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Iの悲劇 の商品レビュー

3.7

262件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    109

  3. 3つ

    79

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    2

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2020/06/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

はじめは過疎地の地域問題に向かい合った話かと思って読んでいたのですが、どこまでいってもミステリーが主軸にあるお話でした。 なーんかおかしいな、と思いながら読み進めていくと、最後に謎が明かされます。でも、すっきりという訳でもなく。 移住者に振り回されて、やっかいな人たちだなと思っていたら、結果的にその人たちを陥れていただなんて。本当に他に手段はなかったのだろうか。絶望して、仕事辞めたくなるだろうな、そんな組織での出世は果たして幸せだろうか。 「郭源治」におやっと思ったら、岐阜県出身の著者さんでした。

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2020/06/28

読了後「とほほ」感が全身を包む。無人となった村に移住者を募って活性化させる、Iターンプロジェクトのメンバーに選ばれた市役所職員の万願寺。他の職員は新人の観山さん、全く仕事する気のない課長。万願寺はのらりくらりではあるものの真面目に職務にあたる日々だが、クセのある住民たちのせいでト...

読了後「とほほ」感が全身を包む。無人となった村に移住者を募って活性化させる、Iターンプロジェクトのメンバーに選ばれた市役所職員の万願寺。他の職員は新人の観山さん、全く仕事する気のない課長。万願寺はのらりくらりではあるものの真面目に職務にあたる日々だが、クセのある住民たちのせいでトラブルが絶えない。他愛のない話もあり、後味の悪い話もあるが、全体的にはミステリー仕立て。「もしかして...」と怪しんだ所が的中したが、なんとまあ切ないラスト。それでも文章や登場人物が面白く、引き込まれた。ドラマ化してほしい。

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2020/06/23

廃村へのIターン計画を巡るミステリー。 一話一話のミステリーの謎は大したことはないと思いますが、全体を通しての真相としては現代社会でのジレンマを感じさせます。 特に夢を持って移住した人が可哀そうすぎます。 南はかま市のモデルは著者の出身の高山市かな?

Posted byブクログ

2020/06/21

Iターンを主導する役所の甦り課。 誘致した住民がそれぞれにクセがありトラブルが続出する。 そこには政治的な裏が存在した。 途中でオチは読めるものの現代の問題点が描かれていて面白い。きっと同じようなことで悩んでいる役所もあると思うが、この本はその解決には役立たないと思う。

Posted byブクログ

2020/06/19

公務員の仕事って。 リアルな描写があって現実ではないかと錯覚してしまう。 第5章で、万願寺が弟と電話で話してる会話が印象に残った。地方自治って何だろうと考えてしまった。 読み終わって、題名におおいに納得した。

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2020/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

市長のアイディアで始まった、『Iターン支援プロジェクト』。 それは、高齢化で無人となった山間の集落に、都会からの移住希望者を募り、定住化させることで集落を甦らせようという計画。 この事業の担当になった万願寺は、出世のためにこの事業を成功させようとするが、同じ「甦り課」に配属されてきたのは、フレンドリーすぎて公務員の自覚が薄そうな若い女性職員・観山と、やる気ゼロ、定時に帰る事だけに熱心な西野課長。 移住してきた移住者が次々にトラブルを起こし、その度に振り回される万願寺。 奮闘むなしく、だんだん移住者がいなくなって… 『そして誰もいなくなった』で終わらない。 何か変だとは、思っていたけれど… 合理主義者のつもりでクールになりきれない万願寺が、冷たい真実を知っている側であった西野課長や観山に、ひとり踊らされていたことに、軽く落ち込む。 肩を叩いて慰めたいけれど、何と言ってやれば良いのかわからない感じ。 そして、現実にまわりでぶち上げられている○○プロジェクトだの○○推進支援だの、さも素晴らしいことのような顔をした、その実どこかの誰かのくだらない思惑を満たすためだけの胡散臭い浪費を、見抜けない小市民じゃマズいぞ! ちょっとした笑いをたくさんまぶしてあるけれど、かなり苦味の強い…リアルな悲劇でした。 かなり前に読み終わったのに、感想を書きかけて中断してました。 いま、感染症対策やらなんやらで、国も自治体もてんやわんや。 実はそれも、信じられないような誰かの…

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2020/06/14

重たい話もテンポの良いタッチで描かれていて、 非常に読みやすい。 限界集落の復活に疑問を持ちながらも、冷静ではあるが、誠意を持って対応する公務員。 東京ですり減りながら働く弟。 効率、便利、ゆとり、自然。 どれが正解というわけではない。正しいと思ったことを信じてやればいいと思った...

重たい話もテンポの良いタッチで描かれていて、 非常に読みやすい。 限界集落の復活に疑問を持ちながらも、冷静ではあるが、誠意を持って対応する公務員。 東京ですり減りながら働く弟。 効率、便利、ゆとり、自然。 どれが正解というわけではない。正しいと思ったことを信じてやればいいと思った。

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2020/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルはエラリー・クイーンっぽいが、中身はクリスティの「そして誰もいなくなった」を思わせる筋立て。 廃村を再生させるべくIターン事業に乗り出した、とある地方自治体の通称「甦り課」。奮闘の末、12世帯を迎え入れることになったが、なぜか次々と事件が起こり、一世帯、また一世帯と村を去っていく……。 ごく普通だけどちゃんと仕事に熱意と誇りをもつ主人公、調子のいい後輩、昼行灯のようで要所で鋭さを見せる上司。甦り課のこの3人のバランスがいい。事件そのものは小粒で、人が死ぬわけでもなく、随所にクスっと笑えるような描写もあって楽しく読める。続編あるのかな、またこのトリオの活躍が見たいな……などと思って最終章まで行くと、そこにどんでん返しが。 不穏な空気は最初からあったけど、こんなブラックな落ちが待っていたとは。地方都市の抱える病巣を目の前に突きつけられて、なんだか暗澹とした気分になってしまった。

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2020/06/08

限界集落を舞台としていて、設定そのものが興味深かった。 ザ・公務員な主人公を見ながら、公務員が市民と接するときはこんな気持ちなのかな…など考えながら読んだりして、それも面白かった。 ストーリー自体は薄っぺらいというか、ちゃちゃっと話が進められていく感が否めない。 が、それだけさく...

限界集落を舞台としていて、設定そのものが興味深かった。 ザ・公務員な主人公を見ながら、公務員が市民と接するときはこんな気持ちなのかな…など考えながら読んだりして、それも面白かった。 ストーリー自体は薄っぺらいというか、ちゃちゃっと話が進められていく感が否めない。 が、それだけさくさく読めるので非常に読みやすかった。 そして、最後の「Iの喜劇」 なるほどそう来たか〜!というのが率直な感想。 西野課長と観山には何かあるなとは思っていたけど。 すごく切なくなるラストでしたが、それで話全体が引き締まった感じ。 連作短編の醍醐味!

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2020/06/05

仕事柄、自治体職員と関わることが多いのでそうかそうか、とサクサク読めた。 初めはどういう展開でミステリーになるのかわからなかったが、軽い雨の章でそうきたか!面白い!とどんどん読み進められた。 トラブルのほとんどは人間関係からっていうのは大いに納得。 これから万願寺さんはどうす...

仕事柄、自治体職員と関わることが多いのでそうかそうか、とサクサク読めた。 初めはどういう展開でミステリーになるのかわからなかったが、軽い雨の章でそうきたか!面白い!とどんどん読み進められた。 トラブルのほとんどは人間関係からっていうのは大いに納得。 これから万願寺さんはどうするんだろう?

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