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美しい距離 の商品レビュー

4

60件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    1

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2021/02/05

パン屋を営む女性に連れ添う、夫の立場から描かれた物語。 軽やかな文体。 自分の働き方や人との距離について考えた。 日々諦めず、こぼれる光を探していこう。

Posted byブクログ

2021/01/30

「悔いの無いように生きなさい」と言うけれど、最期のひと時ほど「かくあるべき」とまるで身の程を問われるようで。自分の人生の最期に弁えなければならない身の程ってなんだろう。 尊いものの前で嘘をつくのを出来ればやめて、感じるままを理想ってことにしたい。 人それぞれいろんな状態にいて、...

「悔いの無いように生きなさい」と言うけれど、最期のひと時ほど「かくあるべき」とまるで身の程を問われるようで。自分の人生の最期に弁えなければならない身の程ってなんだろう。 尊いものの前で嘘をつくのを出来ればやめて、感じるままを理想ってことにしたい。 人それぞれいろんな状態にいて、今の自分にはこういうことは出来ないんだなと諦めなきゃいけないこともあるだろうけど、それを他人に決められるのは絶対につまらないはずだから、僕も軽率に誰かにそれを言うのは今後は無しにしようと改めて思った。 職業上もそういう言葉は避ける。 自分の死後に希望を持とうとするとき、何かを残したい、特別な何かを残すことが出来たなら、繋ぐことが出来たならと考えていた。今もそう考える。 だけど最後のシーンの余韻の中でそれとは違う希望も抱くことができた。 ナオコーラさんはすでに美しい距離を目にしたんやな。すごいな。

Posted byブクログ

2021/01/26

夫婦や生死について、新しい視点を提供してくれる作品でした。死ぬことに対する恐怖が、少しやわらいだ気がします。

Posted byブクログ

2020/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

物語が始まった時点で、着地がわかっているストーリー。 小説というよりは。 私よりも若い年齢で癌を患い死にゆくということは、こういう感じなのね…と淡々と辿っていくような。 夫の立場になり、妻の立場になり、美しい距離を考えてみた。 美しい距離になるかどうかは、それまでの距離がどうだったのかに寄るのだろうな。 癌で亡くなる場合、こうして看病をし、見舞ってくれる人がいる場合は幸せなのかも。 孤独な人が1人で戦うにはキツイ病だね。

Posted byブクログ

2020/08/11

なぜ美しい距離というタイトルがつけられたのだろう? 私が思うにそれは人間関係における程よい距離感のことを言っているのではないだろうか。 家族だから友人や知人よりも近しい間柄、病人だから近しい間柄の人がなんでもしてあげる、友人よりも家族と過ごす時間が大事。 果たして距離が近ければ近...

なぜ美しい距離というタイトルがつけられたのだろう? 私が思うにそれは人間関係における程よい距離感のことを言っているのではないだろうか。 家族だから友人や知人よりも近しい間柄、病人だから近しい間柄の人がなんでもしてあげる、友人よりも家族と過ごす時間が大事。 果たして距離が近ければ近いほどいいのか? 親しき仲にも礼儀ありという言葉がある一方、親しい仲を形成していないのに一方的に距離を縮めてくる人もいる。 自分のことを何様だと思っているのだろう? 多様な価値観があるからこそ自身の価値観を押しつけずに対話すべきはずなのに… 作中の夫は迷いながらも妻との距離感を大事にし続けていたと思う。

Posted byブクログ

2020/07/29

芥川賞候補作、島清恋愛文学賞受賞作 死ぬなら、がんがいいな。がん大国日本で、医者との付き合い方を考える病院小説!ーー という紹介文ですが、病院小説という狭い範中ではなく、リアリズム小説と呼びたいくらいのジャンルを超えたクオリティの高さです。実際に父親をがんで亡くした経験を持つ筆者...

芥川賞候補作、島清恋愛文学賞受賞作 死ぬなら、がんがいいな。がん大国日本で、医者との付き合い方を考える病院小説!ーー という紹介文ですが、病院小説という狭い範中ではなく、リアリズム小説と呼びたいくらいのジャンルを超えたクオリティの高さです。実際に父親をがんで亡くした経験を持つ筆者だからこそ書ける会話や地の文にまで行き届いたリアルさが胸に迫ります。 第155回芥川賞受賞作は強烈な「コンビニ人間」で、惜しくも受賞を逃した「美しい距離」でしたが、解説の豊崎由美さんの「心の芥川賞を贈らせていただきます」「義父が見舞いに来ないことを不審に思う読者もいるかもしれないが、私は書かれていないからこそ胸が締め付けられた。(中略)小説は書かれた言葉だけで成り立っているのではない。書かれていないことにも語らせる力を持った小説こそがいい小説なのだと私は思う」は最高の解説です。身の回りに入院している知人がいる人やいた人なら、きっと共感できる小説です。 ある日、サンドウィッチ屋を営む妻が末期がんと診断された。夫は仕事をしながら、看護のため病院へ通い詰めている。病室を訪れるのは、妻の両親、仕事仲間、医療従事者たち。医者が用意した人生ではなく、妻自身の人生をまっとうしてほしい――がん患者が最期まで社会人でいられるのかを問う、新しい病院小説。解説・豊﨑由美(小説紹介文)

Posted byブクログ

2020/07/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

すべてが主人公からの続柄で物語は進んでいき、時々むずかいしい?独特な熟語を引用して感情を表現しているようである。 主人公の妻の病院生活が主な内容で、遺族側からの目線で病院関係者とのやりとりの中での心の動きや葛藤がかなり細かく描かれている。 延命治療を考える下りで、主人公が延命治療ではなくて、がんの治療があるならやりたいのだと思うところは、心に響いた。 "死の瞬間なんて重要視していない、そのために見舞いに来ているのではない、いまこの瞬間のために見舞っているのだ" というところは、当たり前であることを改めて叩きつけられたような気がした。 介護認定士の言動や葬儀参列者などの対応もよく描かれている。 世間ってこんな感じだろうと納得感があった。 "死ぬなら、がんがいいな" というのも、一石を投じる光のように感じた。

Posted byブクログ

2020/07/14

はじめての、山崎ナオコーラさん。 主人公が、周囲からの見られ方、相手の受け止め方を考えていつも気を遣っているのが、感受性の問題、距離感の問題。 妻への愛もすてきだった。

Posted byブクログ

2020/06/10

2時間半で読了 ガンになった妻との日々を描いた作品。お涙頂戴的なドラマチックな展開は無く、静かに、淡々と、押し付けがましくない文章で、夫と妻と周りの人々との関係性を描いている。最後は染み渡っていくような静かな悲しみもありつつも、浄化されるような穏やかな気持ちになった。山崎ナオコー...

2時間半で読了 ガンになった妻との日々を描いた作品。お涙頂戴的なドラマチックな展開は無く、静かに、淡々と、押し付けがましくない文章で、夫と妻と周りの人々との関係性を描いている。最後は染み渡っていくような静かな悲しみもありつつも、浄化されるような穏やかな気持ちになった。山崎ナオコーラ、好きかも。

Posted byブクログ

2020/04/15

山崎ナオコーラさんの著作を読むのはこれが初めて。もちろん、「人のセックスを笑うな」はあまりにも有名。作家として気にはなっていた。 ブクログで見かけたレビューを良い機会と思い、手にとって見た。 まず、言わなければいけないのは文体が独特だということ。本作だけが特殊なのか、他の著作...

山崎ナオコーラさんの著作を読むのはこれが初めて。もちろん、「人のセックスを笑うな」はあまりにも有名。作家として気にはなっていた。 ブクログで見かけたレビューを良い機会と思い、手にとって見た。 まず、言わなければいけないのは文体が独特だということ。本作だけが特殊なのか、他の著作もそうなのか分からないけれども、難しさを感じた。たびたび主語が省略されるので、油断していると誰の発言・行為なのか分からなくなる。 著者紹介では「分かりやすい文章を心がける」と書かれていたけど、ちょっと行き過ぎている気がする。 それはさておき、内容については可もなく不可もなく、かな。 若くして癌に罹ってしまった妻と、その看病をする夫の物語。夫の視点で話が進んでいく。 決して安易な感動モノにならず、夫の思いや考えがつらつらと描かれる。 例えば、妻を見舞いにくる知り合いが登場する。彼らは遠慮もなく「痩せたね」と言ってくる。それに対して夫は「太ると言うことは明らかに失礼なことなのに、人は平気で痩せたと言う」などと憤る。 他には、「未来のことを考えることが、必ずしも明るい気分になれるわけではない」や「忌引について、死んでから休んだって意味ない 死ぬ前に休みがほしい」など。 病気を中心に巻き起こる数々の不条理に対して、夫の独白という形式を通じて、山崎ナオコーラさんの私見が述べられる。それは少し新鮮な発見をもたらして、病気の現場への認識を少しだけ改めてしまった。 さらに、介護保険法など、現実の制度や実態が物語の中に自然な形で組み込まれている。そういう意味では少しノンフィクションらしさも感じる一作だった。 ネタバレになってしまうけど、妻はあっさり死んでしまう。それに対して、夫は淡白。そう、この物語はどこか淡白な空気が漂っている。 だけど、冷静になって考えてみると、事故死などの急死を除けば、人の死に際して、取り乱す人間の方が少ないような気もしてくる。 この物語では、夫は着々と妻の死が現実になっていくのを見ていた。来たるべき未来として死が織り込まれたとき、人は激情に飲まれないものなのかもしれない。 そのように理性的に死と向き合っていくことが「美しい距離」を取るということなのかな、と自分を納得させた。 また、夫は最終的に「死ぬなら癌がいい」と独白する。最後に小綺麗にまとまった感じ。 さすが芥川賞の候補作だけあって、単純ではない。読者に考えさせる感じ。だけど、やっぱり★3つかなぁ。 (書評ブログも宜しくお願いします) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E5%A4%A7%E5%88%87%E3%81%AA%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%AD%BB%E3%82%92%E7%B9%94%E3%82%8A%E8%BE%BC%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%84%E3%81%8F%E5%B0%8F%E8%AA%AC_%E7%BE%8E%E3%81%97%E3%81%84%E8%B7%9D%E9%9B%A2_%E5%B1%B1

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