慈雨 の商品レビュー
ミステリーとしてはもとより、人の物語として読み応えがあった。 職業人の矜持、永い年月をともにしてきた夫婦と親子、主人公のこれまでとこれからの生き方が、お遍路の道中に描き出されていて、秀逸。 重いテーマなのに、読後感が爽やかなのは、真摯に生きる人々への信頼が根底にあるからか。
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覚悟を決めた人の生き様は美しいものだ。そのあり方は、男女や年齢によって様々だが、とにかく「今を生きる」と決めたその一点の思いに、哀しさとともに人の強さを見る。これこそが美しさの本流ではないだろうか。 困難というのは、進んで逃げることも可能だが、越えていくものでもあるというこ...
覚悟を決めた人の生き様は美しいものだ。そのあり方は、男女や年齢によって様々だが、とにかく「今を生きる」と決めたその一点の思いに、哀しさとともに人の強さを見る。これこそが美しさの本流ではないだろうか。 困難というのは、進んで逃げることも可能だが、越えていくものでもあるということを思い知らされる。やはりそうしようとする、その覚悟こそ賞賛できるものだ。 故にそこから逃れようと、人のせいにばかりする人間がどうしようもなく嫌いだ。それすら、そうならざるを得ない由縁によるものだと分かってはいても、どうしてもそういう人間がいると苛立ってくる。「弱さ」を隠れ蓑に「傲慢」を振るう輩にしか見えない。それでいて「不幸だ」と嘆かれても、そりゃそうだろ?としか思えない。 この認識の困難を越えるのが、今の…そしてこれからの課題だ。 解説にあった、夏目漱石の『夢十夜』は読んでみたい。
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四国遍路の旅で出会った人たちの人生。 警察官を定年退職した1人の人生と後悔が出会った人たちと新たな事件と混ざり合う少々重めな内容。 驚きと感動の結末とまではいかないが、過去を一つ一つ紐解いていく過程は面白い。
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旅のお共として、偶然選んだ本だったけど面白かった。何か誉田哲也を読んでる感じがした。妻に先立たれ、夫の方も殉職しちゃって、幼い娘の「おとうしゃん、あしゃよ。おきなしゃい、おとうしゃん」には思わず泣いてしまった。人生のなんと切ないことか。幸知が幸恵だというのは早いうちから分かったけど、こうやって名前を変えることができたとは知らなんだ。真犯人が捕まるところはあっさりしてたけど、まぁそこがメインじゃないってことなんだろう。でも冤罪をくらった側から見たら、違う物語になるんだろうなぁ。
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お遍路を巡りながら、同時進行で事件の真相を進める。真実に近づくにつれて、暗雲の雰囲気だがラストは見事なまとめかた。
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過去は戻るわけではないが、 なんとか償いたい 人との出会いが変える そして今後のためにも区切りをつけたい
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四国巡礼の旅と事件がW進行 旅の記録、私的には興味ある内容だったし 事件の方も気になりつつで 最後までハマりました。その後は・・
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#読了 2023.7.16 泣いた。美しかった。 凄惨な事件を追う泥臭い現場の焦燥感と、お遍路巡礼の景色の美しさ、主人公神場の奥さんの明るさ、少しずつ説明される過去の話。熱い想いと葛藤と後悔と。 スピード感は無いけど、靄から抜け出す美しい一歩が、穏やかな眩しさを放つ作品。 女性作家さんが書く無骨な主人公って珍しい気がした。いかにも昭和の身勝手父ちゃんだったね(笑)人の幸せを勝手に決めんなよな?w 旦那と交際してた頃のこと思い出した。 私が29歳当時、旦那は国試浪人してて、今年も受からなかったってときに「この歳になっても将来を約束できないし、浩子も子供産むとか考えたら今からでも他の人探した方がいい。俺は浩子を幸せにできない。ごめん。」って言われたんよなぁ。 人の幸せ勝手に決めんなよ?っつって、その後旦那は無事に医者になり、結婚して、今は一児のママしております。 主人公の責任感とか熱い想いとかもちろん素晴らしい人間性を感じるんだけど。 相手になにも言わずに苦しい顔すんな。 なにも言わないなら苦しい顔隠せ。 隠せないなら話せ。 「なにも聞かないでほしい」って顔だなと思って察して心配し続ける方がしんどいわ。 「これを伝えたら相手が苦しむから俺1人で抱え込むしかない。苦しい」「あなたどうしたの?」「うるさい!」じゃねえよ。 勝手に悲劇のヒロインすんな。 こーゆー昭和男ほんと嫌いww それに娘と血が繋がってないこと本人に言ってないっていうのが。。親も娘も理解してると思って読み進めちゃってたから、え?言ってないの?!っていうそっちの驚き。しかも理由が自分が家庭を顧みず仕事してたから離れていくのが怖かったからって…。自分本位過ぎん?例えば娘が情緒不安定で言うタイミング見計らってたら逃しててとかなら分かるけど、すくすく育ってるのに。戸籍なんてどこかのタイミングで見るかもしれないんだから、20代前半とかまでにはせめて伝えて心の整理させてあげないと。血のつながりがないなら、あとは信頼ぞ?幸知はいい子だったから戸籍見ても自分で整理付けてたけどラッキーなだけだからな?と思う。愛してるなんだと言って行動が伴ってないやつ嫌いだなぁ。 あ、登場人物みんないいひとですよ。 でも神場を旦那にはしたくないかなぁって話w 上司にはいいかもしれないけどね。 ◆内容(BOOK データベースより) 警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。
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結構前に読了したのに登録を忘れていたので追加。 そのため、感想も朧げになってしまった。 面白かったことは面白かったが、内容は割と薄めで別にこんなに本を分厚くする必要はなかったと思う。『盤上の向日葵』がドンピシャで面白かったので、期待値が高かったことはあるかもしれない。 良くも...
結構前に読了したのに登録を忘れていたので追加。 そのため、感想も朧げになってしまった。 面白かったことは面白かったが、内容は割と薄めで別にこんなに本を分厚くする必要はなかったと思う。『盤上の向日葵』がドンピシャで面白かったので、期待値が高かったことはあるかもしれない。 良くも悪くも警察組織というものについて考えさせられた。どうしても組織というものでは間違いが起きてしまう。ただ、警察はそのミスが許されない。そこに対しての恐怖はリアリティがあったと思う。 重厚な小説。火曜サスペンス的なノリがあるものの、社会問題が好きな人にお勧めです。
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四国のお遍路さんについて、今まで全然意識してなかったけど少し詳しくなった。魅力的な刑事しか出てこない。ストレートな内容で心に響いた。
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