1,800円以上の注文で送料無料

なにかが首のまわりに の商品レビュー

3.8

41件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    18

  3. 3つ

    10

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/03/16

ナイジェリア出身のグローバルレベルの超エリート著者が書いた短編小説集。たくさんの「違い」や「断絶」が多層的に展開される。それぞれの主人公は、染まる方が、もしくは染まっているふりをする方が社会的に有利で楽だろうと思われる価値観に馴染むことのできないがんこさを持っている。もしくはその...

ナイジェリア出身のグローバルレベルの超エリート著者が書いた短編小説集。たくさんの「違い」や「断絶」が多層的に展開される。それぞれの主人公は、染まる方が、もしくは染まっているふりをする方が社会的に有利で楽だろうと思われる価値観に馴染むことのできないがんこさを持っている。もしくはその価値観が自分たちのものと、どれだけどのように違うかを感じる繊細さを持っている。そこに共感するし、魅力を感じる。二項対立とかじゃなくて多様性(ダイバーシティ)の世界の文学。今はみな多様性の中に生きてるので、誰でも何かに引っかかりそう。ナイジェリアとアメリカ、男女とかだけじゃなく、「違い」は多層的。ナイジェリア国内の貧富、教育格差、民族、イボ語と英語、宗教。ナイジェリアと先進国の経済格差、米国と英国、男の子と女の子、世代間格差、本家と分家、帝国主義と植民地、アフリカの中での国と男女、、、etc. 時に居心地の悪さや、どうにもならないあきらめや乾いたせつなさを感じたり、時には快哉を叫んだりや滑稽さを感じることもある。 みんな良い作品で好きだけど、特に、ジャンピング・モンキー・ヒル、何かが首のまわりに、がんこな歴史家 が好きかなぁ。

Posted byブクログ

2020/11/23

まだ数本しか読んでいないけれどこれまでに読んだことのない感覚の本。 文体も独特だしそこはかとない不安を漂わせたまま終わる物語も。 この一冊だけでなく何冊か読んでみたい著者。

Posted byブクログ

2020/10/07

翻訳本だから、少し難しい日本語になっていて読みにくさはあった。 世界にはいろいろな夫婦形式や、状況があるんやなと、自分の「世界」の概念が少し変わった。

Posted byブクログ

2020/09/27

2020.9 女であること、黒人のこと、国、歴史。私は知らないことが多い。いかに無知なまま歳を重ねてきたか恥じる思い。この本の中の女性たちがその生き方で知らない世界を教えてくれる。境遇は違えど自分の足で歩いている人たち。この世界は知り尽くせないほど広くて多様で個人だってそれ以上に...

2020.9 女であること、黒人のこと、国、歴史。私は知らないことが多い。いかに無知なまま歳を重ねてきたか恥じる思い。この本の中の女性たちがその生き方で知らない世界を教えてくれる。境遇は違えど自分の足で歩いている人たち。この世界は知り尽くせないほど広くて多様で個人だってそれ以上に多様で複雑で。海外文学読んでいこうと思う。

Posted byブクログ

2020/08/25

舞台はアフリカだったりアメリカだったり、登場人物たちも様々な人種ですが、あっこの感覚は味わったことがある…と思うことしきりでした。 生きづらさはどこにでもある、でもそんな中でも強く生きる女性たちが眩しい。 「ひそかな経験」「なにかが首のまわりに」「明日は遠すぎて」が特に印象的でし...

舞台はアフリカだったりアメリカだったり、登場人物たちも様々な人種ですが、あっこの感覚は味わったことがある…と思うことしきりでした。 生きづらさはどこにでもある、でもそんな中でも強く生きる女性たちが眩しい。 「ひそかな経験」「なにかが首のまわりに」「明日は遠すぎて」が特に印象的でした。ひそかな経験、はここにいたらなかなか出くわさないけど緊張感が凄かったです。 これまで接する機会のなかった地域の文学…色々と読みたくなりました。まずは知るの大事。

Posted byブクログ

2020/07/14

3月初めに小さな旅をしている途中、小川洋子の読書ラジオ番組を聴いていた。初めて聴く番組で、初めて知る作家の小説だった。アナウンサーの朗読と共に小川洋子さんが一冊の本を解説する番組だった。 1時間で、アルジェリアからアメリカに渡った女性の青春をすっかり知った気になり、私の知らない...

3月初めに小さな旅をしている途中、小川洋子の読書ラジオ番組を聴いていた。初めて聴く番組で、初めて知る作家の小説だった。アナウンサーの朗読と共に小川洋子さんが一冊の本を解説する番組だった。 1時間で、アルジェリアからアメリカに渡った女性の青春をすっかり知った気になり、私の知らない世界を垣間見た気になった。ちょっと気になって本を取り寄せたのだが、まさかあんな豊潤な世界が、こんな18ページほどの短編だったとは思いもしなかった。私は少なくとも、中編のよく練られた黒人女性のアメリカ留学の1年間を見せられたのだと思っていた。しかも、フィクションはあるかもしれないが、これは作家の経験したことだと確信していた。それほどまでに、ひとつひとつの「言葉」が立っていて、しかも無駄な「言葉」はひとつもなく、詩のように語られていた。 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ この舌を噛むような作家は、12の短編全てで、12の人生を切り取り、そして鮮やかに表現している。ホントに自分の経験を書いていないのか?と思ったが書いてないのだ。読んでいくと、現在のアメリカ黒人差別運動の現場に居合わせている気分になるような描写もある。 表題作に戻ると、朗読では気がつかなかったことに、3つ気がついた。ひとつ、会話には「」は使われていない。よって、まるで詩を読んでいる気分になる。ひとつ、ずっと(主人公の女性のことを)「きみは‥‥と思った」と過去形で語られている。朗読では女性の恋人になる白人男性からの呟きだと勘違いしていたが、白人男性は「彼」と語られていた。だからもう一つのことも、私は確信を持った。主人公女性はアルジェリアから留学して親戚のおじさん家に間借りするが、レイプを強要されそうになり、家を出てレストランで働き出す。そこでまるきり違う「アメリカという人間の世界」で生きることになる。その時「何かが首のまわりに絡みついている」のを感じるのである(この「なにか」は精霊なのかもしれない)。自分を理解してくれそうな白人男性と付き合うことで、その感触は薄れるのではあるが、父親の急死を聞いて彼女はいっとき故郷に帰ることになる。白人男性は「帰ってくるよな」と聞くが黙って彼女は別れるのである。 果たして彼女は帰ってくるのか? 小川洋子さんは「帰ってこない」派だった。実はこの文体そのものが、彼女と白人男性はうまくいかないことを証明していた。ということが読んでみてはっきりわかった。 こんな波乱万丈の物語を短編で見せて、なお、余白を感じさせるストーリーテラー。すごいと思うが、一編読むのに物凄く疲れて、この一冊でもういいや、という気になった。黒人文化に興味ある人には、必読文学だと思う。 アディーチェの文学が文庫化されたのは、これが初めてらしい。ただし高い。300ページちょっとで、1150円(税別)である。もちろん、内容の濃さはそれ以上だ。

Posted byブクログ

2020/07/04

We should All Be Feminists. TEDでも有名になった、ナイジェリアの女性作家による短編集。 引き込まれる文章を書く人だな、と思った。するすると感情移入できる。 そして人種、ジェンダー、文化、宗教によるさまざまな問題が緻密に描かれている。重すぎず軽すぎ...

We should All Be Feminists. TEDでも有名になった、ナイジェリアの女性作家による短編集。 引き込まれる文章を書く人だな、と思った。するすると感情移入できる。 そして人種、ジェンダー、文化、宗教によるさまざまな問題が緻密に描かれている。重すぎず軽すぎず。日常生活の中の抑圧を顕在化させる。でも抑圧されている側を悲劇的に描かず、あくまでフラットなところがよい。 アフリカ文化なんて今までほとんど触れたこともなかったけど、すんなり入ってきた。 「アメリカ移民」という文化もはじめて知る。 「イミテーション」と「なにかが首のまわりに」がすき。相容れないものに対して、私たちはどうあるべきか。 翻訳の方がとても上手で読みやすかった。相性かな。

Posted byブクログ

2020/05/31

ひとを愛するということは自分が知らない人生を知ることだ、と私が敬愛する灰谷健次郎さんは言ったが、この本を読むまでは私には知るべくもなかった、全く風土の異なる遠い異国の地の価値観や生き方を、匂いや温度をもった風のように感じられたことは私にとって得がたい喜びであり、それは作者の瑞々し...

ひとを愛するということは自分が知らない人生を知ることだ、と私が敬愛する灰谷健次郎さんは言ったが、この本を読むまでは私には知るべくもなかった、全く風土の異なる遠い異国の地の価値観や生き方を、匂いや温度をもった風のように感じられたことは私にとって得がたい喜びであり、それは作者の瑞々しい感性によって解き放たれた文章のおかげである。 個人的には『震え』がたまらなく良いと思う。全編にわたり訳者の力量の高さも感じる。 視点の幅が狭くなりがちなこの島国日本に生きる私たちにとって、固定化されかけたものの見方を、爽やかに一蹴するようなこの本の持つ意味は大きい。

Posted byブクログ

2020/05/10

なんというか・・・今まで読んだことのない生活の物語で、これがリアルなものなのかどうかさえ、私には分からない。ただ、乾いた大地の中に根を張ったような芯のある文章や描写から、きっと現実にとても近いものなんだろうなと感じる。翻訳の力もとても大きいと思う。もっとこの国に生きる人たちを知っ...

なんというか・・・今まで読んだことのない生活の物語で、これがリアルなものなのかどうかさえ、私には分からない。ただ、乾いた大地の中に根を張ったような芯のある文章や描写から、きっと現実にとても近いものなんだろうなと感じる。翻訳の力もとても大きいと思う。もっとこの国に生きる人たちを知ってみたいし、登場するもう一方の国であるアメリカの文学も気になった。 どの話もおもしろかった。「先週の月曜日に」のラストは不穏な予感に満ちていて、「なにかが首のまわりに」「結婚の世話人」ではナイジェリアとアメリカが描かれる。故郷であり出ていきたい国と、夢と挫折のある国。 宗教について印象的な部分もしばしばあった。 「われわれを宗教へ導くものは死後世界についての自信のなさだ。」 「今回だけ。来週はあなたの教会にわたしが行くから」 「神が人格であるという考えは捨てるべきだよ。」

Posted byブクログ

2020/03/19

アフリカとアメリカ、ジェンダーなどの意識しないと目に見えない、故に根深い隔たりが色彩溢れた文体で描かれている。著者の感性とそれを表現するセンスを感じる。

Posted byブクログ