ゴリラの森、言葉の海 の商品レビュー
「現代社会は時間を短縮することでお金を生む。」 「ゴリラや猿と森を歩いていると生きる事に意味などないような気がする。」 変化と進歩、他者との共感や物事への意味付け。とても大切で価値のあることと思っていたが、人間の持つ素晴らしい特徴を時には忘れて捨て去る必要があるのかもしれない。
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霊長類学者と小説家の異質の対談だけれど素敵な内容になっている。ただ専門家の知識を述べられるのも簡潔で良いけど話が入ってきやすくて話してる内容が絵に浮かぶような文章で飽きなかった。 チンパンジーやゴリラなどを観察することによって人間の理解や興味も深まる内容だった。特に子殺しはとて...
霊長類学者と小説家の異質の対談だけれど素敵な内容になっている。ただ専門家の知識を述べられるのも簡潔で良いけど話が入ってきやすくて話してる内容が絵に浮かぶような文章で飽きなかった。 チンパンジーやゴリラなどを観察することによって人間の理解や興味も深まる内容だった。特に子殺しはとても興味深かった。
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熊の生態について調べてら、ゴリラのタイトルの背表紙に小川洋子さんの名前をみつける。 手にとって開いてみたら、あの小川さん、霊長類学者の山極寿一さんとの対談本でした。 しかも京大の総長もしてたとか。 小川さんが聞き手に回って山極さんが幅広い知識を屈して畳み掛けてくる。人脈も豊かで話...
熊の生態について調べてら、ゴリラのタイトルの背表紙に小川洋子さんの名前をみつける。 手にとって開いてみたら、あの小川さん、霊長類学者の山極寿一さんとの対談本でした。 しかも京大の総長もしてたとか。 小川さんが聞き手に回って山極さんが幅広い知識を屈して畳み掛けてくる。人脈も豊かで話題も豊富、上に立つ人は政治的にも立ち回りに長けているから、小川さんが山極さんをボスゴリラと表現していたこで了解しました。 印象に残ったことは 言葉を使うとゆうことは効率よく都合のいいように整理しなおすとゆうことだとゆう山極さんの言葉。 なるほど、似て非なるものもひとまとめにされてしまう危険があると言うことか。南に行きたいけど、南南東位なら同じ方角で片付けられてしまったら遭難してしまうかもってことだな。 小川さんの 言葉では置き換えられないはずの人間の心を言葉で表現しようとする矛盾。不可能を自覚することがまず必要で、孤独とか楽しいとか内面を規定する言葉を用いるより、人の微妙な目の表情、着てる服、ものの食べ方とゆう外面に現れるものを描写したほうが小説の言葉として生きてくるとか。 なるほどって思いました。 ゴリラの生態とかは知識として勉強になりました。 そんなところかなっw
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ゴリラの生態と人類の今が結びついている。人間が環境に手を加えたことで、めぐりめぐって人間を暴力的にするのか、、、。そして、それを動物的と表現するのは間違いなんだと知った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ブクログユーザーの評価が高い一冊というのはありましたが、それ以上にジャケ買いといった感じで手にした一冊です。 小川洋子さんの著書は何冊か読んできましたが、恥ずかしながら山極寿一さんのことは知りませんでした。 そしてまさかの対談集^^; でも思っていた以上に早いペースで読み終えることが出来ました。 へぇ〜そうなんだぁ、と新たな発見の多かったこと。 日常でゴリラについて知ることってないですよね。 人類史を辿れば人は森から出ることを選び、ゴリラは森で過ごすことを選んだ。 その後の進化の違い。 言葉って改めて大切だなぁって思いながらも、ワクワクしながら読み終えました。 そして、自由に外出ができるようになれば動物園にも行きたいし、自然を満喫しにも出かけたい。 一度は訪れてみたいと思っている屋久島にも行ってみたいと改めて思いました。 説明 内容紹介 野生の思考と小説家の言葉が響き合い、ゴリラとヒトが紡ぐ物語が、鮮やかに浮かび上がる。いざ、物語のジャングルへ……野生の眼を持つ霊長類学者とヒトの心の森に分け入る小説家。ある時は京都大学の研究室で、またある時は屋久島の自然の中で、現代に生きるヒトの本性をめぐって、いきいきとした対話が続けられた。野生のゴリラを知ることは、ヒトが何者か自らを知ること――。発見に満ちた知のフィールドワークが始まる。 内容(「BOOK」データベースより) 知の冒険へようこそ!野生の眼を持つ霊長類学者、物語の森に住む小説家。京都で、屋久島で、深く楽しく語り尽くした知のフィールドワーク。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 山極/寿一 1952(昭和27)年、東京都生れ。霊長類学者・人類学者。京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士課程修了。アフリカ・ルワンダのカリソケ研究センター研究員、日本モンキーセンター、京都大学霊長類研究所、同大学院理学研究科助教授を経て同研究科教授。2014(平成26)年10月より京都大学総長。著書多数 小川/洋子 1962(昭和37)年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、2013年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。多数の小説、エッセイがある。フランスなど海外での評価も高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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好きな二人の対談なので興味深く読み進められましたが、結局何が言いたかったのかよくわからないまま読了してしまいました。 話題の中核にゴリラがいるので、どうしても山極さんから小川さんが話を聞きだすという感じになってしまうのも致し方ないですね。 何かテーマを決めているわけでなく、自由気...
好きな二人の対談なので興味深く読み進められましたが、結局何が言いたかったのかよくわからないまま読了してしまいました。 話題の中核にゴリラがいるので、どうしても山極さんから小川さんが話を聞きだすという感じになってしまうのも致し方ないですね。 何かテーマを決めているわけでなく、自由気ままに思っていることを言いあっているので、いろいろと新発見がありました。 頭に残った新知識: ・ゴリラやチンパンジーやオランウータンは"ヒト科"であること。 ・九州最高峰の山はなんと屋久島にあった。 なるほどと思ったこと: ・信頼関係っていうのは、特別な相手をつくるということ。そのために自分の時間を相手に使ってもらうということ。 ・子どもにとって一番幸福なのは、自分の食欲を満たしてくれる環境が整っていて、そこで自由に振舞えるということ。 ・人間は変な生き物。造られたものによって、人間も人間関係も変えられてしまっている。 ・霊長類学者は、人間を地球規模で数百万年の視点で見ている。 言葉の無い世界で起こっていることを"言葉"で説明するって凄いことですね。 上に「造られたものによって、人間も人間関係も変えられてしまっている。」と書いた時、一番にスマホが頭に浮かんだけれど、人間を変えた最大の発明は "言葉" ですかね?
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人間って何だろう?という大きな問いをめぐる、ゴリラの研究者・山極先生と、小説家・小川洋子さんの対談。 言葉の無い世界の専門家と、言葉だけで世界を構築する専門家、という組み合わせだけでももうワクワクする。 テーマが大きくしかも対談なので、内容は多岐にわたり、何か一つに絞って感想を書...
人間って何だろう?という大きな問いをめぐる、ゴリラの研究者・山極先生と、小説家・小川洋子さんの対談。 言葉の無い世界の専門家と、言葉だけで世界を構築する専門家、という組み合わせだけでももうワクワクする。 テーマが大きくしかも対談なので、内容は多岐にわたり、何か一つに絞って感想を書くことは難しい。なので、とりあえず、二度読みして付箋貼ったとこをピックアップしてみる。 ①ゴリラは自分の体のハンディを悲しんだり、卑屈に思ったりは絶対しない。 ゴリラの世界に「過去」は無いらしい。だから、死者を悼んだり、その恨みを晴らそうと戦争を起こしたりしないし、自分の子を殺した相手とも交尾して繁殖する。けれど、26年越しに再会したゴリラのタイタスはちゃんと山極先生を覚えていて、子どもの頃に返ったかのような反応を示したらしい。「言葉」は記憶と物語のための強力な装置だけれど、どうも言葉だけがその機能を持っているのでは無いようだ。身体的な記憶?ゴリラの世界にはそういうものがあるのだろうか?子殺しをするゴリラの気持ちや、再会した時のタイタスに起こっていたことは山極先生にもまだ分からないそうだ。 ②ハゲとデブは子どもウケのため。 ゴリラは歳を取れば取るほど女子どもにモテる、というのは山極先生の別の著書での指摘。で、ここではそれに加えて、一体何がオトナのオスの魅力なのかが語られていて、それはハゲとデブらしい。そういえば、娘の通う幼稚園でも年配のでっかいおじさん(運転手兼用務員さん)が子どもたちに大人気だ。ハゲてはないけど、お腹が出ているらしい(娘情報)。園には若い男性の先生や、実習生の男子大学生もいるけど、運転手さんほどの人気者にはならないみたい。なるほど、それって本能的なものなんだなぁ。 ③言葉を持たない相手に言葉を映し出すと、書くべきものがくっきり見えてくる。 これは小川洋子さんの談話。そういうことかー、と腑に落ちた。この本の一つ前に『ミーナの行進』を読んでいたので、余計に納得いった。 小川さんは、言葉では描けないものを言葉で描こうとしていつももがいている、ともおっしゃっていて、それは若松英輔先生や登美彦氏もたびたび書いていること。おそらく、どんな書き手も同じことを思っているのではないのかと。で、小川さんの場合は動物を一種の媒体(巫女?よりまし?)のようにして、言葉ならざるものを言葉の世界に織り込んでいこうとする、という作法をとっているのだろう。今後の小川作品の読みに活かしていきたい。 ④言葉はもともと違うものを同じ価値基準でまとめあげるというタブーを犯している。言葉を使うというのは、世界を切り取って、当てはめて、非常に効率的に自分の都合の良いように整理し直すこと。 養老孟司先生も、何の本だったかで同様のことを指摘されてたなぁ、と。自然界に同じ物は二つとないし、同じことは絶対に繰り返されない。それを同じだ、と言い張るのが脳だ、というのが、確か、養老先生のお話だったかと。 そして、言葉で整理することの暴力性について。これは常々、自分にも人にも話していること。言葉という必要悪と付き合っていくときの、非常に重要な戒め。「ことほぎ」は「寿ぎ」「言祝ぎ」であると同時に「呪言」でもある。岡野玲子さんも『陰陽師』で「名とは呪さ」と晴明に言わせている。 ⑤人間の身体感覚はまだある程度は森の中にいる。 『スマホ脳』でもほぼ同様のことが指摘されている。また、『ヒトの目、脅威の進化』では人間の視覚は森の暮らしに適応するように進化していることが指摘されている。 本書では、散歩の大切さを山極先生は説いている(ベストなのは森の散策らしい)。多和田葉子さんやハラリ氏、アンデシュ・ハンセン氏も、とにかく知識人の方々はよく散歩される。山極先生によると、人類は長い距離をゆっくり歩くように進化したらしいから、身体感覚を大切にしてやると知的にも活性化するってことなのかな。だとすると、スマホは控えめに、ということになるな。歩きスマホ、だめ、絶対。 小川洋子さんが挙げている『ナチスのキッチン』、ブクログで検索してもヒットしない。河合隼雄学芸賞を受賞した書籍なのだけど、なぜ?ブクログさん、もちょっと頑張って。
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大好きなお二人の対談本。対話を通して身近な不思議をしみじみと掘り下げてゆくので、ゆっくり味わうようにして読みました。「不在」についてのくだり、「言葉」を持ってしまったジレンマのくだりなど、本質的な問題を平易な言葉遣いで語り合っておられ、大変読みごたえがありました。それぞれによる注...
大好きなお二人の対談本。対話を通して身近な不思議をしみじみと掘り下げてゆくので、ゆっくり味わうようにして読みました。「不在」についてのくだり、「言葉」を持ってしまったジレンマのくだりなど、本質的な問題を平易な言葉遣いで語り合っておられ、大変読みごたえがありました。それぞれによる注釈やショートエピソードが欄外に添えてあるのも楽しく、はじめに、を小川さんが、おわりに、を山極さんが担当して書かれているのも良い趣向でした。大変満足して読了。
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山極寿一氏と小川洋子氏の4回の対談をまとめたもの.タイトルが内容をよく表現していると思う.ゴリラのことを中心に語りながら,深い森の中を逍遥し,思索の海深く揺蕩うような趣.山極氏の「屋久島の森というのは一つの楽器のような,あるいは動物や植物や昆虫が音を出しているオーケストラのような...
山極寿一氏と小川洋子氏の4回の対談をまとめたもの.タイトルが内容をよく表現していると思う.ゴリラのことを中心に語りながら,深い森の中を逍遥し,思索の海深く揺蕩うような趣.山極氏の「屋久島の森というのは一つの楽器のような,あるいは動物や植物や昆虫が音を出しているオーケストラのようなもの」と捉える感性は素晴らしいし,そんな屋久島に行ってみたいと思った.
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◯とても良い本。面白かった。 ◯言葉を駆使する小説家を聞き手として、言葉とは異なるコミュニケーションや世界を研究してきた最も自然に近い研究者との対談形式で進んでいく。 ◯言葉や文字という完全であろうとして、その不完全さを強調してしまうツールに対して、動作によるコミュニケーションは...
◯とても良い本。面白かった。 ◯言葉を駆使する小説家を聞き手として、言葉とは異なるコミュニケーションや世界を研究してきた最も自然に近い研究者との対談形式で進んでいく。 ◯言葉や文字という完全であろうとして、その不完全さを強調してしまうツールに対して、動作によるコミュニケーションは不完全であるのに深く伝わるという構造が見られ、一種の言語に対する批判的な論調で進むのかと思っていた。 ◯しかし、言葉の海と自然(ゴリラ)の森は、実は共通したものであることが語られていく。上記のようなつまらない二項対立で考えていた自分がいかに文字の世界だけに閉じこもっていたのかを知った。 ◯読み終わってみると、なぜこの本が、この対談がセットされたのか気になる。狙いはなんだったのか。現在の科学至上主義に対しての一つの提言なのかもしれない「おわりに」で書かれている山極先生の言葉は重い。 ◯小川先生が山極先生の本をしっかり読んでいて、鋭い質問をしてしている点が非常に好感である。いや、対談本だし、仕事だし、一応対談した後に文字で起こして確認しているのだから当たり前ではあるけれども。大変良かった。
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