希望が死んだ夜に の商品レビュー
初読作家さんです。 大変重たいテーマを抱えた作品で、時に苦しくなりましたが、時々感じられる救いに助けられました。面白いという言葉は合わないですが、とても興味深く先を知りたいと思わせてくれました。
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ネガちゃんとのぞみちゃんの意外な共通点と葛藤と絶望が詰まっていた。 支援を受けることは恥ずかしいこと、という悲しい風潮はやっぱり今も至る所にあって、実際支援を受けていても口に出すことは絶対にしなかったり、隠す人の方が多い。 解説にあった、「SNSの普及で人々の明暗をはっきりさせて...
ネガちゃんとのぞみちゃんの意外な共通点と葛藤と絶望が詰まっていた。 支援を受けることは恥ずかしいこと、という悲しい風潮はやっぱり今も至る所にあって、実際支援を受けていても口に出すことは絶対にしなかったり、隠す人の方が多い。 解説にあった、「SNSの普及で人々の明暗をはっきりさせている」というのも、何だか分かってしまって辛い。
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これは参った。何の変哲もない殺人が、その真の姿を現していく様に読む手が止まった。 劇中に登場する記者の言葉は真面目だが、それだけ、なのだろう。己の仕事を全うする、ネタを手に入れたい、ただそれだけだからほんの少しの言葉で正体を見抜かれた。 だが、自分ならどうだろうか。安易な言葉をか...
これは参った。何の変哲もない殺人が、その真の姿を現していく様に読む手が止まった。 劇中に登場する記者の言葉は真面目だが、それだけ、なのだろう。己の仕事を全うする、ネタを手に入れたい、ただそれだけだからほんの少しの言葉で正体を見抜かれた。 だが、自分ならどうだろうか。安易な言葉をかけはしないだろうか。 幸運な者と不運な者、そこの線引きはどこにあるのか。目の前の人を偏見の目で見ていないか。その人の背景にまで目を向けているか。短い項数ながらに重たい小説だった。ぐうの音も出ない。
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ミステリ作品と読むか、ジュブナイル的な作品として読むかで評価が分かれる作品だと思う。 過去と現在、二つの視点から物語は進むためある意味、“過去”のシーンにおけるラストは決定している。が、減速気味になるラストシーンをミステリにおけるどんでん返しを行うことにより加速力を得、面白く...
ミステリ作品と読むか、ジュブナイル的な作品として読むかで評価が分かれる作品だと思う。 過去と現在、二つの視点から物語は進むためある意味、“過去”のシーンにおけるラストは決定している。が、減速気味になるラストシーンをミステリにおけるどんでん返しを行うことにより加速力を得、面白くしている。正直、めっちゃ面白い。 読み終えたあとに感じる題名の重さ、体感して欲しい。
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つながることの難しさを感じた一冊でした。 物語の最後で全てがクリアになり、後味を残さずに終えることができました。
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結構重い話でした。 厳しい状況でも努力して勝ち上がっている人もいる、という慰めは努力することのできる状況にあるからいえる言葉だなと。毎日働かない、生活保護を受けるのも拒否する家庭で生活費のために子供が夜に働かざるを得ない状況でどうやって将来のために努力できるんだ?と思いました。 ...
結構重い話でした。 厳しい状況でも努力して勝ち上がっている人もいる、という慰めは努力することのできる状況にあるからいえる言葉だなと。毎日働かない、生活保護を受けるのも拒否する家庭で生活費のために子供が夜に働かざるを得ない状況でどうやって将来のために努力できるんだ?と思いました。 刑事の真壁が捜査をしていく中で、自分が母子家庭で貧乏な中でも努力が実って今がある、という考えだったのに自分はなにもわかっていなかったと容疑者に伝える場面がとても印象的でした。 天祢さんの他の作品を読んだ時も思いましたが、いわゆる「自己責任」という考えは、人によってはあまりに残酷です。
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貧困と一括りにしても、努力できる余地が残されている貧困とそうでない貧困がある。 刑事は自分が、「親が苦労して、自分は勉学を努力する余地があった」のに対して、容疑者であるネガが、「努力できる余地がない」貧困にいるのだと気づいた。 最低限、「努力をできる余地」「希望を持てる環境」を作...
貧困と一括りにしても、努力できる余地が残されている貧困とそうでない貧困がある。 刑事は自分が、「親が苦労して、自分は勉学を努力する余地があった」のに対して、容疑者であるネガが、「努力できる余地がない」貧困にいるのだと気づいた。 最低限、「努力をできる余地」「希望を持てる環境」を作るのが、国が用意すべき貧困対策のラインだと思った。 「あんたたちにはわからない」とネガに言われた刑事たちが、ネガの状況を想像して真実に迫っていく。見る視点によって、同じ人の性格・行動がこうも違った目で見られるというのも面白かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
救いがなさすぎる。生活保護を受けられず、希望も奪われたネガにとってのぞみと心中することが唯一の選択肢のように思えてしまった。そんな中のぞみに先立たれてしまったら、ネガは生きていけるのか。真壁が何か言おうとするところで話が終わるけど、ネガの救いになる言葉があるように思えなかった。 展開が気になってサクサク読めたし、どんでん返しも良いけど、手に汗握るようなドキドキハラハラはなく、ラストはもやっとした気持ちのまま終わったので面白かったー!という満足感は少なめだった。
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著者サイン本とあって、ビニールのかかった本を手に取りました。天祢涼さんの二冊目です。わずかな取り調べの時間の中に盛り込んである内容の多さに驚きました。貧困の当事者の描写がどこからどこまでも。
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小学生の時、ご飯を残そうとしたら「世の中にはご飯を食べたくても食べられない人たちがいる」と叱られた。 真っ先にアフリカの子供達が思い浮かんだ。 歳を重ねるにつれ、貧困は自分達と違う国だけの問題ではないと知るようになった。 中には努力せずに自堕落な生活を送り続けた結果、つまり自分の...
小学生の時、ご飯を残そうとしたら「世の中にはご飯を食べたくても食べられない人たちがいる」と叱られた。 真っ先にアフリカの子供達が思い浮かんだ。 歳を重ねるにつれ、貧困は自分達と違う国だけの問題ではないと知るようになった。 中には努力せずに自堕落な生活を送り続けた結果、つまり自分のせいで貧困に陥った人たちもいると思う。 けれど努力できる環境じゃなかった人たちに、「努力しなかったあなたが悪い」と言えるほど世の中は平等じゃないとも気づいてしまった。 私自身すごくお金持ちの家に生まれたわけでも類稀なる才能を持って生まれてきたわけでもないけど、当たり前のように寝るところと食べるものがあって、それなりにしたいこともさせてもらって、勉強のためには支援を惜しまずにしてくれたと思う。 この差は本人の努力だけに寄るものでは決してないし、努力しても「普通」にすら達することが難しい環境もあるんだと思う。 希望がない人生や、希望を知らない人生をどうやって頑張って努力して生きろというんだろう。 ずっと未来への希望を持ちながら生きてこれた私にはわからない。わからないけど、やっぱり自分が希望を持てない状況になったとき、頑張って生き続ける自信はない。けど死ぬのも怖い。どんな死に方も絶対に痛いし、怖いと思う。 生きてるだけで感謝って言葉はある程度恵まれた環境にいてこそ生まれる言葉だと思う。本当に生きることに絶望してる人たちは一体何に感謝すればいいんだろうと思う。 もちろん恵まれた環境にいても、ある程度努力が報われる環境にいる人たちも生きてることが辛いと思うことは沢山あると思う。 けど、少しでも心に余裕があり、人との関わりによって生きることに希望を見出せてる人たちが、自分の近くにいる絶望の中にいる人たちに手を差し伸べることができたら、社会はもう少しだけ生きる希望を持てる場所になるんじゃないかと思う。 私も、困ってる人がいたときに手を差し伸べられるような精神的・経済的余裕を持てるようになりたいし、今の自分の生きることの希望でもある(綺麗事かもしれないけれど)。 長い人生の中で、どこかでこの本に出会って、同じような考えを持つ人が1人でも多く増えたらいいなと思った。
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