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希望のゆくえ の商品レビュー

3.7

61件のお客様レビュー

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2023/02/15

今まで読んだ寺地作品とは一味も二味も違う印象を受けた。 主人公・柳瀬誠実は、放火犯の疑いがある女と失踪した弟の行方を追う為に彼と交流があった人物を訪ね歩く。 ミステリーの様相を呈しているが、実は親子、兄弟姉妹、恋人、様々な人間関係で生じる歪さや深層心理を抉っている。 弟の希...

今まで読んだ寺地作品とは一味も二味も違う印象を受けた。 主人公・柳瀬誠実は、放火犯の疑いがある女と失踪した弟の行方を追う為に彼と交流があった人物を訪ね歩く。 ミステリーの様相を呈しているが、実は親子、兄弟姉妹、恋人、様々な人間関係で生じる歪さや深層心理を抉っている。 弟の希望(のぞむ)について語る人々の印象がそれぞれ異なる様に人間誰しも多面性があって一概に決めつける事なんておこがましい事であり不可能だ。 比較される事で生じる嫉妬や恨み、近い関係だからこそ執着する登場人物達の思いに共感。 チリチリとした痛みを伴う作品。

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2023/03/26

希望くん自身の思いや葛藤は置いといて、 希望くんみたいな人がもしも周りにいたら、私は心底救われたんだろうな。 こんなにも一途に、かつブレずに自分の全てを受け止めて支えてくれる人って中々いないだろうから。

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2023/01/31

まず、「柳瀬誠実(まさみ)と弟の話1」で始まったとき、勝手に姉弟だと思って読み始めたので、 「俺のほうからも電話してみるから」でやっとあれ?となって始めに戻りました。 本ならでは、日本語ならではのおもしろさ。 最後は確かにもやもやを感じないと言ったら嘘になるけれど、  「これ...

まず、「柳瀬誠実(まさみ)と弟の話1」で始まったとき、勝手に姉弟だと思って読み始めたので、 「俺のほうからも電話してみるから」でやっとあれ?となって始めに戻りました。 本ならでは、日本語ならではのおもしろさ。 最後は確かにもやもやを感じないと言ったら嘘になるけれど、  「これ以上はもういい。もう追いかけない。」 読者もそういう気持ちでいいと思う。 登場人物それぞれの視点からのストーリーも、相変わらず秀逸でした。

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2022/12/24

突然失踪した弟の行方を探しているうちに、弟って本当はどんな人だったのか、自分自身の記憶と照らし合わせながら考えさせられる作品。 人は相手によって印象や評価は異なる。この人はこんな人っていう正解はなくて、自分自身ですら自分て何だろうって思う。 よくわからない、不気味とさえ感じていた...

突然失踪した弟の行方を探しているうちに、弟って本当はどんな人だったのか、自分自身の記憶と照らし合わせながら考えさせられる作品。 人は相手によって印象や評価は異なる。この人はこんな人っていう正解はなくて、自分自身ですら自分て何だろうって思う。 よくわからない、不気味とさえ感じていた弟の足取りをたどるうちに、兄自身が自分と向き合うこととなり、罪悪感や苦しみのために見て見ぬふりをしていた生活から、一歩勇気をだして目の前の問題と向き合い決断をする姿に勇気をもらった。 自信がもてなくても、自分が決めたことを声に出して伝えることって大切。そこから前に進むことができるって教えてくれる一冊でした。

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2022/11/12

タイトル「希望のゆくえ」は「きぼう」と読むらしい。残念ながら好きなタイプの寺地作品ではありませんでした。 読み手が「作家さんに勝手に期待をしてしまう作風があるのか?」と考えさせられました。

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2022/10/06

二人兄弟の誠実(まさみ)と希望(のぞむ)。 弟の希望が、放火の疑いのある女と突然姿をくらました。兄の誠実は、弟を探す過程で、弟が接した人からどんな風に思われていたのか探り始め、彼の不可解な人間像に迫っていく。  今まで数冊読んできた寺地はるなさんとは違った感じで、面白い驚きで...

二人兄弟の誠実(まさみ)と希望(のぞむ)。 弟の希望が、放火の疑いのある女と突然姿をくらました。兄の誠実は、弟を探す過程で、弟が接した人からどんな風に思われていたのか探り始め、彼の不可解な人間像に迫っていく。  今まで数冊読んできた寺地はるなさんとは違った感じで、面白い驚きでした。兄弟の、自分の知らない姿を探る…とても好奇心を煽られます。  学生時、ブランショを研究課題に選びましたが、一人の人間をじっとりと多角的に探り構築していく感じが重なったのか、当時感じていた面白さと、今回の本の面白さが時を経て通じ合った感覚がしました。  思いがけず、変わり種の面白い本に出会えて、良い時間が過ごせました。

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2022/09/17

希望という名前の失踪した弟を誠実という名前の兄が探す物語。 何らかの繋がりがあった人を訪ね、弟のことを聞いてまわるのだが、弟は綺麗で、物静かで、やさしい、と言うような評価。 兄の誠実にとっては少しずつ違和感が。 希望が一緒に失踪した女性から聞いた 「自分は空き箱のように空っぽ。」...

希望という名前の失踪した弟を誠実という名前の兄が探す物語。 何らかの繋がりがあった人を訪ね、弟のことを聞いてまわるのだが、弟は綺麗で、物静かで、やさしい、と言うような評価。 兄の誠実にとっては少しずつ違和感が。 希望が一緒に失踪した女性から聞いた 「自分は空き箱のように空っぽ。」と言った言葉が彼を表している一番的確な実像なのかもしれないと思った。 「みんな、ぼくに自分の望みを投影しているだけなんです。良い息子、すてきな彼氏、いい人。どれでもないのに、いつも勝手に押しつけてくる。」 一生懸命、いい人を演じることに疲れ失踪したのだろうか。 親や兄弟、回りの期待に応えようといつも考えていたのだろうか? 誰も知らないところで本当の自分の姿で生きていけるといいなあ。 全体的に静かな話だった。

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2022/09/04

おもしろかったです。 おもしろかった、という言葉で表すのが申し訳なくて恥ずかしくなるほど、良い作品で好みでした。 柳瀬誠実は母からの電話で弟の希望が失踪したことを知る。 マンションの管理会社に勤めていた希望は、そのマンションで放火した疑いのある住人女性と姿を消したという。 仲が...

おもしろかったです。 おもしろかった、という言葉で表すのが申し訳なくて恥ずかしくなるほど、良い作品で好みでした。 柳瀬誠実は母からの電話で弟の希望が失踪したことを知る。 マンションの管理会社に勤めていた希望は、そのマンションで放火した疑いのある住人女性と姿を消したという。 仲が良いとは言えない兄弟、家族であったが誠実は弟を知るであろう人たちを探し、話を聞く。 彼らが話す弟の人物像から見えてくるものとはー。 寺地作品は初めて読みます。 この小説に出会うまで、著者のことは知りませんでした。 けれどこの一冊で、一気に魅了されました。たぶん。 何をおいても文章が、うまい。 言葉選びから句読点の使い方まで、とにかくうまい。 出来事を一から十まで書いて話を進めないのもいい。 ストーリーは悪くないのに説明がましい文章になってしまったり、読点を多用しすぎていたり、素敵と評される表現を狙いすぎて陳腐な言葉ばかりを並べる作家が増えている中、寺地氏の紡ぐ言葉、文章はかなりレベルが高いと思います。 映像ではなくて文字を読む楽しさを久しぶりに与えてくれた一冊でした。 そして作中に私の心が救われる一文がありました。 すうっと楽になれました。 著者のファンになれるかどうか、他の作品も読んでみたいと強く思いました。 これはオススメ。 2020年44冊目。

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2022/07/15

いい意味で寺地はるなさんに裏切られた。 イメージと違ったそのまんまなタイトルも含めて。 寺地はるなさん、こんなお話しの終わりかたもするんだなぁ。

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2022/06/24

小説としては、何か掴みどころがないような、結局何だったんだ?と言う感想だけど、寺地さんの紡ぐ言葉は、とても美しいと思う。

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