凶犬の眼 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『孤狼の血』の続編である本作では、日岡のその後が描かれている。暴力団抗争が激化する中、田舎の駐在へと左遷された日岡が指名手配中の国光と偶然出会うところから物語が始まる。国光は、敵対する暴力団組長らの殺害にあたり計画を企てた首謀者であるが、人を惹きつける魅力をもった人物であり、仁義を重んじる任侠の人。本作の一番の見どころは日岡と国光の交流。警察とヤクザの立場を越え、義兄弟の盃を交わすところは胸が熱くなった。 国光は刑務所に収監後、父親のように慕っていた親分を殺されるが、刑務所内から殺した犯人を日岡に突き止めさせ、殺害する事に成功する。しかしその国光も、自身が殺した組長を慕う者から報復される最期を遂げており、暴力による憎しみの連鎖は止まらない事を予感させる。
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まず、これ読むときは絶対に佐方貞人シリーズの検事の信義を読んでからをおすすめします。 わたしはいわゆる悪役とか不良が好きになれない。テニスの王子様の亜久津仁が中学生でタバコ吸ってるとかそもそも信じられない。だから理由もなく暴力振るうような人間も到底好きになれない。でも、孤狼の血シ...
まず、これ読むときは絶対に佐方貞人シリーズの検事の信義を読んでからをおすすめします。 わたしはいわゆる悪役とか不良が好きになれない。テニスの王子様の亜久津仁が中学生でタバコ吸ってるとかそもそも信じられない。だから理由もなく暴力振るうような人間も到底好きになれない。でも、孤狼の血シリーズに出てくるヤクザの面々には、かっこよさを感じてしまう。己を貫く潔さや、仲間や親兄弟を敬う気持ちには、自分の中にはないものを感じて憧れや羨ましさを感じてしまう。きっと日岡の中の己の信ずる道を真っ直ぐに進みたいという気持ちは、そういう忠義に厚いヤクザたちと共鳴するんだろうなあ、と思う。次の作品で完結してしまうのが勿体ない作品だと思う。
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シリーズ二作目『狂犬の眼』は、日岡が左遷された田舎の駐在所が舞台となるが、意味深なプロローグから物語が開いてゆく。 私などの拙い感想を読むより、直に作品を読んで欲しいと思うが、とにかく男たちが格好良い。馴れ合わず、群れもせず、自身の信と仁に則り、命を掛ける彼らに、胸が熱くなる。 ...
シリーズ二作目『狂犬の眼』は、日岡が左遷された田舎の駐在所が舞台となるが、意味深なプロローグから物語が開いてゆく。 私などの拙い感想を読むより、直に作品を読んで欲しいと思うが、とにかく男たちが格好良い。馴れ合わず、群れもせず、自身の信と仁に則り、命を掛ける彼らに、胸が熱くなる。 今作最大の見どころは、日岡と国光の、炎に巻かれながら築かれていく友情だろう。ラストはまたしても……だが、国光という男だからこそ、用意された幕引きのように思う。 前作と併せ、必読の書! ↓『孤狼の血』と三部作の感想↓ 心の底から面白かった!と快哉をあげたくなるほど、夢中でページを繰り、三部作全てを一気に読んだ。 なかでも一作目『孤狼の血』は圧巻の読み応え。 ヤクザよりヤクザなガミさんの、無法者に見えて、締めるべきはきっちり締める男ぶりと懐の深さに、男も女も、そして読者も強烈に惹きつけられる。 一之瀬守孝や瀧井らとの信を置いた付き合いと葛藤は、ピカレスク小説のようなカタルシスを生み、次第に存在感を増す日岡にも引っ張られながら、最後は衝撃的であるものの、最高に格好いい幕切れとなり、直ぐ様始めから読み直したくなる。 私にとり、読書の愉しみを燃え上がらせてくれた作品となった。作者の柚月裕子さんに感謝。
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『孤狼の血』の続編にあたるこの物語は、二人の男の会話から唐突に始まる。 刑務所の面会時というのは分かるがそれ以外は、誰と誰の、一体何に関する会話なのか分からない。 しかし後になってこの会話の全貌が分かったとき、そういうことだったのかと胸が震えた。 前作は大上という強烈な個性を持...
『孤狼の血』の続編にあたるこの物語は、二人の男の会話から唐突に始まる。 刑務所の面会時というのは分かるがそれ以外は、誰と誰の、一体何に関する会話なのか分からない。 しかし後になってこの会話の全貌が分かったとき、そういうことだったのかと胸が震えた。 前作は大上という強烈な個性を持つ魅力的なキャラクターがいた。『裏の正義』というものを頭で否定しながら、わたしはどんどん彼に魅かれていった。今作、まだ線が細いように感じられる日岡だけで話を進めるのでは、いろんな意味で弱いんじゃないかと思っていたが、そんな心配は無用だった。大上と同じくらい、いやそれ以上の存在となる国光という人物が登場するからだ。 彼の存在は、著者がこの物語に込めたメッセージを浮き彫りにさせてくれるとわたしは理解している。それと同時に、日岡を人として、男として飛躍的に成長させる役割をも担っていたと。 『正義』と『仁義』。 正しい道理と、道徳と義理からなる筋道。 同じ義という漢字を持ちながら、この二つはまるで正反対の意味を持つ存在のように感じる。では、そこにはどんな違いがあるのだろう。 今回勃発するヤクザ同士の抗争はまさに血を血で洗う戦いで、殺られたら殺りかえすのでは、この殺戮の連鎖はどちらかの組が潰れるまでずっと続くことになる。やがては日本全国を巻き込んでの大きな事件になりかねない。 今回一番驚いたのは、日岡が刑事として選んだ選択だ。もしかしたら日岡は、大上を超える存在になるのかもしれない。 クライマックスのシーンでは、国光のあまりの格好良さに痺れっぱなしだった。こういう組織や彼の生き方やり方を肯定しているわけじゃない。でもあくまでもフィクションの世界の中限定で、彼の男っぷりはキリっとした清々しさと温かいやさしさが、なんともいえずいい。 それと日岡に恋心を抱く祥子の、幼く痛々しいほどの真っ直ぐな存在が印象的だった。
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一作目 虎狼の血を、実写映画で視聴して以来、 確か続編出るんだよなーっと ふとそんなことを思い出した矢先 たまたま見つけた続編の原作。 三部作のラストも楽しみな展開です。 日岡の仁義は一体どこに向かうのか。
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仁義の世界の話。 前作に比べて今回はちょっと期待はずれ。やはりガミさんのキャラクターが良かったんだなぁ。日岡も国光も格好いいけど、ガミさんほどの魅力はない。ストーリーもいまいち盛り上がりに欠けました。
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前作と比べると物足りない印象。 村の交通事故のくだりは何かの伏線かと思ったが、特に関係はなく、不要だったのではと思うほど。 今回の敵役?である国光も、敵としての脅威、人としての凄みがあまり感じられず感情移入出来なかった。 特に大きな展開もなく終了。 瀧井の出演が少なく、次...
前作と比べると物足りない印象。 村の交通事故のくだりは何かの伏線かと思ったが、特に関係はなく、不要だったのではと思うほど。 今回の敵役?である国光も、敵としての脅威、人としての凄みがあまり感じられず感情移入出来なかった。 特に大きな展開もなく終了。 瀧井の出演が少なく、次回作のキーとなっているのだろうか。 折角二作品読んだので、次回作には期待です。
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前作が非常に良かっただけに比較してしまい低評価ですが、読みごたえのある一冊でした。 終わり方がやや寂しくなり、点数は3。
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広島県警の所轄が舞台の警察小説で、本作は''孤狼の血''に次ぐシリーズ2作目です。2021年4月現在は第3作の''暴虎の牙''が刊行されています。 1作目は、ドラマ化もされました。暴力団と蜜月の...
広島県警の所轄が舞台の警察小説で、本作は''孤狼の血''に次ぐシリーズ2作目です。2021年4月現在は第3作の''暴虎の牙''が刊行されています。 1作目は、ドラマ化もされました。暴力団と蜜月のマル暴刑事の違法な捜査とその刑事の正義や生き様を相棒として国立大出の新米刑事の主人公、日岡刑事はその先輩刑事である大上が殺されたあとに同じ道を歩もうと思う。 本作では、大上の事件から2年が経って日岡は左遷されていた。1作目と同様にストーリーの背骨は、信義だ。ヤクザなりの警察官なりの信義。 古風な考え方のヤクザ幹部達と大上に影響を受けた駐在巡査のハードボイルドさが心に刺さります。 ただ1作目程のインパクトが無くストーリーも単純だったのが残念でした。
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『孤狼の血』の続編。ガミさんの血を受け継いだ日岡がガミさんのようになっていく様が描かれている。ガミさんほど下品ではないにしろ。 ガミさんの意思を受け継ぐ覚悟をした日岡が今後どうなっていくのか第三部も楽しみだ。
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