ケーキの切れない非行少年たち の商品レビュー
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"褒める" "話を聞いてあげる"は、その場を繕うのにはいいのですが、長い目でみた場合、根本的解決策ではないので逆に子どもの問題を先送りにしているだけになってしまいます。p.123 (自尊感情は)無理に上げる必要もなく、低いままでもいい、ありのままの現実の自分を受け入れていく強さが必要なのです。p.126 要支援の子でも、定型の勉強が苦手な子でも、些細なことができたらつい褒めに走ってしまいがちです。ですが、それのみの対応で問題から目を逸らすことは本当に本人のためになるのか、責任のない逃げの対応なのではないかと思わされました。 知的障害や境界知能と聞いても、周りにいなければ現実感がなくなんとなく日常生活に支障があるのだな、学校で習うような内容を理解することが難しいのだろうな、程度で完結してしまいます。しかし、実際にケーキの切り方といった具体例を持ち出すことでわかりやすく現状が伝わり、その点において非常に優れていると思います。 非行に走る少年の現状を問題提起・社会に周知させるための話であり、彼らに実際に接することのない我々が実際すぐに実行できることはこれといってありませんが、参考になる点もあり一読に値すると思われます。
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ラジオに著者の宮口さんが出ていて、あぁそういえばこの本気になっていたなと思い、図書館で借りてきた。 非行に走った少年たちは、そもそも自分が悪いことをしたという認識ができておらず、でも教官に怒られるので「悪いことをしたと思っています、ごめんなさい」と言葉だけ述べる。認知が歪んでいるのだ。発達障害などでいじめられ、その嫌な経験から自分が別の子をいじめてしまい、少年院送りになって、そこで初めて発達に問題があったのでは、と気づかされる少年たちが多くいると、筆者は述べていた。学校教育などで発達障害などの兆候に気づけていれば、少年院送りにならなくてよかったのに、と筆者は感じており、本の最後に、教育現場で実践可能な発達障害グレーゾーンの子たちをスクリーニングする方法を記載していた。 日常生活では発達障害グレーゾーン(ASD, ADHDなど)の人たちと接することが無く、この本を読んで、私は狭い世界で生きているのかな、と気づかされた。自分は何不自由なく生きているけれど、世の中には、障害手帳が欲しくて、健常者の世界では生きづらくて、困っている人たちが多くいるのかなと思った。そういう人たちがいると心に留めて、周りに優しくありたい。子供などが悪いことをしたときに、反省しなさい!ということがあるけれど、相手が反省以前の地点に立っている可能性があると、考える必要があると思った。 筆者が最後で述べていた、発達障害グレーゾーンの子供たちをスクリーニングする場所は学校がいいと述べていたが、学校に負荷がかかるので、学校だけでなく児童館とか、家庭でも兆候が分かると良いのかな、と思った。
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「ケーキの切れない」というタイトルと、実際に非行少年が「三等分」したというケーキの図がインパクトのある本。医療少年院に収容される非行少年たちを発達障害・知的障害という面から理解していこうとする。「反省以前(強い叱責は意味をなさない)」であり「褒める教育」だけでも解決しない、そこで「コグトレ」ということだけど、このコグトレも賛否両論あるのでなんとも…(そもそも「ではどうすれば?」についてはあまり頁が割かれてないと感じた)。あと当然、発達障害の方が全員非行に走るわけではなく、その違いはどこにあるのかも気になるところ。
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西成や歌舞伎町の人らに関する本を読んだ後、ふと読み始めた。 知的障害や境界知能の非行少年たちの事例を紹介し、その認知のゆがみが描かれる。印象的だったのは、ある教師の下では勉強を楽しんでいたという少年がいること。勉強嫌いも環境次第なのかなと。 易しい言葉で書かれており、専門性の高い内容でもないので非常に読みやすい。親や教育者だけでなく、多くの人にとって他者理解に有益だと思う。 本書でも触れられているが、認知のゆがみをもった少年たちにはその先がある。支援の重要性を考えさせられる。
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発達障害については社会的な認知が進んでいるものの、知的障害(特にグレーゾーン知的障害)については本書記載の推定全人口の10%超という状況から鑑みるとあまりにも認知も対策も進んでないものと思われる。 私は、本書がベストセラーであることは知っていたものの、内容そののもについては書籍名...
発達障害については社会的な認知が進んでいるものの、知的障害(特にグレーゾーン知的障害)については本書記載の推定全人口の10%超という状況から鑑みるとあまりにも認知も対策も進んでないものと思われる。 私は、本書がベストセラーであることは知っていたものの、内容そののもについては書籍名からしか推測できないレベルという状態だった。 他人事ながら、可能な限り子どものいる家庭や教育現場などの認知が必要な層に広がっていることを理解が進んで欲しい。 ※audible版
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児童精神医の著者が、非行少年と出会う中で、「反省以前の子ども」が大勢いることに気付く。ケーキを等分に切ることすらできない、先のことを考えることができず行動してしまう、所謂認知力が低い子どもと言える。それは少年院にいる犯罪を犯した子だけではなく、学校にいる「境界知能」の子どもも同じ...
児童精神医の著者が、非行少年と出会う中で、「反省以前の子ども」が大勢いることに気付く。ケーキを等分に切ることすらできない、先のことを考えることができず行動してしまう、所謂認知力が低い子どもと言える。それは少年院にいる犯罪を犯した子だけではなく、学校にいる「境界知能」の子どもも同じだと言う。 少年犯罪の根深さに焦点を当て、述べていることは納得はできた。しかし、「学校で困らないように導く超現実的なメソッドを公開する」と謳っていたが、それほど画期的なものはなく、まぁ正解なんてあったら苦労しないよなと思った。
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時々ニュースで報じられる犯罪で、なぜ加害者はそんなことをしたのか理解できないようなものがあった。 そんな人の心を持たない加害者は(未成年でも)死刑か終身刑でいいのでは?と思うこともあった。 そんな犯罪を犯した加害者の中にもこの本に書かれているような人がいたのかもしれない。 つまり、幼い頃に知的障害(グレーゾーン含む)や発達障害、認知障害を指摘され適切な支援を受けていれば、あるいは犯罪者とならなかったかもしれない人々だ。 私の周りにも発達障害を抱えるお子さんを持つ親御さんが複数おり、一様に教育や養育に苦労されているので、非常に興味深く読んだ。 出版から少し年数が経っているが、現在でも十分衝撃的で多くの人に知られてほしい内容だった。(それは出版時からそういった支援がほとんど変わっていない現状を示すものでもあるのが辛い。) 著者の示す、この問題を取り巻く問題点、その解決法にはなるほどと非常に感銘を受けた。
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体系的な教育プログラムを学校に導入して…とあるが、今の学校は加速度的に増加する多種多様な支援を必要とする子、それに付随するトラブル、それに巻き込まれる子のフォロー、一筋縄ではいかない保護者対応などなど40人近くの学習、生活、メンタルケア全てを実質担任1人がワンオペで背負っている。...
体系的な教育プログラムを学校に導入して…とあるが、今の学校は加速度的に増加する多種多様な支援を必要とする子、それに付随するトラブル、それに巻き込まれる子のフォロー、一筋縄ではいかない保護者対応などなど40人近くの学習、生活、メンタルケア全てを実質担任1人がワンオペで背負っている。加えて非行少年の比率が高い地域ほど担任に求められるものが多く、教員は日々疲弊して心身ともボロボロになっていく。 非行少年問題の対応や解決を学校に委ねるのなら、教育する側が潰れてしまわないような仕組みづくり、制度改革が必要だと思う。 そらから…理不尽に性被害にあい、一生のトラウマを負った幼い子のことを思うと本当にいたたまれない。犯罪予備軍への犯罪防止教育は必要だ。しかし一度でも自らの欲のままに性犯罪を犯し幼い子を傷つけた者は一生重い重い十字架を背負ってほしい。 たとえ加害者の背景にどんな理由があったとしても。
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正義とはなにかかんがえさせられました。障害を持っている人には優しいけれど犯罪を犯した障害者はゴミクズの様に言う人、いっぱいいるしね。方向性の違いな気がします
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コグトレ研究会 軽度知的障害が14パー。意外と多い。うちのクラスにもちらほらいる。 具体的な方法が書いていて◎最初とぽん。綿棒積み上げるやつ。 子どもの心の扉は内側(子ども側)にしかついていないという言葉が印象的。 褒めてあげる、聞いてあげるは根本的な解決にはならない。困ってるこ...
コグトレ研究会 軽度知的障害が14パー。意外と多い。うちのクラスにもちらほらいる。 具体的な方法が書いていて◎最初とぽん。綿棒積み上げるやつ。 子どもの心の扉は内側(子ども側)にしかついていないという言葉が印象的。 褒めてあげる、聞いてあげるは根本的な解決にはならない。困ってることを直接支援してあげる。 先生が生徒を見ているよという合図は意外と大事。
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