リーチ先生 の商品レビュー
本書を読むと陶芸をしてみたくなる。 明治時代に日本の美術に興味を持ちイギリスから訪れたバーナード・リーチ氏は実在の芸術家だ。英国人として(外国人として?)初めて本格的に日本の陶芸を学び、母国でも陶芸および日用品の美しさを広めるために尽力した。彼が日本で交流し刺激を受けていたのは、...
本書を読むと陶芸をしてみたくなる。 明治時代に日本の美術に興味を持ちイギリスから訪れたバーナード・リーチ氏は実在の芸術家だ。英国人として(外国人として?)初めて本格的に日本の陶芸を学び、母国でも陶芸および日用品の美しさを広めるために尽力した。彼が日本で交流し刺激を受けていたのは、武者小路実篤とか高村光太郎などそうそうたる白樺派の文豪たちであり、芸術家たちであった。 何十年もリーチの助手として共に成長した亀之助が主人公である。著名な陶芸家となったリーチ氏が晩年に九州の窯元を訪れたときに亀之助の息子と出会うことから話が始まる。 原田マハさんはあのペースで出版しながら、一つ一つの著書に克明なリサーチをしているのがすごい。陶器のことやイギリスのことなど情報がとても多いので、前半はやや冗長であるのが否めないが、彼女お得意のじんわりとした感動を呼び起こすストーリー展開ある。出てくる人があまりにも全員いい人すぎるかなとは思った。リーチ氏を全く知らなかったので、当時の日英の交流など知ることができて、とてもよかった。 本書を読んでから、リーチ・ポタリーが今でもセントアイビスで展開していて、実際に器を購入したり陶芸を学んだりできることを知って興奮した。陶器には詳しくないが、色合いに温かみがあり素敵だと思った。
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2025年1番最初に読んだ作品。 何か新しいことを始めたい時に読むべき一冊。 出てくる登場人物全員が一生懸命に生きており、温かい。「芸術」「陶芸」に真っ直ぐに向き合う姿がとても好い。 毎日の生活はそれなりに幸せで充実してる、でも何か足りない。何かを始めたい。 そんな時にこの作...
2025年1番最初に読んだ作品。 何か新しいことを始めたい時に読むべき一冊。 出てくる登場人物全員が一生懸命に生きており、温かい。「芸術」「陶芸」に真っ直ぐに向き合う姿がとても好い。 毎日の生活はそれなりに幸せで充実してる、でも何か足りない。何かを始めたい。 そんな時にこの作品から、前向きなエネルギーをもらえたような気がする。 一年のはじめに読んだ本がこの作品で本当に良かった。亀之助やリーチ先生のように自分自身の生き方を見つけて、一生懸命に日々を過ごしていきたい。
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民藝に興味があり普段使いの工芸品を作る人達のお話だと言うことで、大作でしたが読んでみました。原田マハさんの作品の中で芸術家主人公の作品に初チャレンジ。戦前戦後の今とは比べ物にならないくらい移動や連絡の手段がなかった頃に、異郷の地で陶芸に目覚めた突き進むバーナードリーチと彼を支えた...
民藝に興味があり普段使いの工芸品を作る人達のお話だと言うことで、大作でしたが読んでみました。原田マハさんの作品の中で芸術家主人公の作品に初チャレンジ。戦前戦後の今とは比べ物にならないくらい移動や連絡の手段がなかった頃に、異郷の地で陶芸に目覚めた突き進むバーナードリーチと彼を支えた亀之助達の日々が細かく、生き生きと描かれていて、好きな事につき進むエネルギーを感じました。何もせずに日々を過ごしがちですが、良い刺激を与え手貰いました。
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フィクションとノンフィクションをここまで巧みに混ぜ合わせ、「アート小説」という新しいジャンルの先駆者として書き続ける、「美術史小説家」の原田マハさんには感動する。 こんな風に現実と創作を融合させるのは良くないという教育者や学者、その他様々な人は沢山いると思う。 でもこのアート...
フィクションとノンフィクションをここまで巧みに混ぜ合わせ、「アート小説」という新しいジャンルの先駆者として書き続ける、「美術史小説家」の原田マハさんには感動する。 こんな風に現実と創作を融合させるのは良くないという教育者や学者、その他様々な人は沢山いると思う。 でもこのアート小説のおかげで、 美術というものの敷居を低く感じてくれる人がいて、美術館に実際に足を運んでくれる人が増えているのは間違いないと思う。 だったら全然ありなのでは? 読んでいて、「ここは美術史として学びに繋げられそうだな」って部分と、ここは「フィクションかな」と思い、知識としてではなくエンターテーメントとして楽しむ部分が、すぐに分かる気がする。 この本の場合も、 知識の浅い私は主人公の「沖亀之助」が、実在するのか、しないかも定かではなかったけれど、読み終わった後にググればすぐ分かる。 そしてざっとバーナードリーチや、柳宗悦、濱田庄司等の人物の歴史をネットで読めば、「あ、ここは小説に出てきて事実に基づいてるところだ」と振り返りながらおさらいできる。 解説にもあるように、最近よくある「自分を中心に500メートル以内の情況」を描き、作品のスケールが小さく、暗いものではなく、 もっと大きく、造詣も深く、グローバルで広い小説を読みたい時には原田マハさんで決まりだと思う。
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個人的に「民藝ブーム」だった当時、それならばと友人から勧められたのが本書。これがきっかけで原田マハさんのファンになりました♡ 日田の情景がリアルに目に浮かぶような描写が印象的で、今もよく記憶しています。
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史実でありフィクションでもある、 マハさんのこちらの小説。 民藝という物を余りよく知らない人でも、 素直に内容が頭に入ってくる、尚且つ民藝のもつ魅力に気付かせてくれる。とても温かな一冊です。 イギリス人のバーナード・リーチが日本の美に触れ、民陶に触れ、自分の郷里でやりたいことを成し得るまで。 まずはマハさんの膨大な知識量に脱帽いたしました。リーチ先生はじめ、登場する柳宗悦や濱田庄司などの見事なまでに性格や思考の癖を捉えた言葉遣い。1人1人の人物の心の豊かさが、マハさんを通して温かく伝わってくる。 また、解説でも述べられていたがバーナード・リーチの伝記ということもあり、本書を読むだけで、 知らず知らずのうちに民藝の歴史を知り得ることにもなっています。興味がてら柳宗悦の生い立ちの本を並行して読み進めていくと、いかに骨組みのしっかりした内容の小説であるかが伺えます。様々な技法に触れることもでき、読み進めていたら知らずのうち歴史が馴染んでいたことに、感動すらいたしました。 また、オリジナルキャラクターである亀之介親子の人柄もリアリティがあってよい。日本人ならではの考え方やもがき方に一緒になって苦しさや嬉しさを感じられます。 終盤のリーチ先生とのはちきれんばかりの思いの数々には思わず涙をすることもありました。 民藝というもの本書をきっかけにとても興味を持ち、もっともっと深く知りたい、関わってみたいと思えるようになりました。 マハさんの視点は美術に対して愛が溢れていてとても大好きです。自分にとっても、自身のあり方を考えさせられる大切な小説となりました。 是非興味を持たれた方は一度読んでみてください。
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原田マハさんのフィクションとノンフィクションを見事に組み合わされた物語の手法には、いつも驚かされ、引き込まれる。長編だけど、引き込まれて一気に読んでしまいました。
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最初、割と可愛らしい表紙だったので、コメディっぽい話なのかと思ったけれど、バーナード・リーチという陶芸家のお話だった。 やっぱり原田マハさんの小説は良い! というのが読み終わった…あとの感想。 芸術っていうのは冒険なんだな、と思った。 登場人物が、純粋に芸術という憧れを追い求めていくからこそ、読んでいる私もハラハラドキドキしてしまうんだろう、きっと。 日本に帰ってから、結局リーチに合わずじまいで、名も無い花として九州に骨を埋めた亀之助。 日本に帰ったあとの亀之助の人生は小説には書かれていないけども、濱田と別れてから亀之助は何を思って各地を彷徨い、どういう気持の変化があったんだろうかと考えてしまった。 私としては、大好きだったリーチ先生にも、シンシアにも会わずに人生を終えた亀之助はやっぱり寂しいと思ったのだけど、息子の高市やリーチ先生はそうは思わなかったんだなあ。 ラストで、亀之助の昔の恋人のシンシアが出てきたけど、亀之助の帰りを待って、工房を守ってたとしたら切なすぎるよ。いや、そこら辺は何も書かれていないので、シンシアも他の人と結婚して、子どももいるかもしれないけどさぁ。 でも読後感は悪くなかった。亀之助の陶芸への想いが息子の高市に受け継がれて、芸術や生活は続いていくんだなと思うと、素直に温かい気持ちになった。
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民藝の普及に人生をかけた人たちの熱い想い、フィクションながらリアルに感じられて読了。 久々原田さんで号泣。電車の中で読むのはオススメできません!
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美術系ということで、とにかく手に取る。柳宗悦と民藝運動を先導したかたでしたっ!原田マハさんお得意、史実に素敵なストーリーをデコレーション♡分厚い本なのにひと息に読了。
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