で聴いたABBAの「ダンシングクイーン」に号泣し、諦めていたピアノを始めるという本。 弾きたい曲が「ダンシングクイーン」って、共感できる。 筆者が涙するのもわかる。 あの幸福感に包まれたメロディ…。 踊るようなピアノの跳躍。 私も初めてダンシングクイーンを聴いた時には、 なぜか涙腺が緩んでしまったものだ。 いいよね、ABBA! 筆者の成長物語(?)で、 ピアノを教えてくれる素敵なレイコ先生の力強い言葉に、ピアノ初心者達は、筆者と共に励まされること請け合い。 ピアノって奥深いんだな。 ときおり出てくるパワーワードに噴き出し、 ヤクザの抗争があってもピアノを弾き続ける姿には、 励まされる想いだった。
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ピアノっていいよね。 ギターを長年弾いているのでしっくりくるのも愛着あるのもギター。でも一番好きで憧れるのはピアノです。 なんでピアノ習わないの?という話なんですが、子供の頃習わない限り成人男子がピアノを習おうとする切っ掛けって生きていてそんなに無いと思うんですよ。 いいところの...
ピアノっていいよね。 ギターを長年弾いているのでしっくりくるのも愛着あるのもギター。でも一番好きで憧れるのはピアノです。 なんでピアノ習わないの?という話なんですが、子供の頃習わない限り成人男子がピアノを習おうとする切っ掛けって生きていてそんなに無いと思うんですよ。 いいところの坊ちゃん嬢ちゃんの習い事というイメージなので、おっさんが習いに行くのは迷惑だろうし、そこまでの覚悟も出ないし。 そこで本書の著者は、ABBAのダンシングクイーンを映画で聞いた事で「この曲をピアノで弾きたい」と強く想い、とうとうピアノ教室に通い始めるというドキュメンタリーです。 かなりあっという間に読める本だし、実はなにも事件が起きない習い事の事なので、劇的な何かが有る訳ではありません。しかしピアノを弾いてみたいと思ってはや30年程経過したおじさんとしては共感しかないし、行動力に尊敬の念を抱きます。 とてもいい先生に巡り合えた事に羨望を覚えますが、何十件もピアノ教室に電話をするハートの強さが引き寄せたものなんですよ。結局行動力に勝る力は無いですね。
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ヤクザ記事のライターがピアノを習って発表会にでるまでを書いた本。先生との関係が良く、練習が楽しそうで良かった。「練習すれば弾ける、しなければ弾けない」「できないところだけを抽出。ご褒美として通し練習」というのは覚えておきたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ヤクザライターとして名を馳せた鈴木氏がふとしたことからピアノへ挑む奮戦記。 勇気の書であり、音楽への愛が溢れた良書だ。 「生涯学習は素晴らしいと嘯きたいのではない。何かを始めるのに年齢は無関係と自己啓発をしたいのでもない。現実は残酷で不公平だ。どうせみんなくたばるのだ。では鬱々と人生を送ればいいのか。いやだ。じゃあどうする。明るく笑い飛ばすしかない。レッスンは冒険であり、レジスタンスだ。ピアノは人生に抗うための武器になる。俺は叛逆する。残酷で理不尽な世の中を、楽しんで死ぬ」 こうでなくっちゃいけない。ぐうの音も出ないほど正しい言葉だ。 楽しみ、貪るように練習する鈴木氏に尊さを感じる。 「練習すれば上手くなる 練習をしなければ一切上達しない やればできる やらねばできない そして、練習をしない言い訳は何の意味もない」は至言。 そしてもう一つ大事なこと、 「他人の技量に恐喝される必要は全くない。他人がどれだけ上手に弾いても、引け目を感じる必要はない」
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