リーチ先生 の商品レビュー
個人的に「民藝ブーム」だった当時、それならばと友人から勧められたのが本書。これがきっかけで原田マハさんのファンになりました♡ 日田の情景がリアルに目に浮かぶような描写が印象的で、今もよく記憶しています。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
史実でありフィクションでもある、 マハさんのこちらの小説。 民藝という物を余りよく知らない人でも、 素直に内容が頭に入ってくる、尚且つ民藝のもつ魅力に気付かせてくれる。とても温かな一冊です。 イギリス人のバーナード・リーチが日本の美に触れ、民陶に触れ、自分の郷里でやりたいことを成し得るまで。 まずはマハさんの膨大な知識量に脱帽いたしました。リーチ先生はじめ、登場する柳宗悦や濱田庄司などの見事なまでに性格や思考の癖を捉えた言葉遣い。1人1人の人物の心の豊かさが、マハさんを通して温かく伝わってくる。 また、解説でも述べられていたがバーナード・リーチの伝記ということもあり、本書を読むだけで、 知らず知らずのうちに民藝の歴史を知り得ることにもなっています。興味がてら柳宗悦の生い立ちの本を並行して読み進めていくと、いかに骨組みのしっかりした内容の小説であるかが伺えます。様々な技法に触れることもでき、読み進めていたら知らずのうち歴史が馴染んでいたことに、感動すらいたしました。 また、オリジナルキャラクターである亀之介親子の人柄もリアリティがあってよい。日本人ならではの考え方やもがき方に一緒になって苦しさや嬉しさを感じられます。 終盤のリーチ先生とのはちきれんばかりの思いの数々には思わず涙をすることもありました。 民藝というもの本書をきっかけにとても興味を持ち、もっともっと深く知りたい、関わってみたいと思えるようになりました。 マハさんの視点は美術に対して愛が溢れていてとても大好きです。自分にとっても、自身のあり方を考えさせられる大切な小説となりました。 是非興味を持たれた方は一度読んでみてください。
Posted by
原田マハさんのフィクションとノンフィクションを見事に組み合わされた物語の手法には、いつも驚かされ、引き込まれる。長編だけど、引き込まれて一気に読んでしまいました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最初、割と可愛らしい表紙だったので、コメディっぽい話なのかと思ったけれど、バーナード・リーチという陶芸家のお話だった。 やっぱり原田マハさんの小説は良い! というのが読み終わった…あとの感想。 芸術っていうのは冒険なんだな、と思った。 登場人物が、純粋に芸術という憧れを追い求めていくからこそ、読んでいる私もハラハラドキドキしてしまうんだろう、きっと。 日本に帰ってから、結局リーチに合わずじまいで、名も無い花として九州に骨を埋めた亀之助。 日本に帰ったあとの亀之助の人生は小説には書かれていないけども、濱田と別れてから亀之助は何を思って各地を彷徨い、どういう気持の変化があったんだろうかと考えてしまった。 私としては、大好きだったリーチ先生にも、シンシアにも会わずに人生を終えた亀之助はやっぱり寂しいと思ったのだけど、息子の高市やリーチ先生はそうは思わなかったんだなあ。 ラストで、亀之助の昔の恋人のシンシアが出てきたけど、亀之助の帰りを待って、工房を守ってたとしたら切なすぎるよ。いや、そこら辺は何も書かれていないので、シンシアも他の人と結婚して、子どももいるかもしれないけどさぁ。 でも読後感は悪くなかった。亀之助の陶芸への想いが息子の高市に受け継がれて、芸術や生活は続いていくんだなと思うと、素直に温かい気持ちになった。
Posted by
民藝の普及に人生をかけた人たちの熱い想い、フィクションながらリアルに感じられて読了。 久々原田さんで号泣。電車の中で読むのはオススメできません!
Posted by
美術系ということで、とにかく手に取る。柳宗悦と民藝運動を先導したかたでしたっ!原田マハさんお得意、史実に素敵なストーリーをデコレーション♡分厚い本なのにひと息に読了。
Posted by
今回は日本の民藝運動に影響与えたといわれる、イギリス陶芸家バーナードリーチをもとにしたフィクション。マハさんの変わらない芸術に対する情熱と人物に対する尊厳や憧れが伝わってくる話でした。 1954年、大分の焼き物の里・小鹿田を訪れた、バーナードリーチ。父の遺言で小鹿田の窯元に弟子入...
今回は日本の民藝運動に影響与えたといわれる、イギリス陶芸家バーナードリーチをもとにしたフィクション。マハさんの変わらない芸術に対する情熱と人物に対する尊厳や憧れが伝わってくる話でした。 1954年、大分の焼き物の里・小鹿田を訪れた、バーナードリーチ。父の遺言で小鹿田の窯元に弟子入りしていた、沖高市(おき こういち)は、リーチのお世話係に任命され、そこで彼は、亡き父の亀之助がリーチとかつて師弟関係だったことを知ります。 時代は変わり、1909年となり、亀之助君の視点から物語が始まります。 戦時中のシリアスな要素は意外と少なく、多少物足りなさはありましたが、、 当時の日本の陶芸という芸術を広げる為に、実際に制作する中での数々の苦難や、芸術活動する中での葛藤、人間らしさを繊細に書かれています。 知らないことがあるからこそ、体験してみる、分からないことを肯定することから始まる、その大切さを教えてくれた作品でした。
Posted by
次々に見聞きしている人物が登場して、その時代はこんな風だったのかもしれないなぁと思えた。リーチ先生や亀ちゃんの作り出す作品がこんなふうかなぁと思い浮かべて、「用の美」を追求していく人たちの姿がまぶしく感じられた。
Posted by
世田谷美術館で開催された「民藝MINGEI美は暮らしのなかにある」を観覧して、昔読んだ本作を再び読む事で新たな発見を期待して読んだ。 実際の民藝陶器である小鹿田焼きに接して、リーチが小鹿田焼きに魅了された事実を「リーチ先生」の再読で体験できた。 ただ相変わらず空想小説の域にある原...
世田谷美術館で開催された「民藝MINGEI美は暮らしのなかにある」を観覧して、昔読んだ本作を再び読む事で新たな発見を期待して読んだ。 実際の民藝陶器である小鹿田焼きに接して、リーチが小鹿田焼きに魅了された事実を「リーチ先生」の再読で体験できた。 ただ相変わらず空想小説の域にある原田マハ作品だけに、高村光雲、志賀直哉、岸田劉生などの登場は雑音にしかならなかった。 再読により身近に感じた部分と、創作され過ぎる部分が露わになり、以前に感じた感動的な感想とは別に本作との距離感を新たにする事ができた。
Posted by
創作に対する意欲は 様々な人との出会いにより、増幅してゆき、 焼き窯を見つめる職人の視線が熱く 土や火をコントロールすることが 今より難しかった時代に 織りなされる作品の素晴らしさに 作者自身が感動し 作り手の思いが 伝播していく 手づくりがさらに好きになる本でした。
Posted by