大きな鳥にさらわれないよう の商品レビュー
こんなSF全開の話とはつゆ知らず。Kindleで積読してると帯情報も無いからまっさらに読み始められて良い。内容も非常に良かった。この話のようなことが起こらないと誰が言えようか。破滅に向かう人類の愚かさ、僅かな希望を信じる強さ、自己と異なるものを許容できない弱さ、どれも他人事ではな...
こんなSF全開の話とはつゆ知らず。Kindleで積読してると帯情報も無いからまっさらに読み始められて良い。内容も非常に良かった。この話のようなことが起こらないと誰が言えようか。破滅に向かう人類の愚かさ、僅かな希望を信じる強さ、自己と異なるものを許容できない弱さ、どれも他人事ではない。柔らかな文体とは裏腹に残酷な近未来を突きつけられる感じ。それでもこの文章だから後味悪くならずに希望を見出そうと思えるのかも。このコロナ禍に対しても充分示唆的。
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数千年、もしかしたら数万年の超ロングスパンで描かれる壮大な人類史SF小説。これからの“わたしたち”の行く末。滅びの美学。そこに描かれる世界はディストピアのようでディストピアではない。不思議な感覚。 短編集の形を取り、最初は無関係そうに見えるアネクドートがいつしか共通の世界観を持っ...
数千年、もしかしたら数万年の超ロングスパンで描かれる壮大な人類史SF小説。これからの“わたしたち”の行く末。滅びの美学。そこに描かれる世界はディストピアのようでディストピアではない。不思議な感覚。 短編集の形を取り、最初は無関係そうに見えるアネクドートがいつしか共通の世界観を持ってして描かれた叙事詩であることがわかる。母たちとは。見守りとは。様々なキーワードが散りばめられ次第に全体像をなす様はさながらジグソーパズルを完成させていくかのよう。所々、いくつかのアネクドートで、タイトルにもある『鳥』が印象的な舞台小道具として登場する。 そして一番最後の『なぜなの、あたしのかみさま』を読み終えた時冒頭の『形見』へと繋がる見事な円環構造。何度でも楽しめる名作。
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愚かで愛おしい「わたしたち」について。 SF頻出のテーマを、「白いガーゼのうすもの」を被せたようにほのめかしながら、やわらかな言葉遣いで読ませるので夢見心地になる。
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人類が居なくなった後の世界……現実味が無さそうであって、少し恐ろしく、でも川上さん特有のゆるゆるした時間が感じられ、読んでいて癒された。人類滅亡後の神話は新鮮でした。
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時間、場所が次々に転換するけと、ひとつの「世界」の物語。 こんな感じの女性作者さんの書くSFって割と好みなのかもしれないと思いました(華竜の宮とか大好きだし) 追)読み終わってからあらすじ見たけど、これはSFという以外前情報ない方がおもしろく読めると思います
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文庫新刊が出た時に気になっていたのだが、中古本屋で見つけたので購入。 最初のほうはかなり戸惑う。読み進めて薄っすらと理解できるようになったところもあったが、それ以上に分からないこともまた出て来るといった感じ。 100頁ほど行った辺りからそこまで蒔かれた話の上に徐々にタネが明かさ...
文庫新刊が出た時に気になっていたのだが、中古本屋で見つけたので購入。 最初のほうはかなり戸惑う。読み進めて薄っすらと理解できるようになったところもあったが、それ以上に分からないこともまた出て来るといった感じ。 100頁ほど行った辺りからそこまで蒔かれた話の上に徐々にタネが明かされていき、朧にこの話の世界が理解できるようになってくる。 そうなってくると、今まで???だった話の意味がいきなり深い意味を持って立ち昇ってきて、読むほどに、もう一度前に戻ったり、グッとこの世界に引き込まれる。 色々な語り口で書かれた作者の人間に対する思いは、最後のほうの「運命」という話で集約されるが、全体を通じてこちらの想像力が試されるというか、作者の想像力とこちらの想像力がぶつかり合っているというか。 遠い未来の話でありながら寧ろ太古の昔を感じさせる雰囲気で、SFチックな描写は殆どないが読み終えて見ればガチSF。 最後の話を読むとまた最初の話から読み返したくなる。
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遠い未来、衰退の危機を認めた人類は、「母」のもと、それぞれの集団どうしを隔離する生活を選ぶ。異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある人間の誕生に賭けた―。かすかな希望を信じる人間の行く末を、さまざまな語りであらわす「新しい神話」。泉鏡花文学賞...
遠い未来、衰退の危機を認めた人類は、「母」のもと、それぞれの集団どうしを隔離する生活を選ぶ。異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある人間の誕生に賭けた―。かすかな希望を信じる人間の行く末を、さまざまな語りであらわす「新しい神話」。泉鏡花文学賞受賞作。
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初めは何の関連もないただの短編集のように思えるが、読み進めていくうちにそれぞれの短編の繋がりが見えてくるという構成。 ラストを読んで、驚きが隠せなかった。まさかあそこに繋がってるなんて…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
川上弘美のこの世界観、しっとりとしてやさしいこの文章、これが大好きなのだ!と改めて思う。 人が生きること、人と交わること、それぞれの死や滅び、そういったすべてがある。 あたたかくやさしく語られるその無限の生と死の繰り返しのなかに、そこはかとなく常にただよう不安な滅びの匂いと寂しさ。 ばらばらに語られていたような物語がすべて繋がっていき、最後にまた始めの物語へと還っていく。 神話のような手ざわりだが、いま生きているこの世界が語られているのでもある。 もう一度また読んでみたい作品。
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ふわふわした文体に騙されそうになったけど、ゴリッゴリに壮大なSFものだった。 ---------- 遠く遙かな未来、滅亡の危機に瀕した人類は、小さなグループに分かれて暮らしていた。異なるグループの人間が交雑したときに、、新しい遺伝子を持つ人間──いわば進化する可能性のある人間の...
ふわふわした文体に騙されそうになったけど、ゴリッゴリに壮大なSFものだった。 ---------- 遠く遙かな未来、滅亡の危機に瀕した人類は、小さなグループに分かれて暮らしていた。異なるグループの人間が交雑したときに、、新しい遺伝子を持つ人間──いわば進化する可能性のある人間の誕生を願って。 ---------- うまく言葉にならないけど。 エリ、エリ、レマ、サバクタニ。 ラストのまとめ方が残酷ですき。そうやってループする。
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