大きな鳥にさらわれないよう の商品レビュー
著者にしてはめずらしく、 人類滅亡を扱った壮大な物語です。 なのにやっぱり、 やわらかさと優しさを感じました。 命には必ず終わりが訪れます。 それは個々の命の終焉というだけでなく、 この地球にだって寿命はあるのです。 だれもがそのことを知っているにもかかわらず、 現実のこととし...
著者にしてはめずらしく、 人類滅亡を扱った壮大な物語です。 なのにやっぱり、 やわらかさと優しさを感じました。 命には必ず終わりが訪れます。 それは個々の命の終焉というだけでなく、 この地球にだって寿命はあるのです。 だれもがそのことを知っているにもかかわらず、 現実のこととして受け止めていません。 終わりがあるとわかっているのに、 人間はどうして 無駄なことばかりするのでしょう? 過去にさいなまれず、 未来におびやかされることなく、 いまだけを生きることが、 なぜこんなにも難しいのでしょう? 生きもののほとんどは、 過去にも未来にもとらわれることなく、 いまこの瞬間を生きているように思われます。 人類の存在しない地球を想像してみると、 自然の法則に従った 秩序正しい世界が思い浮かびます。 人間だけがありもしない真理を求め、 この世界に生まれたことの意味を求めて、 本来単純であるはずのものを 複雑で醜悪なものに してしまっているような気がします。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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なんであと少しなのに読み終わらないんだーー! あと少しなのに!!なんか独特すぎて進まないんよなあ嫌いな感じじゃないんだけど
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読み終わって、ついつい解説にあるように最初の「形見」を読み返した。何度も読み返したくなる本、というのはこういう本のことを言うのだろう。 最初はわけがわからなくてなかなか進まないのだけれど、気づいたら止められなくなっている、そんな話。SFは得意ではないのだけれど。
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・2月6日に読みはじめ、8日に読み終えました。 ・たいへんおもしろかった! ・終始、なんだかうすいスープのような、何かしらのきれいな上澄みを飲んでるような気分だった。こんなにやわらかく書かれているのにガッチガチのSFなのすごいな。 ・バラバラの短編集のように見えて全体はつながっている、という作品はけっこうあるけど、これはその中でもだいぶ異質だなと思った。個人の名前の規則性が全くなかったりそもそも名がなかったり、文化も生活様式も各作品でガラッと違っていて、どうみてもちがう世界の話なのに、完全に隔離されてそれぞれ発展した人間たちというくくりで同じ地球の話にしてしまうのすごかった。 ・あとクローンが当たり前みたいに出てくるから、別の話で出てきた名前が出てきても、その人が出ていた話と時系列が一緒というわけではなく、名前だけを残している。その時間軸の不確かさも良かった。最後の話が最初の話につながっていると思うんだけど、この時系列の曖昧さがあるからまた新しく創造されたとも読むことができるなあと思った。 ・「運命」が一番好きだな~。上位存在に語られるのって良い。あと今までの話がしっかりとまとまった瞬間だったので、シンプルに話として強かったな。「Interview」の光合成するお兄さんも良かった。 ・最後、母たちが小型の時限爆弾を飲み込んで爆発して一斉に死ぬというなんともコミカルに見える死に方を選んだのも、前の「運命」で人工知能が腹の中に居ることが語られているから、きちんと合理的な方法だったんだなあとわかる。 ・こういうディストピア系を読んで「未来を見てるようだな」とか言うの好きじゃないんだけど、実際少しは思った。特に最近はAIが爆発的に発達してるからなあ。作中の人工知能とはちょっと違うと思うけど、SFは未来を描いているから重ねてしまうんだよなあ。 ・色を変え形を変え温度を変えてずっと愛の話が語られていたな、と読み終わって気づいた。私は愛の話が本当に好きなんですけど、今まで好んで読んできた愛の話とはまったく毛色が違ったな。博愛といえば博愛に見えるんだけど、そういう言葉以前の愛というか、ずいぶん原始的な欲求に従った「愛」だなと思った。 ・あと「恋」が一切出てこない。小学校低学年くらいの子供がふつうに少女漫画や児童文庫の恋愛ものを買っていくのを見て、こんな10にも満たない頃から恋愛の概念を教えられる/知っているのはなんだか怖いなあと普段からすこし思っていたりするのですが、愛はともかく恋については、外部からの情報がないとわからないよな。文明の度合いによるかもだけどね、 ・だいぶおもしろかった。文庫裏あらすじにもあるように、「新しい神話」を読んでる気分だった。
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はっきりとした話が好きなので、ずっともやもやしていた。私の理解力の問題もあるが、話が分からないままどんどん進んでぬるっと終わった。最後に伏線回収があったが驚きはなかった。
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経験したことないような感情をおぼえるすごい本。 なんとか言葉にするなら、自然の脅威とか、宇宙の真理とか大いなるものに触れたときのような気持ちだ。 深い霧のなかを手探りで歩いてるようなぼんやりしたなかで話が進んでいき、たまに世界の核心的なものにちょっとだけ触れられる。 でも短編な...
経験したことないような感情をおぼえるすごい本。 なんとか言葉にするなら、自然の脅威とか、宇宙の真理とか大いなるものに触れたときのような気持ちだ。 深い霧のなかを手探りで歩いてるようなぼんやりしたなかで話が進んでいき、たまに世界の核心的なものにちょっとだけ触れられる。 でも短編なんで、ほんのちょっとわかった気がしたところでポンと放り出されて次の話になってしまう。そしてまた手探り状態で歩くことになる。でも次に触れた世界の核心が、さっき触れたものの別の角度からのものだったりして、少しずつ世界の解像度があがっていく感覚が味わえる。 わからないことをすぐに調べず、自分のなかにとっておいておける人におすすめです。
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読みやすいSFだった。淡々とした語り口がすごい合ってる。 表題作と「みずうみ」「緑の庭」が特に好き。最後まで読むとまた読み返したくなる。
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大好きです。久しぶりに川上弘美さんの本を読みました。まずタイトルに惹かれ、冒頭の一文に惹かれ、一章ずつは好きなものとそうでないものに分かれるけれど最終的に世界観が繋がるスタイルも好きで、読み終えてタイトルに大きな意味はないのにここを選び抜き取ったセンスも好きで、大切な一冊ができて...
大好きです。久しぶりに川上弘美さんの本を読みました。まずタイトルに惹かれ、冒頭の一文に惹かれ、一章ずつは好きなものとそうでないものに分かれるけれど最終的に世界観が繋がるスタイルも好きで、読み終えてタイトルに大きな意味はないのにここを選び抜き取ったセンスも好きで、大切な一冊ができてしまった、と思いました。文体も構成も行間も洗練されていて心地良く丁寧に大切に読みたくなる。この世界に浸っていたくて読み終わるのが寂しくて勿体無くて、読むのに時間がかかった。
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不思議な話、と一言で語るにはもったいないけれど、他の言葉にも置き換えられないような…。 「新しい神話」とあるように、「神話」と呼ぶのがきっとふさわしいです。 分かるような分からないような、さっきも出てきたような…を辿っていくと、はじめに戻ってくる。そう思ってはじめから読むと、繋が...
不思議な話、と一言で語るにはもったいないけれど、他の言葉にも置き換えられないような…。 「新しい神話」とあるように、「神話」と呼ぶのがきっとふさわしいです。 分かるような分からないような、さっきも出てきたような…を辿っていくと、はじめに戻ってくる。そう思ってはじめから読むと、繋がっているはずなのに別物に思える不思議。 ざっくり内容をおさえたうえでもう一度読んでみたい気もしますが、何度読んでも分からない気もします。でも、神話は分からないところがあって当たり前だろうから。 「ノア」「マリア」など、キリスト教を感じさせる言葉も出てきてその繋がりも気になります。他の言葉もそうなのかな。
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読めば読むほど世界が広がっていくのが心地良かったです。 かと言って、各章の物語が薄いということはなく、次第に明らかになる世界観が好きです。
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