神様の暇つぶし の商品レビュー
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久しぶりの読書に、楽しみにしていた1冊を。 父をなくしたばかりの大学生の藤子に、父の古い友人で有名写真家の全さん。 けしてきれいではないふたりの性(生)が、なんだかものすごく美しい。 写真がすべての全さんにとって、藤子は、FUJIKOでしかなかったんだろうな。 黒い物体がふたりの間にでてきてからは、あの写真家さんのモノクローム写真のイメージで場面を切り撮りながら読みすすめてました。よかった。
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あなたの未来を、あなたが変わっていく姿を、 見たいと望んでしまった… わからなかった 居なくなった理由が、私にはわからなかったのですが このセリフで分かりました。 感情移入できず… でも読み進めたくて、4時間で読みました。
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さっと読んで面白くなさそうだからやめたんだけど、星が多くついていたのでもう一度読み返したら面白かった。葉月はまあまあ良いやつだった。里見、死ななくても良いのになと思った。恋愛において何も言わずにいなくなるっていうのは小説ではよくあるけど実際されたらすごく嫌だ。藤子役は江口のりこさんでどう?
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親子ほども年の離れた男と女のひと夏の出来事。美男・美女が主役ではないところに妙なリアリティを感じ、冒頭から暗示される結末に心がざわついた。主要な登場人物は一様に心に傷を負っているが、だからといって無闇に他者に優しいわけではない。突き放したような、それでいて自然に寄り添うような絶妙...
親子ほども年の離れた男と女のひと夏の出来事。美男・美女が主役ではないところに妙なリアリティを感じ、冒頭から暗示される結末に心がざわついた。主要な登場人物は一様に心に傷を負っているが、だからといって無闇に他者に優しいわけではない。突き放したような、それでいて自然に寄り添うような絶妙な距離感。いつしか自分を重ね、共に痛みを感じ涙した。人を愛する喜びと苦悩……。やばい……。
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藤子と父親の友達だった写真家の全さんの一夏の愛.桃にかじりつく姿が印象的です.あと小川未明の牛女の話も.
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藤子には忘れられない男がいた。 大学生の夏、束の間共に過ごし突然消えた、父よりも年上のカメラマン全。 時間が経って、彼の作品が藤子の手元に届けられた。 プロローグの全さんに嫌悪感を感じ、これダメかもと危惧していましたが、藤子が敢えて思い出していた醜いところが、後には魅力にすら感...
藤子には忘れられない男がいた。 大学生の夏、束の間共に過ごし突然消えた、父よりも年上のカメラマン全。 時間が経って、彼の作品が藤子の手元に届けられた。 プロローグの全さんに嫌悪感を感じ、これダメかもと危惧していましたが、藤子が敢えて思い出していた醜いところが、後には魅力にすら感じられ、夢中でその世界に入り込みました。 芸術家からすると生を煌めかせる藤子の様な女には食指が動くのかも。でも、全さんの本当の気持ちが分かるようなラストにそれだけではなかったと嬉しい気持ちになりました。 里見がいい。性的嗜好を抜きにしても、人をフラットに見れる情緒の安定したタイプで魅力的でした。
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書評を読んで。 あっという間に読めた本。 千早作品は2作目。 お父さんを亡くしたばかりの大学生藤子。 父親が生前EDに悩んでいたという事実を知り、気持ち悪いという感情を抱く。 潔癖症とまではいかないが、そんな藤子が写真家全さんにどんどん惹かれ、とうとう一線を超える。 身長とか女らしくないとか、そんなコンプレックスも忘れのめり込むが、全さんは突然姿を消す。 しばらくして、全さんの遺言だという藤子の写真集の原稿を持って奥さんが現れる。 結局写真集は世に出るわけだが、中身も見ないで「好きにしてくださいっ」というのはあまりに投げやりな気がしてしまった。普通の女の子なんだし。 結局は弄ばれた、と見られても仕方がないような。 女の子が一人で暮らしている家に頻繁に出入り。近所の目も憚らず?というのもなんだかなぁ。 それと、藤子の父親と全さんの関係がいまいちわからなかったな。 母親に会いに行くところも、急に旅立った割には、え?終わり?という感じ。 もっと若い頃の心を思い出して寄り添えたら評価も高かったかも。 「全さんは私の全てでした」という言葉が出てくるが、そりゃそうだろうな、と若くない自分は同意してしまう。 神様の暇つぶし、作中そんな言葉は出てこなかった気がしてが、全てと思ってたことも過ぎてしまうと暇つぶしくらいのそれくらい小さいことなんだよ、ということかな。
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初出 「別冊文藝春秋」329号〜338号 今年読んだ中で一番の作品。 藤子は父親を交通事故で亡くしたばかりの20才の大学生。中学の時に母親は家を出ていて、身長が高く人付き合いが下手なために、静かに沈んでいきつつあったところに現れたのが、近所の廃業した写真館の息子で、亡父より年...
初出 「別冊文藝春秋」329号〜338号 今年読んだ中で一番の作品。 藤子は父親を交通事故で亡くしたばかりの20才の大学生。中学の時に母親は家を出ていて、身長が高く人付き合いが下手なために、静かに沈んでいきつつあったところに現れたのが、近所の廃業した写真館の息子で、亡父より年上の写真家の全さん。 藤子は破天荒な芸術家に反発しながら惹かれていく。そのこころの揺らぎの描写がいい。映画にして欲しいと思った。 藤子は写真家の助手から近づきすぎないように警告されていたが、体を重ね続けて全さんが全てになってしまう。全さんは藤子を撮り始め、そして突然彼は消えて、藤子は世界の意味を失う。 藤子は大学を卒業してから、全さんの妻から遺作として藤子の写真集を出版する承諾を求められて驚く。彼は末期癌の最後の時期に、自分と藤子の時間を切り取って残していた。藤子は写真集に「全さんが見つけた神さまが、重く、烈しく、醜いまま、息づいていた」のを見つける。 藤子の生々しいエネルギーの発露がいい。写真を撮りたくなるのがよくわかる。
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いつか嗅いだことのある汗と絡み合う甘い煙草の香りが鼻につく。 太陽のギラギラと日陰の暗さのコントラストの残酷さ。 言葉が脳内を刺激して完全に映像化して読んでる。 これだけは言いたい、承認欲求して何が悪いんだよ。
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父の友であり、父より年上の写真家「全さん」と女子大生「藤子」の胸を締め付けられる様な、苦味を含んだ物語。いきいきと語られる藤子の姿と苦しみ。闇と葛藤を持った全さんのカッコいい姿に目が放せなくなって一気読みしてしまった。 さびしい、悔しい、ずるい、クソジジイ! 藤子の叫びに胸がぎゅっとなった。 最後、救われるような、一歩踏み出した展開に 心地よい読後感(^_^)
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