彼女たちの場合は の商品レビュー
14歳の礼那と17歳の逸佳は従姉妹。 二人はある日黙って旅に出る。 アメリカを巡る旅。 礼那は父親の仕事でニューヨークに住んでいるので、英語はできるし、アメリカにはそこそこ馴染んでいるし、だが女の子二人の旅、アメリカといっても広い、雑多な人種、地域性もいろいろ、そういうもろもろの...
14歳の礼那と17歳の逸佳は従姉妹。 二人はある日黙って旅に出る。 アメリカを巡る旅。 礼那は父親の仕事でニューヨークに住んでいるので、英語はできるし、アメリカにはそこそこ馴染んでいるし、だが女の子二人の旅、アメリカといっても広い、雑多な人種、地域性もいろいろ、そういうもろもろのことをやはり心配し、二人の両親は半狂乱にならんばかりの取り乱しよう。 あらゆる手を尽くしても手掛かりがないとわかると、もはや二人が無事帰ってくるのを待つばかり。 一方二人は、無謀な行き当たりばったり的な旅ではなくて、年長の逸佳が、地図やガイドブックを綿密に調べて、計画的に旅をする様子に、安心を覚える。この子たちなら大丈夫と。礼那の無邪気すぎる無防備なふるまいにはハラハラさせられるけど。 やがて業を煮やした親に資金源であるクレジットカードを止められてしまう。 お金が無くなれば帰ってくるだろうという親の考えをしり目に、ここから益々たくましくなっていく彼女たち。 たくさんの人に助けてもらいながら、何とか窮地を切り抜けていく彼女たちをいつしか応援している。 もっと遠くへ、もっと遠くへと。 普通ティーンエイジャーが主人公の小説はあまり読まないのですが、今回はなぜだか彼女たちに惹きつけられて、一気に読んでしまいました。 舞台がアメリカで、彼女たちを取り囲む人たちが皆大人だからでしょうか。 帰りを待つ父親と母親の感情の変化も興味深いものでした。
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最近とみにアメリカ文化がうるさくて嫌になる時があります。 しかしそれに反して昔感じていたアメリカへの郷愁を感じるのも確かです。 大好きなアメリカ、嫌いなアメリカ! それが僕の中で二人の気持ちと一緒になって旅を続けます。 いや、逸佳の気持ち。 ナッシュビル、ウィチタ、ニューメキシコ...
最近とみにアメリカ文化がうるさくて嫌になる時があります。 しかしそれに反して昔感じていたアメリカへの郷愁を感じるのも確かです。 大好きなアメリカ、嫌いなアメリカ! それが僕の中で二人の気持ちと一緒になって旅を続けます。 いや、逸佳の気持ち。 ナッシュビル、ウィチタ、ニューメキシコ。 ページが進み残り少なくなると旅も終わりかと、いたたまれなくなり。 そしてラストは?! 多くの旅人に読んで欲しい一冊です。 僕は読み終わったいまも二人と一緒に旅を続けています。 ちなみに、評価は4.2です。僕の中では最上級です。
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また素敵な本に出会ってしまった。 14歳と17歳がアメリカを旅していくなんて、 親の仕事でアメリカに住んでいたからこそ、 若くても言葉に不自由なく生活してたからこそ、 途中までは親のカードで旅ができる生活水準だったからこそ、 自分のトシを恥じてはいないけど、 若さって良いなぁ〜と...
また素敵な本に出会ってしまった。 14歳と17歳がアメリカを旅していくなんて、 親の仕事でアメリカに住んでいたからこそ、 若くても言葉に不自由なく生活してたからこそ、 途中までは親のカードで旅ができる生活水準だったからこそ、 自分のトシを恥じてはいないけど、 若さって良いなぁ〜と、つくづく感じました。 映画を観ているかのような景色や匂いや色が想像できる ホントに素敵な本でした。
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久々の江國さん長編で、とても好きな小説に出会えたことがうれしい。 ニューヨークに住む従姉妹どうしの14歳の礼那と17歳の逸佳が、ふたりでアメリカ中を旅するお話。 天真爛漫で外交的な礼那と、旅を提案した一方で慎重なところもある逸佳が、さまざまな人たちと出会い、危険な目にもあい、それ...
久々の江國さん長編で、とても好きな小説に出会えたことがうれしい。 ニューヨークに住む従姉妹どうしの14歳の礼那と17歳の逸佳が、ふたりでアメリカ中を旅するお話。 天真爛漫で外交的な礼那と、旅を提案した一方で慎重なところもある逸佳が、さまざまな人たちと出会い、危険な目にもあい、それでもたくましく何カ月も旅を続けていくさまは、現実にはなかなかないのだろうけれど、とにかく応援したくなった。 行く先々で土地の空気、味、人々などと出会った時の彼女たちの感性、まるで自分が旅をしているような気持になる。 彼女たちの親の反応もとても興味深い。おそらく、いちばんよくみられそうなのは、礼那の父の怒り、かな。応援しつつ、クレジットカードを周囲に言われて止めたことをひどく後悔する逸佳の父が魅力的に思えた。 そして、礼那の母である理生那は、とてもとても江國さんの小説の登場人物らしい人物。ふわっとしているようで芯はとても強い。 少女たちがふたりで共有した時間、その時に体験したことは、あとからだれに話してもわかってもらえない、自動的に二人だけの秘密になる、というのがとても素敵。
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女の子ふたりがアメリカを旅する話。 いつかの自己嫌悪する様が我が身のようだったので、いつかがどんどんたくましくなって他者とかかわっていく姿に感動。 序盤、ふたりが港町で飲む魚のスープの描写、「号泣する準備はできていた」に出てくる魚のスープを思い出した。 美味しい栄養のあるものを...
女の子ふたりがアメリカを旅する話。 いつかの自己嫌悪する様が我が身のようだったので、いつかがどんどんたくましくなって他者とかかわっていく姿に感動。 序盤、ふたりが港町で飲む魚のスープの描写、「号泣する準備はできていた」に出てくる魚のスープを思い出した。 美味しい栄養のあるものを食べて、いろんな人と会って、いろんな経験をして。という、江國さんから旅する2人への優しいメッセージのような気がした。
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あまり江國香織感のないあらすじだなーと思ったけど、少しポップで前向きな江國香織だった。 アメリカに行きたくなった。 ハンバーガーが食べたくなった。
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in their case では私の場合は? それは日本からそう遠くないとある国。 初めて話した言葉は「袋いりません」だった。スーパーの店員に通じたのが嬉しかった。異国の通貨で買い物できたことも。 勇気は無いけれど、それに関しては勇気がなかったのではなく生来の出不精によって、私...
in their case では私の場合は? それは日本からそう遠くないとある国。 初めて話した言葉は「袋いりません」だった。スーパーの店員に通じたのが嬉しかった。異国の通貨で買い物できたことも。 勇気は無いけれど、それに関しては勇気がなかったのではなく生来の出不精によって、私は1日のほとんどを寮で過ごした。 出る必要が無かったから。私の生活は徒歩5分圏内で完結していたし、足りないものは何も無かった。 その国にいた間に三度、夜中に散歩をした。 街の治安は良かったのでなんの心配もなかった。 一緒に歩いてくれる人がいればよかったのにね。 そのころ日記がわりにしていた小さな端末には異国の言葉でそう書いてある。 学期中でさえ1日の大半を持て余していたのに、長い長い夏休みが来ると本当にすることがなくなった。 私の住んでいた寮は日本の団地に似ていて、どうやら学生だけではなく普通の人も住んでいるらしかった。むしろ何室かだけ寮として学校が借りていたのかもしれない。 敷地内には公園や八百屋があった。 今思うと不思議な存在のその八百屋は、確かに団地の一角に馴染んでいた。私はそこによく通って、日本のより大ぶりで味が薄いトマトやキャベツを買っていた。 ホームシックになり帰国した日本から再び戻ってきた時に、ルームメイトが敷地内の途中まで迎えに来てくれた。夜のキャンパスで、携帯電話だけ握りしめて少しぎこちない表情で手を振った彼女を覚えている。 ****************** 思わず書き出したけれど全然違うね。彼女たちの場合は、勇敢で無謀な偉大なる挑戦。私の場合は守られた留学生活。 ただ、異国で生活することとか。日本にいた頃の全てが遠くて、なんでこんなところにいるのかと自分を疑う、あの感じ。ずっと夢を見ているような、変に頭の中がフワフワしたあの感覚。 そこが共通しているなって。 私の記憶が戻ってきちゃった。ここから感想を書きますね。 礼那は現実味がない。確かに子供は無謀でそれゆえに勇敢で純粋だけれど、それにしたってこれはない。私の周りにはこんな人いなかった。 礼那の存在が物語をフィクションらしくさせる。それ以外の人たちは実際に居そうなのに。 理生那はいつもの江國さんの作品の登場人物ぽい。年齢も物事の考え方も。潤きらい。絶対こんな人と結婚しない。薔薇の木桃の木檸檬の木にもこんな人出てきた気がする。人間関係において1番恐ろしいのは話ができないことだということを実感させられる。 旅をしなきゃ。私にはきっと出来るはずだ。と、気持ちが奮い立ちました。同時に彼女たちが出会ったいくつかの困難、それが自分にも十分に起こり得ることを思うと足がすくむ。 私は生来臆病だから。 それでも、異国を旅することでしか得られない勇気はある。 あの全能感、解放感はまた呼び覚まさなくちゃ。
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ニューヨークに住む従姉妹同士の逸佳と礼那が旅に出る。 内向的な逸佳と社交的な礼那の感性は、どこまでも透明だったし、娘が行方不明になった夫婦はお互いの分かり合えなさにも苦しんでいく。 17歳と14歳の従姉妹同士だけでこんなに簡単にアメリカを旅して回れるとは、どうしても思えなかった。
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「これは家出ではないので心配しないでね」 そう置き手紙を置いて、ニューヨークで暮らす14歳と17歳の従妹はアメリカを『見る』旅に出る。 人が好きで素直で明るい14歳の玲那と、人が苦手で、心配性、人生のほとんどが「ノー」で、望みがほとんどない17歳の逸佳。彼女の数少ない『見る』とい...
「これは家出ではないので心配しないでね」 そう置き手紙を置いて、ニューヨークで暮らす14歳と17歳の従妹はアメリカを『見る』旅に出る。 人が好きで素直で明るい14歳の玲那と、人が苦手で、心配性、人生のほとんどが「ノー」で、望みがほとんどない17歳の逸佳。彼女の数少ない『見る』という「イエス」のため、従妹で計画を立てて旅に出た。 彼女たち二人の旅は、私と妹の様でもあり、ディズニー映画の主人公たちの様でもあり、とにかくワクワクして夢のようでした。たくさんの経験を経て、たくさんの人たちとの出会いがあって、彼女たちの人生は、そして、彼女たちの親の人生は深く色を重ねていく。 海外旅行も学生時代にたくさんして、旅が大好きな私にとって、彼女たちと一緒に旅をしている様で、、、私も英語がペラペラになった錯覚をしてしまいました(笑)登場人物のクリスは、「マカン・マラン」のシャールさんと重なりました。 旅には終わりがある。だけど、そこでの経験や思い出は、一生自分の中にあっていつまででもキラキラと輝いている宝物の様である。と、思う。ずっと終わりが来ずに読み続けていたかった、本当に素敵な物語でした。
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アメリカに住む14歳と17才の女の子が、親に内緒で旅行に行く物語。何ヵ月も。 一見、読み終わった後、彼女たちの成長の物語かと思っていたけど、彼女たちの両親の在り方や試練の物語でもあったと思った。
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