上流階級(其の一) の商品レビュー
百貨店の外商さんと、そのお客様である上流階級の方々を描くお仕事小説です。 主人公は、専門高校卒でパートからバイヤー、外商へと異例の抜擢をされた女性外商。相手にするのはお得意様ばかり、月々の売上ノルマは1,500万。庶民にはなかなか窺い知れない世界で奮闘する主人公と、彼女が関...
百貨店の外商さんと、そのお客様である上流階級の方々を描くお仕事小説です。 主人公は、専門高校卒でパートからバイヤー、外商へと異例の抜擢をされた女性外商。相手にするのはお得意様ばかり、月々の売上ノルマは1,500万。庶民にはなかなか窺い知れない世界で奮闘する主人公と、彼女が関わっていく人間模様が魅力的に描かれています。 同作家様の本は、『トッカン』を読んだことがあったのですが、そちらはあまり好みに合わなかったので、この本も手に取るのを少し迷いました。けれど、『上流階級』という一言と、本の表紙の装丁。それに、『外商』という普段目にすることのない仕事について書かれていることに心惹かれました。結果的に読んでみて大正解でした。 インターネットでなんでも安く自分で選んで買うことができるこのご時世に、百貨店の外商として働くということがどういうことなのか。それを使う方々というのはどういう方なのか。興味があったことの片鱗に触れることができて、とても新鮮に楽しく読むことができました。 こういうお仕事小説では、どちらかというと若い新人社員の奮闘が描かれることが多いように思いますが、このお話は主人公が四十路を目前に控えるアラフォーの女性。既にあちこちで様々な経験をしていて、結婚と離婚も経験して、憧れの人に連れられて外商の世界に飛び込んで新たな一歩を踏み出そうとしているところからのスタートなので、それまでに彼女が積み上げてきた経験や実績がキャラクターに深みを持たせていてとても魅力的に思います。 お金を出せば買えるレベルの人たちは、お金を出しても買えない一点ものの価値がほしい。 それは、そもそもお金をふんだんに使うことのできない一般世帯の感覚とは桁が違って、なるほどそうなのか、と読みながら知らない世界を覗いている心地でした。 究極のサービス業とも言われる外商として奮闘する主人公の、続きの物語を読むのが楽しみです。
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外商の仕事は上流階級の人たちに商品を売る、 だけではない。 彼らは、サービスを売るのだ 商品をただ買うだけなら、今の時代、ネットで事足りる。 それでも今なお外商を通じてものを買うのは、ネット以上の価値と信用がその「サービス」にあるからだ。 いかにして「サービス」に付加価値として特...
外商の仕事は上流階級の人たちに商品を売る、 だけではない。 彼らは、サービスを売るのだ 商品をただ買うだけなら、今の時代、ネットで事足りる。 それでも今なお外商を通じてものを買うのは、ネット以上の価値と信用がその「サービス」にあるからだ。 いかにして「サービス」に付加価値として特別感を出すのか、主人公の女外商は個性豊かな上流階級の人たちに紛争する
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面白かった〜 知られざる(?)外商の世界の話。 とはいえ、外商のことも、少しずつ知られてきたよね。 富裕層向けの仕事。百貨店の一部門ではあるのだけど、店舗にいるのではなく、顧客の自宅へ出向いていく。 ごほうびと言う言葉は知らなかった。 ご褒美ではない。呉服・宝飾・美術品、その...
面白かった〜 知られざる(?)外商の世界の話。 とはいえ、外商のことも、少しずつ知られてきたよね。 富裕層向けの仕事。百貨店の一部門ではあるのだけど、店舗にいるのではなく、顧客の自宅へ出向いていく。 ごほうびと言う言葉は知らなかった。 ご褒美ではない。呉服・宝飾・美術品、その頭文字をとってごほうび。 このごほうびをサラッと買ってしまうのが、外商の商売相手。金額のスケールが違う。 百貨店は女の世界。一方で外商は男の世界。(と言われてきた) そんな外商の世界で奮闘するのは女主人公。 とってもフィクションなんだけど、コミカルすぎずシリアスすぎず。ちょうどいい塩梅。 これ、シリーズものなんだね。とても読みやすく、スッと心に入ってくるから、いくらでも読めてしまいそう。 大変楽しく読めた。 作者の名前に見覚えがあったけど、トッカンの筆者なんだね。税務のことだけではなく、外商の世界まで描いてしまう。 この作者の他の本も、ぜひ読んでみたいと思わされた。
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百貨店の外商が、どういう仕事をする所だか、あまり知らなかったが、お葬式まで、取り扱いがあるのにはビックリしました。 登場人物、一人一人の性格が際立っていて読んでいてとても面白く続きが楽しみです。
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すごく個人的な感想だけど、なつかしさを感じた。 昔々、お休みの日に百貨店にお出かけをした。よそ行きの服にレースのついた靴下と革靴、そして、籐のバスケット。もちろん、屋上に上がって、金魚すくいをしたりした。 大丸百貨店の心斎橋店の建物が建て替えになると聞いて出かけて行った時もそ...
すごく個人的な感想だけど、なつかしさを感じた。 昔々、お休みの日に百貨店にお出かけをした。よそ行きの服にレースのついた靴下と革靴、そして、籐のバスケット。もちろん、屋上に上がって、金魚すくいをしたりした。 大丸百貨店の心斎橋店の建物が建て替えになると聞いて出かけて行った時もそうだったけど、この本からも、同じようななつかしさを感じた。 お話は、私のノスタルジーとは無関係に、お仕事小説で青春小説だった。青春というには、主人公の年齢が高め、という意見もあるかもだけど、悩みを抱えつつ、まっすぐで一生懸命な彼女には青春が似合う。うわ、彼女のライバルになりそうな嫌なやつ登場・・・と思ったら、そやつの乙女チック満開で終わるとこなど、楽しい。登場人物が色とりどりでいい。 まったく私事だけど、私の父はデパートマンだった。このお話に出てくるようなかっこいい男性ではなかったけど、商売柄、上質のもののよさを(実際には妥協することになったとしても)知っておきなさいというとこはあったみたいだ。時は流れて、妥協していることさえ気が付かない私に育ったけど、そういう文化があったのだなぁと、これもまた、私のノスタルジーですね。
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こういう世界、いいよ! 上流階級のお作法なんて無縁だもの、たまには市民がのぞき見したっていいじゃない、という感じ。おもしろい!
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先が気になって、、って言う話でははいけれど 読み始めるとどんどん進む。 タイトルや表紙から伝わる上品さの中に、サバサバした静緒の本音とか、ちょっと笑える言い回しとか、桝家との関係とか。飽きないです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2023/10/05 p167 なぜ女だけ、仕事と人生とを切り分けて言われるのだろう。〜中略〜だれもかれも、静緒が仕事をしているだけでは幸せだと思ってくれないのだ。そして世間も。 ・面白かった。外商という職業を初めて知った。芦屋という土地はすごい“お金持ち”が住んでるイメージやったけど、その一端を見た気がした。 ・ノルマ1500万やのに給料安いんか… ・桝家との仲良くなるのがめっちゃ急速な気がしたけどそんなもん?残りのページが少なくなるにつれ、物語が収束してく感じがとても気持ちよかった。読みやすい文章。 ・今ではネットで安く買えるけど、わざわざ百貨店に足を運んで、外商を通してものを買うことは買ったときの思い出が残ると書いていてよかった。たしかにその気持ちわかる。でもちょうどブランドのものをアマゾンで買おうとしてたところやったからより響いた。 ・お父さんがなくなったときにぺしゃんこの弁当箱の話があったけど、それが終盤に魔法瓶として繋がっている部分があった。自分のあげた魔法瓶がお父さんを殺してしまったってことで合ってるんかな。 ・静緒のように子供の頃に百貨店に連れてって貰ったことはないけど、開店時に行きたいと思った。
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おもしろかった!最近読んだ本では一番かも。ひとつひとつのエピソードが丁寧に調べて書いているのがわかるし、ちゃんと上流のひとは上品な感じが伝わってくる。なにより鮫島の仕事への向き合いかたがいい。これは、続きも読もう…。
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個人的にはとても好きだった。 実際外商を使ってるので、裏側というか こういう感じなんだ〜って思いました。 やっぱ百貨店好きだな〜
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