美しい距離 の商品レビュー
身近な人だけじゃなく、様々な人との距離に着目している点が面白かった 恋人や近しい友人、心的距離や身体的距離を求めてしまいがちだけどそうではない、 見えているもの感じる距離が全てではない
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末期がんと診断された妻を看病する夫視点の小説。だけどこれは、ありきたりな御涙頂戴系の物語ではない。 事柄と事柄を繋げてステレオタイプの物語を作りたがる人間の軽薄で愚かな好奇心や、死後急激に離れていく故人との関係/距離に対する違和感など、あらゆる物事に対し思慮深く心遣いのできる夫が...
末期がんと診断された妻を看病する夫視点の小説。だけどこれは、ありきたりな御涙頂戴系の物語ではない。 事柄と事柄を繋げてステレオタイプの物語を作りたがる人間の軽薄で愚かな好奇心や、死後急激に離れていく故人との関係/距離に対する違和感など、あらゆる物事に対し思慮深く心遣いのできる夫が抱いた想いや考え、怒りを、この小説は丁寧に丁寧に描いている。 そして、「近いことが素晴らしく、遠いことは悲しいなんて、思い込みかもしれない」という文章は私持っていたステレオタイプな考え方に気付かせてくれた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とてもていねいに描かれていた。心情も、状況も。 初「ナオコーラ」。誰に勧められたわけでもなく、インスタで紹介されていたわけでもなく、図書館でふと手にした作品。 読んでよかった。 日々、元気に暮らしていても、病や死と隣り合わせであることに知らん顔はできない。怖いし、不安。 がん保険も入り直したくらい怖いと思っていたけど、亡くなるまでの準備期間がもらえると、死ぬならがんがいいと看取った配偶者に思わせるなんてまったく思いつかない発想だった。 こんな素敵な配偶者がいるなんて、仕事仲間にあんなふうに慕われて、お客さんをあんな風に幸せな気持ちにさせる「妻」は幸せな人だ。 正直な物語だった。 解説もよかったな。
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妻の最後をみとる夫の話。 ものすごく良かった。とても泣いたけど、すごく暖かい涙だった。こういう愛は、私も、時も、生死もこえるんだと信じてるから、そういうのをちゃんと丁寧に描いてくれるのは、救いになるんだと思う。
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久々に星5の昨日に巡り会えて嬉しい…! 長く生きられない病を患った妻と、それを看病する夫の物語。 そんなふうに聞くと、へそ曲がりな私はこの本を手に取らなかったかもしれない。あ、感動の物語なのね、と。 そうではなくて、タイトルそのままのお話で、死に向かっていくひとと、その周りの...
久々に星5の昨日に巡り会えて嬉しい…! 長く生きられない病を患った妻と、それを看病する夫の物語。 そんなふうに聞くと、へそ曲がりな私はこの本を手に取らなかったかもしれない。あ、感動の物語なのね、と。 そうではなくて、タイトルそのままのお話で、死に向かっていくひとと、その周りの人たちの距離感のお話。 記憶に残っているのは、「死の瞬間を、大事な時間のように捉えたくない」「マラソンをしているとき、テープを切る瞬間は特別かもしれないが、その瞬間を見守っている人たちだけが選手にとって大事な人ではないだろう。練習に付き合った人、スタートの背中を押してくれた人、沿道で応援してくれた人、どの人も大事に違いない。」という言葉。 死ぬ直前や死んだ後は、家族のことを考えてると思われがちなのは、なぜだろう。仕事のことは死ぬ直前や死んだ後は考えなくなるって思われがちなのは、なぜだろう。 大事な度合いやベクトルは違っても、肉親や長く連れ添ったパートナー以外の自分を取り巻くたくさんの人へ、それぞれ違った思いを持っている。 つい昨日まで、手を上げて声を掛け合っていたのに、死んだ途端に、手を合わせなきゃならなくなる。仏壇に声をかける時、なぜか敬語になってしまう。遠くに行ってしまう。 だけど時間と共に、また故人との距離が縮まったりする。 多くのことを考えさせられたし、つい先月身内を亡くした身としては、死に直面することについて、より身近に感じられて、わかる、と何度も頷いてしまった。 大病を患った妻が苦しみに悶える様などが描かれていない分、現実とは違うところもあると思う。 実際の闘病生活では痛みや苦痛から家族に当たってしまったり、看病する側もいらいらを募らせてしまう部分もあると思うので。 それでも深く考えず何気なくこの小説を手に取って良かったです。 優しいお話だし涙も出たけど、感動を誘うことを目的としていない感じがして、すごく好きでした。
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「人が死ぬ系の物語か。。。」とお涙頂戴系を予想していたが、全く違った。確かに人は死ぬ。がん患者の妻を夫が看病し、看取るという物語だ。 でもそこには、かわいそうとか悲しいとか絶望とかは、無かった気がした。 人と人との距離が遠くなっていくことは、必ずしも悪いことじゃなくて、むしろ美...
「人が死ぬ系の物語か。。。」とお涙頂戴系を予想していたが、全く違った。確かに人は死ぬ。がん患者の妻を夫が看病し、看取るという物語だ。 でもそこには、かわいそうとか悲しいとか絶望とかは、無かった気がした。 人と人との距離が遠くなっていくことは、必ずしも悪いことじゃなくて、むしろ美しいと形容して良いことなのかも知れない。そういう提言を、淡く優しく語りかけてくれるような本だった。
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サンドイッチ屋さんを経営していた40代女性が、がんになり、その夫が主人公という小説。 病気の進行など、リアルな部分もあったが、この主人公の夫の心が狭すぎると感じて、あまり共感できなかった。 人が病気のこと訪ねたがるのは当然だし、隠すよりも包み隠さず話すべきと個人的には思う。不幸...
サンドイッチ屋さんを経営していた40代女性が、がんになり、その夫が主人公という小説。 病気の進行など、リアルな部分もあったが、この主人公の夫の心が狭すぎると感じて、あまり共感できなかった。 人が病気のこと訪ねたがるのは当然だし、隠すよりも包み隠さず話すべきと個人的には思う。不幸なことだけど悪いことしたわけではないのだし。 心に響く場面もなく、低評価。
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圧倒的だった。何度も泣きそうになった がん終末期の妻との、近いようで遠い距離 そして亡くなった妻との、遠いようで近い距離 「死ぬなら、がんがいいな」 実はこれは医療者の実感だったりする。
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慣れとは怖いもので、何気なくタメ口で話してしまう看護師。それは患者、家族はとっては何気ないことではない。看護師からしたら沢山いる患者の1人かもしれないが、患者・家族からしたら沢山いる中ではなく自分達の人生。私の中でとても現実味のある話で、考えさせられるものが多かった。人との距離と...
慣れとは怖いもので、何気なくタメ口で話してしまう看護師。それは患者、家族はとっては何気ないことではない。看護師からしたら沢山いる患者の1人かもしれないが、患者・家族からしたら沢山いる中ではなく自分達の人生。私の中でとても現実味のある話で、考えさせられるものが多かった。人との距離と言うものを最近難しく考えていたので、この夫婦の距離が美しく思えた。(題名の通りだが、本当にそう感じた。)大切な一冊に出会えた。
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大号泣... 夫の妻への愛が本当に感じられる作品だった。 死のあり方について考えさせられた。 いちばん良い形でその人の固有の死を迎えるためにどうするか 新しい視点だった。
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