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本の読み方 の商品レビュー

4

78件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

    33

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2023/12/12

数年前、某書評サイトに参加していた時期がありました。そこではみなさん競うように書評を上げていて、中には毎日3冊から4冊もの本の書評を上げる人も。私はそのスピードにまったくついていけず、大好きなはずの読書がちっとも楽しくなくなってきてしまい、これはいかんもうここにはいられない、と一...

数年前、某書評サイトに参加していた時期がありました。そこではみなさん競うように書評を上げていて、中には毎日3冊から4冊もの本の書評を上げる人も。私はそのスピードにまったくついていけず、大好きなはずの読書がちっとも楽しくなくなってきてしまい、これはいかんもうここにはいられない、と一年足らずで退会しました。 そんな私にとってこの本は、天から差し込まれたひと筋の光、「大丈夫だよ」とやさしく手を差し伸べてくれる、救世本です。まさに我が意を得たりな一冊で、読みながら「そうそうそうなんですよ!」、「ほんっとまさしくこれ!」と心の中で叫びどおし。 本書は、徹底的に〈アンチ速読〉。〈一年間に何冊読んだ、といった類の大食い競争のような読書量の誇示にも辟易していた〉著者は、速読はもはや〈読書ではなく、情報処理〉であると喝破し、〈読書は何よりも楽しみであり、慌てることはない〉、〈本くらいはゆっくり、時間をかけて読みたいものだ〉と述べています。 そこで提唱されているのが、スロー・リーディング。ゆっくり時間をかけて、〈味わい、考え、深く感じる豊かな読書〉を楽しもう、というもの。それにはやはりコツがある、ということで、そのコツをこの本で教えてくれています。「基礎編」と「テクニック編」でその理論を解説、「実践編」で、夏目漱石の『こころ』やカフカの『橋』、金原ひとみ『蛇にピアス』など、古今の作品をスロー・リーディングしていきます。 すごく本を読みたくなるし、読むのが楽しみになりますね。これからは自信を持って、焦らずゆっくり読書を楽しんでいけそう。〈「ページを捲りたくない、いつまでもこの世界に浸っていたい。」と感じてもらえるような作品を書きたいといつも思ってい〉るという著者の作品も、ぜひこれからゆっくり読ませていただこうと思っております。 最後に、ここに宣言いたします。わたしは、スロー・リーダーです!

Posted byブクログ

2023/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

⚫︎受け取ったメッセージ ※引用 「一冊の本を価値あるものにするかどうかは、  読み方次第」 「読者が本を選ぶように、本も読者を選ぶ」 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) "本はどう読んだらいいのか? 速読は本当に効果があるのか? 闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、深く感じる豊かな読書へ。 『マチネの終わりに』の平野啓一郎が、自身も実践している、 「速読コンプレックス」から解放される、差がつく読書術を大公開。 「スロー・リーディング」でも、必要な本は十分に読めるし、 少なくとも、生きていく上で使える本が増えることは確かであり、 それは思考や会話に着実に反映される。 決して、私に特別な能力ではない。 ただ、本書で書いたようなことに気をつけながら、 ゆっくり読めば、誰でも自ずとそうなるのである。(中略) 読書は何よりも楽しみであり、慌てることはないのである。 ⚫︎感想 夏目漱石のこころ、森鴎外の高瀬舟、三島由紀夫の金閣寺カフカの橋、金原ひとみの蛇にピアスなど、一部分を取り上げて、小説家がどのような工夫やテクニックを凝らして書いているか、いかに気付きながら読むことができるか、実践を交えて丁寧に解説してくれる。 ・作中で登場人物が疑問を発した時、  その答えは特に重要 ・成功している比喩は重奏的 ・作中の唐突に起きる違和感は注意喚起=主題に関わる ・「不自然さ」は場面転換の印 ・「お茶を飲む」という何気ない動作→緊張しているから→この先重要な言葉が語られるかも ・ポリフォニー小説…登場人物がそれぞれに完全に独立した思想を持ち、彼らが対話を通じて対決するタイプの小説 ・書き出しの一文に意味がある ・形容詞、形容動詞、副詞に着目する ・間を取るための風景描写や心理描写の挿入。 一般的に、こうした間の後には重要な発言が控えている。 など、たくさんの書く側の配慮を知ることができた。このようなタイプの本は初めて読んだので、このように書く側からのテクニックを知って、もっと深く小説を味わいたいと思った。 (以下引用) 小説というのは、マジックミラーのようなものである。しっかりと目を凝らせば、向こう側に作者が見えるかもしれない。しかし同時に、そこに映し出された自分自身を見てしまうのかもしれない。

Posted byブクログ

2023/10/28

「先へ、先へ」より「奥へ、奥へ」 平野啓一郎さんのいう本の読み方はその通りだと思う。SNS全盛の今こそこういうアプローチは身につけたい。 実践編を読んだら、自分が大学受験の現代でやぅてきたやり方とそっくり。平野さんとほぼ同世代なので、なんとなくこう考えるひとが多いのかな?と感...

「先へ、先へ」より「奥へ、奥へ」 平野啓一郎さんのいう本の読み方はその通りだと思う。SNS全盛の今こそこういうアプローチは身につけたい。 実践編を読んだら、自分が大学受験の現代でやぅてきたやり方とそっくり。平野さんとほぼ同世代なので、なんとなくこう考えるひとが多いのかな?と感じた。

Posted byブクログ

2023/09/20
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※このレビューにはネタバレを含みます

ゆっくり読むことについて。 ・助詞が「私は」であるか「私が」であるかで、ストーリーの空気感は大いに変わる。 ・学術書でよくある、「一般論・相手の意見→理解→しかし、否定→自説の展開」は良くも悪くも、読書でもそれ以外のコミュニケーションでも色んな場面で出てくる。自分が活用するのももちろん、周りでそのうな構成で話していることにも敏感になれる。 このあたり、受験勉強での現代文の先生の講義が蘇る。今にして思えば、文章を読む基礎力はここでついたと思う。 また、大学の政治学の週2回の講義では、都度3,40ページの日英の予習課題が課されていたのも思い出した。予習期間が短いのに「3回読め」と言われて苦痛に喘いでいたのも思い出した。流し読みをするだけでも、同じペーパーを3周してみると、意味が全く分からなかったところも、少なくとも薄日が刺すように論理構成や主張が見えてくる。スローリーディングの醍醐味だ。 そのあたりの記憶が甦りながら、色々共感できる箇所も多く、原点回帰になりそうな読書体験だった。 === 「読書は読み終わったときにこそ本当に始まる」(p.44) 「現に何を読んでも、「今までの自分」という殻からは一歩も外に出られず、一本調子の感想しか抱くことのできない人は、世の中にもたくさんいるのである。そういう人は、自分で自分の周りに檻を作ってしまった囚人であり、いつまで経ってもその狭い檻から抜け出せず、その中からしか、世界を見ることができないのである(中略)読書は、「作者」という名の他者と向かい合うことを通じて、私たちをより開かれた人間にするきっかけを与えてくれる」(p.50) 「私は読書の喜びを知り、自分の好き嫌いを知った。しかし、それ以上に学んだことは、ある作家のある一つの作品の背後には、さらに途方もなく広大な言葉の世界が広がっているという事実である(中略)作者は一体、何を言おうとしているのだろうか?そしてその主張は、どんなところから来ているのだろうか?それを探るのは、常に、奥へ、奥へと言葉の森を分け入っていくイメージである」(p.85) 「そういう意味では、さりげないながらも、この、「先生先生というのはいったい誰の事だい」という一文は、小説の冒頭(私はその人を常に先生と呼んでいた)と呼応している。こうした作品内の言葉の響き合い、呼応関係を掴むことができると、小説全体の構造の見通しが急によくなることがある」(p.118) 「人間は生まれてから死ぬまで、ずっと変わり続ける?ものの見方も変われば、考え方も変わる。それは、悪いことではない。同じ本を数年後に読み、そこで自分の感想が変わっていたならば、それだけ自分が変わったということであり、その数年間に意味があったということだ。感想は、一回限りのものでなくていい。むしろそれは、生きている限り、何度も更新されるものであるべきだ」(p.175) 「小説の執筆という作業は、一見マラソンのようにみえて、実際には、短距離ダッシュの繰り返しである。持続可能な力加減で書き続けても、緊張感のある作品にはならない。呼吸も忘れるほどの集中力でアタックしては休憩し、またアタックしては休憩する。その繰り返しだけが、作品を真に鍛え、充実させてくれるのだと信じる」(p.236)

Posted byブクログ

2023/09/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分は本を読むスピードが遅い方なのでこの本を読んで、今までは読むスピードを早くして色々な本を読みたいと思っていたが、それよりも本の理解度や深く考える時間に費やしたほうが、より読書を楽しめて為になると思えた。 再読について書かれていたが、これは小説に限った話じゃなくて漫画、ドラマ、映画、アニメにも当てはまることだと思ったので、基本的に1回しか見ないので試してみたいと思う。 この本も再読しようと思う。 「自分だったらどうするだろう」と考えるのは元々、自然とやっていたので良い事だと知って嬉しかった。 「辞書癖」をつける、と書かれているがこれは前から実践してはいるが難しい言葉や読めない漢字が続くと調べることに一生懸命になり、話の内容が入ってこないということがあるので、今後の課題。 後半の実践編は全部を理解するのは難しかったが、できる事から実践しようと思う。

Posted byブクログ

2023/09/02

軽薄な「速読」テクニックへの痛烈な批判本。 本人も作家である立場から、物書きがいかに言葉選びを熟慮しているか、またそれを自分で読み取り感じることが著書に触れる喜びの一つであることが、作例を交えて書かれている。(勿論、本を読む目的は人それぞれだが。)「速読=脂肪。役に立たず、頭の回...

軽薄な「速読」テクニックへの痛烈な批判本。 本人も作家である立場から、物書きがいかに言葉選びを熟慮しているか、またそれを自分で読み取り感じることが著書に触れる喜びの一つであることが、作例を交えて書かれている。(勿論、本を読む目的は人それぞれだが。)「速読=脂肪。役に立たず、頭の回転を鈍らせる。知ってることの補完でしかなく、何なら歪曲させて読み取ってしまう。」→すごく納得。

Posted byブクログ

2023/08/23
  • ネタバレ

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これまでレビューを書いたことはありませんでしたが、「人に説明することを前提に読む」(93頁以下)ことを意識し、1冊読み通した今感じたことを卑見ながら公にしたいと思いました。 法学部の教授で、問題演習などは一度もせず、基本書一冊だけで司法試験に合格をしたという天才の話を聞いたことがあります。単に「問題集を何冊をやるな」というような話ではなく、一文一文に疑問を持ち、それを解消するためにほかの本にあたるということを繰り返し、そうした読み方をしたために1冊読み切るのに何年もかかり、それだけで終わってしまった、という事情です。 そのような天才には到底なれないことは承知の上で、ここで重要なのは、「どうしてその言葉を選択したのか」「突然この発言をさせたのはなぜだろうか」という違和感をキャッチできるような余裕を持つことだと思います。少なくとも名著として残り続けている文章を残した著者は、言葉の選択、文章のつながり、全体の構造に推敲に推敲を重ねたものだと推測されます。それを読む私は、言葉一つ読み飛ばしてよいはずがありません。人並みに文字を読んできた自負はありましたが、「実践編」で平野氏の感じた違和感には気づけませんでした。 「より「先に」ではなく、より「奥に」」(82頁)は理想的な読み手の姿勢を端的に表した言葉だと感じました。いま隣にある本棚には多くの書籍が並んでいますが、読んだ実績を並べたものではなく、背後の広がりを持った奥行きのある世界となるかは私次第であると確信しました。

Posted byブクログ

2023/08/09

著者の本は「マチネの終わりに」を読みましたが、とても魅力的な本だったので本作品も読んでみました。 この本は「本の読み方」の本ですが、本を書く作家さんの視点から、どのように本を読むべきかを丁寧に考察してあり、とても理解が深まり、益々好きな作家さんになりました。 本が読みたくなる本で...

著者の本は「マチネの終わりに」を読みましたが、とても魅力的な本だったので本作品も読んでみました。 この本は「本の読み方」の本ですが、本を書く作家さんの視点から、どのように本を読むべきかを丁寧に考察してあり、とても理解が深まり、益々好きな作家さんになりました。 本が読みたくなる本です!!

Posted byブクログ

2023/08/08

読書について、今までの自分は活字を追って、本を読み終わる毎に満足感や達成感を抱いてました。 この本を読んで、読書とは、速く読むことではなく、1文1文丁寧に深く読み、自分の想像力や思考力を使って楽しむことが読書の醍醐味であり、正しい読書であるということを学びました。 この本もそう...

読書について、今までの自分は活字を追って、本を読み終わる毎に満足感や達成感を抱いてました。 この本を読んで、読書とは、速く読むことではなく、1文1文丁寧に深く読み、自分の想像力や思考力を使って楽しむことが読書の醍醐味であり、正しい読書であるということを学びました。 この本もそうですが、1回限りではなく、時間を於いてまた読んで、そこで新しい発見や過去の想像とは違ったイメージが浮かんでくるかもしれない。 1冊1冊丁寧に読書をしていこうと思いました。

Posted byブクログ

2023/07/17

 再読・遅読推奨派の私には、とても頷ける内容。ここ最近の読み方はサブスク料金と読書アプリによる可視化のせいで速読寄りになってきていたな、と反省。選本もタイパ重視になりがちだった。速読が悪い訳ではないけれど、せっかく読んだからにはきちんと内容を理解して読みたい。読メの謎の棒グラフや...

 再読・遅読推奨派の私には、とても頷ける内容。ここ最近の読み方はサブスク料金と読書アプリによる可視化のせいで速読寄りになってきていたな、と反省。選本もタイパ重視になりがちだった。速読が悪い訳ではないけれど、せっかく読んだからにはきちんと内容を理解して読みたい。読メの謎の棒グラフや連続読書日数など気にしてないつもりが、知らずに意識していたり、さほど読みたくもない本も無料だからと読んだり、もっと楽しく主体的に読まなければ。

Posted byブクログ