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許されようとは思いません の商品レビュー

3.7

319件のお客様レビュー

  1. 5つ

    44

  2. 4つ

    132

  3. 3つ

    108

  4. 2つ

    10

  5. 1つ

    5

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2019/08/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

帯にある「このどんでん返しがヤバい!」という惹き文句ほどにはヤバくないと思います。どんでん返しにやられた感はないけれど、何故だ何故こんな目に遭わなければならないんだと焦りおののきながら話が進んで行く様子が面白い。 開き直っているかのようなタイトルだから、堂々のイヤミスに終始すると思いきや、表題作となっている最後の1編のみ明るい終わり方で、おかげでとても良い読後感。 どうでもいいことですが、P184に登場する「増築され続けた館」はウィンチェスターハウスですね。昨年その映画も観たところだったのでより楽しめました。 映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』の感想はこちら→https://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/0ca920789e47a5157dfbe21223d248b4

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2019/08/02

「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。 だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた──。 躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する...

「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。 だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた──。 躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。 人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた 5 編、どれもこれもじっとりとした後味の秀逸な短編集。 オススメです!!

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2019/11/11

ミスを隠そうとした行為がどんどん悪い方へ繋がってしまう営業の話は読んでいてドキドキしてしまう。それから子どもを死なせてしまう母親の話「姉のように」は胸が痛くなった。2〜3歳位の年齢は反抗がすごくて親をイライラさせるって自分の経験からも分かっている。もちろん虐待は絶対にいけない。で...

ミスを隠そうとした行為がどんどん悪い方へ繋がってしまう営業の話は読んでいてドキドキしてしまう。それから子どもを死なせてしまう母親の話「姉のように」は胸が痛くなった。2〜3歳位の年齢は反抗がすごくて親をイライラさせるって自分の経験からも分かっている。もちろん虐待は絶対にいけない。でも一般的に言われている「子供の目線で話して」「選択肢を与えて子供の気持ちを満足させて」「褒めてあげて」などといったやり方で上手くいく子とそうでない子がいるのは否めない。難しい子って育児書に書かれている方法を試したってそのままだから。「姉のように」に出てくる子供もきっとそんな難しい子の一人だと思う。相談場所があれば、母親を子供から離して母子ともにリフレッシュする時間を増やしてあげたらと思わずにいられなかった。

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2019/07/20

途中で違和感に気付いて予想してみたりもするけど、全然当てられない。不愉快な終わりなのに、読んでしまう。流行っているイヤミスとはまたちょっと違うような。この人のは何作か読んだけど一番嫌なイヤミスだった(褒め言葉)。

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2019/07/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

〇帯文「このどんでん返しがヤバい!!」の通り、ヤバいイヤミスがやって来た 表題作を含めた5つの短編集。 イヤミスの女王、は言い過ぎだろうか。しかしこの芦沢氏の本にはそれを言わせるだけの力がある。 ・目撃者はいなかった 営業職の葛木は発注ミスのために営業成績好調となる。その発注ミスを隠そうとするもその移動中交通事故に遭遇。そのまま通過してかわそうと思うが、その遺族が目撃者を欲していて… ・ありがとう、ばあば 閉じ込められた、ベランダに。杏ちゃんどうして?早く開けて?ばあばはあなたのためにやってきたじゃない―――ばあばの苦悩と、杏ちゃんの苦悩は、違った。 ・絵の中の男 わたしが従事してきた浅宮二月先生が最後に描いた絵の意味とは。その絵を書かなければならなかった理由とは。 ・姉のように なぜ姉さんはあんな事件を犯してしまったのか、なぜ相談できなかったのかと考えているうちに―――人間は知らず知らずにうちに、誰か最も信頼している相手をトレースしてしまうものなのだろうか。 ・許されようとは思いません 彼女である水絵と、亡くなった祖母の家に来た諒一。そこで亡くなった祖母が置かれた、不思議な状況について回想する。祖母が曽祖父を殺してしまった理由とは。 この5編を突き通すのは、やはり「イヤなミステリ性」だ。後味が悪い、とにかく悪い。「目撃者は~」はサラリーマンの私にとっては、身につまされるような話である。いつでも生身の人間が起こしかねない、そんな物語たちばかりだ。 ただ最後の表題作「許されようとは思いません」だけは、少し違った。解説で池上冬樹氏も言う通り、"温かい余韻が残る(p309)"。人間らしい嫌な部分だけでなく、人間らしい温かい面も見てほしいという、筆者が与えてくれたせめてもの救い、だろうか。

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2019/07/09

5編収録の短編集。『ありがとう、ばあば』。孫を溺愛している祖母。孫のことを誰よりもわかっているという思い込みが取り返しのつかないことに。理解したと思った時から見えなくなってしまうもの。タイトルの意味がわかった時の怖さが見事。 『姉のように』。憧れだった姉が事件を起こす。それから取...

5編収録の短編集。『ありがとう、ばあば』。孫を溺愛している祖母。孫のことを誰よりもわかっているという思い込みが取り返しのつかないことに。理解したと思った時から見えなくなってしまうもの。タイトルの意味がわかった時の怖さが見事。 『姉のように』。憧れだった姉が事件を起こす。それから取り憑かれように自分も同じことをしてしまうのではとなる。子どもへ向かう暴力的な感情は読んでいて辛くなるほど。母親の心情、孤独が痛いほどに迫ってくる。そしてラストのどんでん返しも綺麗にきまっている。 『許されようとは思いません』。閉鎖的な慣習が残っている村。よそ者を差別する場所で暮らした祖母の耐える日々の描写が辛い。人の醜さ、祖母の優しさ、そして事件。祖母の言葉が反転する瞬間やラストに至るまでのドラマがいい。 どの短編も仕掛けがあるけれどそれだけではなく人の心の暗い部分や追い詰められたりパニックになったりする感情も描かれていてそこがとくに読み応えがあった。

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2019/07/09

「許されようとは思いません」 カバーの裏にも謎がある。 ミスを隠す為に重ねた嘘から戻れなくなる営業マン、履き違えた愛情が孫との歪みを生んでしまった祖母、悲劇に隠された恐怖に支配された絵画の秘密、姉の犯罪に混乱してしまい、虐待に走る妹、殺人を犯した祖母の納骨にきた青年。誰しもが...

「許されようとは思いません」 カバーの裏にも謎がある。 ミスを隠す為に重ねた嘘から戻れなくなる営業マン、履き違えた愛情が孫との歪みを生んでしまった祖母、悲劇に隠された恐怖に支配された絵画の秘密、姉の犯罪に混乱してしまい、虐待に走る妹、殺人を犯した祖母の納骨にきた青年。誰しもが持ち得る不安や恐怖、焦りに闇が巣食い、負の連鎖にハマっていく。ホラーで落ち着くのではなく、ミステリーに仕上がっていて、どこか他人事には思えない。 表題はどこかで読んだ気がしていたが、やはり読んでいた。読んでいたけど良かった。他編はイヤミステイストであるが、表題は少し違う。何故祖母は殺人を犯したのか?そのミステリーは、祖母の納骨と青年の結婚(家族になること)に繋がっていく。ミステリー感がありながら、最後はどこか良い(ほんわか?)になる。 ミステリーとしては「目撃者はいなかった」が一番王道。一つの嘘をきっかけに泥沼にはまる営業マンの心情がリアル。逃げ道がないと突きつけられるのではなく、一つの嘘を認めれば逃げ道はあると突きつけられる。究極の選択を強いる何者かの存在が恐ろしい。 「ありがとう、ばあば」は、先が少し見えるが、愛情を注ぐ祖母と孫のすれ違いが生むラストは、恐怖の一言。「絵の中の男」は、イヤミスの中でも毛色は違う。壮絶な事件を回想する中で、絵描きの苦悩が濃厚に描かれる。最終的には、殺しよりも絵が描けないと言われる方が恐ろしいのか?と言う普通の価値観では判断できないところまで落ち込んでいく。 残った「姉のように」であるが、個人的には表題に並ぶ印象深い短編である。憧れだった姉が事件を起こしてしまい、彼女のようにならないために、娘への虐待の衝動を抑えようとする。しかし、自分では抑えることは出来ない。夫も当てにならなくなり、周りの目が気になって仕方がない。私を追い詰めたのは被害妄想だけか?と言う妹のメッセージは強烈で、これのついでかのようにラストを読むと、あれ?となる(この点はミステリのひっくり返し)。 賞舞台で短編ながら長編と戦った理由が分かった。恩田陸の書評は、流石だなー。

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2019/07/08

ミステリ短編集、ちょっと久々の芦沢央。 本来注文の11倍もの誤受注をしてしまった営業マン、躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、 姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年・・・「心の闇」を主軸に5編の短編で綴っています。 なかなかにイヤミス感満載で読...

ミステリ短編集、ちょっと久々の芦沢央。 本来注文の11倍もの誤受注をしてしまった営業マン、躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、 姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年・・・「心の闇」を主軸に5編の短編で綴っています。 なかなかにイヤミス感満載で読み進めましたが・・・最後の一編が救いでした。私的には満足な一冊です。

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2019/07/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

やっぱ芦沢さんうまい!長編、短編どっちもうまい! 今作は独立した5編の短編。私はなかでも「ありがとう、ばあば」と「姉のように」が好き。というか怖い。 「ありがとう、ばあば」は9歳ながらにして、いや、子どもだからこその、迷いのない悪意が本当に怖い。てっきりおばあちゃんが嫌いなんだと思っていたのに。まさかおばあちゃんが嫌いなわけではなく、自分が大好きなだけだったとは。 そして「姉のように」はまんまとはめられた。長崎と福岡が舞台という、個人的にニヤリとする舞台設定なのもいい。犯罪者になった姉のようになりたくない。なってしまったらどうしよう。そう怯えるあまり、精神のバランスを崩してしまった母親の悲哀。そして起こる悲劇。そして明かされる衝撃の大逆転劇。 芦沢さん、本当にすごい。

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2019/07/02

初めてのこの作家の本を読んだが、文章がシンプルでとても読みやすかった。 短編集で、全体的に暗い雰囲気が漂う。 大抵の短編集は、この話はイマイチというものがあるが、これは全部面白かった。 特に、「姉のように」が秀逸。 自分も、2、3歳の子どもの壮絶な子育ては経験しているから主人公...

初めてのこの作家の本を読んだが、文章がシンプルでとても読みやすかった。 短編集で、全体的に暗い雰囲気が漂う。 大抵の短編集は、この話はイマイチというものがあるが、これは全部面白かった。 特に、「姉のように」が秀逸。 自分も、2、3歳の子どもの壮絶な子育ては経験しているから主人公の追い詰められていく過程が痛いほどよく分かった。完全に感情移入して読み進めていたが… あーそういう事だったのねのひと言。お見事でした。カンタンに誘導されてしまった。 最後の話。表題作「許されようとは思いません」も、とてもよくできた話だと思った。 自分も田舎育ちであるから、田舎の閉鎖的な雰囲気がよくわかるし、イメージしやすかった。 祖母の切実な願いも、無理なものとは全く思わない。 周りにも勧めたい一冊。

Posted byブクログ