わたしの美しい庭 の商品レビュー
登場人物にはそれぞれ悲しい過去がありますが、それを忘れさせてくれる今の幸せがあり、ホッコリさせられる良いお話しでした。
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読書備忘録637号。 ★★★★★。 なぜか読んでて涙が出てくる。 ヒトは誰しも完ぺきではない。そもそも完璧であるという尺度はどこに存在するのだろう。失敗して、成長して、いつまでも引き摺って、意識せず他人を傷つけ、それでも他人と関わり無くしては生きていけない。 とある地方の5F建ての古びたマンション。屋上には庭園があり、縁切りの神様が祭られている。ここに住む人たちはいわゆる世間的な普通からちょっと外れてしまい、それでも健気に、世間と折り合いをつけ、幸せを掴むために懸命に生きる。温かい物語。 マンションの管理人であり、屋上神社の神主である統理。血の繋がっていない娘の百音と暮らす。 隣にはゲイの路有。お隣さんでありながら、父娘とほぼ一緒に暮らす。 マンションの住民として、40手前で独身の高田桃子が親と暮らす。桃子の元カレの弟、基はうつ病。 彼らの身の上が物語の初期設定として最初に語られる訳ではない。極々自然に登場人物同士の会話や回想の中で語られていく。これが凪良さんの物語の真骨頂。変に読者に向けて解説するのではなく、登場人物たちに語らせる。 読んでてほんとに気持ちいいです。 そして物語。 血の繋がっていない父娘が一緒に暮らすことの異常性。そこに至る決意。結婚適齢期を逃した未婚女性が晒される在るべき姿とそこに当てはめようとするお節介。逃している訳ではないその訳とは?どんなに仕事が辛かろうが、一流企業のブラックな仕事環境で耐えるのが男という在るべき姿と、病んだものは敗者というレッテルとの闘い。人は男女という異性で結婚して子供を産み育てるという常識に縛られる性的マイノリティの辛さ(朝井リョウさんの正欲を読んでしまった以上、路有を性的マイノリティと呼ぶ訳には行かない!笑)。 そんなこんな世間の一般常識からしたら、ちょっとイレギュラーになってしまった人々が縁切りの神様に、生き辛さとの縁を切ってもらう物語でした。 涙が出ます。 もう兎に角★5つの満点。
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読んだ後に何故だか幸せな気持ちになる話だった。 誰もが思い浮かべるような「普通」から、はぐれた人達の生き方とこれからの未来への希望がすごくキラキラしていて、なんだか羨ましかった。 20代後半になって生きるのが窮屈になってきた私に、まあ生き方は一つじゃないし、幸せなんて自分が決める...
読んだ後に何故だか幸せな気持ちになる話だった。 誰もが思い浮かべるような「普通」から、はぐれた人達の生き方とこれからの未来への希望がすごくキラキラしていて、なんだか羨ましかった。 20代後半になって生きるのが窮屈になってきた私に、まあ生き方は一つじゃないし、幸せなんて自分が決めるものだからねっていう励ましに似たものをくれたような気がする。 『それでも認められないときは黙って通りすぎよう』 多様性の時代、私もこういう風に生きていきたい。 百音ちゃんはちょっとマセすぎてて、 うーん……ってひっかかるところがあったので星3 人生何周目の小学生なの?って感じてしまった。
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兄の恋人が一番印象的だった。みんな優しくて、それゆえに傷つけたり、壊れてしまう。弱さを見せないことは強さじゃないし、なんでも受け入れようとするのは優しさじゃない。登場人物それぞれの気持ちがじっくり心に入ってきて泣きました。これはお酒を呑みながら書いてるのでまともな感想じゃないです...
兄の恋人が一番印象的だった。みんな優しくて、それゆえに傷つけたり、壊れてしまう。弱さを見せないことは強さじゃないし、なんでも受け入れようとするのは優しさじゃない。登場人物それぞれの気持ちがじっくり心に入ってきて泣きました。これはお酒を呑みながら書いてるのでまともな感想じゃないです。
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急にプツッと身近な人を失っても、生は続く。 人と人生の進め方が違って生きづらくても、生は続く。 良かれと思って焼いてくれたおせっかいに傷ついたり、それをネガティブな感じてしまったことを申し訳なく思ったり。生きるのは、身も心もハード。そういうときに出会いによって救われることもある。
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美しい庭と憩いの場がある マンション、私も住みたい。 そして住人の言葉の一言が とっても刺さる。 特にトウリ君の言葉は なるほどねぇと一々感心してしまう。
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どんな形であっても、家族としてご縁を得たならば、それは家族なのだと思う…血のつながりや性別は関係なく、愛で満たすことができる
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けれど歳月だけではないでしょう たった1日っきりの 稲妻のような真実を 抱きしめて生き抜いている人もいますもの 百音の感情は百音だけのものだ。誰かにこう思いなさいと言われたら、まずはその人を疑った方がいい。どんなに素晴らしい主義主張も人の心を縛る権利はない 今回も良かった!...
けれど歳月だけではないでしょう たった1日っきりの 稲妻のような真実を 抱きしめて生き抜いている人もいますもの 百音の感情は百音だけのものだ。誰かにこう思いなさいと言われたら、まずはその人を疑った方がいい。どんなに素晴らしい主義主張も人の心を縛る権利はない 今回も良かった!毎回いろんな人に焦点あたるけど、いつもしんどい人のしんどいところを掬ってくれるなー。鬱とか、ほんま俺あん時よお大丈夫やったな・・・良かったほんま
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流浪の月が大好きでそちらを読んでからこちらも読んでみた。 やっぱり大好き!グッときた。 恋愛小説ではないとわかってる、わかってるけど、桃ちゃんと坂口くんのストーリーはきゅんきゅんしながら読んでた。そして、坂口君が事故で亡くなったと分かった時は悲しくて電車の中で何度も泣きそうになり...
流浪の月が大好きでそちらを読んでからこちらも読んでみた。 やっぱり大好き!グッときた。 恋愛小説ではないとわかってる、わかってるけど、桃ちゃんと坂口くんのストーリーはきゅんきゅんしながら読んでた。そして、坂口君が事故で亡くなったと分かった時は悲しくて電車の中で何度も泣きそうになり... 生きているうちにさまざまな感情を全部経験するのは無理だが、こう言うふうに小説を読んで主人公たちと一緒に笑ったり泣いたりするとなんだか自分もそんな感情を一緒に経験したような気持ちになり、何だか心が豊かになっているようだ。
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縁切り神社と呼ばれる神社が屋上びあるマンションに住む人達の連作小説。 登場人物の葛藤がすごく丁寧に描かれていて、そこから一人一人折り合いをつけいていく姿に心地よく涙できる。気持ちの機微の描き方がほんとうにうまくて、ひとつひとつの表現もすごく綺麗。 「ぼくたちは同じだから仲良くし...
縁切り神社と呼ばれる神社が屋上びあるマンションに住む人達の連作小説。 登場人物の葛藤がすごく丁寧に描かれていて、そこから一人一人折り合いをつけいていく姿に心地よく涙できる。気持ちの機微の描き方がほんとうにうまくて、ひとつひとつの表現もすごく綺麗。 「ぼくたちは同じだから仲良くしよう」より、 「ぼくたちは違うけど認め合おう」 「それでも認められないときは黙って通り過ぎよう」 「無駄に殴り合って傷つけあうよりは、他人同士でいたほうがまだ平和」 ほんとうに誰かを思いやるのは実はすごく難しい。 明日頑張るための小さな幸せを拾い集めて明日も頑張ろ。
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