本を読めなくなった人のための読書論 の商品レビュー
まずこの本はタイトルの通り、「本を読めなくなった人」への特効薬にはならないという点に注意するべきだろう。 なぜなら本が読めなくなった人はこの本を読めば治る、と言った明確な答えは示されていないからである。 しかし、そんな人にとって何の意味もないのかと言われれば否である。「正しい読書...
まずこの本はタイトルの通り、「本を読めなくなった人」への特効薬にはならないという点に注意するべきだろう。 なぜなら本が読めなくなった人はこの本を読めば治る、と言った明確な答えは示されていないからである。 しかし、そんな人にとって何の意味もないのかと言われれば否である。「正しい読書の方法」「読書の量は多い方がいい」と言った、読書の悩みを気楽に考える術を筆者の実体験をもとに示してくれている。 私自身、高校生になって本の内容を完全に読み取ろうとしたせいで、繰り返して読むことが多くなってしまい、本が読めなくなった。 しかし、この本が教えてくれた「気楽に」ということをキーワードに読書していこうと思う。
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平易な言葉で語りかけるように書かれた良書。 去年は全然本が読めなくて、本以外のインプットも全然できなくて、もうどんだけ脳と気持ちが老化してんのよ、と、暗澹たる気持ちだったのが救われました。 薄鼠色に細かな草の型押しがされた表紙の紙も素敵。 もう一回読みます。
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なぜ読んだ? 最近、あまり本が読めていない。研究に関する本や論文を必要に駆られて読むことはある。しかしその読みは苦しく、逃げ出してしまうことが多々ある。 趣味を仕事にしたら楽しくなくなるとはよく言ったもので、仕事で「読む」をするようになると、不思議と趣味での「読む」がなかなかでき...
なぜ読んだ? 最近、あまり本が読めていない。研究に関する本や論文を必要に駆られて読むことはある。しかしその読みは苦しく、逃げ出してしまうことが多々ある。 趣味を仕事にしたら楽しくなくなるとはよく言ったもので、仕事で「読む」をするようになると、不思議と趣味での「読む」がなかなかできなくなる。 そんな葛藤を抱えながら、久々に1人で図書館をさまよう時間を取った。終わらせなければならない課題を抱えて図書館に来たものの、心が浮いたので机には座らなかった。研究で使う理系チックなコーナーではなく、分野の外れた文系チックなコーナーに惹かれた。そこで、まるで私のために書かれたようなこの本を発見した。 感想総論 今の自分が合うべくして合った随筆であった。 本を読まないでいると、いろいろな不安が心に表出してくる。本を読みたいのに読めない。もしかして、本心では読みたくないのではないか。本当は読みたくないのに、本を読みたいと思っている自分でありたいから読みたいと思っているだけなのではないか。本を読まないから、自分はこの頃深いインプットを得られていないのではないか。本を読まないと、自分と向き合う時間がなくなり、周りの環境にただただ流されていってしまうのではないか。 そんな不安を抱えた自分をふんわりと受け止めて、抱擁してくれるような本だった。読めない自分を肯定してくれて、前を向かせてくれるような本だった。 「本はたくさん、速く読まなければならない」「知識を得るために本を読まなければならない」「一冊全部読み切らなければならない」 読書好きが内面化してしまっているこんな価値観から、解き放してくれるような本だった。 読みながら、不思議と少し涙が込み上げてくることもあった。随筆で泣くことは初めての経験だった。自分が無意識に抱えていた苦しみを、悩みを、緊張を、優しく解きほぐされた感覚である。言葉によって心をマッサージされた感覚で合った。そして、本を読むのが好きだった自分のことが思い出され、失っていた感覚が取り戻され、本に夢中だった自分という「書物」を「読み直した」(p77参照)。
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まさに数年間、抑うつ状態の後遺症?のせいで小説を読めなくなっています。本が好きで、積読本がたくさんあるのに。そんな私でも、ゆったりと読める文体。いわゆる読書術のハウツー本ではないので、詰め込まれる感じがないです。アウトプットの大切さ(といってもこういうフォーマットで、とかではない...
まさに数年間、抑うつ状態の後遺症?のせいで小説を読めなくなっています。本が好きで、積読本がたくさんあるのに。そんな私でも、ゆったりと読める文体。いわゆる読書術のハウツー本ではないので、詰め込まれる感じがないです。アウトプットの大切さ(といってもこういうフォーマットで、とかではない)、自分に引っかかる言葉に出会うのを、じっくり待つことを理解できたように思います。
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無理に読もうと思わなくていい、本を読むことには機というものがあるという主張を為す本。 私にとってはありきたりに思われる内容で、この本と出会う機ではなかったようだ。
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今回の本は、本屋で「はじめに」を読んですぐに購入を決めた。 「文字を眼で追うことはできるし、書かれている内容も理解できる。でも、まったく手応えがない。言葉に見棄てられたような感じがしました。連絡をしても返事がこない、そんな人との関係のように言葉が遠く感じられました。」(p.3)...
今回の本は、本屋で「はじめに」を読んですぐに購入を決めた。 「文字を眼で追うことはできるし、書かれている内容も理解できる。でも、まったく手応えがない。言葉に見棄てられたような感じがしました。連絡をしても返事がこない、そんな人との関係のように言葉が遠く感じられました。」(p.3) 読書しなくちゃという焦れば焦るほど、「ちゃんとした」読書ができていないようなモヤモヤした思いが最近大きくなってきていました。この本は、終始「焦ることはない」というアドバイスをくれ、乱れていたペースを整えることができました。 「まずは、時間をかけて、ゆっくりと言葉との関係を整え直していきましょう。繰り返しますが、あせりは禁物です。」(p.72) 読書で大切なのは、確かに読むこと。それによって情報の入手としての読書から、経験となる人生のための読書へ昇華させることができるのだといいます。以前のように読めなくなった自分を情けなく思い焦っていたけど、「言葉の断食」の期間からの復食期なんだと思いなおして、今の自分が読めるものを確かに読んで、自分の血肉にしていきたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読むことの本質に立ち返ることができる。読書においての「対話」では効率を求めず、「待つ」ことがもっとも大切。その行為は、日ごろ感じているよりもずっと、本質的かつ創造的な営み。一番、心を掴まれたのは“本を読む人が心を閉ざしたままでは、「小さな声」は聞き取れません。「効率」という考え方を忘れ、読む人が心を開いたとき、書物もまた、何かを語り始めるのです。”という箇所。この言葉に勇気づけられた。
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40を過ぎてから,明らかにいままでと本との付き合い方が変わった.端的に言えば,多くの本が読めなくなった.読むのに2倍,3倍の時間がかかるようになった.本を買ってから手に取るまでの熟成期間(といえば聞こえがよいが,積読している時間)は軽く数年単位である. それだけでなく,若い頃か...
40を過ぎてから,明らかにいままでと本との付き合い方が変わった.端的に言えば,多くの本が読めなくなった.読むのに2倍,3倍の時間がかかるようになった.本を買ってから手に取るまでの熟成期間(といえば聞こえがよいが,積読している時間)は軽く数年単位である. それだけでなく,若い頃から著者買いしていた小説家の作品をふとあるとき読み返しても,以前読んだ時のような感情を抱かなくなっている自分に,驚きというか,そういうことが自分の身にも起きるんだ,と他人事のような感慨を覚えた. という状況で本書を手に取ったので,同じ病気を経験した人が入院あるあるを交換しあって親交を深めるかのように,著者の言わんとすることを聴いた.
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本はぜんぶ読まなくていい。たくさん読まなくていい。 本を読まなきゃ…。でも読めてない…。という焦りを感じたことがある方も多いのではないでしょうか。本書は、そういった思い込みから解放され、人生の言葉と「たしかに」出会うための考え方を教えてくれます。 本が読めなくなったのは、内な...
本はぜんぶ読まなくていい。たくさん読まなくていい。 本を読まなきゃ…。でも読めてない…。という焦りを感じたことがある方も多いのではないでしょうか。本書は、そういった思い込みから解放され、人生の言葉と「たしかに」出会うための考え方を教えてくれます。 本が読めなくなったのは、内なる自分からのサイン。だから、読めないときは、無理をして読まなくていい。読めない本にも意味があるから、積読でもいい。
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読んでるうちに段々とセラピー受けてるような気になってきた。 読書法でも読書術でもなく、読書論。 読書に対する構え方…と、硬くなる事もなし。
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