ヤクザときどきピアノ の商品レビュー
ーレッスンは冒険であり、レジスタンスだ。 ピアノは人生に抗うための武器になる。 ー円熟は音楽からたくさんの気づきをもたらしてくれる。 レイ子先生の教え方は素晴らしい。生き方につうじる。
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著者の人物像が、ピアノの体験記を書きそうな平均的な人物像から大きく離れていて、非常に面白く読めた。(ふだん、著者はヤクザもののルポライターをしているらしい) 著者は至ってまじめな筆致で書いているが、可憐な先生との会話をヤクザ的な表現で表すのが新鮮でおかしくなってしまう。 私はアラ...
著者の人物像が、ピアノの体験記を書きそうな平均的な人物像から大きく離れていて、非常に面白く読めた。(ふだん、著者はヤクザもののルポライターをしているらしい) 著者は至ってまじめな筆致で書いているが、可憐な先生との会話をヤクザ的な表現で表すのが新鮮でおかしくなってしまう。 私はアラサーからピアノを始め、いまはしばらく稽古をしていない状態だが、序盤は筆者の言っている言葉の意味が非常にわかった。ピアノと音楽に気持ちを集中して、頭と体を動かすのは気持ちがいい。ABBAのダンシング・クイーンを引き始めたあたりから、まだわからない感覚の話が出てきて、筆者に抜かされたな!と思った。 私は周りにピアノを弾ける人がいる状態で、気になったことだけ聞く形で独学でやっているが、やっぱり先生ってあこがれる。合う合わないがかなりありそうだが。 ピアノ熱が上がったので、稽古再開しようと思う。 私も好きな曲の一曲くらい弾いてみたい。
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面白かった。表現力が豊かで文章に引き込まれた。 途中の音楽の専門的な知識の部分より、練習過程の心情をもっと知りたかった。
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正直なところ、表紙やタイトルなどから最初はイロモノとして手に取って読み始めました。ただ読んでいくうちに思いがけず(といっては失礼ですが)ストレートに感動しました。 圧倒されるのは、著者である鈴木さんのライターとしての手腕です。巻末の参考文献の数がこの本の土台を揺るぎないものにし...
正直なところ、表紙やタイトルなどから最初はイロモノとして手に取って読み始めました。ただ読んでいくうちに思いがけず(といっては失礼ですが)ストレートに感動しました。 圧倒されるのは、著者である鈴木さんのライターとしての手腕です。巻末の参考文献の数がこの本の土台を揺るぎないものにしています。 この探究心が、本書を「面白い話」「いい話」みたいな表面的なものでなく、もっと読み手の深い部分に突き刺さるものにしているのだと思います。 大人になって何か新しいことに挑戦しようという人にはとても勇気を与えてくれる一冊です。おすすめ。
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文章が上手い、というか、私好み。ぐいぐい読める軽快さと、ピアノへの溢れる愛。 「練習すれば、弾けない曲などありません」 若くて美人のレイコ先生に励まされて、52歳からピアノを始める作者。本業はヤクザ暴力団専門のフリージャーナリストなんだけど、ピアノの発表会の前に、 “自分の...
文章が上手い、というか、私好み。ぐいぐい読める軽快さと、ピアノへの溢れる愛。 「練習すれば、弾けない曲などありません」 若くて美人のレイコ先生に励まされて、52歳からピアノを始める作者。本業はヤクザ暴力団専門のフリージャーナリストなんだけど、ピアノの発表会の前に、 “自分のメンタルがこんなにも弱いことを知って愕然とした。 二十年以上、暴力団に脅され続けた経験は無意味だったということか。” と言うところは爆笑した(^^; “練習しないと弾けないの。弾ける人は練習をしたの。難しい話じゃない。” “練習をすれば上手くなる。練習をしなければ一切上達しない。” この言葉は、本当に当たり前なのに忘れがちで、心の支えにしようと思う。不安に思ったり人と比べて落ち込んだりする必要はない。必要なのは、ただ練習だけ。 この本の中で、ピアノを弾くときの姿勢はとても大切で、悪い姿勢が癖にならないように気を付けなければならない、みたいなことが書いてあった…のは耳が痛い。 というのは、私はピアノを弾くとき、椅子の上にあぐらをかいている…!これがいい姿勢のはずはない…けどググってみたら、別に構わないという意見も書いてあったので、まぁいいことにする(あぐらをかいてペダルを踏めないので、ペダルが出て来るとどうしても普通の姿勢に戻る)。 学校の音楽の授業が音楽を嫌いにさせている(同様に体育の授業が運動を嫌いにさせる)という作者の主張は、本当にその通りで、もうだれもこれが正しいなんて思ってないのに、じゃあどうすればいいかがまだ分かっていないのではないかと思う。 そもそも、一人一人違う子どもたちに、一斉に何かを教えるということが、もう時代的に破たんしつつあるのだろうと思う。昔は意味があったことなのだろうけれど。
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長年ヤクザ専門誌の記者をやってきた著者(52歳男性)がピアノを習うノンフィクション。 目的はABBAの「ダンシング・クイーン」が弾きたい!これのみ! 頭に残るタイトル。本物のヤクザかと思ったら違った(笑) とても良い先生に巡り合ったのも大きかったのでしょう。レイコ先生もいいキャ...
長年ヤクザ専門誌の記者をやってきた著者(52歳男性)がピアノを習うノンフィクション。 目的はABBAの「ダンシング・クイーン」が弾きたい!これのみ! 頭に残るタイトル。本物のヤクザかと思ったら違った(笑) とても良い先生に巡り合ったのも大きかったのでしょう。レイコ先生もいいキャラしてる。 曲が弾けるようになった喜びは共感してしまいます。 余談ですが日本の音楽教育について書いた箇所に一番共感してしまいました。文科省に読んでもらいたいくらい。
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タイトルがおもしろ過ぎるので、ずっと気になっていて、「老後とピアノ」を図書館で借りる時、はっと思い出し、一緒に借りてきた。 大変におもしろかった!!! ヤクザがピアノを習う話かと思ってたけど、全然違って、ふつうに「老後とピアノ」の女性ライターを男性ライターにおきかえただけの話...
タイトルがおもしろ過ぎるので、ずっと気になっていて、「老後とピアノ」を図書館で借りる時、はっと思い出し、一緒に借りてきた。 大変におもしろかった!!! ヤクザがピアノを習う話かと思ってたけど、全然違って、ふつうに「老後とピアノ」の女性ライターを男性ライターにおきかえただけの話だった。 しかも書いていることもほぼ同じ。 でも、内容は同じだけど、文章スタイルが全然違うから、ロックと小学校唱歌くらい違っていて、「またか」って感じは全然なく、新鮮でした。 明快で簡潔で、気持ちいい語り口。 この人の感覚、ものごとの判断基準、すごく好きだなぁ、と思った。 文字がいちいち太字になったり大きくなったりする装丁がちょっとだけウザかったけど・・・ どうしても弾きたいと思ったABBAのダンシングクイーンについてのくだり、 「ガキの頃からそれなりに音楽は好きで、ロックやポップスのミュージシャンには一家言あるつもりだった。 なのにABBAで。 まさかABBAで。」 ってところ、かなり笑ってしまった。 ずっとピアノをやりたいと思ってた気持ちがABBAによって突然表面化したのかなぁ。ものすごい地殻変動で、海底にあったものが山のてっぺんに来ちゃったみたいに。 でも、そういう瞬間って、間違いなく人生の幸福な瞬間の一つだよなーと思った。生きる醍醐味の一つというか。 電子ピアノについての文章もとても好きだった。 「電子ピアノはピアノとは似て非なるもので、どこまでもピアノではないと批判されても、音をヘッドフォンで聴ける優位は揺るがない。日本の住環境ではこれほどのメリットはない。俺は電子ピアノの肩を持つ。お前はとてもいい奴だ。」 いやもう、同意しかないって感じです。電子ピアノ、いい奴だよね。 このムダにハードボイルドな文章がウケる。 発表会の動画、YouTubeにあったので見た。 本に書いてあったとおり、始めたばかりとは思えないくらい難易度高い曲でビックリ。 だって、右と左でまったく違うリズム! でも、弾きたい曲って、あまりに簡単なアレンジでは納得できない気持ちも、すごく分かります。 なんだか身内のようにハラハラして聴きました。 すごく気持ちいい音を出してるなぁと思った。素敵な演奏でした。
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5552さんのレビューを読んですごく気になり読んでみました。 数日前まで読んでいた『我が友、スミス』同様、大人の趣味のお話。 表紙を見て、ヤクザが時々ピアノを弾くのかと思っていたら、ヤクザ専門誌で暴力団関連記事を書いているライターの作者が52歳からピアノを習い始めるというノンフィ...
5552さんのレビューを読んですごく気になり読んでみました。 数日前まで読んでいた『我が友、スミス』同様、大人の趣味のお話。 表紙を見て、ヤクザが時々ピアノを弾くのかと思っていたら、ヤクザ専門誌で暴力団関連記事を書いているライターの作者が52歳からピアノを習い始めるというノンフィクションだったのですね。 『我が友、スミス』もこちらの作品も、大人になってからハマった趣味にどっぷり浸かっている姿がとても清々しく羨ましい! 同じことをやっても大人は“趣味“、子どもだと“習い事“。 音楽でもスポーツでも子どもの場合、自分の意志というより親にやらされてる感がどうしてもしますよね。 その点、自分のやりたいことに自分のお金や時間をかけてやるのが大人の“趣味“。 「大人のレッスンは修行ではなく余暇のひとつであり、先生は師匠というより遊びをレクチャーしてくれるガイド役と表現するのが適切だ」 なるほどですね〜誰に強制されているわけでもなく、自分が楽しいからその世界にどっぷり浸かる。 このブクログもそんな大人の趣味の場ですね〜 この本には読者特典のQRコードが付いていて、作者が発表会でピアノを弾いている動画を見ることができます(期限切れだったので、YouTubeで見た)。表紙のようなサングラスの怖そうなおじさんが出てくるのかと思ったら、ひょこひょこお辞儀をしている可愛らしいおじさんが出てきて、頑張って練習していた時間を知っているものだから、見ているこっちが緊張してしまって、まるで我が子の発表会を見ているようでした笑。
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筆者の鈴木氏は20年以上ヤクザを取材してきたライターさん。 それだけで充分なパンチ力。 そんな鈴木氏が、長期にわたる書籍を校了して解放され たまたま観た映画『マンマ・ミーア』の曲に心を奪われます。 そして、心に決めたこと。 ピアノでABBAの『ダンシング・クイーン』を弾くんだ! ...
筆者の鈴木氏は20年以上ヤクザを取材してきたライターさん。 それだけで充分なパンチ力。 そんな鈴木氏が、長期にわたる書籍を校了して解放され たまたま観た映画『マンマ・ミーア』の曲に心を奪われます。 そして、心に決めたこと。 ピアノでABBAの『ダンシング・クイーン』を弾くんだ! 52歳で、譜面が読めない、ゼロからのスタートです。 ピアノ講師のレイコ先生の言葉が素敵です。 「練習すれば、弾けない曲などありません。 練習をすれば上手くなる。しなければ上達しない。 練習をしない言い訳にはなんの意味もない」 「一年間、毎日3時間練習するとしましょう。 朝から晩まで9時間鍵盤をたたけば四か月で終わる。 でも、一年間毎日続けた人の方が上達するの。 身体に動作を叩きこむのに点滴の針を太くしても意味がないのよ」 また、ピアノの歴史についても触れられています。 ピアノが生まれた時には「決闘」に使われたのだとか。 ヨーロッパの王族や貴族が宮廷音楽科に演奏させて 共演という名目で「鍵盤試合」を開催していたと。 さらに、ピアノ制作が花開いたのはドイツで ヤクザでいえば初代組長にあたるのがベートーヴェン。 なかなか、ユニークな発想です。 それにしても、たった一年で念願の曲で舞台に上がった鈴木氏。 その集中力と情熱には、どれだけ拍手しても足りない気がします。 心から強く望むこと、そして諦めないこと。 たくさん勇気をいただきました。 私事ですが、父がピアノを習い始めたのは78くらい。 発表会で舞台に上がったのが80歳。 『ダンシング・クイーン』には遠く及ばない曲でしたが、 首をかしげながら二曲を弾き終え 頭を掻きながら舞台袖へと戻って行った姿が忘れられません。
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50過ぎのおっさんが、Dancing Queenを弾きたいとピアノ教室へ。自分も小さい時、ピアノを齧り、あの時辞めずに続けていれば良かったと思ってしまった。レイコ先生の愛情たっぷりの熱血指導、心に残る言葉。その合間の、何かオモロいフレーズのヤクザ著者の文章がクスッとさせる。
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