ゴリラの森、言葉の海 の商品レビュー
最近のゴリラ先生は「サル学」の学者というよりも京都大学総長として有名だ。サル学者を卒業したわけではないのだろうが、本書では「文化人類学的考察」全開となっていて興味深い。 ヒトの根源に迫る議論はいろいろと考えさせられることが多く楽しい。この様な考察が社会に充満すれば、人間社会ももう...
最近のゴリラ先生は「サル学」の学者というよりも京都大学総長として有名だ。サル学者を卒業したわけではないのだろうが、本書では「文化人類学的考察」全開となっていて興味深い。 ヒトの根源に迫る議論はいろいろと考えさせられることが多く楽しい。この様な考察が社会に充満すれば、人間社会ももう少し良くなると思わせてくれる本であると思った。
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これは読み逃せない顔合わせ。期待通りにおもしろかった。お二人は三回の対談を重ねたあと、屋久島の原生林にサルを見に行き、また語り合う。主に山極氏が、ゴリラとのつきあい(まさに「交流」だ)を通じて考えたことを話す感じだが、小川さんもかなり山極氏の著作を読み込んでいるようで、実に興味深...
これは読み逃せない顔合わせ。期待通りにおもしろかった。お二人は三回の対談を重ねたあと、屋久島の原生林にサルを見に行き、また語り合う。主に山極氏が、ゴリラとのつきあい(まさに「交流」だ)を通じて考えたことを話す感じだが、小川さんもかなり山極氏の著作を読み込んでいるようで、実に興味深い内容になっていると思った。 以前初めて顔を合わせた河合隼雄賞の選考会で、小川さんは、大勢の中でなぜか山極氏に目がとまったと書いている。「もし今、ここで大きな地震のような一大事が起こったら、この方についていけば安全だという本能的な直観が働いた」そうだ。「その場にいた女性の多くが先生の周りに集まってきて、さながらボスゴリラのようだった」とも。 その感じはわかる気がする。山極寿一ってまったくかっこいいんだよね。体も大きいけど、器も大きいのだろうということが、ひしひしと伝わってくる存在感がある。この対談は、相手が可憐な小川さんなので(可憐さって年齢には関係ないと思うのだ)、よりそのオス的魅力が匂いたってくるような雰囲気があって、なんだかこそばゆかった。そんなこと思って照れてるのは私だけかもしれないが。 本書の表紙はゴリラの写真なのだけど、これが威厳と風格に満ちた立ち姿で、山極氏とよく似ている。ゴリラについては、知れば知るほど、なんてクレバーな生き物なんだろうと感心してしまうのだった。
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