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文身 の商品レビュー

4.1

44件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    15

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    2

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2023/04/20

うわぁ〜と叫びたい‼︎ 完全に弄ばれた感が。゚(゚´ω`゚)゚。 高校生の庸一と中学生の堅次 頭脳明晰な弟と弟に着いていくだけの兄 「弟を信じていれば間違いはない」 この二人が弟の擬装自殺という計画を立て故郷を捨て東京に出るまでの第一章。 昭和30年代頃かな?ノスタルジックな文...

うわぁ〜と叫びたい‼︎ 完全に弄ばれた感が。゚(゚´ω`゚)゚。 高校生の庸一と中学生の堅次 頭脳明晰な弟と弟に着いていくだけの兄 「弟を信じていれば間違いはない」 この二人が弟の擬装自殺という計画を立て故郷を捨て東京に出るまでの第一章。 昭和30年代頃かな?ノスタルジックな文体に引き込まれていきます。 そこからの怒涛の展開は兄を意のままに操る堅次がサイコパスか?と思える。怖い!薄気味悪い! 堅次にとっての庸一は何なのか?愛か執着かただの道具か? 庸一の発表する私小説で物語は進みます。 壮絶な人生、その私小説に昭和最後の文士と呼ばれるまでの庸一と庸一の人生を創っている堅次。 絶筆となる「巡礼」そして死後に登場する「文身」 ここまでも相当面白いのですが… ここからがもう読むのが止まらない! いや待て!そうくるのか⁈と驚き 全てを覆す後半に絶句… ラストの一行にトドメの一撃です_| ̄|○ 岩井圭也さん凄いよ! 地味に面白かったとレビューした「最後の鑑定人」 からの今作‼︎ ぜひ読んで頂きたいわ\(//∇//)

Posted byブクログ

2024/02/28

凄い作品に出会った。 作品自体がその時代背景があるからなのか、昔好きで読んでいた昭和の文豪の小説を読んでいるような不思議な感覚を感じる。 まずタイトルが「分身」ではなく「文身」。読後考えてみて「分身」でも違和感なくストーリーと共和する気がするが、さらに彫っての「文身」なのだろう...

凄い作品に出会った。 作品自体がその時代背景があるからなのか、昔好きで読んでいた昭和の文豪の小説を読んでいるような不思議な感覚を感じる。 まずタイトルが「分身」ではなく「文身」。読後考えてみて「分身」でも違和感なくストーリーと共和する気がするが、さらに彫っての「文身」なのだろうと推測。 「現実と虚構」というテーマ、読後に考えてみれば作品全体に蔓延り、読者である自分も作品を読みながら「現実と虚構」が整理がつかずグチャグチャに混ざりなんだかわからない状態になる。 虚構を読んでいるのにその中の虚構に虚構か現実かが分からなくなってくる不思議さ。 そこを上手くミステリー風に仕立てている感じが凄く関心を引っ張られていく。 これは凄い作品だと。 文体や言葉の表情等は違うのだが、太宰治の「人間失格」ような不思議な魅力を感じる、文学史に残るべく作品かとも思う。

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2023/02/15

途轍もなく趣味が悪く陰鬱な内容に嫌気が差しながらも、この物語の結末が気になり読み続けた。 自伝や私小説は先にその人の歩んだ人生や経験ありきで描かれるが本作で描かれる私小説はその逆を行く。 小説で書いた内容をなぞる様に、酒好きで暴力癖のある男を演じる須賀庸一。 その裏には兄弟間...

途轍もなく趣味が悪く陰鬱な内容に嫌気が差しながらも、この物語の結末が気になり読み続けた。 自伝や私小説は先にその人の歩んだ人生や経験ありきで描かれるが本作で描かれる私小説はその逆を行く。 小説で書いた内容をなぞる様に、酒好きで暴力癖のある男を演じる須賀庸一。 その裏には兄弟間の秘密が隠されている。 兄弟と言えど別々の人間、何故そこまで?と理解が追いつかないでいると終盤で衝撃の事実に慄く。 その瞬間、人間の多面性がもたらした物に一瞬納得をするものの、それはすぐ裏切られラスト1行で再び驚愕させられる。 余韻が凄まじい 。

Posted byブクログ

2023/01/20

久しぶりに寝る時間を忘れて読みふけりました。 知り合いに紹介されて「そんな面白いのー?」と疑心暗鬼でしたが、謝ります。 どんでん返し、や、ちょっと変わった設定が好きな人にオススメです

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2022/10/16
  • ネタバレ

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作品のほぼ9割が主人公の書いた(?)私小説という形をとっている。 「永遠についての証明」とは打って変わった内容であるが、これはこれで面白い。

Posted byブクログ

2022/08/06

前半から中盤までは「ほぉー」って感じで進んで同じテンポで退屈さえ感じるのに、終盤の怒涛の展開で鳥肌止まらない。 これはマジで良かった。 タイトルと、序章の読み易さに惹かれてなんとなく読んでたけど、最後までちゃんと読んで良かったと思える作品。危なく途中放棄するとこだった。 虚構と現...

前半から中盤までは「ほぉー」って感じで進んで同じテンポで退屈さえ感じるのに、終盤の怒涛の展開で鳥肌止まらない。 これはマジで良かった。 タイトルと、序章の読み易さに惹かれてなんとなく読んでたけど、最後までちゃんと読んで良かったと思える作品。危なく途中放棄するとこだった。 虚構と現実。とにかくこれが読者も巻き込んでぐちゃぐちゃになっていく。 物語の大半は主人公の人生の虚しさ、弟が作り上げた虚構を演じて、それに縛られて生きていく諦め、葛藤、虚無感が彼の人生を通して語られてる。主人公と弟の関係の描写がとっても丁寧で、その辺の読み応えも良かった。 でもここまでは普通。そっから終章までが目まぐるしい。最後の一文とか鳥肌立った。結局どこまでが虚構で何が現実?その境界線が溶けてく感覚が、読者も追体験出来るからマジでビビった。 あと登場人物のキャラもめちゃくちゃ良い。 主人公と弟の秘密を知る人が編集者、奥さんと2人出てくるけど、この2人が物凄くこの物語を俯瞰してる。 主人公と一緒になって虚構に悩み取り乱したりしない。特に印象的なのが奥さんの自殺前の対応。あくまで虚構に悩むのは主人公だけであって、その対比が余計に主人公にスポットライトが当てられててとても良い。人物像としては現実的でなくても、この物語の構造としては良い感じに組み込まれてて面白かった。

Posted byブクログ

2022/06/21
  • ネタバレ

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最後の文士と呼ばれた大御所私小説作家、須賀庸一。彼の無頼な人生を描いた作品は多くの人の心を掴むが、妻の自殺を自身が毒殺を試みたと思わせる作品を発表した事をきっかけに娘は彼と縁を切る。数十年後、庸一の死後に彼女の元に送られてきた遺稿、それは狂言自殺で世間から身を隠した彼の弟、堅次が書いた小説の通りに行動する事で人気作家となっていった庸一の人生を振り返っていく内容だった。現実が小説に描かれる虚構に侵食されていく狂気にじわじわ慄く。さらに最後の崖の上での堅次が繰りなす「あったかもしれない人生」や最終的な現実の立ち位置の曖昧さが醸し出す不気味さは随一。ラスト、娘への「最後の文士になる準備はできたか」も効いてる。虚構と現実の狭間で溺れさせられた。

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2022/05/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なんとも表現し難い作品でした。 あまりの展開に嫌悪感が募り、顔を背けたくなりながらもどうしても先が気になり読んでしまう。 昔のウッチャンナンチャンのバラエティ番組で『未来日記』というコーナーがあったのですが、それを思い出しました(歳がバレる笑)。司令書に未来の日記が書いてあって、そうなるように自分たちで動いていくのです。 この物語の主人公は兄弟ふたり。15歳の時に偽装自殺した弟が、その後姿を隠して小説を書き続け、兄の名前で世に出す。その小説は私小説として発表する。 「私小説は自然主義の文学であり、現実にあったことでなければ書いてはならないという認識すらある。」 でも普通の私小説と違うのは、弟が書いた小説の内容を後から兄が経験するというところ。 ここまで読んで、え?ということは、序幕で書かれていたあの場面は弟が書いたシナリオの結果なの?と気付き、なんとも言えない嫌悪感が‥‥。 どこまでが事実でどこからが虚構なのか?この兄弟を結びつけているものは何なのか? 何とも言えない薄暗い物語でした。 でも、先が気になってどうしてもページを捲ってしまいました。

Posted byブクログ

2022/02/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

凄い小説としかいいようがない。 今までには無い感情が、未だぐるぐると心の中に残っている。 好色で、酒好きで、暴力癖のある作家の須賀庸一。 しかし、彼を操っていたのは自殺したはずの弟。 並外れて優秀だった弟が、自ら自殺にみせかけて逃亡し、高校を卒業した兄を待つ。 その後、私小説を執筆する。 兄は、弟の小説に従って生きる。 弟は、兄の人生を書き続ける。 第5章の巡礼では、弟の死という過去を清算しきれずに小説という虚構に逃げたのか…と。 だが終幕で【分身】の原稿が… 一体どうなっているのか。 真実は…。

Posted byブクログ

2022/01/04

初めて読む作家と思っていたら、2冊読んでいてこれが3冊目でした。 他の作品もなかなかの重さを持った作品でしたが、こちらもやはりかなりの重さを持っていました。 文学に身を捧げるという今ではあまり聞かない種類の人間をテーマにしています。文学がとても力を持っていた時代、無頼な純文学者が...

初めて読む作家と思っていたら、2冊読んでいてこれが3冊目でした。 他の作品もなかなかの重さを持った作品でしたが、こちらもやはりかなりの重さを持っていました。 文学に身を捧げるという今ではあまり聞かない種類の人間をテーマにしています。文学がとても力を持っていた時代、無頼な純文学者が沢山いたと思われますが、その時代をテーマにしています。 ぐいっと物語に引っ張り込まれる感覚が有り、文章に、物語に力があると感じました。

Posted byブクログ