展望塔のラプンツェル の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
宇佐美まこと4冊め。 児童相談所勤務の男性、 カイとナギサの少年少女、 不妊治療中の専業主婦、の3つのお話が交互に描かれる。 不妊治療の話は、かなりリアルな感じ。 少年少女の話は、読んでいてイライラする。あまりにも酷すぎて、現実感がない感じ。ヤクザものとか興味ないしなぁ。・・・と、かなり斜め読み。 ・・・で、最後で、ああぁ、やられたって感じ。 そういう話だったのか。 読みながら、なんだか今っぽくないなって、古臭いなぁって、思ってたんだよね。 読んでいる途中は、いまいちな印象だったけれど、 最後まで読んだら、おう!って、なりましたよ。 途中で投げ出さずによかった。
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とても辛い、厳しい内容が続く。負の連鎖。宇佐美さんの作品はこのまま苦しい結末が多い(あるいは突然のサスペンスドラマ化)。が、今作は、ラストに救いがあり、そうだったのかと驚く展開も。一気に読めた。
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宇佐美まことさんの著書というだけで、胸糞悪い物語であることは覚悟して手にしたつもりだった。やっぱり、という気持ちはあるものの、とにかく早くこの世界から抜け出したい気持ちにかられる。 重苦しい世界からふと浮上したかと思うとまた奈落の底に落とされて、しんどい。ただただ物語の終わりを...
宇佐美まことさんの著書というだけで、胸糞悪い物語であることは覚悟して手にしたつもりだった。やっぱり、という気持ちはあるものの、とにかく早くこの世界から抜け出したい気持ちにかられる。 重苦しい世界からふと浮上したかと思うとまた奈落の底に落とされて、しんどい。ただただ物語の終わりを求めてページをめくり続けた。 「ああ!そっちか!」 人物についてのカラクリが解け、作者の術中にすっかりハマってしまっていたことが理解できた時、すごい!と思うと同時に心が少し軽くなったように感じた。 最初から最後まで振り回されっぱなしの1冊だったけれど、おかげで読後感はそこまで悪くなかった。
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最後に全てが繋がる気持ち良さは宇佐美さんの得意なところなのか。やはり、読むほどに引き込まれて続きが気になる作品。子供、虐待、不妊、人々の思いが交錯し、どうにも出来ない世界の中で正解が何なのか探りながらも少し、救われるところが良かった。
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貧困・差別・虐待・暴力、読んでいてずっと 暗くて苦しかった。 いくつかの話は交差して絡んでると思い込んで読んでたら、時空を飛び越えている話もあって ほんの少しホッとしたので☆4つ。
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最後に「ああ!」って思ったので、完全に作者の術中にはまった感。 かんがえていけば、「そっか、これはこうだったのか!」と私の勘違いもよくわかるので、なかなかうまい設定だったなあと。 いつもながら重いテーマだけれど、特に海と那希沙、ハレの関係が優しくていい。 様々な事情を抱えた人が大...
最後に「ああ!」って思ったので、完全に作者の術中にはまった感。 かんがえていけば、「そっか、これはこうだったのか!」と私の勘違いもよくわかるので、なかなかうまい設定だったなあと。 いつもながら重いテーマだけれど、特に海と那希沙、ハレの関係が優しくていい。 様々な事情を抱えた人が大上段に構えるのではなく、そっと手を差し伸べる感じ、悪くないなあ。 も少し、設定が重すぎないといいんだけど。
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読了した瞬間、完敗!と思った。 さすが宇佐美まことである。 『愚者の毒』からのお付き合いになるが、この人は更に化けると見込んだ勘と期待を、見事に大きく上回って、進化し続けている。 虐待や暴力の描写は目を背けたくなるほどで、かなり心身にゆさぶりをかけられ、正直にいって読み進めるのが...
読了した瞬間、完敗!と思った。 さすが宇佐美まことである。 『愚者の毒』からのお付き合いになるが、この人は更に化けると見込んだ勘と期待を、見事に大きく上回って、進化し続けている。 虐待や暴力の描写は目を背けたくなるほどで、かなり心身にゆさぶりをかけられ、正直にいって読み進めるのが辛い部分もあった。 (これは私自身の生い立ちにも問題があるから、余計に苦しかったのだと思う) けれど、読了した今は、もう一度丁寧に読み解きたいと思っている。 どの作品も骨太な骨格を持ち、そこへ細微を穿つような描写で、決して目を逸らさずに、しかし平明と言えるほどのことばで物語を紡ぐ。平明とは実に難しく、ゆえに無駄が無いのだから、宇佐美まことさんの力量の底知れなさに震えるばかりだ。 最後に。彼女の作品に常から感じているのは、ことばへの敏感さ、畏怖、そして時に表出する美しさだ。詩的とも言えるセンテンスが、凍えるような場面にさえ、蝶のように留まっている。 良質な作品とともに、再び詩性を薫らせる一行に出会えることを、大いに期待している。
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救われない子どもの多さに胸が痛む。生きていれば救われることもあるのか。海がつないだ人たちが生きて頑張っていることは救いにはなるが、海自身のことを考えると胸が痛む。人種差別が無くならない世の中が一体いつくるのだろうか。
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子を持つ親としては、読んでいてとても辛かった。 小説としては構成、テンポ、意外感、題名の付け方など全てとても良く、どんどん読めた。 時間軸について上手く思い込ませるので、え?!と思った事があったと記憶。他、色々な事がうまくつながってとても小説として楽しめた事も印象としてちゃんと残...
子を持つ親としては、読んでいてとても辛かった。 小説としては構成、テンポ、意外感、題名の付け方など全てとても良く、どんどん読めた。 時間軸について上手く思い込ませるので、え?!と思った事があったと記憶。他、色々な事がうまくつながってとても小説として楽しめた事も印象としてちゃんと残っている。 きっと、こういう事はあるのだと思う。虐待される子がいなくなるような世の中になるように、強く、強く願った。
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本作は悲惨な子供たちの状況が描かれた小説です。 ですので、出てくる登場人物たちももちろん悲惨な状態にある人達などが登場するのですが、どうも皆それぞれ、型にハマったキャラクターという感じが否めません。なので現実味がないというか、共感できないというか。 もちろん題材的に現実とは思え...
本作は悲惨な子供たちの状況が描かれた小説です。 ですので、出てくる登場人物たちももちろん悲惨な状態にある人達などが登場するのですが、どうも皆それぞれ、型にハマったキャラクターという感じが否めません。なので現実味がないというか、共感できないというか。 もちろん題材的に現実とは思えない辛い事が起こりますし、そういう経験をした人々に自分が100%共感出来ないのはわかります。 ただ、そういう共感できないとは別の種類の違和感があります。 物語の中の出来事をなぞっているだけ。という気がして現実味が感じられませんでした。 物語終盤のあ!と思わせるプロットは素晴らしいのですが、逆にその「あ!」を言わせたいがために綴られた作品のように感じられ、そこが残念でした。 決してつまらないことはなく、面白かったのですが、何かが足りない作品だと思います。
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