同潤会代官山アパートメント の商品レビュー
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時の流れとともに受け継がれていく、家族の年代記。 こんな家族がいろんなところに存在しただろう。 悲しいこともあり、嬉しいこともある。 始まりは、竹井光夫と八重の夫婦。 竹井は元々、八重の妹の愛子と婚約していたが、愛子を失った二人はやがて家庭を作ることに。 同潤会代官山アパートは、関東大震災の救済措置として建設されたアパートのひとつ。 大切な人を守りたくて、竹井は当時最先端だった鉄筋コンクリートのこの建物に住むことにしたのだ。 4代を経て、取り壊されるまで、アパートは竹井から杉原に続く家族の成長と老いと新しい命を見守り続けた。 読み終えてプロローグに戻ってみれば、自分も「遙々来たものだなあ」という気持ちになる。 最初に読んだ時には何の意味もなさなかったものが、思い出とともに色彩を帯びていく。 冒頭の家系図は盛大なネタばれだが(笑)問題無い。
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ビブリア古書堂は僕にとってはずっと読んでいたいシリーズです。この間スピンオフ出た時も即読みでした。 そして三上延の最新作なのでそりゃあ大期待です。 表紙が軽やかでほんの少しですが漫画っぽさが有るので、雰囲気ものの青春ものかなと思って読んだところ、4世代に渡る重厚な人間ドラマだった...
ビブリア古書堂は僕にとってはずっと読んでいたいシリーズです。この間スピンオフ出た時も即読みでした。 そして三上延の最新作なのでそりゃあ大期待です。 表紙が軽やかでほんの少しですが漫画っぽさが有るので、雰囲気ものの青春ものかなと思って読んだところ、4世代に渡る重厚な人間ドラマだったので非常に意表を突かれ、そして力強く読み切らせてもらいました。 誰もが若く希望に溢れ、そして悩み、悲しみ、葛藤し、そしていつか次の世代へその座を譲る。これは三上延さんのメインの読者である10代~20代には伝わりにくいテーマかもしれません。しかし人生折返しに来た僕のような世代には各々に感情移入するポイントが有り、お腹の中に重い何かを据え付けられたような焦りを催させる本です。 最後まで読んでプロローグに戻るとき、感じる感情が世代や性別や生き方で変わってくるような気がします。僕はとてもいい本を読んだとしみじみしました。 ライトノベルの作家だからと避けている人が居たら、もったいないので是非読んでみて頂きたいです。
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代官山のアパートを舞台に、一組の夫婦と、子、孫、ひ孫の代までを、約10年ずつ記した物語。 意味が分からなかったプロローグが、最後に改めて読むと、短い文章の中にこみ上げてくるものがある。 色んな性格の人が出てくるけど、家族でも性格は色々で、気の合う人は、どこかにいるんだなって思える...
代官山のアパートを舞台に、一組の夫婦と、子、孫、ひ孫の代までを、約10年ずつ記した物語。 意味が分からなかったプロローグが、最後に改めて読むと、短い文章の中にこみ上げてくるものがある。 色んな性格の人が出てくるけど、家族でも性格は色々で、気の合う人は、どこかにいるんだなって思える。 一気に読んだけど、最後に家系図見てたら、あ、この人はあのエピソードの人だって思い出せる。 描き方がうまい。 ビブリア古書堂の作者のはずだけど、本の印象は全然違う。この作品も面白かった。
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新シリーズ?と思ったら、違ったみたい。「同潤会」の建物は、写真で見たことがある程度。そのかっこよさは、やっぱり近くで見てみたい。 2019/6/29読了
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震災ではじまり、震災で終わる。同潤会アパート、取り壊しの頃随分と話題になっていたし、存在は知っている。でも、建てられた経緯は知らなかった。地震に強い家、日本は昔から変わらず地震によって壊され、そして強くなっていっているのかな。最初は嫌だったアパートだけど、戦争も乗り越えて長く住み続けて愛着が湧いてゆく。生きてる、って感じられるよいお話だった。
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代官山の同潤会アパートを舞台に、そこで暮らした4世代の家族70年の歴史。 亡き妹の恋人と結婚した八重。 義姉から妻となった女性を大切にし続けた夫竹井。 その娘、孫達、そして曾孫。 それぞれがその時代ごとに歴史を刻み、住み暮らしていた場所。 彼らの大切な場所であったことが、物語の...
代官山の同潤会アパートを舞台に、そこで暮らした4世代の家族70年の歴史。 亡き妹の恋人と結婚した八重。 義姉から妻となった女性を大切にし続けた夫竹井。 その娘、孫達、そして曾孫。 それぞれがその時代ごとに歴史を刻み、住み暮らしていた場所。 彼らの大切な場所であったことが、物語の最初から最後までずっと感じられます。 とても素敵な話でした。 最後まで読んでからプロローグに戻ると、そこに書かれた八重達の歴史が語られていた事に気づき、新たな感動に包まれます。 孫の進の高校時代のエピソードが良かった。 思わず吹き出す微笑ましいセリフ「少しは黙れ!星のフラメンコ!」 多くの人に読んでいただきたい作品でした。
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四世代に渡る家族の話。 昭和初期(戦争前)から関東大震災、そして阪神淡路大震災もこの物語に出てくる。 私も阪神淡路大震災は経験したので、ちょっとタイムスリップした気分でした。 八重さんすてきな女性です。だから素敵な家族に囲まれたんだね。 本の帯に「心の居場所」と書いてありましたが...
四世代に渡る家族の話。 昭和初期(戦争前)から関東大震災、そして阪神淡路大震災もこの物語に出てくる。 私も阪神淡路大震災は経験したので、ちょっとタイムスリップした気分でした。 八重さんすてきな女性です。だから素敵な家族に囲まれたんだね。 本の帯に「心の居場所」と書いてありましたが、ほんとそうだなと思いました。 人に薦めたい一冊です。
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代官山、あるアパート。何代にもわたり住む家族がいる。関東大震災で妹を失った八重。妹の婚約者と結婚する。アパートを舞台に八重の家族、八重よりひ孫までの物語。 約10年ごとに章が変わり、その時代のことが語られる。日常のこと、家族の絆、温かみを感じる、その年々の八重の心に注目です。アパートの歴史でもあるけれど、八重の半生の物語でもあり、より味わい深いものになりました。
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東京に住んでいた頃、代官山にはあまり行く事はなかった。 同潤会アパートがあった頃、1度行っているとは思うが、その場所を見たかどうか、後に写真集とかで見た記憶とごっちゃになっているのか・・・ モノクロなイメージはあって、その場所のお話という事もあり読んでみたくなった。 関東大震...
東京に住んでいた頃、代官山にはあまり行く事はなかった。 同潤会アパートがあった頃、1度行っているとは思うが、その場所を見たかどうか、後に写真集とかで見た記憶とごっちゃになっているのか・・・ モノクロなイメージはあって、その場所のお話という事もあり読んでみたくなった。 関東大震災や、阪神淡路大震災の事も書かれていて、 登場人物たちが引き継がれて長い歴史を歩んできた事。 八重さんの人生は立派だった。 私の人生はちっぽけかもしれないな。
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アンソロジー「この部屋で君と」で 「月の砂漠を」は既読。 素敵な話だと思ったので そのお話の続きが読めるのは嬉しい。 関東大震災後に建った「同潤会代官山アパート」 が阪神大震災の後に解体されるまでの 70年間のお話。 最初に入居した夫婦が家族を作り、 子、孫、曾孫の世代まで...
アンソロジー「この部屋で君と」で 「月の砂漠を」は既読。 素敵な話だと思ったので そのお話の続きが読めるのは嬉しい。 関東大震災後に建った「同潤会代官山アパート」 が阪神大震災の後に解体されるまでの 70年間のお話。 最初に入居した夫婦が家族を作り、 子、孫、曾孫の世代まで。 優しくてあたたかなお話だった。 戦前、戦後、高度成長期、バブル、天災、いろんなことが あるけれど、家族はきちんと繋がっている。 温かい、優しい、お話だった。 こういうのはとっても好みだ。
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