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海の見える理髪店 の商品レビュー

3.6

277件のお客様レビュー

  1. 5つ

    32

  2. 4つ

    123

  3. 3つ

    90

  4. 2つ

    14

  5. 1つ

    2

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2019/10/16

どの作品も著者のうまさが出ている。 表題作は結末が読めてしまうものの、良作。 個人的には「成人式」が好み。 ラストにこれをもってきているのが著者の意図ならば、まんまとハマってしまった。

Posted byブクログ

2019/11/26

2019.08.22~08.23 表題作はなんとなくオチがわかった。それでも、感動してしまった。凄いよね。家族のすばらしさがたくさん詰まっている1冊。

Posted byブクログ

2019/09/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【感想】 各章ごとに振り分けられた、海辺に住む人達の物語。 正直、読んでいてアップダウンもなく、悪く言えば何も残らない小説だったかな・・・・ キャラクターが平凡すぎて魅力的じゃなかったからかな。 残念ながら、今の自分が読んでも何も響かなかった作品でした。 話題の小説だったので期待しましたが、肩すかしでした 【メモ】 第1章「海の見える理髪店」より p15 この理髪店の店主をかつて世間の噂にしたのは、腕に惚れた大物俳優や政財界の名士が店に通いつめていたという数々の逸話だ。 去年、常連だった大物俳優が亡くなった時に、再びそのエピソードが話題になり、店主が東京から離れた海辺の小さな町で理髪店を続けていることも雑誌の記事になった。 p36 そういうわけで、名のあるお客様が店にいらっしゃるようになりました。 そうしますと、周りからは調髪の達人だの、経営手腕があるだのと、ちやほやされはじてまして。こういう時ほど頭を垂れるべきなのに、私、すっかり勘違いしてしまったのです。 年齢も、威張りたい盛りでした。 丁寧に接客しているつもりで、知らず知らず腰が高くなってしまうんです。 下げなくなった頭で、私はこんな事を考え始めたのです。理容コンクールで全国一になった自分が、経営者としても優れたこの俺が、こんな仕事をいつまで続けるのだろうと。 銀座に二号店を出したのは、48の時でした。事業欲というと聞こえはいいですが、たぶん欲しかったのは「箔」でした。薄っぺらな金箔です。 (中略) 結局、店は二軒とも人手に渡りました。銀座の店を諦めれば、経営は続けられたと思うのですが、まぁ、色々ありまして。 じつは私、人を殺めたことがあるんです。 第6章「成人式」より p243 「このまま引き返しましょう、そのほうが身のためよ」 和服を着ているせいか、美絵子のせりふは時代がかっている。 「いや、予定通り、いざ決行だ」 私も時代錯誤の口調で言い、美絵子の腕をとってドアの脇の手すりから引きはがした。 いま引き返したら、また嘆きと悔恨の日々が始まってしまう。それを今日で終わりにしたかった。 鈴音のためというより、自分たちのためだ。たぶん、私たちは、同じところを揺れてばかりの悲しみのメーターを、どこかで大きく振り切らねばならないのだ。 私と美絵子にも、成人式が必要なのだ。 p255~ 解説 p257 収録された六編は、いずれも家族の物語である。 「海の見える理髪店」は、タイトル通り海辺の理髪店が舞台。「僕」はこの理髪店の評判を聞きつけて、遠路はるばる訪ねてきた。 店主は意外に饒舌で、自身の半生を訪ねもしないのに語り出す。 終盤、物語はさらに1回転する。 店主は「僕」の頭の傷の原因を知っていた。「僕」もまた、評判だからというだけの理由でこの店に来たのではなかった。 果たして二人の関係は? p258 「時のない時計」 仕事にしか興味のないサラリーマンだと思っていたのに、父の死後、母は思いがけないことを言った。 「お父さん、見栄っ張りだから。着る服や装飾品に、意外とお金を使っていたのよね」 父と息子の関係は微妙である。秘めた想いを率直に語れない。 互いを理解するのに恐ろしく時間がかかるし、古い時計という小道具が必要になってしまう。 p259 共通するのは「過去の発見」ないし「過去との決別」だろう。 「海の見える理髪店」の店主と青年はこの日を境にわだかまりから解放され、「時のない時計」の主人公は、止まった時間に囚われた時計やとは裏腹に、動き出した腕時計とともに明日への一歩を踏み出すだろう。「成人式」は、それが最もわかりやすい形で示された作品だ。

Posted byブクログ

2019/09/17

父と子、母と娘、親子、家族に関わる、老いや、確執や喪失感などをテーマに著者の優しげな視点から物語が紡がれていきます。秀逸な短編。さすがに直木賞受賞の作品でした。

Posted byブクログ

2019/09/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いやあ、これはよかった。 直木賞も超・納得の傑作。拍手したい。 表題作が、本当に泣ける。 ささやかな希望の光、それがあるならば生きていけるか。 今私は離婚協議が大詰めで、これまでにも散々絶望してきたけど、こんなふうにささやかな希望の光があれば、生きていけるか? 生きていけるよね。 私には娘がいる。主人公と違って、会いたい時にはいつでも会いに行ける娘がいる。 ささやかではない、大きな希望の光です。 直木賞作家で家族の話が得意というと、私は重松清さんや伊坂幸太郎さんが浮かびますが、荻原さんも加わりました。

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2019/09/08

根っからの天の邪鬼のせいか寄る年波のせいか 初めから泣かせてかかるような設定には少し引き気味になるのだが恐る恐る手を出した今回はまんまとしてやられた感。 生きていれば必ず行き当たる近しい人達との別れを如何に乗り越えて行くか。 登場人物たちもまたその後の人生を皆それぞれに悲しくも逞...

根っからの天の邪鬼のせいか寄る年波のせいか 初めから泣かせてかかるような設定には少し引き気味になるのだが恐る恐る手を出した今回はまんまとしてやられた感。 生きていれば必ず行き当たる近しい人達との別れを如何に乗り越えて行くか。 登場人物たちもまたその後の人生を皆それぞれに悲しくも逞しく歩いていくのだろう。

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2019/09/07

舞台は、海辺の小さな町にある理髪店。 饒舌な店主。そして、店の鏡越しに見える世界。時計は逆回り。 意外な展開に驚いたし、深い感動と余韻に浸ることができた。 家族についての短編集だった。 「時のない時計」は、商店街のはずれにある古い時計屋での話で、昭和の時代を思わせるようで、懐...

舞台は、海辺の小さな町にある理髪店。 饒舌な店主。そして、店の鏡越しに見える世界。時計は逆回り。 意外な展開に驚いたし、深い感動と余韻に浸ることができた。 家族についての短編集だった。 「時のない時計」は、商店街のはずれにある古い時計屋での話で、昭和の時代を思わせるようで、懐かしい。 「いつか来た道」は、母娘の確執を書いたものだった。 どれも話の運び方がきれいで、昔話にも鮮やかな色がつけられたような感じがする。

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2019/09/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編集です。本のタイトルでもある「海の見える理髪店」。とても意外なオチでした。店主が自らのことを語りすぎるなと思ったのだけど。なるほど。あとは「成人式」がちょっと来ました。あとは、正直あまりピンと来ませんでした。荻原さんの作品は心の微妙な葛藤を描くところが特徴なのかもしれないけど、自分が大雑把すぎるのか、そういう葛藤は時としてイラっとしてしまうことも有って、合わないところは合わない感じがします。昔読んだ「明日の記憶」はとても良かったのだけど、自分の中ではこれを超えていないなと思ってしまいました。

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2019/08/30

直木賞受賞作。 表題の「海の見える理髪店」と、最後の「成人式」がとても良かったです。成人式は家の中で読んで良かった…ボロ泣きでした。 何か勘違いをしていて、それぞれの短編がどこかでつながってくるのかと思ってしまっていたので、あれ?これどうやってつながるんだろう?と気になりながら...

直木賞受賞作。 表題の「海の見える理髪店」と、最後の「成人式」がとても良かったです。成人式は家の中で読んで良かった…ボロ泣きでした。 何か勘違いをしていて、それぞれの短編がどこかでつながってくるのかと思ってしまっていたので、あれ?これどうやってつながるんだろう?と気になりながら最後まで… 何でそんなふうに思っちゃったんだろう?

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2019/08/27

舞台は理髪店、登場人物は理髪店店主と客の二人だけ。この作品にはカギ括弧でくくられたセリフが無く、店主と客の独白で語られて行く。 ラストでなるほどとなる訳だけれども、カギ括弧のセリフと地の文で書かれるよりも二人のそれぞれの思いが伝わって来たのではないかと思う。直木賞、納得。 他5...

舞台は理髪店、登場人物は理髪店店主と客の二人だけ。この作品にはカギ括弧でくくられたセリフが無く、店主と客の独白で語られて行く。 ラストでなるほどとなる訳だけれども、カギ括弧のセリフと地の文で書かれるよりも二人のそれぞれの思いが伝わって来たのではないかと思う。直木賞、納得。 他5篇の短編が収録されている。どれも家族関係に悩みを持っている人や、ある程度年を経た人に刺さる内容だと思った。今、特に何も感じなかった人も10年後くらいに読み直してみると結構刺さるかもしれない。

Posted byブクログ