1,800円以上の注文で送料無料

美しい距離 の商品レビュー

4

60件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2024/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いつ来るかもわからない死が迫る入院中の妻を、 お見舞いや世話をする夫の目線でつづられたモノローグ。 この小説は、精神的に繋がりの強い人の死と向き合い始める良いきっかけになる。 印象に残ったフレーズが2つある。 1つめ。「配偶者というのは、相手を独占できる者ではなくて、相手の社会を信じる者のことなのだ」 家父長制と比べればモダンな考え方だ。この意見に賛成だし、配偶者とはこういう関係を築いていきたい。その方が面白いと僕は感じるから。 2つめ。「死ぬための準備期間のあるがんという病気に、妻のおかげで明るいイメージを持てるようになった」 配偶者の死に準備期間があることは、準備のできない突然死よりも喜ばしいことなんじゃないか。死は全ての人に必ずやってくるのだから。

Posted byブクログ

2024/06/04

ガンに侵された妻を支える夫の話 ガンと聞くと、闘病 病と戦うイメージがあったけど、闘うばかりじゃないと気づいた タイムリミットを目の当たりにして、一つ一つのしぐさ、時間が愛おしくて愛されてた。

Posted byブクログ

2024/05/25

人物名などの詳しい説明がほとんどなく、妻の看護中に感じた違和感や出来事を淡々と語った小説でした。名前を呼び合わないっていうのが家族っぽいなぁと思いました。 亡くなった奥さんに手を合わせることなどできない、と固まってしまった場面は泣けました。 自分も死ぬときは妻と同じがんがいい...

人物名などの詳しい説明がほとんどなく、妻の看護中に感じた違和感や出来事を淡々と語った小説でした。名前を呼び合わないっていうのが家族っぽいなぁと思いました。 亡くなった奥さんに手を合わせることなどできない、と固まってしまった場面は泣けました。 自分も死ぬときは妻と同じがんがいいと思い始めている、というのは看病する中でもはやがんは妻の命を奪った憎いものという存在ではなくなったんでしょう。 故人との距離は死後も遠くなったり、近くなったりする。距離が変化することは悪いことではない。悲しい話なのに悲観的ではなく、先の未来も感じられる静かな小説でした。

Posted byブクログ

2024/05/12

ガンと死についてではなく、死ぬまでは(病気じゃなくても)生きていて、人と関わることが書かれている。人と人との距離って難しいね。夫の心の狭さ、めちゃくちゃ共感。みんな自分が大好きだし、自分の価値観が正しくてそこから発生するストーリーに、他人のことを嵌め込める。悪意はない。それに、ん...

ガンと死についてではなく、死ぬまでは(病気じゃなくても)生きていて、人と関わることが書かれている。人と人との距離って難しいね。夫の心の狭さ、めちゃくちゃ共感。みんな自分が大好きだし、自分の価値観が正しくてそこから発生するストーリーに、他人のことを嵌め込める。悪意はない。それに、ん?と違和感を覚える感じ。で、いちいち争わず、飲み込んだりやり過ごす感じ、わかるわ〜と思いながら読む。

Posted byブクログ

2024/02/17

夫婦の心の距離の取り方がまさに美しい距離 “カウントダウンの始まった人にだけ余命という言葉を当てはめ、始まっていない人との間に線を引きたがる。医師から余命を宣告された人だけが死と向き合っていて、そうではない人は生と向き合っていきている”

Posted byブクログ

2024/02/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルがいいな。 40代で癌を患って人生の終わりに向かっていく夫婦の物語。夫目線で、弱っていく妻を見ている。さらりとしていて、病室に「きたよ」「きたな」とやりとりしながら入っていく。妻がどう考えているか、胸の内で憶測しながら、もちろん会話も重ねながら日々が過ぎていく。 主人公の男性は、自分で自分を「心が狭いからいらいらしてしまう」と分析している。医師の一言やしぐさ、介護認定員の職員のおせっかい、見舞いの人の態度にいちいち傷ついたり、怒りを覚えたりする。妻を気遣い、「ちょっと…いやな思いしただろ?」と聞くと「え?いい人だったよ?」と返ってきたりして、「あぁ、自分の心が狭いからいらいらしてしまうんだ…」と感じる。 こういうところ、すごくすごく共感する。私も心が、というか、許容範囲が狭くて、そんな自分が嫌になることが多々ある。価値観が合わない、絶対に合いそうにない人たちと一緒に仕事しなくちゃいけないし、人を相手にする仕事だからどんな人も受け入れなきゃいけないんだけど、すごく拒否感感じたり、見下してしまったり(絶対ダメなのに)して、仕事に差しつかえることがある。 色々葛藤を抱えながら日々が過ぎていく。妻はだんだん弱っていく。 3つ病院を代わって、死に向かっていく。よくある闘病を描く小説やドラマなら、「一時帰宅しましょう」とか「思い出の場所に…」とかなることが多いけど、「家に帰りたいか?」と聞くにもすごく考えてしまってうまく聞けない。妻も家に帰りたいとか言わず、ただ静かに「今」を受け入れている。 最期の看取りのシーンはとても…なんというか、静かで、切なくて、でも淡々としていて、あとで主人公の夫が振り返るように、決してその「瞬間」が特別なものではなかった。人生は、どの瞬間も特別だし、病気にならなくたって、癌じゃなくたって、人は生まれたときから死に向かっていっている。 亡くなったあとの、妻の夢や、妻が遠くなっていくけど、その距離も美しいと感じる心持ちも、とても素敵だと思った。死をどうとらえるか、心に響きました。 ナオコーラさん、また読みたいと思います。

Posted byブクログ

2024/04/24

サンドイッチ屋店主の妻がガンになり入院、夫は介護休暇制度使い業務量を減らし、妻との時間を多く取り死までの時間を描いた一冊。 花田菜々子氏推薦、死について興味もあり手に取る。 夫は妻が死ぬまでの時間を淡々と自分がやれることをや過ごし、妻も穏やかにその時を迎える。物語としては面白...

サンドイッチ屋店主の妻がガンになり入院、夫は介護休暇制度使い業務量を減らし、妻との時間を多く取り死までの時間を描いた一冊。 花田菜々子氏推薦、死について興味もあり手に取る。 夫は妻が死ぬまでの時間を淡々と自分がやれることをや過ごし、妻も穏やかにその時を迎える。物語としては面白みがないが、私の場合はどうだろうや、実際には日々の時間がやはり淡々と流れていくのか等、話が大げさになっていない分、自分事としてシュミレーションできた感がある。 読んだあと、これが「美しい距離」かと考える、そうだな。美しい距離か。 私も同じ状況になった場合、再読しても良いかなと思った、人は「美しい距離」を取れるのか?書評を書いているうちに、ジワジワと良さが改めて分かった作品。

Posted byブクログ

2023/11/25

旦那さんの視点からしか見えないからわからないけど、素敵な夫婦生活だったんだなと思った。 常に奥さんがどうしたいか、を最優先に考えてる旦那さんは"愛"だな、と

Posted byブクログ

2023/10/24

老いは穏やかだ。 抑揚の無い日常の繰り返しも穏やかだ。 だが、病気により、その繰り返しや日々の穏やかな積み重ねも急に歪み、加速し、取り戻せなくなる。美しい距離とは儚さの事か。手を伸ばしても次第に届かなくなる、過ぎ去りし幸せな思い出が、やがて遠い過去になる。 この小説はそんな世界...

老いは穏やかだ。 抑揚の無い日常の繰り返しも穏やかだ。 だが、病気により、その繰り返しや日々の穏やかな積み重ねも急に歪み、加速し、取り戻せなくなる。美しい距離とは儚さの事か。手を伸ばしても次第に届かなくなる、過ぎ去りし幸せな思い出が、やがて遠い過去になる。 この小説はそんな世界観を描いているような気がした。どこにでもありそうな平凡。日常を破る、また、どこにでもありそうな闘病。しかし、当事者にしか気付かない、不可逆的な穏やかな日々。 心臓がドキドキするのは、その日がいつか来ることに気付いているから。人間は何度も、死を乗り越えて、再び穏やかさを取り戻して生きる。死を前にすれば弱くもあり、しかし、それを乗り越える強さもある。人と人の距離、過去と現在の距離、自分自身と未来への距離を測りながら。

Posted byブクログ

2023/09/28

身近な人を看病して死を迎えるにあたって、どのように対するのか? その人らしいとは?死に向かうのも生きかたそのものであり、 それは自分の死にかたであり、清ぎよしい死にかた、 あるいは清ぎよし生きかたが浮かんでくる、著者の目線が新鮮。

Posted byブクログ