木になった亜沙 の商品レビュー
「木」と「的」は似通った要素が見られるも着地点の異なる連作という感じ。主人公の特殊体質に由来する不条理な展開(当てるだけで引き取らない息子やら心配するだけの青年やら)は、なんだか国語の問題を解かされているような気分になった。考えさせる作品と言えなくもないのだろうが多分そういうこと...
「木」と「的」は似通った要素が見られるも着地点の異なる連作という感じ。主人公の特殊体質に由来する不条理な展開(当てるだけで引き取らない息子やら心配するだけの青年やら)は、なんだか国語の問題を解かされているような気分になった。考えさせる作品と言えなくもないのだろうが多分そういうことじゃない。社会にそぐわない人を描く目的が先にあって、後からそこに至るまでの理由・原因として特殊体質が考えられたように思えた。印象に残ったといえば残ったが同作者の本をまた読みたいかというと遠慮したい。
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なんだこれは…と思いながら、読み進め、気がついたら3作全て読み終わっていた。 全てがモヤモヤして、でも、これも一つの幸せなのかと… 特に『木になった亜沙』は、モヤモヤモヤモヤして、最後にそういう結論!!と思ったけれど、悲しいけれどこれも一つの愛なのかと、いやーでも納得いかない...
なんだこれは…と思いながら、読み進め、気がついたら3作全て読み終わっていた。 全てがモヤモヤして、でも、これも一つの幸せなのかと… 特に『木になった亜沙』は、モヤモヤモヤモヤして、最後にそういう結論!!と思ったけれど、悲しいけれどこれも一つの愛なのかと、いやーでも納得いかない。
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亜沙(人)が死んで、前世での未練を果たすべく割り箸に転生するおとぎ話みたいな話。おもしろい。名前が漢字まで同じで主人公への感情移入がしやすい分すごい複雑な気持ちになった。ゴミ屋敷に居心地良さそうに生きる亜沙が想像できた。
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最近一番好きな作家、今村夏子さんの新作。 本屋で見かけてソッコーで購入、読了。 ううむ…今回はなかなかにムズいなぁ… ちょっと各主人公が持ってる特殊能力がX-MEN過ぎて…(笑) ざっくり言うと、物語自体に気持ちが深く入って行きにくかったです。 あくまでも日常を描いていると...
最近一番好きな作家、今村夏子さんの新作。 本屋で見かけてソッコーで購入、読了。 ううむ…今回はなかなかにムズいなぁ… ちょっと各主人公が持ってる特殊能力がX-MEN過ぎて…(笑) ざっくり言うと、物語自体に気持ちが深く入って行きにくかったです。 あくまでも日常を描いているというベースの中に、人間関係における気味の悪さとか、人間の悪意の怖さを織り交ぜる。 そういった書き方によって作り出す作品全体に漂う「不穏さ」が今村夏子さんの真骨頂だと思うのですが… 今回は特殊能力のせいで世界観がいささかぶっ飛んでいるもんで、そもそもイマイチ現実世界と感じることができず… そこが気持ちが入っていけない要因になっているのかなと思いました。 あと、その特殊能力自体の気味悪さでちょっと不穏さが違うベクトルに向いてしまっているというか…そんな部分もあるのかなと。 個人的には、今までの「あひる」とか「星の子」の方が好きでした。 ただ、良くも悪くもやはり唯一無二の作品を描く作家さんだとは改めて思いました。 ので、引き続き追いかけて行きたいと思います( ̄∇ ̄) 以下、各作品について。 ●木になった亜沙 タイトルにもなっている作品。 なぜか「自分の手からは誰も食べ物を食べてくれない」という特性を持った主人公の話。 いわゆるゴミ屋敷的なお話。 たしかに、立場によっては事実に対する受け取り方が違うってこともあるのかなと。 まあ、結局周りの住人にまで迷惑かけてたらそれはやり過ぎだろうという気はしますが… ただの変人に見えても、本人的には筋が通った行動ってのもあるのかもしれない。 ●的になった七未 なぜか「飛んでくる物が自分だけには当たらない」という特性を持った主人公の話。 報われない具合が残酷だなぁ…ひたすらに… でも、人生の選択を間違うってそのくらいの破壊力があることなのかもしれないと、一方で納得しました。 そういった意味で、とてつもなくリアリストな作家さんだなとも思いました。 子供とは一緒にいるべきだったんだよな、きっと。 ●ある夜の思い出 「腹這いになって生活している」という特性を持った主人公の話。 いや、もはやそれって特性なんだろうか(笑) コレ、一番気持ち悪い作品ですね(笑) かつ、一番良く分からない作品… 途中まで本当はネコの話…?と思ってたけど、やっぱり人間でした(笑) 「子供うむかなあ」のくだりでなんかゾッときましたけど… でもコレって人間が動物に対して同じことをやってるなと。 擬人化したら、その気持ち悪さが際立ったって話かと。 帯に「三つの愛の物語」ってありましたけど、まあこれも愛のお話ではあるのかな… いや、まあ、でも、なんというか… それにしても気持ち悪い(笑) <印象に残った言葉> ・それにミユキちゃんにとってはただのわりばしかもしれないけど、おれにとっては特別なわりばしだってことも、ひょっとしたらあるかもしれないだろ(P31、若者) ・いりません。(P120、七男) ・ねえ。子供うむかなあ(P142、子供) <内容(「Amazon」より)> 生まれ変わったら甘い実をつけた木になりたい 誰かに食べさせたい。 願いがかなって杉の木に転生した亜沙は、 わりばしになって若者と出会う―。 奇妙で不穏で純粋な三つの愛の物語。 読んだあと、世界の色が違ってみえる。芥川賞作家の最新短編集。
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な、なんだこれは?? 読み終わってからも頭の周りに?がいっぱい 一体何を読まされたんだ(笑) だけどキライじゃないぜ(笑) 「木になった亜沙」では 亜沙が誰かになにか食べさせようとするが 誰もそれを受け取ってくれない 誰も食べてくれない 「的になった七未」では ななちゃんにだけ...
な、なんだこれは?? 読み終わってからも頭の周りに?がいっぱい 一体何を読まされたんだ(笑) だけどキライじゃないぜ(笑) 「木になった亜沙」では 亜沙が誰かになにか食べさせようとするが 誰もそれを受け取ってくれない 誰も食べてくれない 「的になった七未」では ななちゃんにだけは物が当たらない 「ある夜の思い出」では わたしはずっと腹ばいで生活している という特殊な状況 なに?どういう暗喩? なんにしても いわゆるフツーではない 世間から受け入れられない存在 受容されたい欲求からの不思議な世界 それぞれの作品で それぞれの幸せ?があるので もしかするとハッピーエンドなのだろうか 世にも奇妙な今村夏子
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表題作。主人公が持つ「誰かに食べさせたい」という思い、それは誰かに尽くすということではなく、なぜか…というその「なぜか」が積み重なっていく。そしてその思いが異常な形で実現したところで、読者はちょっとしたゾワゾワ感を抱かされる。そして最後、その願いを実現させた相手の言動と結末に、読...
表題作。主人公が持つ「誰かに食べさせたい」という思い、それは誰かに尽くすということではなく、なぜか…というその「なぜか」が積み重なっていく。そしてその思いが異常な形で実現したところで、読者はちょっとしたゾワゾワ感を抱かされる。そして最後、その願いを実現させた相手の言動と結末に、読者は「もしかしたら現実でも…」と頭によぎり、ゾッとさせられる。続く、なぜか何かを投げつけられても当たらない七未や夜の商店街に迷い込んだ「わたし」の物語でも、日常の風景に突然の違和感を突き出して、そこから一気に著者の作り出す世界に読者を引きずり込んでいく手法はさすが。想像力をフルに掻き立てられながらする読書という快感をしっかり味わわせてくれる。
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今村さんの小説は発想が奇抜だったりするが、その中にも現実的な人間的なものが見えて読んでて楽しい。表紙のイラストのインパクト強し。
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今村さんの歪んだ世界観にただただ苦笑いする感じ。それ含めて、面白がれるかどうか。 「的になった七未」もなにかに当たりたい思いを追求したらすごいことになったっていう、もう子どもみたいな発想の話で、今村さん頭の中身がどうなっているのか見てみたい。(褒めている笑)
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なんでこんなファンタジーみたいな世界観で描くのに、こんなにも病的なのだろう、今村さんの紡ぐ物語は。表題作含め、すべてが。表題作もすき。割り箸になった亜沙。的になった七未も似たような感じで進んでくんだけどこちらの方が人間的だったかな。どんな経験したらこういう話思いつくんだろ。次回作...
なんでこんなファンタジーみたいな世界観で描くのに、こんなにも病的なのだろう、今村さんの紡ぐ物語は。表題作含め、すべてが。表題作もすき。割り箸になった亜沙。的になった七未も似たような感じで進んでくんだけどこちらの方が人間的だったかな。どんな経験したらこういう話思いつくんだろ。次回作も楽しみ
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気持ち悪い?かわいい?不思議?奇妙?なんともいいがたいこの装丁の絵。装画は木原美紗紀と言う人が描いたものだった。思わず他の作品もながめてしまう。良い! さて、本の方だが、さすがは芥川賞作家。表題作の決して誰にも食べてもらえない亜沙。そんな亜沙が初めて食べてもらった短編。はい、決...
気持ち悪い?かわいい?不思議?奇妙?なんともいいがたいこの装丁の絵。装画は木原美紗紀と言う人が描いたものだった。思わず他の作品もながめてしまう。良い! さて、本の方だが、さすがは芥川賞作家。表題作の決して誰にも食べてもらえない亜沙。そんな亜沙が初めて食べてもらった短編。はい、決して私の頭がおかしくなったわけではない。本当にそのまんまの作品なんだから。最後は付喪神的な印象。 次作は「的になった七未」。誰から狙われても決して当たることのない七未。そんな七未が初めて当てられた中編。これは幼い頃から大人になって子供も出てくるお話だから全貌が掴みやすいかと思いきや、着地点は残酷。 ラストの「ある夜の思い出」も想像すると凄いのだ。立つのが面倒くさいから腹這いで生活する奴らの短編。道に迷っちゃうんだ…残念。どの作品も中盤からなのか最初からなのか、どこかで世界がグニャっと歪む。
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